福島第1原発:
事故収束「見通し難しい」…東電会長
東京電力の勝俣恒久会長は30日の会見で、福島第1原発の事故収束や損害賠償、発電設備の復旧などについて「見通しは難しい」との発言を繰り返し た。事態打開の総指揮を執るはずだった清水正孝社長が緊急入院し、トップ不在となった経営が混迷を極めるのは必至で、「会社存続の危機」との見方も強まっ ている。【三沢耕平、宮崎泰宏、永井大介】
「原発がどう落ち着くかなど、重要な要因がアンノウン(分からない)。言えることは、大変厳しい状況だということだ」。勝俣会長は苦渋の表情を浮かべた。
事故が長期化の様相を見せる中、原油高も代替火力の燃料費を押し上げる。東電は管内全域の原発の廃炉費用の約5800億円を引き当て済み。だが、 1~4号機は事故で放射能まみれとなっており、廃炉や損害賠償の累計額は数兆円規模になりそうで、自力ではまかないきれない可能性が高い。
一方、勝俣会長は残る5、6号機と福島第2原発の4基については「基本的な機能は維持できている。知事らの意見をうかがって(対応を)考える」と 維持したい意向をにじませた。火力に比べて運転費用の安い原発は、基幹電源であると同時に「ドル箱」だが、仮に運転再開を目指せば地元の猛烈な反発は必至 だ。
勝俣会長は「できる限りスリム化を図り、民間企業でありたいし、最大限の努力をしたい」と述べたが、一部で国有化論などの「処理案」が浮上。東電が単独で生き残れるかは不透明だ。
さらに、清水社長入院は社員に大きな動揺を広げている。勝俣会長も高齢で健康面の不安を抱えており、同社全体に司令塔不在の危機感が強まっている。
「自分の口で説明したい」。清水氏は29日夜、側近にこう告げ、30日に自らの記者会見をセットするよう指示した。13日の会見以降、公の場に出ていないことに対する批判を受けたものだが、結局、体調を崩し入院した。
毎日ニュースより