被災者支援、いっせい地方選挙勝利 全国決起集会
志位委員長の報告
23日に日本共産党本部で行われた被災者支援、いっせい地方選挙勝利 全国決起集会への志位和夫幹部会委員長・東日本大震災対策本部長の報告は次の通りです。
みなさん、おはようございます。全国で奮闘されている同志のみなさんに心からのあいさつをおくります。とりわけ被災地で、自ら被災しながら、日夜、懸命に救援のための奮闘をされている同志のみなさんに熱い連帯のあいさつをおくります。(拍手)
3月11日に発生した東日本大震災によって、現在までに判明しているだけでも9千人を超える方々が亡くなられました。その中にはわが党の同志もお られます。私はまず、被災されたすべての方々に心からのお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方々とそのご家族に深い哀悼の気持ちを申し上げます。 犠牲となった方々に黙とうをおこないたいと思います。ご起立ください。黙とう。黙とうを終わります。ご着席ください。
今日、全国決起集会をもったのは、東日本大震災という未曽有の災害にたいして日本共産党としてどう立ち向かうか、明日から開始されるいっせい地方選挙をどうたたかうかについて、全国が心一つに頑張り抜く意思統一をおこなうことにあります。
一、東日本大震災と日本共産党の活動の現状について
国難というべき戦後最大の大災害
まず大震災と日本共産党の活動の現状について報告します。
東日本大震災は、文字通りの国難というべき戦後最悪の大災害となりました。亡くなった方は現時点で9千人を超え、行方不明の方は1万3千人を超え ました。被災地域は、前例がないほどの広範囲におよび、二十数万人の方々が、不自由な避難所での生活を続けておられます。地震と津波による被害で、少なく ない太平洋沿岸の町がそっくり壊滅し、建物などの物的被害は、なお全容がつかめないほど甚大です。
くわえて東京電力福島第1原子力発電所の事故は、なお予断を許さない危険な状態を脱していません。原発事故によって周辺に住む多くの方々は、故郷の今後への不安をもちながら退避を強いられています。
災害の最前線のきわめて困難な条件のもとで、多くの行政関係者、専門家と技術者、医師・看護師・福祉施設職員のみなさんなどが、不眠不休で被災者救援と原発危機対応にあたっておられます。私は、それらのすべての方々の努力に心からの敬意を表明するものであります。
党中央委員会と国会議員団のとりくみ
日本共産党は、3月11日、私、志位を本部長、市田忠義書記局長を本部長代理、穀田恵二国対委員長を事務局長とする「東日本大震災対策本部」を設 置したのにつづき、3月16日、宮城県仙台市に、高橋ちづ子常任幹部会委員・衆議院議員を本部長、太田善作常任幹部会委員を副本部長とする「現地対策本 部」を設置し、党として可能なあらゆる活動にとりくんできました。
わが党は、この間の党首会談、「各党・政府震災対策合同会議」などで、被災者にたいする燃料、水、食料、情報、医療などのすみやかな支援をおこな うこと、原発事故対策にたいしては原子力安全委員会とあらゆる専門家・技術者の知恵と力を総結集し危機の打開をはかること、正確な情報を国民に知らせ健康 を守るための万全の対策をとることなど、政府にたいして一連の要請をおこなってきました。北海道、東北、関東などを地元とする党国会議員は、被災地に伺 い、被災者の状況と要望をお聞きし、それを政府に提起・実行を求める仕事にとりくんできました。
被災地の党組織の奮闘――日本共産党の立党の精神を体現
被災地の党組織、党支部と党員、地方議員のみなさんは、自ら被災している非常な困難ななかでも、被災住民のみなさんと力をあわせ、懸命な救援活動にとりくんでいます。
地方議員の同志を先頭に、避難所訪問にとりくみ、被災者と避難所の運営にあたっている方々の要望を聞き、困難な避難所生活の改善のために日々奔走 しています。避難所に移れず自宅などで生活されている高齢者や一人暮らしの方々への訪問と支援の活動も、重視してとりくんでいます。家もコミュニティーも 破壊されたもとで被災者に声をかけるとりくみを重視し、せきを切ったようにぶつけられるさまざまな不安や苦しみを受け止め、激励・救援する活動をすすめて います。温かいおにぎりや炊き出しなどの支援も、被災地の各地でとりくまれています。
いま被災地では、燃料、水、食料、医療品、衛生用品、ミルクなど物資の不足が深刻です。ガソリン不足などで、支援物資が避難所まで届かないという 問題があります。「現地対策本部」では、各県の実情をふまえつつ、岩手、宮城、福島に支援物資受け入れセンターを設置し、支援物資を被災者まで届ける仕事 を開始しています。青森、秋田、山形などの近県で、地元の党組織は、県労連、農民連、新婦人などと協力し、共同センターを設置し、コメ、リンゴ、牛乳、灯 油などを、被災地の避難所まで輸送する活動を始めています。全労連をはじめ全国の団体支援も始まっています。全日本民医連は、全国から医師・看護師を含む 700人以上の医療スタッフを交代で現地に派遣し、被災者の命をつなぐために奮闘しています。
