由比といえば、旧東海道は、蒲原と興津の間の宿場町。そこに静岡市東海道広重美術館がある。どこかで、表記の展覧会のちらしを手に入れ、どうしても行きたくなった。広重はもともと好きだし、加えて、これまたぼくの好きな、大正新版画の川瀬巴水が競演するという、願ってもない展覧会だった。
期待した通りの展覧会で、一緒についてきたワイフも川瀬巴水フアンになってくれた。新橋にある渡辺木版美術画舗(大正新版画の仕掛け人、渡辺庄三郎の子孫)所蔵のもので、前後期合わせて、45点もの巴水作品が並ぶ。馴染みの、芝増上寺、馬込の月など、そして、東海道風景選集として、日本橋(夜明け)から始まり、地元の静岡県各所を中心に、彦根城の残雪までつづく。加えて、京都の嵐山、清水寺もみることができる。
”巴水ブルー”がぼくは好きで、今回の展示の中でも、”東海道・日坂”なんか初見だとおもうけど、気に入った。夕暮れの宿場町、こぬか雨が降っている。子供をおぶり傘をさして歩く母親。夜道の水溜りに家屋の窓からもれる灯りが影を落としている。”名古屋堀川”、星の夜、静まりかえる家々。一軒だけ灯りがともっている。川面にその影がうつっている。”京都清水寺”、清水の舞台の端にひとりの男の姿が。眼下の京の町をみている。
そして雪景色も。”三十三間堀の暮雪”。銀座通りと歌舞伎座の間を流れていた堀。雪といっても吹雪だ。屋根に雪がつもっている。”尾州半田新川端”雪中の河岸を歩くご主人さまに連れ添う犬。夕暮れだろうか、雪はまだしんしんと降っている。(今回、図録を売っていなかたので、絵ハガキをいくつか買ったのを下に示します)
そして”大正昭和の東海道”編は、静岡出身の伊藤孝之と土屋光逸の作品も10ほど展示されていた。いずれも巴水風であったのは面白かった。
そして、”江戸の東海道 歌川広重”が前期は15点ほど。いずれも、保永堂版。大好きな、”蒲原/夜の雪”は後期展示でみれれなかった。蒲原は隣りの宿場町。旅に出たら地酒(その晩も浜松の酒を飲みました;汗)。だから、蒲原/夜の雪も地元で観たかった。”芝増上寺の雪中の図”、”高輪月の景”、そして地元、”由井 薩埵嶺”(ゆい さったとうげ)、”吉原左富士”等の”地酒”(笑)も楽しめた。
その日は、家康公の駿府城跡の公園にも行ってきた。余は満足じゃ、の静岡一日目だった。そして、二日目は、芹沢介美術館、そして棟方志功展をやっている静岡市立美術館へも行った。これらも、またとても良かった。明日以降、報告したいと思います。
後期展のも入っています。
京都清水寺
尾州半田新川端
三十三間堀の暮雪