小雨、28度、91%
私が育ったのは九州の北、福岡です。通った小学、中学、共に校庭には松林がありました。中学にいたっては、その松林を抜けると玄界灘に面した浜に出ました。西の唐津に向かう街道沿いには、虹ノ松原と呼ばれる、日本三大松並木があります。背も高く、夏でもこの並木を通ると海風が松を通して涼しく感じます。私が日頃こうして見て来た松は、黒松です。松ぼっくりを拾って、何処を探しても大好きな松の実は見つかりません。日中貿易正常化が始まった頃ですからまだ小学生だった私は、福岡の「大中国展」という催しで松の実を買って貰いました。子供が食べ過ぎると鼻血が出ると言われながらも、こっそり盗み食いするほど好きな松の実です。
今月訪れたポルトガル、リスボンから北西ポンパルにある主人が勤める会社の工場へと車を走らせます。15年前この同じ道を通ったときは、道の両側にはブドウの棚、オリーブそしてコルクの木が見られました。コルクの生産では世界一のポルトガルです。今回もそんな風景を楽しみにしていました。
オリーブの木は何となく分かります。ブドウはまだ背の低い苗木が植えられたばかりという様子。コルクの木はなかなか見つかりません。何分にも大型バスで自動車専用道路をビュンビュン飛ばしていますから、木の識別が難しい。と、 こんな木姿の植林されたと思われる木の群れが至る所に見られます。よく目をこらして見ていると、葉っぱが松のように針状です。結局、見たかったコルクの木はどれがどれだか分からずじまい。印象に残ったのは、このこんもりした松の葉っぱを持つ木です。途中休憩した所では、
オリーブの花がたわわに咲いていました。
昨日、旅行のときの写真の整理をしていました。やはり気になるのは、松の葉を持つこんもりした木です。この写真、泊まったホテル近くのエドアルド7世公園のものです。 外灯の上の飾りを撮っていたのですが、その後ろに見える深い緑の木が松の木でした。ポルトガルの松を調べてみると、松は松でも日本に馴染みのある松とは木の形状が違います。もっさりと茂って見えるイタリア笠松という種類だと分かりました。そしてこの笠松からは、大好きな松の実が採れるのだそうです。イタリアには有名なバジルと松の実を使ったジェノバソースがあるぐらいです。松の実は大事な食材に違いありません。ポルトガルでも松の実が一杯入っているタルトを見ました。
やっと、松の実を付ける松に出会えました。私が日頃食べてる中国の松の実は、朝鮮五葉松という松から採れるものだそうです。いつか、きっと、この朝鮮五葉松にも会えそうな気がします。