prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「イーオン・フラックス」

2006年04月05日 | 映画
上映時間が1時間35分と短いので喜んでいたら、どうもあまり喜んでいられない結果になった。

つまり死んでた人間をクローンで甦らせて記憶を薬を飲むことで伝えて云々と、かなりややこしい話になってきて、さらにそれがアクションの合間にちょこちょこと説明されるだけなのだから飲み込みにくい。
さらに悪者と思ったのがそうではなくて善玉と思ったの実は悪玉らしくて、だけどやっぱり気持ちを入れ替えてヒロインに味方するって調子なんだから、不必要にわかりにくい。

こっちは要するにスタイルのむちゃくちゃにいい美人がアクションやってみせるのを見たいだけなのに、その割に余計に頭を使わせる。
アクション・シーンもカット割りと擬音で擬似的な迫力を出して見せるスタイルで、そのカット割があまりうまくない。
ヒロインの扮装は女忍者調で、他にもところどころに和風味あり。
(☆☆★★★)



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「エミリー・ローズ」

2006年04月04日 | 映画
これが新興宗教家が「悪魔」が少女に憑いていると判断し、そのため正規の医療が行われずに死亡したケースだとしたらどうだろう。誰もこれが犯罪であることを疑わないだろう。それがキリスト教だとなぜ許されるのか。

少女に悪魔が取り憑いた症状は、「エクソシスト」と見かけ上だぶる部分は多いが、少女自身以外から力が加わったり、第三者に悪魔の姿が見えたりすることはない。ほとんど医学的に説明できる症状で、できない部分も単なる情報不足で、悪魔のしわざだと考えなくては説明がつかない部分など、ない。
それなのに、弁護士が妙に悪魔のしわざを信じてしまうと、実質的に無罪の判決が出てしまうのだから、ちょっと待ってくれと思う。悪魔がどうこういうより、現実的にはコワいではないか。

そういう怖さを、映画の作り手がどの程度意識しているのかも、疑問。エミリーが本当に聖別されたのだと信じる人間を煽るなど、許されないことだ。下手すると、選民主義に結びつきかねない性格のことではないか。
この映画の宣伝文句「悪魔の存在を認めた裁判」という表現も許しがたい。判決では、そんなものは認めていない。オウムを生んだテレビのオカルト番組と同じセンス
で、そういう無責任なセンセーショナリズムが何を生んだのか、忘れたのか。

あと、なまじ現実的な線で描写をまとめているため、怖くしようとしてもあまり手がなくて黒猫だのヘビだのを出してくるのは、いささか苦しい。

結局、信仰が善意であっても、というより善意であるからこそ人を殺すこともあるのだ、というところにまで踏み込んでいないから、すべてが生ぬるくなっている。
いかにもなホラーではなく、マジメに作っているのはわかるが、だからといってテーマが深くなったわけではない。
(☆☆★★★)



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「SPIRIT」

2006年04月03日 | 映画
李連杰としては「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズ以来の主演の中国ナショナリズム路線。ひさびさの辮髪姿。
あれも実在の人物・黄飛鴻が主人公だったが、清朝末期、列強諸国に侵略されてコケにされまくっていた時、巨大な西洋人に勝ちまくり祖国に対する誇りを蘇らせた武道家としては、ここでの主人公・霍元甲も同じ。「ドラゴン怒りの鉄拳」のモデルなのだという。
あり方としては、戦後の日本の力道山(彼は韓国人だったが)に近いか。

「ドラゴン怒りの鉄拳」は日本人たちは徹底的な悪役になっていたが、ここでは列強に連なる一員として私服を肥やす三田(原田眞人)という悪役と、直接対戦する武道家の田中(中村獅堂)とに分かれていて、田中の方は霍元甲とのよきライバルとして三田たちの陰謀を敢然と打ち破るのが、ちょっと面映いくらい格好いい。
「三田」というのは三田=慶応義塾大学の創始者・福沢諭吉=脱亜入欧論者というつながりと見るのは、穿ちすぎか。

相手を倒すことしか考えていなかったことが自分の家族にに跳ね返る悲劇から、戦うのは戦いを通して自分を高めるためで相手を否定しやっつけるためではないと学ぶ後半への展開は、典型的に武(「武」という文字はもともとは「矛を止める」という作り)の精神を表している。
それは同時に、東洋の国同士でいがみあうべきでない、敵は西洋列強だというメッセージも含んでいるだろう。

今のように日本と中国の関係が冷え切っている(と、される)時期にこれが公開されたのは、いささか間が悪かった。いや、良かったか。
原田眞人は「ラスト・サムライ」に続き欧米かぶれの日本人役。当人もイギリスとアメリカで映画を学び、映画監督としてアメリカと日本の両方を股にかけて活動している人で、それをキャスティングする効果。

肝心の数々のアクロバティックなマーシャル・アーツ場面の冴えは衰えず。「HERO」ほど映像的装飾が過剰でなく体技自体を楽しめる。ただし、格闘映画としては、終盤の展開はアンチクライマックスに近く、しぼんだ印象。
「ワンス…」シリーズだと、日本人であるこっちまで中国ナショナリズムに加担したくなるくらいエネルギッシュで興奮させられたものだが、そこまではいかず。あれが公開された当時と今とでは日中関係が変わったから、というだけでなく、映画自体の作りが「闘い」を否定しているからだろう。
(☆☆☆★)



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新橋周辺の廃屋類

2006年04月01日 | Weblog

看板を裏返しにした「神戸らんぷ亭」。看板の表は赤いのに、裏返すと青です。


安売りのあげく閉めたガソリンスタンド。ネットで囲まれて、外にバイクが並んでました。


専用駐車場です。といっても、台形だし面積ないしで、バイクくらいしか停められませんが。