まさか、いまだに書店で売られているとは知らずに、AMAZONの古本で買ってしまった『男はつらいよ寅さんDVDマガジン』の第1号(第1作“男はつらいよ”)と、第11号(第2作“続・男はつらいよ”)。
第1号に至っては書店では今でも創刊号特別価格の790円で売られていた(第2号以降は1590円)。
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以前にも、『鉄腕投手 稲尾和久物語』だったかを、AMAZONで定価以上で買った後で、発行元の西日本新聞社のHPを調べたら、まだ定価で販売していたことがあった。
でもまあ、今さら仕方がない。
第1作“男はつらいよ”を観た。1969年、ぼくが大学に入った年の公開である。まったく別の世界にいたので、記憶は一切ない。
これを観て、従来からの「謎」が一つ解決した。
寅さんのテーマソングの歌詞に「おれがいたんじゃ お嫁にゃ行けぬ 分かっているんだ 妹よ ~」というのがあるが、妹のさくら(正式には漢字で「櫻」らしい)は結婚して、博という旦那がいる。
何でだろうと思っていたのだが、第1作では、まださくらは結婚していなかったのだ。
その、さくらと博の結婚披露宴で、長年音信のなかった博の父・志村喬が挨拶するシーンが、この映画の中で一番よかった。
島田裕巳ならば結婚式も「通過儀礼」の一つと言うかもしれないが、そうではなく、小津や木下や黒澤らの映画を彷彿させる意味で、志村喬がよかった。
そもそも島田は「父殺し」を通過儀礼と考えているようだが、父との「和解」も「父殺し」なのだろうか。
さらに言えば、その結婚披露宴に先立って両家の関係者が記念写真を取るシーンも、記念写真のシーンを好んだ小津の映画を思わせる。
2012/6/24