prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「海辺の生と死」

2017年08月23日 | 映画
2時間35分でほとんど動きがない長回し主体の画が続く、タルコフスキーかと言いたくなる演出。音が繊細に捉えられているのはいいし、長回しが緊張感につながっているシーンもあるが、全体とするといくらなんでもかったるい。

「死の棘」の前日譚、という予備知識があることをどこまで見る側の前提にしているのか、よくわからない。後年夫婦になった二人がどんな地獄に堕ちるかを頭に置くかどうかでずいぶん見え方が違ってくるはず。

戦争に行く青年と恋人とのラブストーリーだがメロドラマにしないで、生と死の間を青年だけでなく恋人も、というより女の方こそ生きる姿を描く観念性が勝っている。
満島ひかりが戦時下という設定もあってか思い切り痩せて登場、目に狂的な光を見せる。
(☆☆☆)

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映画『海辺の生と死』 - シネマトゥデイ

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8月22日(火)のつぶやき

2017年08月23日 | Weblog

川端龍子展

2017年08月22日 | アート
日本画というと間や空白を生かしたものが多い印象が強いけれど、これは大判でもびっちり描きこんであまり余白を残さないものが多い。
感覚的に派手で、ほとんどイラストのような印象を受けるものすらある。

スペクタキュラーなちょっとハッタリ臭さすら混ざっている。
驚いたのは単発の軍用飛行機を描いたほとんど実物大かと思う巨大な画で、大きいだけでなく機体が半透明になっていて宙に浮かんだ感じを出していることで、よく考えたものだと思う。

ススキを金で描くというのは他でもあるが、金だけでなく銀、さらには白金まで駆使しているとなると珍しいと思う。確かにやや白っぽいのです。



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8月21日(月)のつぶやき

2017年08月22日 | Weblog

「スパイダーマン:ホームカミング」

2017年08月21日 | 映画
超能力というにはかなりスーツ頼みなもので、見た目の派手な割になんだか危なっかしい感じが抜けない。それが設定15歳というのに合っていて、しょっちゅうドジを踏むのが笑わせる。

もともとスパイダーマンが持っている童貞臭さを池上遼一版みたいな陰にこもった調子ではなくからっと笑わせるのがいい。
青春ものとスーパーヒーローものとの合体としてこなれていて面白く、主人公がうんと若くないとありえないストーリー上の趣向に感心した。

ヒロインも有色人種というのがNYやWDCが舞台とはいえ、ずいぶんPC的に進んでいて、今の時期に見るのに本来不必要だが独特の興趣を添えた。

ワシントン記念塔にエレベーターと展望台があるとは実は知らなかったので、そこを舞台にしたアクションというのが目新しい。それにしても、高い建物には展望台がつきものには違いないけれど、それにしては窓が思い切り小さい。その小ささをアクションの趣向に生かすなど考えたもの。
(☆☆☆★★★)

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8月20日(日)のつぶやき その2

2017年08月21日 | Weblog

8月20日(日)のつぶやき その1

2017年08月21日 | Weblog

「フェリシーと夢のトウシューズ」

2017年08月20日 | 映画
フランスの由緒ある映画製作会社GAUMONTのタイトルが冒頭に出るように、セリフは英語だけれど舞台はパリで制作国もフランスとカナダ、製作拠点はカナダに置かれたらしい。

そのせいだろうか、テイストが孤児院からいきなり始まるあたりからしてややアメリカ製と違う。極端に見せ場を押しまくらないで脇のキャラクターの描きこみともども淡泊なところも。

パリに出るとエッフェル塔が建築途中(1987年1月27日起工、1889年3月30日竣工)で、やはりギュスターヴ・エッフェルが設計したニューヨークに運ばれる前の自由の女神像も建築中だったりする。自由の女神がフランスで完成したのは1984年だから、史実とはずれているのだが、これら世界で最も有名な二大建築がパリにあるところを見せておきたかったのだろう。

肝腎のバレエシーンが本物のバレエの振り付けとアニメ的な誇張をうまく混ぜていて、重心が完全にずれたりすることがないよう演算するプログラムを入れてあるのではないかと思うくらい。

