大阪に来たならば、ここに寄らないわけにはいかない。市立東洋陶磁美術館です。特別展はどうでもいい(笑)、常設の”安宅コレクション”がお目当て。何度もみてもいい。とくに中国陶磁器の部屋。展覧会では、いつもワイフと一緒には回らないので、1時間半後に、ここの部屋で待ち合わせすることにした。ここにいれば、いくら待っても、天国だもの。
台北故宮博物院の中国陶磁の部屋もすごいけど、それと匹敵するものがごろごろ。はじめに迎えてくれるのが、加彩 婦女俑。ガラス室の中でゆっくりと回っている。50センチほどの像。在る角度にきたとき、お母っさんの面影が飛び出てきてびっくり。よけいに好きになってしもうた。台北にもそっくりなのがある。

汝窯青磁水仙盆 12世紀初期の、名高い北宋汝窯の青磁は、世界でも七十点ほどしかない。台北では21点を有する。日本ではここの一点だけか。もう一点あった、個人蔵の”汝窯天青釉葵花洗”は2012年、香港で20億円で売られたという。それだけ貴重なもの。これとそっくりな水仙盆が台北にある。大阪のは細かい貫入があるが、あちらのは貫入が全くない。

国宝・飛青磁花生 表面に鉄斑を散らし、その上から青磁釉をかけて焼成したもので、”飛青磁”と呼ばれる。元時代の龍泉窯でよくつくられたようだ。釉色・鉄斑の現れ方、うつくしい姿に評価が高い。

重要文化財・青磁 鳳凰耳花生 鳳凰耳花生には、”萬声(ばんせい)””千声”(以前、トーハクの近衛家の名宝展でみた)という名品があるが、これも、これらに引けをとらない。うつくしい色だこと。龍泉窯の最盛期の作といわれている。

重要文化財・木葉天目茶碗
これも台北に似ているものがある。吉州窯の天目茶碗で、実際の木の葉を直接、焼きこんだものだそうだ。加賀前田家に伝来したもの。一度、みたら木の葉の精のとりこになる(笑)。

国宝・油滴天目茶碗 関白秀次、西本願寺、京都三井家、若狭酒井家などに伝わってきたとのこと。窯址は福建省建陽県水吉鎮。翌日、藤田美術館で国宝・曜変天目もみた。

以上、中国陶磁の部屋の主要品の紹介ばかりになってしまいましたが、もちろん、韓国陶磁、日本陶磁にもいいものがいっぱい。大倉集古館にも来ていた沖正一郎コレクションの鼻煙壺とも再会。加えて特別展は”定窯・優雅なる白の世界 ―窯址発掘成果展”と盛りだくさん。ほんとに楽しい大阪市立東洋陶磁美術館のひとときでやんした。

