森鴎外の「舞姫」は
一度は読んだことがある明治の日本文学。
この「舞姫」は
森鴎外の自伝的要素が濃い小説だと言われています。
医学を学ぶために、ドイツへ国費留学した森鴎外が日本に帰国した際
恋人であったと思われるドイツ人女性が
彼を追って日本までやってきたというエピソードはあまりにも有名です。
そして森鴎外はこの女性の面影を死ぬまで忘れられず
その想いを自分の心だけに永遠に閉じ込めていたのは事実のようです。
さて、小説「舞姫」の舞台は明治18年。
日本陸軍エリート官僚、太田豊太郎は法学を学ぶために
国費留学生としてドイツへ行く。
そこで豊太郎は貧しいドイツ人の踊り子、エリスに出会い
二人は恋に落ちる。
その恋が中傷の的となり
豊太郎は官職を失い、国からの援助を断ち切られます。
豊太郎の免官を知り失望した母は、彼をいさめるために自害する。
自責の念にさいなまれる豊太郎は
祖国への想いとエリスへの愛の間で深く苦悩します。
友人の口利きで、豊太郎は次期首相候補と言われる
天方伯爵に彼の才能を高く評価され
「大日本帝国憲法法草案」を立ち上げる仕事を手伝うことになる。
そしてエリスをドイツに残して祖国日本へ。
そんな物語を18日に、宝塚バウホールで観て来ました。
花組による公演「舞姫」です。
愛と祖国の間で葛藤する太田豊太郎を愛音羽麗さんが
ヴィクトリア座の貧しい踊り子エリスを野々すみ花さんが演じました。
バウホールでの上演は20人。
チームワークのよさとフレッシュさは大劇場にも負けない演技です。
物語に魅了されるのは、きっと森鴎外の小説が素晴らしいからでしょう。
青春の日の哀しい恋物語、「舞姫」です。