テレビが死ぬほどつまらない。ニュース以外はほとんど見なくなってしまった。テレビ受像機で見るのは、東京でもDVDばかりになりつつある。
昨年10月のギックリ腰以来、夕方散歩に出かけては本屋に立ち寄り、面白そうな本が何もないときは、500円DVDを買って帰るのが日課になった。買ってきたものの、時間がなくて見ていないものもある。
とくにこの2週間は、野球少年の次男が足首を捻挫して、2階の自分の部屋に上がれず、テレビの置いてある居間で寝起きしているため、彼の勉強中や就寝中の夜中に見ることもできない。
先日久しぶりに息子の帰宅が遅かったので、買いためてあった中から“荒野の決闘”を見た。
原題は“My Darling Clementine”だったらしい。主題歌は“Oh my darling, oh my darling, ~♪”という、あの山男の唄である。山男たちも、この映画の中のヘンリー・フォンダのように、好きになった女性に「好きです」と言えなかったのだろうか。
DVDのケースには、「駅馬車」と並ぶ西部劇の傑作と書いてあるが、これはラブ・ストーリーだろう。アメリカ西部劇版“藤沢周平”である。
ラスト・シーンでヘンリー・フォンダ演じるワイアット・アープが、別れるクレメンタインにむかって言うセリフがいい。
“I sure like that name, Clementin.”
この点では、解説を書いている水野晴郎に賛成しておこう。
その何日か前に見た“第三の男”もそうだったが、モノクロームというのは、何と落ち着いていて、きれいなのだろうか。
* “荒野の決闘”はジョン・フォード監督、1946年の作品。
写真は、キープ“水野晴郎のDVDで観る世界名作映画42 荒野の決闘”のケース。