曇、19度、89%
4月30日、カズオイシグロの新刊が出ました。予約注文の時、いつもと表紙の感じが違うなと思い到着を待っていました。
届いた本をめくると、イラストと詩で構成されています。カズオイシグロがアメリカのジャズシンガー「ステイシー ケント」に作り送った「歌詞」16編が収められています。彼がステイシーに歌詞を書き送ったのは数年前、ステイシーは贈られた詩のいくつかをレコーディングしています。イシグロの本に先立って、「ステイシー」の新しいアルバムが発売されています。 全ての歌詞が「カズオイシグロ」による16曲です。
「カズオイシグロ」の本を初めて手に取って30年以上経ちました。今でも香港のアイスハウスストリートにあった洋書店で日本人の名前の背表紙を見た時の感動が忘れられません。求めたのは邦題「日の名残り」でした。彼の本は全て読んでいます。ノーベル賞を取ってからは馴染み深い作家になりました。「カズオイシグロ」は音楽家になりたかったと何かで知りました。作品の隅々に「音楽に造詣がある」と感じます。数年前には黒澤明の「生きる」をリメイクした映画も作っています。イギリスに舞台を写したこの映画も素晴らしい出来でした。「カズオイシグロ」は映画にも精通しています。
この数日、「ステイシー」の歌声を聞きながら、「イシグロ」の書いた歌詞を読み直しました。ステイシーの細い歌声、心地よく響きます。映画「カサブランカ」を下地に書いたと思われる歌詞、フランスの男優「ジャンギャバン」を歌った歌詞、映画「インドシナ」の「カトリーヌドヌーブ」を歌った歌詞。それぞれを彷彿させる歌です。本、レコードの題名は雨のヨーロッパを旅するとなっていますが、日本の「新幹線」を歌い込んだものも入っています。
翻訳が出るのかどうか?わかりませんが、「ステイシー」の歌声と共に「カズオイシグロ」の歌詞を読んでみてください。珍しく晴れた天気が続きました。雨のヨーロッパではありませんが、余情ある歌の数々でした。
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