ヒロインが赤毛というのは、赤毛の女の子は気が強いという俗説を生かしているのと同時に見栄えも考えてのことだろう。
キャラクター・デザインが3Dアニメ的な誇張よりそばかすが見えたりする適当にリアルでしばしばふくれたり卑屈になったりする表情など魅力的。
(☆☆☆★)

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8月19日(土)のつぶやき その2

2017年08月20日 | Weblog

8月19日(土)のつぶやき その1

2017年08月20日 | Weblog

8月18日(金)のつぶやき

2017年08月19日 | Weblog

「ボンジュール、アン」

2017年08月18日 | 映画
フランシス・フォード・コッポラの妻のエレノア・コッポラの八十歳にして初の劇映画監督作(脚本・製作も兼ねる)。
まあおよそ危なげも気負いもなく、食と衣、自然や名跡などの美しいものを自然に集めて愛でるキルトのような一編。
ヒロインが撮って回る写真がかなり寄って断片化されているのが暗示的。

登場人物はほとんど二人、カンヌからパリに向かう間にあちこちに寄り道して(原題はParis can waitとHeaven can waitをもじったようなもの)、実においしそうな食事をしてまわる。実際これくらい食べ物がおいしそうな映画も珍しい。

グルメ旅には違いないし、ロマンスものに雰囲気は接近するが、しつこく没入することなくその時々の娯しみをほどほどに享受してまわる余裕が魅力。
衣装やアクセサリーの小物も生きている。

十代の時の「アウトサイダー」から「コットンクラブ」と、夫フランシスの作品の一翼を担ってきたダイアン・レインに五十過ぎてからでないと出ないであろう豊潤さを引き出しているのも魅力。

かといって相手の男も夫の事業の内実は火の車らしいことがだんだんわかってくるあたりも定石ながらいいバランスになっている。

リュミエール兄弟の記念館を訪れ、映画の原型である夫フランシスの会社の名前の元になったゾエトロープを見るあたりで一種のプライベート・フィルムであることをあからさまにする。

重くなりすぎないが、長い間生きているうちに受けた一生背負う他ないヒロインの心の傷は、コッポラ夫妻が実際に息子ジャン・カルロを失った体験が当然もとになっているのだろう。

映画から離れるが、フランシスがアクターズ・スタジオ・インタビューのゲストとして出演した時、若い学生たちにこんなことを言っていた。
「君たちの中には、お互い好きで一緒になりたいと思っている者もいるだろう。悪いことは言わないから、さっさと一緒になりたまえ。家族を持った方が落ち着いて力を発揮できるし、稼ぎも増える」実にそれらしい発言だと思った。
ハリウッド人種としては珍しく離婚経験がなく、娘ソフィアに限らずファミリーが全体として活動を続けている一家の主らしい。
(☆☆☆★★★)

ボンジュール、アン 公式ホームページ

映画『ボンジュール、アン』 - シネマトゥデイ

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8月17日(木)のつぶやき

2017年08月18日 | Weblog

8月16日(水)のつぶやき

2017年08月17日 | Weblog

「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」

2017年08月16日 | 映画
前に読んだ「マクドナルド 失敗の本質」でマクドナルドが外食産業であると共にむしろ本質的には不動産業であることを記述していたが、その始まりのいきさつを描いたのがこの映画といってもよさそうだ。

ファウンダーとは創業者の意味だが、ハンバーガーのレシピとか提供する手順を開発したのはマクドナルド兄弟であっても、チェーン展開するばかりでなく、文字通り軒を借りて母屋を乗っ取るレイ・クロックの手口の方が本質的に「創業」であることがわかってきて、ビジネスというのは物やサービスの売買ばかりでなく、むしろビジネスモデルの売買であることもわかってくる。

まことにえげつなくて、クロックにふんするマイケル・キートンの怪演もあって、面白いのだけれどかなりイヤな気分になる。
(☆☆☆★)

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ 公式ホームページ

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ|映画情報のぴあ映画生活

映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』 - シネマトゥデイ



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マクドナルド 失敗の本質: 賞味期限切れのビジネスモデル
クリエーター情報なし
東洋経済新報社