先日、久しぶりに神田須田町の”神田やぶ”で昼酒をやってきた。”蕎麦屋で憩う”である。この辺りは戦災から免れ、昔ながらの建物で営業しているお店が多く、ここもそうである。はじめ、神田まつやを覗いてみたが、午後1時を過ぎていたのに、だいぶ客で埋まっていた。ここは居酒屋風で、安くて、酒のつまみの種類が多いが、冷たい蕎麦の薬味にも唐辛子を使うのがぼくにはちょっと気に入らない。やっぱりワサビでないと困るノダ(笑)。で、やはり、いつもの通り、こちらに入ってしまった。
蕎麦味噌、かまぼこ、鴨ロースをつまみに癇酒を一本をあけ、もう一本頼むときに、せいろ一枚頼む。お蕎麦も、いいつまみになる(最近、ご飯のつまみも気に入っている、ワインにパンが合うように)。蕎麦通はよく焼海苔を好むが、ぼくは通というほどではないので好まない(笑)。焼海苔は暖かいご飯が一番です。ここは、せいろ一枚ではとても足りないので、2合のお酒が開いたあと、〆として、もう一枚頼む。”せいーーーろ、いちまーい、ついかーー”と若女将(だと思う)の鶯のような声が流れる。これが、またいいのだ。
池波正太郎さんも、このお蕎麦屋さんを気に入っている。”散歩のとき何か食べたくなって”に出てくる。大晦日などに、神田やぶが満員になっているときは、”連雀町(むかしの町名)表通りのまつやへ入ることにしている。ここの店構えも、蕎麦も、むかしの東京をしのばせるに十分なのだ”と結んでいる。一方、杉浦日向子さんは、今日のタイトルとして使わせてもらった”ソバ屋で憩う”で、まつやを推奨しているが、神田やぶについては一行も触れていない。仲間の、(浅草)並木やぶを特選五店に選んでいるにもかかわらずだ。何かここで厭なことでもあったに違いない(爆)。ついでながら、その特選五店には室町砂場が入っているが、ぼくはここの蕎麦は固くてあまり好きになれない。蕎麦通でないから、きっと味の良さがわからないのだろう、と思っている。でも一方、ミシュランの星だって、結構いい加減なものではないかと思うことがある。MYシュランでいいと、思う、今日この頃である。
お店を出たあと、向かいの、創業昭和8年の喫茶店ショパンに入り、今度は”珈琲屋で憩う”の人になった。
神田やぶ
神田まつや
喫茶店ショパン