毎年、熱海の梅、桜見物のあと、必ずMOA美術館に寄る。梅の季節に合わせて、国宝、”紅白梅図屏風”が展示されるからだ。尾形光琳の最高傑作といわれている。二曲一双の屏風にこれ以上望めない見事な構図で紅梅、白梅を配し、そして真ん中に、光琳独特の水紋を浮かばせた川の流れ。梅の花は花弁を線描しないで文様のように置いている、”光琳梅”だ。水紋もデザイン化され現在でも着物の文様にもつかわれている。何故、こんなに詳しいかというと、今回、たまたま30分ガイドに参加したからです(汗)。でも、直感的に、以前から大好きだった。ミニチュアの屏風もぼくの部屋に飾ってある。以後、名品のかずかずを知ったかぶりして書きます(汗)。
では、名品展一室からご案内します。”国宝 手鑑「翰墨城」”。古筆三大手鑑のひとつで、奈良時代、南北朝、室町時代の古筆切が、ななななんと、311葉も。とくに、藤原行成真筆の白氏文集切が価値が高いらしい。それと和紙に波のような文様がつくのがあったが、現在でも再現できない技術だという。藤原佐里の筋切だったと思う(メモが不鮮明;汗)。菅原道真、紀貫之、小野道風ら、スターがずらり。益田鈍翁旧蔵。
樹下美人図。唐時代八世紀の作。カラホージョ古墳から出土したものと伝えられる。東博の”樹下男子図”と共に対をなすもの。戦後、オークションに出されたとき、東博が買おうとしたが、予算がなく、MOAの岡田茂吉が買い取り、海外流出を防いだ(こういうエピソードが面白いな)。唐時代の紙本絵画が現存するのは極めて珍らしいとのことだ。
これは、説明がなかったけど、ぼくにとっては、あっと驚く名品。岩佐又兵衛作”山中常盤物語絵巻”。2010年5月、”又兵衛絵巻と北斎・広重風景版画の名作”展を観にきているが、そのときは”浄瑠璃物語絵巻”で、”山中常盤”は展示されていなかった。はじめて観た現物。すばらしい。色が昨日描いたように美しい。ひとりひとりの登場人物の顔の表情が豊かだし、衣装の模様もそれぞれ違う。常盤御前が盗賊に襲われ、身ぐるみをはがされる有名な場面は開いていなかったのは残念だったが(汗)、又兵衛さんの傑作をみられて大満足。柿本人麻呂・紀貫之図も隣りにあった。又兵衛コレクションではMOAが一番だと思う。
ここには、海北友松の ”楼閣山水図屏風”、桃山時代の”洋人奏楽図屏風”など印象に残る屏風も。再会したいな。
2,3室にもすごいのが。これはいつ行ってもみられるが、野々村仁清の、国宝色絵藤花文茶壺。はじめて観たときが一番カンドーした。ぐるりとひと回り、どこからみてもバランスのとれた構図、ふくよかな形もぼく好み。何度もみているから、古女房みたいになって、おい又、きたぞという感じ。飽きないことが名品の、名品たるゆえんだろう。うちの女房は名品ではないけど、ふくよかで(メタボ)、飽きないだけが取り柄だ(爆)。義理チョコをもらったがいつも、食べないので、敵もさるもの、今年はウイスキーボンボンだった。これはすべて食べてしまった(汗)。
光悦の樵夫(きこり)蒔絵硯箱、仁清の”色絵金銀菱文重茶碗”、乾山の”色絵十二ヶ月歌絵皿”らの作品も、良かったな。そして、冒頭に述べた”紅白梅図屏風”。説明が終わったあとも、ゆっくり見せてもらった。来年も、再来年も、こうして元気で、皆の衆と再会できるといいのだが。
展覧会を見終えて、庭園の尾形光琳屋敷を見学した。京都の屋敷の図面が残っていたので、それを元に建築したものだ。日陰に前日の雪がまだ残っていた。
紅白梅図屏風
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名品数々
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光琳屋敷
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