晴れ,26度、87%
夜中に寝ているのに、目の前が真っ白になったような気がしました。電灯の明かりではありません。目を開けてみると,太平山の上に大きな月です。私はこの月の涼やかな明かりを顔に受けて寝ていました。
昨晩が満月だとは知っていましたが,このところ雨や雲が多い香港、月が山側に上がるのか、海側に上がるものやら分からずに休みました。リンドバーグの「海からの贈り物」を読んで以来,私は寝室のカーテンを半分しか締めません。私の寝室の窓は、香港島の山、太平山に向かって開いています。低木の緑が目に入ります。雨の後は岩肌を流れる白い水しぶきを上げる水の流れも見られます。夜の早い時刻には,ビクトリア湾の夜景を撮る人たちのフラッシュの明かりがチカチカと見えます。雲が多い日には空との境が付かないほどに霧が立ち込めます。自分のベットに横になればいつもこの山と向かい合う事が出来ます。
淡く白い月の光はほんのりと心を温めてくれます。しばらく月を見ていました。と,隣の部屋にカメラを取りに,山の端に見える4つの明かりは山頂の外灯です。月の周りには少し雲が見えています。時刻は2時半。もう少し寝なくては。次に目が覚めたら,山の後ろは白んでいますが,月の姿は消えていました。
月の巡りは女性の体を支配していると、昔から洋の東西を問わずいわれています。月を見て感慨深く感じるのは男性より女性かもしれないと,月の余韻を感じながら走りに出ました。今晩もまた月に出会えるかしら,十六夜の月は殊更風情があるものです。家に向けて帰るとき,あら,まだ月が空に、 上が月です。外灯の上,木々の間から大きな顔を出してくれました。行きは何も気付かない私の後姿を、月は見てくれていたに違いありません。中秋節はあと2つ目の満月です。