気ままに

大船での気ままな生活日誌

中山義秀展 神奈川近代文学館

2011-02-23 08:26:46 | Weblog

横浜山手の神奈川近代文学館で”中山義秀展”が開催されている。同時に”文学の森へ 神奈川と作家たち/第一部夏目漱石から萩原朔太郎まで”展も行われているのでいろいろ楽しめる。前回、訪れたとき、後者の展覧会は”第三部”だったのでもう終わりかと思ったら、また一部に戻っている(のだと思う)。第一部は神奈川ゆかりの錚々たる文学者ばかりであった。漱石、鴎外、透谷、独歩、昌子、鏡花、実篤、志賀、有島、茂吉、虚子、白秋、そして朔太郎である。神奈川というより、日本を代表する作家ばかりだ。

中山義秀については、林真理子の”女文士”を読むまでよく知らなかった。”女文士”は真杉静江の波乱の人生を描いたものだが、小説の中の登場人物も実名で出てくるのでミーハーなぼくにはとても面白かった(汗)。愛人に武者小路実篤が出てくるし、鎌倉文人もちょこちょこ顔を出す。その彼女と結婚したのが芥川賞を受賞した中山義秀である。しかし、長くは続かず、離婚する。

この展覧会で、彼の履歴も紹介されていて、38歳のとき”厚物咲”で芥川賞受賞、42歳で真杉静江と結婚、鎌倉に移り、5年後に離婚、そしてスミさんと再婚、68歳で亡くなるまで鎌倉に住んだ。時代小説を次々と発表、絶筆は”芭蕉庵桃青”だった。

展示品には、再婚された美人の奥さんとの家族の写真などのほか、”いしぶみ”の初版本や”咲庵”(光秀が主人公)の原稿、愛用の麻雀の牌などがある。そして、小林秀雄の弔辞が最後を飾っていた。直筆のものである。小林は早い時期に、中山の作品を評価し、彼を世に出してあげた。それ以来のつきあいで、彼の最後も小林が送った。小林はさすが、(人物)評論の神様だから、追悼文にかけては自分でも自信をもっていたふしがある。中原中也の追悼文なんかとてもよかった。涙がでてくるような文章であった。

これをきっかけに、中山義秀の著作、とくに”芭蕉庵桃青”を読んでみようと思う。
石川町の駅までに、面白い猫をみた。駅に着く頃には空は夕焼けになっていた。

コメント
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