EU域内
全原発 緊急点検へ
共通基準作り急ぐ
【ロンドン=小玉純一】欧州連合(EU)は15日、ブリュッセルで緊急会合を開き、EU域内のすべての原子力発電所の安全性を点検する「ストレス テスト」の実施を決めました。欧州委員会のエッティンガー・エネルギー担当委員が招集した会合には加盟国の原発担当閣僚、原子力安全当局の長官、原発関連 企業幹部らが参加しました。
会議後、会見したエッティンガー欧州委員は「日本の事態に照らして、地震、津波、テロ攻撃、電力切断の危険などリスクを評価したい」と述べました。
「テスト」の根拠となるEU指令はなく、各国は自主的に参加。今後、「テスト」の共通基準づくりを急ぎ、実施にあたる独立した専門家を任命し、今年後半には実施したい意向。EU非加盟のスイス、トルコの参加も期待しています。
東欧にあるソ連型原子炉、ブルガリアの地震地帯での原発建設の検討を懸念する声もあがっています。
エッティンガー委員は同日、ドイツのテレビで、「予測可能な将来に原発なしでエネルギー需要を確保できるかどうかという問題も提起しなくてはならない」と述べました。
欧州原子力学会(ENS)などによると、EUでは14カ国で福島原発と同じ型の軽水炉を含む計143基の原子炉が稼働。EUは電力の約3分の1を原発に依存しています。