冒頭のバッファローと共に子供たちが狩られる悪夢のシーンがショッキング。
1971年の作品だが、バッファローが撃ち殺されるシーンは実際に撃たれているとしか見えない。
バッファローといえばアメリカ先住民の狩りの対象でもあったわけだが、「ダンス・ウィズ・ウルブス」でも描かれたように白人たちが「娯楽」として「面白半分」に狩る対象であり、アメリカ式のマチズモ、銃至上主義の犠牲者の象徴と見える。
そしてこの手の「強者」の論理の犠牲者として問題児とされてキャンプに入れられている子供たちが主人公となる。「弱い」というより繊細であったり同情心が強かったりする共感力が強かったりするだけなのだが、それだけにアメリカでは生きにくかったりするのだろう。
ひ弱な男の子をスパルタ式に鍛え上げるというよくある安直なキャンプ、というのは未だに跋扈しているけれど(日本でも「地獄の特訓」なんて合宿を社会人相手にやっていたりする)、その本質的な品性の悪さ(教師のトランクの中がエロ本でいっぱいだったりする)、傲慢と無神経は変わらない。というか本質的に進歩と無縁、というかはっきり反動的なのがわかる。
スティーブン・キングやティム・バートンの作品で描かれるようないじめられっ子側の人間というのは案外アメリカにも多いのではないか、だから彼らが人気を博するのではないかと思ったりした。
子供たちが柵に閉じ込められて狩りの対象になっているバッファローにシンパシーを覚えるのがドラマの軸になるわけだが、それが悲劇のもとになる、つらい展開。
「ラスト・シューティスト」の原作者でもあるグレンドン・スワースアウト原作。
カーペンターズの主題歌というのはちょっと驚いたが、内容のきつさとむしろ対位法的効果が出た。