豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

“コロラド”

2008年02月23日 | 映画
 
 昨日は、近所の本屋には置いてない500円DVDを求めて、吉祥寺まで遠出をしてきた。
 ネットで調べると、吉祥寺のヨドバシカメラには、キープ(KEEP)の500円DVDのほとんどの在庫があるらしい。
 そのうえ、ネットによると、あの100円ショップのダイソーも300円(!)DVDを発売していて,その中には、“プリースト判事”や“若き日のリンカーン”など、他社のDVDにはないものも含まれている。
 近所のダイソーではDVDを扱っていないのだが、吉祥寺西友に入っているダイソーで、その300円DVDを探そうと思ったのである。

 まず行った西友のダイソーも、残念ながらDVDは扱っていなかった。仕方ないので、道を挟んだヨドバシカメラに。
 ここは、あるわあるわ、山のような品揃えである。例によって、何を買って帰るか迷ったのだが、今回の基準ははっきりしている。いつも散歩に行く近所の本屋には置いてないものである。

 結局、“拳銃無宿”、“コロラド”、“ならず者”、“リオ・グランデの砦”、“ガンヒルの決闘”(以上はキープの500円DVD)、それに“西部開拓史”(これだけはワーナーブラザースの期間限定廉価版で1350円)を買った。
 ちなみに、ヨドバシカメラはすべて定価の1割引(+ポイント)なので、キープ版は450円。5枚買ったので帰りのバス代くらいは倹約できる。

 夜中になってから、“コロラド”を観た。1865年、南北戦争が終結に近づいたコロラドからドラマは始まる。

 北軍の大佐(グレン・フォード)は、戦争で精神に異常をきたしており、白旗を掲げている南軍に対して砲撃を命じ、100人も殺戮する。戦争終結後、コロラドの故郷に凱旋した大佐は、武勲を称えられて連邦判事に就任するが、異常はますます昂じ、判事の地位を利用してかつての部下まで絞首刑にする。
 かつての戦友であり、判事から連邦保安官に任命されたウィリアム・ホールデンの諌言にも耳を貸さないため、ホールデンは判事と対立する鉱山労働者を守る側に立つことになる。

 背景が、法律を専門とする者としては興味深い。

 当時アメリカ合衆国に編入されていなかったコロラドでは、鉱山(砂金の金脈)は発見した者の所有とされていた。ゴールド・ラッシュ時代に金脈を掘り当てた所有者たちは、その後南北戦争に北軍の兵士として参戦するのだが、数年後に帰郷してみると、戦争に行かなかった強欲な老人が、鉱山は自分の所有物だと主張して、かつての所有者である帰還兵たちの鉱山への立ち入りを暴力で排除する。
 3年間放置されていた鉱山は所有権が消滅するという連邦法(?)ができたらしく、この法律を盾に、判事も老人側を勝訴させ、鉱山に戻ろうとする帰還兵たちを片っ端から絞首刑にするのである。

 こんな法律が本当にあったのかどうかは分からないが、アメリカなら、いかにもありそうなことである。貧しい階層の出身者が大学進学の奨学金を得るために海兵隊に志願して、イラクで戦死する。その一方で軍需産業が潤うという、今日のアメリカの姿がオーバー・ラップする。

 グレン・フォードの異常行動の背景らしい戦時中の体験が描かれていないため、戦後の判事としての彼の常軌を逸した行動が十分に説得的でないし、ウィリアム・ホールデンとのかつての“友情”に結ばれた絆もいまひとつ説得的でない。二人に愛された女性が、グレン・フォードと終戦後さっさと結婚してしまうというのも理解できなかった。

 もうひとつ、久しぶりにカラー(テクニカラー)の映画を見たのだが、このところモノクロに馴染んできた者としては、寝る前にカラーを見るというのは、心身(眼)ともに疲れる。

 ドラマとしてはいまひとつだったが、“コロラド”の特筆すべき点は、あの博識の芦原伸『西部劇を読む事典』にすら掲載されていないことである。
 作品別の解説の項にも一切登場しないし、西部劇のB級スター列伝の「グレン・フォード」の主な出演作品にも“コロラド”は出てこない。巻末の作品索引にもないところを見ると、おそらく本文中には一切書かれていないのだろう。最近の索引は、パソコンによって本文データ中にある単語をくまなく拾うことができるのだから。
 
 芦原本にもない西部劇を見つけたということで、☆1つくらいとしておこう。 

 * 写真は、キープ(KEEP)版“水野晴郎のDVDで観る世界名作映画[赤25]コロラド”(原題は“The Man from Colorado”)のケース。1948年作品。

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