9月6日
今回のEMS研究会のテーマは「農業」。
これからの日本の農業経営を考える上で、
ヨーロッパの農業はどのぐらい参考になるのだろう。
朝、CBL(有機農業センター)が用意してくれた車に、
通訳のカザマさんと共に乗り込んだ。
雨が降り、とても寒い一日だったが、
センターに着くと責任者のリタさんが出迎えてくれ、
12時までプロジェクターを指しながら、
オランダのオーガニック農業の始まりから、
現在に至るまでの歴史と現況を話して下さった。
(責任者のリタさんにお会いしてびっくり・・・こんなにお若い方だった。)
ヨーロッパで一番人口密度の高いオランダは、
耕地拡大のため防波堤を造り、
海水を汲み出して、肥沃な土地を徐々に作っていった・・・と言われたが、
塩分濃度の高い砂地でなぜ農業が出来るのか、
私にはとても理解出来なかった。
恐る恐るその疑問を投げかけると、
空になった防波堤内に川から水を引き、また汲み出す、
それを何度か繰り返しながら、徐々にミネラル豊富な元々の土壌と
川からの肥沃な水で、植物の育つ土地が出来上がって来たとのこと。
このセンターの建物の梁の部分に海抜の印が記されていた。
昔は海の中だったのだ。
1942年に干拓が終わって入植、
初めは砂の上に牧草を育てることから始まった。
その頃は普通の農業だったが、25年前から農薬や化学薬品を使わない
オーガニック農業を始める人が増え、
現在は親が農家でない人達もたくさん増えて、
ここで働けない人達はフランス等へ行って働く例も多いとのこと。
普通の農家の物より25%ほど値段も高いが、
最近、二人に一人と言われるがん患者の数の多さは、
やはり、食品に含まれる化学物質の影響によるところが
多いのではないかと思われるので、
少々高くても、買い手は確実に増えているとのこと。
日本の若者も、このような魅力あるオーガニック農業を
目指してほしいと思った。
このセンターのすぐそばのレストランで、この地域で作られた
オーガニック製品を使ったお料理を御馳走になった。
粗末だが木造りの暖かな雰囲気の室内で、
ズッキーニのスープやハム、チーズ、
パンなどをいただき、寒さも空腹もすっかり癒えた。
まだまだお聞きしたいことはたくさんあったが、
次の訪問先に向けて1時過ぎ、雨の中を出発した。