気ままに

大船での気ままな生活日誌

頭痛肩こり樋口一葉

2010-12-29 22:09:39 | Weblog

そこの喫茶店に入って、アメリカンコーヒーを注文して、カウンターの方に目を向けると、5枚の演劇ポスターが壁に貼られているのに気付いた。”頭痛肩こり樋口一葉”、”雨”、”父と暮らせば”、等々。言わずと知れた、井上ひさし脚本の、こまつ座公演のポスターだった。

先日、横浜中央図書館で、今年逝った、5名の作家展が開かれていて、その一人に井上ひさしさんがいた。展示物の中に、彼が、この十年間、よく散歩の途中で寄った喫茶店があることを知った。鎌倉、小町通りの”門”という名の喫茶店だ。今日、ぼくも散歩の途中、寄ってみた。彼が好んで座ったという、窓側から4,5番目の席が、ちょうどぼくを待っていたように空いていた。

彼は、この席で、いつも大きなガラス窓の向こうの、小町通りを歩く人をみていたという。奥の目立たない席もありますが、とご主人が薦めても、ここがいい、人をみているのが好きなんだと答えたという。実際、その席に座っていると、透明な、大きなガラス窓の向こうに、歩いている人がまる見えだ。ということは、向こう側からもまるみえで、ときには、井上さんをみつけ、入ってきて挨拶をしていく人もいたという。きさくな井上さんは、にこにこと応対していたという。

ぼくは喫茶店に入ると、よく備え付けの新聞や、持ち歩いている文庫本を読むことが多いが、この席に座り、通りを行きかう人々を見はじめたら、面白くて、まるで映画のスクリーンでもみるように、窓の外ばかりを観ていた。いろいろな人々がいる。あのカップルはどんな人生をおくってきたのだろうか、もしかしたら不倫ではないか(爆)、あの女の人は、頭痛、肩こりに苦しんでいるのではないだろうか、寂しそうな顔したお年寄りだが、最近、連れ合いに先立たれたのではないだろうか、いろいろ想像がたくましくなる。

井上ひさしさんも、この席で、ガラス窓の向こうの人々を観て、”頭痛肩こり樋口一葉”などの草案を練っていたのかもしれない。まさに、この席で。

ぼくは、2010年の年末に、ここで、また、フアンであった井上ひさしさんを偲ぶことができ、本当によかったと思った。

。。。。。

ポスター

窓の外を歩く人々

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JIN-仁- 

2010-12-29 11:45:17 | Weblog

二夜連続で、長時間ドラマJIN-仁-(全11話)を観た。ぼくはあまりテレビドラマは見ない方だが、ワイフが面白いそうよ、というので、見始めたら、目が離せなくなった。村上もとかのコミックが原作で、南方仁(大沢たかお)という脳外科医が、ある日突然、幕末の江戸にタイムスリップし、そこでの、自身の医療技術を使い、活躍するという物語だ。そこに、実在の歴史的人物が登場してくるのがおもしろい。

龍馬(内野聖陽)をはじめとし、緒方洪庵(武田鉄矢)、勝麟太郎(小日向文世)、それに新門辰五郎(中村敦夫)まで出てくるのだ。龍馬伝では、武田鉄矢が勝麟太郎役だったから、緒方洪庵役として出てきたので戸惑ってしまった(笑)。洪庵といえば、今年、大阪の、元適塾を見学してきたが、ここは大阪大学医学部の源泉である。洪庵の天然痘予防のための種痘所の開設など医学的な功績は江戸時代においては最大なものであろう。その洪庵が、現代の医療技術をもった南方に目を見張り、尊敬の念を抱き、南方先生と呼んで、教えを乞う姿は微笑ましかった。洪庵はりっぱな人だったらしく、司馬遼太郎も最大級の褒め言葉をどこかで書いていた。武田鉄矢が好演していた。

専門の脳外科手術を江戸時代の道具を使ってやったり、抗生物質のペニシリンを製造するために、みかんの青かびを集めて、抗生物質を出す菌株を選定し、培養し、粗成分を油を使って分離し、ペーパークロマトグラフに和紙をつかって、精製して、それの大量生産は、当時からあった、ヤマサ醤油商店が担当する(ヤマサ醤油の宣伝になったかも、龍馬伝では三菱の評判が落ちたけど;爆)。ころり(コレラ)の治療には、点滴装置まで、江戸の職人の技術でつくってしまう。

個人的には、吉原の風景が楽しかった(汗)。そこの花魁、野風(中谷美紀)は、南方仁の恋人、友永未来にそっくりだった。未来の先祖だという想定だ。最後は、野風は乳がんの手術を南方仁にしてもらい、吉原を出る。そして、南方仁が診療所の看板をかけているとき、足を踏み外し、気を失うところで、このドラマは終わる。また現代に戻ることを想定させながら・・・また、来年、このつづき(完結編)があるらしい。楽しみだ。仁の手術の失敗で、植物人間になっている未来はどうなっているのだろうか。先にコミックを買って、読んでみたくなった。

・・・・・

画面拡大できます。

 

 

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