出光美術館で表記の展覧会が開催されている。酒井抱一生誕250年記念ということだが、抱一の作品は、後期”転生する美の世界”(2月11日から)に展示される。前期の”煌めく金の世界”では、光悦、宗達の琳派の登場から、光琳、乾山の琳派の発展まで時代の作品が主として展示されている。
いきなり、光悦と宗達のコラボ作品が現れて、うれしくなる。ぼくは書はわからないが、はじめて光悦の書をみたとき、すっかり気に入ってしまった。やはり、その作品も宗達の金泥下絵に光悦の書が乗っていたものだが、まるで字が下絵の一部の”絵”のように感じて、流れるような書の、意味なんかわからなくても、なんともいえない美を感じたものだった。今回は、宗達の下絵に光悦の百人一首和歌が”描かれた”ものが何幅も飾られている。第1章のタイトルそのまま、”美麗の世界”だった。この章では、さらに伝宗達のいんげん豆図などの扇面や、扇面屏風等、”美麗の世界”が拡がっていた。
そして、第二章は豪華な”金屏風の競演”で楽しませてもらえる。宗達の”月に秋草図屏風”。金色の空間の中に銀色の半月が浮かび、その下に一面の萩の花が浮かび、ススキ、桔梗など秋草も顔を出している。これは六曲一双だが、このほかにも、六曲一双、”伊年”印(宗達工房の印)の四季草花屏風が見事だった。ここにもまた、光悦と宗達のコラボ作品、”月に萩・蔦下絵古今和歌集”があった。さすが、と思った。そして、西行好きなぼくにはうれしい作品が。宗達絵、詞烏丸光広の”西行物語絵巻第四巻”。西行法師が僧を訪ねている場面。秋草が生い茂り、鹿が楽しそうに走りまわっている。重文だそうだ。
第三章は”光琳の絵画”。紅白梅図屏風がうつくしい。でも熱海MOAの紅白梅図屏風には適わないと思った。梅の季節には必ず展示するので、楽しみだ。太公望図屏風もよかった。京博所蔵で重文だそうだ。太公望の顔の表情が面白い。白楽天図屏風なども楽しくみさせてもらった。
第四章は”琳派の水墨画”。宗達、光琳のほか、酒井抱一(白蓮図)がちらりと顔をみせていた。宗達の、”墨梅図”、”神農図”、”龍虎図” 。光琳が弟の乾山の茶碗の絵の手本にするように描いたものがあった。単純な線で、人の姿、動植物などを描いている。正式名は、”深省(尾形乾山)茶碗絵手本”という。
これまで書いていなかったが、各章の展示室の中程に、ぼくの好きな乾山の作品がずらりと十数点、並んでいる。角皿を中心に鉢、茶碗等。どれがいいというより、みんないい。光悦のもひとつあったが、残念ながら、茶碗ではなかった。光琳の蒔絵硯箱も、ふたつあった。東博でもみたが、光琳の蒔絵硯箱は、いつみてもいい。
”煌めく金の世界”を十分楽しませてもらった。図録を買いたかったが、重そうなので止めた(汗)。後期も行くつもりなので、もしかしたら、そのとき買うかもしれない。