prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「アステロイド・シティ」

2023年09月10日 | 映画
アメリカ人に原爆アレルギーがない(無神経ともいう)のは国内で原爆実験を繰り返してきたからかなあと考えながら見ていた。核兵器が列車に農作物と同じように積まれていたり、キノコ雲がもくもくと画面の奥に上ったりするものね。
1950年代の冷戦期ではあるにせよ。

フラットな画面構成を保ったままアニメのマルチプレーンみたいな移動撮影をしているのは相変わらずのウェス・アンダーソン節。
画面がカラー、スコープサイズから白黒、スタンダード・サイズを行き来する。色がパステルを塗ったみたい。

キューブリックみたいな顎鬚姿のジェイソン・シュワルツマンはフランシス・フォード・コッポラの甥で、共同脚本のロマン・コッポラは息子。

先生役がきれいだなと思って見ていたら、イーサン・ホークとユマ・サーマン元夫妻の長女のマヤ・ホーク。ソフィア・コッポラやジア・コッポラ(フランシスの孫)監督作に出ているらしい。
オールスターキャストも個人的な縁で出ているんじゃないのと思いたくなる。





「私たちの声」

2023年09月09日 | 映画
世界七か国の女性監督と女優がそれぞれ作って持ち寄ったオムニバス。

「ペプシとキム」
刑務所に入っている女囚の隣についてくる女がいやに攻撃的なことを言っていると思ったら、実は薬物による幻覚であることがわかってくる。
実話で元囚人の当人が顔出ししてくる。

「無限の思いやり」 
これも精神疾患らしいホームレス女の世話をする二人の女の話。
やはりモデルがいて世話役のひとりが顔出ししてくる。

「帰郷」
妹が亡くなって帰郷した姉が妹の遺娘を引き取ってほしいと頼まれていったんは断るが、娘が勝手に連絡船に乗ってきたのでやむなくというより情が移って引き取る。

「私の一週間」
杏主演。呉美保脚本監督。
シングルマザーと小学生と保育園の子供たちの一週間を描く。とにかく子供たちと自分の食事と、弁当屋のパートで作る食事と、食事の支度に追われっぱなし。
これだけ日本語なので、セリフ、というより発語がクリアに録れているのに感心する。
呉監督は八年ブランクがあるが、その間子育てしていたらしい。

「声なきサイン」
夜遅くに来た口がきけない女性と男の二人連れを女性の獣医が相手する。連れてきた犬が不自然なケガをしているのを不審に思い、女性の方が体中アザだらけなのを察して急いで警備員に男を取り押さえさせる。
はらはらさせた後ほっとさせる話(これも実話)だけれど、「午後十一時」と字幕が最後に出たときには、あれ、まだ続きがあるのかと思ったぞ。

「シェアライド」
インド製。ちょっとどういう話なのかトランスジェンダー絡みのせいもあってわかりずらかった。画面はMTV風で華やかなのだが。

「アリア」
CG製。構成上ちょっとここに置くには座りが悪い気がする。

まあ何と言うか、映画の素材、モチーフが女性の視点を入れたことでいっぺんに倍になったみたい。
前はフェミニストというとチャップリンみたいに女性に優しい男をさしたのだが、いつの間にか女性の権利を主張する女の意味になった。なんででしょうね。





「春に散る」

2023年09月08日 | 映画
ボクサーの前のテーブルに並んだ食事を見て、おや、減量はしないのかなと思った。今どき昔のマンガみたいな過酷な減量などしないのかもしれないが、けっこう現役のボクサーでも普通に飲み食いしている。

横浜流星のカウンターが本当に一瞬で決まる。
あと場面がぽんと飛ぶ、たとえばクライマックスの勝負がついた後じかに病室に飛んだりする。ことさらにに盛り上げるのは抑え気味。

それだけに「春に散る」とエンドマーク代わりにタイトルが出たあとまたエピローグが続くのは蛇足感が強い。惜しい。

哀川翔がいる食堂の場面で望遠レンズで観戦しているムサいおっさんたちをフラットに圧縮して見せたあと、徐々におっさんたちが立って応援しだし、終いには前に立ち塞がるようにびっしり並ぶ。
そのあたりの手順がいい。