「現地対策本部」から寄せられた被災地の同志の奮闘の一部を紹介したいと思います。
宮城県のある保育園の元園長の同志は、津波が来た瞬間に近所の保育園に駆けつけ、子どもたちを間一髪で避難させ、一晩中子どもたちとともに過ご し、救助されて避難所に行っても、子どもたちと一緒に行動し、避難所に保育所をつくるなど、子どもたちの命を守り抜くために大奮闘をしています。
岩手県の陸前高田市の戸羽市長は、夫人が行方不明という悲しみのもとで、被災者救援の陣頭指揮をとっておられますが、わが党市議は、市職員のみな さんとともに、市長を支え、「職員の3分の1が安否不明」というもとで、行政の責任を果たすために奮闘しています。党市議は、津波にわが家を流され、目の 前で親戚も流されるというもとで、自ら避難所の事実上の責任者を引き受け、看護師の経験も生かして体操をよびかけ、みんなの体調管理に心をくだくなど、懸 命の奮闘を続けています。多くの市職員は、被災以来、着替えもせずぬれたままで、靴の上にスーパーのゴミ袋をゆわえて、必死の救援活動にとりくんでいると のことであります。
福島県の南相馬市のわが党市議は、自ら大きな被災をしながら、地震、津波、原発事故被害という複合災害に苦しむ市民の命を守るために奮闘していま す。桜井市長が被災地の窮状を訴えるなかで、燃料補給のためのタンクローリーが南相馬市に入ることになった。ところがせっかく入ることになったタンクロー リーが、原発事故の状況をみる中で、途中で引き返してしまうという事態が起こりました。その状況を聞いた党市議は、会津若松の親戚から特殊免許をもった人 を探し出して、タンクローリーの運転を頼み、南相馬市まで輸送させたという報告も寄せられております。
こうした被災地での献身的な奮闘が、いま無数にとりくまれています。きわめて困難な状況下にある被災地での同志たちの奮闘は、国民の苦難軽減のた めに献身する日本共産党の立党の精神を体現したものであり、また、草の根で国民と結びついた日本共産党ならではの活動であり、私は、全国の党組織のみなさ んが、この頑張りに固く連帯して奮闘することを強くよびかけたいと思います。(大きな拍手)
全国の党組織の活動――国民的な救援活動の先頭にたって
全国の党組織は、大震災の直後から、被災地救援の活動に立ち上がっています。救援募金活動は、短期間に2億5000万円を超えるとりくみになっています。
いま多くの国民は、連日報道される被災地の状況を見て、「自分も何かをしたい」という強い思いをもっています。10代、20代の若者が、わが党の 募金活動をみて、飛び入りでマイクで訴えたり、募金箱をもつなどの行動をおこなっていることが、全国各地から報告されています。関西のある大学の学生10 人が、わが党の事務所を訪問し、「救援募金をやりたい。募金の受け皿になってほしい」と相談にきました。最初は他の党に相談してみたが、「対応できない」 といわれ、あらためてインターネットで「救援募金」で検索したら、地元の日本共産党事務所にぶつかり、さっそく電話して訪問してきたとのことでした。「初 めての募金なので共産党の名前でやらせてほしい」ということになり、日本共産党の募金箱をもって2時間で24万円を超す募金を集めたということでした。
この国難ともいえる危機にあたって、全国各地で、日本共産党員としてのエネルギーが深いところから発揮されつつあることはきわめて重要です。これ まで党活動に参加できてこなかった同志が、つぎつぎに募金活動など救援活動に参加しつつあります。ある県委員長は、「これまで立ち上がっていなかった党員 が多数がんばっている。党内に立党の精神に立った巨大なエネルギーがわきおこっている」との報告を寄せました。
全国から寄せられた義援金は、宮城県、岩手県、福島県の3県に、第1次分としてそれぞれ1000万円ずつお渡しいたしました。引き続き被災した市 町村に順次届けるようにいたします。現時点では、現地からの要望にこたえ近県からの物資支援は強めますが、党が独自に、全国的規模での物資の支援、一般の ボランティア支援にとりくむ条件は、まだ存在していません。そうしたもとで、募金活動は、現時点で、全国の党組織がとりくむことができる被災地への救援の 主要で最大の手段であり、これをさらに思い切って強めることを心からよびかけるものであります。
この間、全国の都道府県、市区町村のわが党議員団は、それぞれの自治体にたいして、被災者の住宅確保をはじめとする避難の受け入れや物資の支援な どの広域支援に自治体としてとりくむことを、いっせいに申し入れてきました。全国の自治体で被災者の方々の受け入れが開始されています。受け入れがおこな われた自治体では、それぞれのところで被災者を温かく迎える活動がすでに始まっていますが、わが党もこれに適切な形でとりくむ活動を強めたいと思います。
現時点では、全国からの一般のボランティア支援を被災地で受け入れる条件はまだ整っていませんが、ボランティア登録は積極的にすすめ、受け入れ条件が整った被災地域から支援に入るようにしたいと思います。
二、当面する党活動の基本について
