prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「サウンド・オブ・サンダー」

2006年04月08日 | 映画
一羽の蝶が生きるか死ぬかで歴史がまったく変わってしまうというあたり、いやでも「バタフライ・エフェクト」という言葉(映画でもありましたね)を思わせる。原作で踏み潰される虫って蝶だったっけ。

「バタフライ…」というのは蝶の羽ばたきによる空気の動き程度のわずかな力が巡り巡って台風を引き起こすかもしれない、という喩えで使われているわけで、それを考えると人間が入り込んで動き回る方が空気の動きは大きいぞ。それ以前に恐竜が跋扈している時代で何度も銃をぶっ放しているのだから、たとえ生き物を殺さなくても、気候その他に与える影響は大きいのではないかと思ってしまう。

大過去を変えたために現在も変わってしまうというなら、そこに至るまでの人間の意識を形成してきた中過去小過去もすでに変わっているわけで、なんで「変わった」と認識できるのだろう。

…なんてマジメに考える映画ではなくて、要するに自然界が突然変異を起こして人間を襲ってくるコワさを描くのが見せ場なんだが、蔓植物が大発生したり奇形化した変なヒヒみたいなのが出てきたりと、昨今珍しいくらいのB級テイスト。
見る機会がないままだが、スチールなどで見る映画「ノストラダムスの大予言」みたい。なかなかアヤしげで、ブラッドベリ原作といっても詩情のカケラもなし。もっとも一種のサイドショー趣味というのはブラッドベリにもあると思うが。

撮影を監督のピーター・ハイアムズ自身が手がけているのはいつものことだが、怪物はもちろんCGのはずで、CGには本来「光」というのはないのだが、暗闇の中から浮かび上がったり眼だけ光ったりといった光と影の効果をしきりと狙っている。

ベン・キングスレーが鉄腕アトムを白髪にしたような髪型で登場、字幕には出なかったがしきりと「火星に最初に降り立ったブルベイカー」といったフレーズを繰り返す。もっともらしい分、かえって映画をアヤシゲにしているみたい。
(☆☆☆)



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