佐藤浩一が手入れはしていないもののけっこう立派な家に住んでいるのはアメリカ帰りという設定からか。原作は未読だがどうなっているのだろう。

子供たちに教えているボクシングジムというのが出てくるのが面白かった。壁に貼られた標語からしてほのぼのしている。





「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」

2023年09月07日 | 映画
絵の才能がある男の子白岩瑠姫 と自分を押さえなくていいのに押さえてしまう女の子久間田琳加 とのラブストーリーということになるのだろうが、女の子の方はおとなしい感じだけれど男にイラつかれるほどいじいじしているとは思えず(女の友だちいるものね)、男の態度は窓から出入りしたりして自由奔放なキャラに仕立てているらしいのだが、ああもずけずけ言うって、正直ずいぶん失礼に思えた。
そうでなくても男が女に一方的にタメ口をきくのはひっかかる。

絵の才能の方も文字通り画で見せるのはムリがあって、屋上一面に絵の具をぶちまけたりしたら学校側が激怒するだろうなと思ったのは措くとして、肝腎の絵の出来がどの程度なのか、描きかけなのでついによくわからない。というか、描きかけでもわかりますけれどね。大げさだれど、レオナルド・ダ・ヴィンチはかなりの程度描きかけだ。

細かいところだけれど、男が女の子を引き上げるのに重たいというのだが、あんなに細くて重いのか。逆に女の子が男を引き上げるところでは何とも言わない。

コロナを予防するのは一応解除されているけれど各自の判断に任せるというタテマエの現在、女の子がいつもマスクしているのがどういう意味なのかよくわからない。という以前にこの世界にコロナは流行ったのかどうか。

冒頭の屋根裏部屋の壁の本棚を動かすとはしご段で降りる抜け道につながっているところは面白いけれど、「女相続人」みたいに徹底していじいじしたキャラクターではないのであまり生きていない。





「エリザベート 1878」

2023年09月06日 | 映画
女性が中指を立てているポスターのデザインから相当に突っ張った内容かと思ったら、覆面をした替え玉を立てたらコルセットがきつすぎて嘔吐するなどむしろ公私ともに窮屈なのが目立った。

ヴィスコンティ作品でも有名な城作り王ことルードウィヒ二世の従姉妹がモデルかと思ったらルードウィヒは出てこないし、暗殺もされない。
あくまでモデルなのだね。

エンドタイトルを見てたらコダックがクレジットされていた。
フィルムで撮っているのか。撮影は見事。





「トランスフォーマー ビースト覚醒」

2023年09月05日 | 映画
マイケル・ベイから監督が交代して良くも悪くも淡白(比較的だけど)になりましたね。前作「バンブルビー」からしてそうなのだが、これはまた元の軌道に戻しているだけに目立つ。

メカの見分けがつきにくい(これはシリーズを通してだが)のと、人間の役者が言ってはなんだが軽い扱いなのはかなり大きな弱点。人物配置が単純すぎ。MCUみたいにやたら大所帯なのも困りものだが。

ペルーの遺跡で大暴れしておいてナスカの地上絵がすっぽ抜けているのはどんなものだろう。
生かしようがあると思うのだが。


「トランスフォーマー ビースト覚醒」- 公式サイト



「キングダム 運命の炎」

2023年09月04日 | 映画
これ中国に輸出する予定あるのかな。予定があってもなくても中国側で輸入するかどうかわからない(本っ当にわからない)のだから愚問だとは思うが。
これだけのスケールで作っておいて回収の方がどうするのだろうと心配になる。

欧米などから見れば日本人も中国人も似たようなものだろうが、少なくとも両方から見れば違う。

古代の帝国間で行われた合戦というのは中国本国で映画化されたことは案外少ない、あったとしても合作なのではないか。

三部作では終わらず、続きがあるわけだが、仕切り直しとなるとこれだけのオールスターキャストを集合させるの大変だろう。





「ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE」

2023年09月03日 | 映画
女性キャラクターがじりじりと死んでいくのが、シリーズがこの前後編で終わるのも予感させる。
トム・クルーズ自身が命がけで演じているのと表裏一体という感じ。

