

杉田成道監督 ”最後の忠臣蔵”を観て来た。題名の通り、忠臣蔵は元禄14年の義士の切腹で終わっていなかった。その16年後、ようやく終幕を迎えたのだった。当代きっての二大俳優、役所広司と佐藤浩一の好演で、感動的な、とてもいい映画であった。
四十七士のひとり、寺坂吉右衛門(佐藤浩一)は、大石内蔵助(片岡仁左衛門)の命を受け、志士たちの家族を訪ね、討ち入りの詳細を伝えると共に、経済的な支援を行う。一方、討ち入りはせず、前日、逃走したと思われていた瀬尾孫左衛門(役所広司)も、討ち入り前夜、内蔵助から密命を受けていたのだ。それは、内蔵助が病弱な側女との間に出来た子供がいるので、成人するまでめんどうをみてやってくれというものだった。
16年の月日が流れ、佐藤浩一は、最後の遺族、不遇な日々を送る、風吹ジュンを探しあて、なぐさめるとともに、内蔵助からの小判をわたす。これで佐藤の任務は終わった。その帰り道、偶然、友人だった、役所広司の姿をみかけ、この物語は始まるのだ。
内蔵助の姫(桜庭ななみ)は16歳のうつくしい娘に育っていた。母は出産後、すぐに亡くなり、役所が、武士の娘としてのしつけもしながら、育てたのだった。そして、りっぱな商家の若旦那(山本耕史)に見そめられ、嫁入りするところで、彼の任務は終わる。
この間、役所は自分の任務は誰にももらさなかったため、討ち入り直前に逃げ出した、卑怯な男として以前の同僚からはずかしめを受け、佐藤とも斬り合いの対決もする。しかし、あるきっかけで、彼の任務が知られ、内蔵助の姫の嫁入り行列のときには、内蔵助にお世話になった関係者たちが、かがり火を持って、次々と参列する。そして役所に、これまでの非礼をひれ伏してわびる。じーんとくるシーンだった。
そして、思わぬラストシーンが待っている。婚礼の場に役所がいない。任務を終え、義を果たした、役所の残された道は、16年前、死んでいった内蔵助そして義士たちのところにいくことだけであった。仏壇の前での、壮絶な切腹シーンで、この映画は終わる。
武士道のかけらもなくなった、政財界人に是非、みてもらいたい作品である。
。。。。。
最後の忠臣蔵 ふたりの義士

内蔵助と娘

