豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

“An American Tragedy”--“陽のあたる場所” 3

2008年03月16日 | 本と雑誌
 
 映画“陽のあたる場所”の原作“An American Tragedy”のabridged 版。

 Nelson Readers の1冊で、10年ほど前には北星堂書店から発売されていた。80ページに簡約されたうえに、高校生程度の英語力でも読めるようにリライトされているので、英語力のないぼくには大いに助かる1冊である。

 あの頃、行方昭夫さんが『英文快読術』(岩波同時代ライブラリー)で、retold版でもよいから多読することを薦めていた。
 そして、わが国でも入手できるその手のretold版の紹介のなかに、なんとこの“アメリカの悲劇”が出ていたので(47頁)、紀伊国屋書店で購入した。

 “陽のあたる場所”よりは原作に忠実に要約しているので、主人公も、モンゴメリー・クリフトのような、ただの「二股」男には思えなかった。

 ただし、映画でよかったことが1つある。主人公が邪魔になった恋人を殺そうとする湖で、鳴いていた水鳥の鳴き声を実際に聞くことができたことである。

 原文では“Kit,kit,kit,ca-a-a-ah!”となっている。

 死を象徴するような不気味な鳴き声だと書いてあるのだが、実感がわかない。wier-wier という鳥で、新潮文庫では「ワイアワイア」となっている(下巻117頁)。

 映画の字幕で「あび」となっていたが、とにかく嫌な鳴き声である。本当に「あび」とかいう鳥の鳴き声なのか擬音なのかは分からないが、本物だと信じよう。
 実際の鳴き声は、できることなら生涯聞かないで済ませたいものである。

 * “An American Tragedy”(Nelson Readers 北星堂書店、1994年)の表紙。

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