メイキングではラストでちょっとだけなんでもないように出てくるスピードフライングが、実は相当に操作するのに危険が伴うものなのを、なんでもないように操っている。

重要な小道具の鍵をふたつ組み合わせた形が十字架みたいで、赤と青の原色の取り合わせが宝石を埋め込んだみたい。
宗教的事物を暗示きているのか。

クライマックスの列車が順々に前の車両に引っ張られて落ちていくのはサイレント映画特にそれもコメディの趣向ですね。ジャッキー・チェンもよく引用していた。

違うのは当たり前だが音がついていることで、サイレントだと白昼夢みたいになるが音がつくとリアルになる。





「SAND LAND」

2023年09月02日 | 映画
鳥山明の原作はコンパクトに一巻本にまとまっているので過不足なく構成できるし、細かいところもかなり忠実にやっているしプラスしたところも生きている。絵柄も3DCGにふさわしい。

元軍人と悪魔ベルゼブブの王子が手を組んで砂漠に水を取り戻すまでの話だが、原作が書かれたのは2000年で「マッドマックス 怒りのデスロード」より前。

クライマックスに出てくる虫人間は原作ではひとりだが、アニメでは大勢。
ここがややあっけないのは残念。

のっぺりした砂漠の空間の表現や丸まっこい戦車を3DCGで表現するあたり、効果的。




「荒野に希望の灯をともす」

2023年09月01日 | 映画
中村医師に病気の次男がいたというのには驚いた。2002年に10歳で亡くなっている。

初めはハンセン病やマラリアの治療にあたっていたのが、次第により根本的な対策である治水工事を行うのに至り、さらに川の氾濫にも学ぶようになる。その展開が自然で自然に学ぶという言葉を改めて思う。
中村医師が銃撃を受けて亡くなったことは初めからわかっているだけに字幕と石橋蓮司のナレーションで運ぶ代わりの語りが、中村医師と直接やりとりする機会はないのだと思いしらされる。

何年もの時間をかけて取材していることは森の緑が次第に繁茂するところを隣に人を置いて見せることでわかる。

治水の知恵が日本の故郷の川を見本にしているというのが人間の知恵の普遍性を思わせる。



2023年8月に読んだ本

2023年09月01日 | 
読んだ本の数:31
読んだページ数:3052
ナイス数:0

読了日:08月01日 著者:牧野 富太郎




読了日:08月04日 著者:佐藤 泰志




読了日:08月06日 著者:ちばてつや




読了日:08月17日 著者:ちばてつや




読了日:08月08日 著者:ちばてつや




読了日:08月11日 著者:ちばてつや




読了日:08月12日 著者:ちばてつや




読了日:08月17日 著者:ちばてつや




読了日:08月14日 著者:ちばてつや




読了日:08月15日 著者:ちばてつや




読了日:08月16日 著者:ちばてつや




読了日:08月17日 著者:ちばてつや




読了日:08月18日 著者:町田 そのこ




読了日:08月20日 著者:三浦 裕子




読了日:08月20日 著者:今井 むつみ,秋田 喜美




読了日:08月24日 著者:岡田 暁生,片山 杜秀




読了日:08月25日 著者:高畑 勲




読了日:08月25日 著者:ちばてつや




読了日:08月25日 著者:ちばてつや




読了日:08月25日 著者:ちばてつや




読了日:08月25日 著者:ちばてつや




読了日:08月25日 著者:ちばてつや




読了日:08月25日 著者:ちばてつや




読了日:08月25日 著者:ちばてつや




読了日:08月25日 著者:ちばてつや




読了日:08月25日 著者:ちばてつや




読了日:08月25日 著者:ちばてつや




読了日:08月27日 著者:宇野 維正




読了日:08月28日 著者:鳥山明




読了日:08月28日 著者:河林 満




読了日:08月31日 著者:マイケル・ボンド