つぎに当面する党活動の基本について報告します。
わが党は、この大震災にあたって、14日、「東日本大震災の被害が未曽有の規模で広範囲に及んでおり、救援と復興にすべてを傾注すべき」として、 いっせい地方選挙を全国的に延期することを政府・各党によびかけました。しかし、民主党、自民党、公明党などが、全国的延期はおこなわないことを主張し、 残念ながらわが党の提起は実りませんでした。
こうしたもとで、わが党は当面する党活動の基本について、つぎの点を揺るがず堅持して奮闘します。
――国民の苦難軽減を立党の原点としているわが党の本領を発揮して、被災地の救援・復興のために、被災地と全国の党組織が心を一つに総力をあげて頑張り抜きます。
――いっせい地方選挙にあたっても、この立場を貫き、今回の選挙戦全体を、日本国民が、国民的エネルギーを発揮して、被災地への救援・復興をやり ぬき、戦後最大の国難を打開し、それを通じて新しい社会をつくる契機にしていくという姿勢で選挙にとりくみ、わが党の勝利・前進をめざします。
三、いっせい地方選挙の訴えの基本について
つぎにいっせい地方選挙の訴えの基本について報告します。
今回のいっせい地方選挙は、東日本大震災による災害と福島原発事故の危機によって、様相が大きく変化しており、国民への訴えも発展させる必要があ ります。いまの戦後未曽有の危機のなかで、この国難にどういう姿勢で臨んでいるかが、地方選挙ではありますが、有権者の政党選択の基準として重要な意味を もつ選挙となっています。
選挙戦の訴えにさいしては、大震災にたいしてわが党がどういう姿勢で臨み、どういうとりくみをしているかを伝えるとともに、日本国民が立場の違い をこえ、国民的エネルギーを発揮して、力をあわせてこの災害を乗り越え、新しい社会を築こうという訴えを前面にすえることが大切です。この訴えとあわせ て、それぞれの地方自治体の政治を「福祉・防災のまちづくり」に転換する――住民の命と暮らしを守る自治体をつくろうという党の立場を訴えるようにしてい きたいと思います。
この立場から、今回のいっせい地方選挙での訴えの基本については、つぎの諸点が重要になってきます。
被災者救援、原発事故の危機回避――二つの緊急の大問題にとりくむ
第一は、直面する危機を打開することであります。
東日本大震災の被災者救援、福島原発事故の危機回避は、多くの人々の命に直結します。この二つの大問題は、政治的立場をこえて、日本国民の総力を あげ、何としても打開しなければならない緊急課題であります。日本共産党は、この二つの緊急の大問題に真正面からとりくみ、政府・自治体とも協力し、広く 国民と力をあわせ、解決のためにあらゆる努力を傾注します。
――避難所での二次災害をふせぐためにあらゆる力をつくします。救援された方々が、避難所生活で命を落とす痛ましい事態の拡大を、何としても防が なければなりません。燃料、水、食料、医療品など支援物資を、被災者のもとにとどけ、医療、介護などのケアスタッフを派遣するために党としても全力をつく します。
――より安定した避難所の確保が必要です。そのために広域的な協力体制づくりを強化します。空いている公共住宅、雇用促進住宅、公務員宿舎の活用、民間住宅の借り上げなどを、全国各地で推進します。
――希望者のすべてが入れる仮設住宅を速やかに建設することも喫緊の課題です。仮設住宅の建設は一部で開始されていますが、災害の規模にみあった、思い切った大量建設が必要です。
――福島原発事故の当面の危機を何としても収束するために、原子力安全委員会、原子炉メーカー、原子力機構、大学などの専門家、関係技術者の知恵と能力の総結集をはかることを、政府に引き続き強く求めていきます。
――原発事故から国民の命と健康を守るために、国民への正確な情報伝達、ヨウ素剤の周辺住民への配布、被ばく検査と除染、避難者の生活と医療の支援などを、政府が責任をもっておこなうことを要求します。
――原発事故によって、すでに一部の原乳、ホウレンソウ、カキナなどから暫定基準値を超える放射能が検出され、政府が出荷停止を指示するなど、農 家に重大な被害をあたえています。農業も含めて国民にあたえた被害は、東京電力と国が全面的に補償することを強く求めていきます。
――原発災害に関する正確な情報を、政府が責任をもって国民に伝えることの重要性をとりわけ強調したいと思います。日本学術会議が、18日発表し た声明では次のように訴えています。「未曾有の災害に直面して国民が覚える不安感は、直面するリスク(危険)に関する正確な情報が、必ずしも的確に伝達さ れていないことに起因することが少なくありません。たとえ深刻な情報であっても――むしろ深刻な情報であればあるほど――正確に国民に伝えられるべきもの です。そうであればこそ、事態の深刻さを冷静に踏まえた適切な行動を求める呼びかけは、人々を動かす力となるものです」。その通りだと思います。放射能に ついての正確な測定結果を含む情報を国民に公開し、国民と共有してこそ、安易な楽観視も、過剰な危惧も抑制し、風評被害を防止することもできます。わが党 はこのことを強く求めていくものです。