今日の予定は、まず、鎌倉文学館で川端康成と三島由紀夫展をみて、時間があったら長谷寺の特別公開”長谷寺縁起絵巻”でも観てくるということだった。だから、江ノ電は由比ヶ浜で降りなければならないのに、ぼーっとしてて、ひと駅先の長谷まで行ってしまった。それで、まず、長谷寺ということになり、宝物殿で、絵巻を観賞した。とても良かった(のちほど、感想文を)。そのとき一般展示の三十三応現身立像のうち、迦楼羅立像が県立歴史博物館の”天狗推参”展に出品中とあった。そういえば、光明寺の迦楼羅立像と並んであったっけ。それで、気が変わった。いくつもの天狗のお面を出品していた、近くの御霊神社に行ってみようと、思ったのだ(汗)。
御霊神社の境内は静かだった。早速、祭神、鎌倉権五郎景正の命日9月18日に行われる、面掛行列につかうお面の保管庫に入ろうとした。扉に、いくつかは歴史博物館に出展中だと張り紙があった。その横に、一度はみてみたい面掛行列の写真が貼ってあった。入ってみると、当然のことながら、出展中のものは写真だけだった。残りの、福禄寿、ひょっとこ、爺などの面はやさしい顔を向けてくれた。
そこを出ると、若い4,5名のグループにいろいろ説明しているおじさんがいた。どうも地元の人らしい。面白そうな話をしていたので、仲間に入れさせてもらった。何度も、紫陽花の時期などに、ここを訪れているが、はじめて聞く話が多く、とても為になった。
ここの狛犬は赤ちゃん狛犬を連れていて、子宝を願う女性は、なでていくんだよ。なるほど、たしかに、なでられた形跡がある。それを聞いて、グループの一人の娘さんがなでていた。
この庚申塔の三猿は踊っていて珍しいので、人気があるんだよ。
この手玉石と袂石は御祭神の権五郎が手玉にとった石で、近くの力餅屋さんが寄進して石碑を建てたんだ。甘党の、大の海関が来られ、力餅を食べて、この石を持ち上げたそうだ、
お宮の建物もこっているとのこと。ほら、あそこの透かし彫り、表側と裏側で違う模様になっているだろ。たしかに、そうだった。花と龍かな。
神社の階段も木製の太い柱だよ。
この大銀杏は雄、シンボルがついてるだろ(爆)、向こうのは雌、銀杏の実がいっぱいついてるよ。あっちのはオカマ(爆)。シンボルは大分、あとからついて、実もならないらしい。科学的根拠はありません(笑)。
おもろいおじさんに出会って、予定変更で良かったと思った。そうそう、神輿蔵も開けてみせてもらった。社殿のと、ぼくがいつか紹介した境内にある石上神社のもみせてもらった。ここには、大神輿と子供神輿があるが、昔は、この大神輿を3,40人で担ぎ、海上を石神さまのところまで立ち泳ぎで担いで行ったものだが、今は漁師は少なく、サラリーマンばかりでとてもできない。子供神輿で、それも船にのせ、担ぎ手は泳いでいくのだと言っていた。ぼくはそれでもすごいことだと、感心してブログに紹介したのだが、もっと昔は、漁師も多かったかもしれないが、大変な海上神輿渡御をしていたのだ。
(石上神社と遭難防止のため海中から引き揚げた大石;神として祭られている)
横浜の県立歴史博物館で表記の特別展が開催されている。天狗というと鞍馬の天狗ぐらいしか思い浮かばなかったが、この展覧会をみて、思いだした天狗も随分いたし、天狗の歴史も、おぼろげながら(笑)わかった。
入場するとすぐ、大きな鼻高天狗と烏天狗が出迎えてくれる。茨城県稲敷市の大杉神社のものだった。茨城県民だったこともある、ぼくにとっては、やあやあ、というところだった。比較的近くに住んでいたのだから、知っていれば、行っておくべきだった。天狗の神社としては有名らしいことが、のちの展示でもわかった。常陸坊海存が数々の奇跡を起こし、天狗信仰へ発展したらしい。
天狗といえば、鞍馬寺、そのお寺から国宝3点がおでましになっていた。金銅毘沙門天像懸仏、金銅押出毘沙門天像ら3点で、第1章:”天狗推参!中国から天狗がやってきた!?”に展示されている。鞍馬寺には魔王大僧正という天狗がいるが、毘沙門天は天狗の化身といわれているのだ。わが神奈川からは、金沢文庫の称名寺から4点の重文の毘沙門天の墨書がこられていた。
天狗の先祖は、中国にあり、流星と考えられていたそうだ。日本で、はじめて天狗の記載が見出されるのは、日本書紀だという、その版本も展示してあった。その後、天狗は、時代によって、変幻自在の、とらえどころのない存在となって、現在まで生き続けている。だから、ぼくも変幻自在に、あまり考えず、気ままに、観させてもらった。第5章にくくっての展示であるが、それにこだわらず、面白かったものを、いくつか紹介してみようと思う。
高尾山も天狗の寺として知られているが、そこからの一本歯の天狗のはいた下駄、神奈川の弘聖寺の天狗の爪(化石)なんか面白かった。鎌倉の御霊神社からは、鼻高天狗と烏天狗等多くのお面が鼻高々にぼくをみていた。一度、有名な面掛行列に行こうと思っているのだが、まだ行っていない。来年こそはと思っている。
神奈川では大山や大雄山のお寺も天狗信仰の山で、縁起絵巻や御札などもあった。建長寺の半像坊にも天狗がいるが、今回はご機嫌が悪くて、横浜にはこられなかった。
天狗にまつわる絵巻や、曼荼羅、浮世絵(広重、春章、国芳等)、絵馬(牛若と鞍馬の天狗等)天狗草紙、舞楽面(法隆寺;重文)などに混じって、天狗論の本も、数冊展示してあった。その中に、柳田国男の”遠野物語”と”妖怪談義”もあった。
図録を買っておけば良かったと、今思うが、絵ハガキと柳田国男著”妖怪談義”の文庫本を買った。その本を読むと、各地に天狗にかかわる民話があり、我が国の先住民族が山奥に隠れ住み、偶然、出くわしたのではいう説を出されていたのは面白かった。この民話の天狗も、中国から渡り、悪者になったり、人の味方になったり、山の神になったり、変幻自在に姿を変えてきた天狗のひとつであろう。
これを機会に、何事にも天狗にならず、謙虚に生きようとおもう(爆)。
(御霊神社の天狗面)
(大山寺縁起絵巻)