去年の暮に訪ねた千葉市美術館の川瀬巴水展の巡回とはつゆ知らず、横浜高島屋に行った。そうだと知って、喜びは頂点に達した(笑)。だって、あの大回顧展はほんとに素晴らしかったから。もう一度、みられるなんて夢にも思わなかった。遺作となった雪の金色堂の石段を登る自身を描いたという”平泉金色堂”の前で感動を新たにしたし、法師温泉や清水寺の自画像もしみじみとみきダッタノダ。
というふうに、書きはじめると、前回と同じような記事になってしまいそうなので、横浜開催の特徴でもある、最終コーナーの”巴水の描いた神奈川”と、横浜を描いた、巴水の弟子筋の”石渡江逸版画展”を中心に振り返ってみようと思う。
まず、ちらし絵ともなった鎌倉大仏があり、相州七里が浜そして、鶴岡八幡宮とつづく。これらは、いずれもぼくの散歩道だから、実際の風景も撮っているので、比較に横に置いて楽しんでみよう(笑)。巴水は写生旅行をして、それを基に制作しているので、実際の風景に近いことがここでも確認できる。
鎌倉大仏 右の写真は昨日、撮ったもの。後ろの山の形は同じだが、松の木がない。当時あったのか、構図上入れたのかわからない。ただ松の木は境内にいくつもある。どうしても、松を入れて、という人のために、もうひとつ松入り大仏を撮っておいた(汗)。
相州七里が浜 ちょうど写真と同じ位置。巴水に、この夕景を描いてもらいたかった(笑)
鶴岡八幡宮 今はもうない大銀杏が描かれている。
2010年3月10日 大銀杏倒木の日、その日すぐ駆け付けた。記事もありますので、ごらんになりたいかたはどうぞ。
そして、元箱根見南山荘風景。昭和10年、別邸持ち主の岩崎小弥太から呼ばれ、つつじ庭園等を写生する。現在の、山のホテル。ぼくも何度も行っている。ホテル内に巴水の版画が飾ってある。実際の風景と並べてみると。80年前の躑躅もりっぱ。
つつじ庭に遊ぶ二美人
合計6点の作品が。加えて、宮ノ下の富士屋ホテルの全景が2点。
石渡江逸版画集のコーナー。戦前の横浜の庶民の街角を描く。
子安(八百屋)、神奈川相応寺横町夜店、横浜萬國橋
名作もたっぷり。楽しい横浜の巴水展であった。今月いっぱいですよ。
清洲橋
月嶌の雪
京都清水寺と上州法師温泉(自画像のある風景)
平泉金色堂