9月24日(火)(スイス・サースフェー2日目)
Hotel Carpe Dieumは
若い御夫婦と10ヶ月の男の子のいる
まことにアットホームなホテルだった。
今までは大きな4つ星ホテルばかりで泊まっていた。
もちろん、それぞれに違うのだが、
ポルトガル・リスボンのOlissippo Malques De Saでは
レストランの従業員がとても無愛想で、
目も合わせないような態度だったので、
少しがっかりしていた。
これは4日間いる内に事情が分ってきたのだが、
毎朝7時ごろから廊下で大声が聞こえ始め、
8時から9時半までに大きな観光バスが2~3台出て行く・・・・
これでは従業員達の笑顔がないのは当たり前だと思った。
それに比べると、ここは非常に対照的なホテルだ。
このホテル「カルペ デューム」では、朝早く出かける人が多いのか、
私達が朝食に行く頃には、レストランに2~3組しかおらず、
長男のILAY(イライ)ちゃんを抱っこした若婦人が
コーヒーを入れてくれたり、食事の支度をしてくれた。
少し混んで来るとサークルの中に入れられたイライちゃんは
親の後を追ったり、我々の側に来て笑顔を振りまくので、
全ての人達に笑顔が広がる。
とても和やかで、こちらまでうれしくなってしまう。
毎日、近隣の国の人達や、
初めて見たかもしれない色黒の日本人などに囲まれ、
人見知りすることなく、皆の笑顔の中でこのまま成長できたら
本当に幸せだろうなと思った。
レストランも夕食の提供はなく、朝食だけ。
だからこそ、子育てをしながらでも出来るのだろう。
夫が常々「子供は国の宝」と言っているが、
「子供は世界の宝」か。
今日はイライちゃんパパのお薦めで
ハニング(2,350m)までケーブルカーで登り、
そこから降りるコースを選んだ。
ここサースフェーは一年中80%の晴天率で、
ほとんど毎日が良い天気らしい。
今日も御多聞に漏れず最高の天気だった。
ハニングの頂上のレストラン、そしてそのすぐ側に
数匹のヤギがおり、人を見ると寄ってきて餌をねだる。
木彫りの道標がなかなか面白く、
この類の物が、あちこちに見られた。
歩き始めは山を大きく巻くように歩けるので、とても快適だった。
名前は分らないが、あちこちに小さな高山植物が咲いていて、
とてもかわいい。
所々に秋の気配も忍び寄っているのか、うっすらと紅葉が始まっていた。
途中、時々会うスイスやドイツの人達と挨拶をしたり、話したり・・・
年配のドイツ人はほとんど英語が話せないが、
笑顔を交わすだけでもうれしい。
私達が一休みしている時、70代後半の御夫妻かと思われる二人連れが、
ストックを突きながら我々の前を通って行った。
こんなにお年寄りでもがんばっていらっしゃるのだと感心したが、
我々が歩き始めてしばらくすると、
先ほどのお二人が軽食を取っていらした。
向こうから日本人かと声を掛けられ、
昔日本に行ったことがあるからすぐに分ったと言われた。
最後に、2020年の東京オリンピックにいらっしゃいとお誘いすると、
我々は年寄りだから難しいかもしれない、
とりあえず、昔仕事をしていたアフリカに行こうと思っている、と言われた。
いろいろ話す内に何と彼等は68歳と62歳だということが分り、
私達は大ショック。
向こうも、ストックも使わずにサッサと下って行く二人に
驚いたかもしれない。
しかし、山の3分の2ほど下ってきてからの山裾の傾斜は、
かなり急な厳しさで、引き返すわけにも、
タクシーを呼ぶわけにもいかず、
それこそストックが必要な訳が分った。
麓に近づいた頃、小さな川の流れが見え、
急な坂で痛めつけられた足を
その冷たい流れで冷やしていたら、
大きな男性がやって来て、同じように靴を脱いだ。
登山靴を脱ぐと、かかとに大きな靴擦れが出来ており、
その痛々しいこと・・・・
健脚コース1時間半、とガイドブックに書かれていたが、
私達は2時間以上かかった。
村の入り口に着いた頃には、もう歩くのも嫌だった・・・