みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「どんな小さな動きにも対抗していこう」ジェンダー本撤去事件に勝利宣言/『ふぇみん』9・15

2006-09-21 07:50:45 | 「ジェンダー図書排除」事件
まずは
一期一会のクリックを

今朝は、放射冷却でこの秋一番の冷え込み。

8月26日に福井で、開催した「ジェンダー図書排除を問う」集会の記事が、
9月15日号の「ふぇみん」に載りました。

この集会のことは、翌日の新聞にも大きく載り、
主催者として、各紙の記事を紹介しました。
全面開示は勝利の証(9.27記事)

「ふぇみん」の記事は、どの新聞よりも大きくて
縮小しないと、スキャナに取り込めないくらいで、
内容も読みごたえのある力作。



それもそのはず。
執筆者は、「まぼろしの原告」でもある
赤石千衣子さんです。
赤石さんの許諾を得て、全文を紹介します。

 -------------------------------- (無断転載禁止) -----------------------------------
『ふぇみん』9月15日号(2面)
 [福井発]ジェンダー本撤去事件に勝利宣言 
情報公開・住民監査請求駆使して153冊のリスト公開へ
「どんな小さな動きにも対抗していこう」上野千鶴子さん

 8月26日福井市内で、生活学習館「ユー・アイふくい」からジェンダー関連本が排除された問題で市民集会が開かれた(主催は福井「ジェンダー図書排除」究明原告団および有志)。「福井発・焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)事件」と言われるこの事件。8月11日150冊の本のリストが公開となっていた。

 集会は福井県民会館の大会議室が満員。福井県の地元グループも集会準備から参加。著者・出版社・近隣県の市民など180人が参加した。
「今日はまず、私たちの勝利だということを確認しましょう」と上野千鶴子さん(東京大学教員)が言うと満員となった会場からは拍手がわいた。
 これまでの経緯を集会第1部で報告した主催者の今大地はるみさん(敦賀市議)、岐阜の寺町みどりさん、寺町知正さん、上野千鶴子さんの話から辿ってみる。

◆世界日報の記事で153冊排除が明らかに

 「ユー・アイふくい」(地上3階・地下1階)は、県の女性センタ機能とーと生涯学習機能を兼ね備えた複合施設。2004年から県議会でジェンダーフリー教育が問題になり、昨年から生活学習館の図書が問題にされていた。
 そして今年4月28日付けの世界日報が「ジェンダー関連本150冊排除」と報じたことで、事件が明らかになった。その記事によると福井県男女共同参画推進委員の要求によって上野千鶴子さんの『スカートの下の劇場』、福島瑞穂さんの『結婚はバクチである』など21冊の題名を示して150冊を排除したという。
 これに驚いた福井県敦賀市議の今大地はるみさんたちは、すぐに排除本リストと関連文書の情報公開を求め、「ユー・アイふくい」に抗議し、県民の税金で買った本を排除したのだから税金の無駄遣いだと住民監査請求を出した。
 5月16日、排除されていた本は書架に戻った。しかし、6月に情報公開されたリストは黒塗りの枠のみだった。
 また関連文書の情報公開により05年秋には、同じ男女共同参画推進委員から3冊の本に関して「男女共同参画の推進に不適切なものは排除してほしい」と苦情申出があったことが明らかになった。男女参画・県民活動課は「男女共同参画に関する考え方については様々なものがあり、それらに関する情報の提供は学習するうえで必要であると認識している」と回答していた。
 しかし、さらに今年1月から2月にかけて、この男女共同参画推進委員から排除を求める本のリストが提示されて排除が求められると「なんの意思決定もなしに」(寺町みどりさん)排除が行われたことが判明した。
 
 ◆訴訟を前提に情報公開請求したら

 その後6月にI(アイ)女性会議などにより、抗議集会が開かれた。
 再度、訴訟を前提に上野千鶴子さんら21人は排除された本のリストの情報公開を求めた。7月に、再度黒塗りのリストが公開された。そこで、情報公開を裁判で求めることを公表した。
 すると、提訴2週間前の8月11日、急に県はリスト作成者が同意したためという不可解な理由で、150冊の排除本リストを公開した。「情報公開は知事の決定のはずなのにリスト作成者の同意だけで決定するというのもおかしい」(情報公開に詳しい寺町知正さんの指摘)。
 さらに上野さんらが公開質問状を出すと集会直前になって撤去や戻した経緯について回答してきた。県は「…申出が口頭で相当回数あったため、申出にかかる図書の内容を了知しておく作業が必要であると考え、一覧表に掲載されている図書を一時的に書架から移動したもの」など苦しい回答だ(この日は追加で排除すべきという37冊のリストも出した)。
 生活学習館の定池りゆ子館長は「個人のひぼう中傷などの内容はなかったから書架に戻した」と話したが、そのこと自体が憲法に禁じている検閲にあたるという認識はないようだ。
 
◆他の地域でも図書排除の可能性が高い

 第2部は県議会でも問題とされた『結婚帝国 女の岐れ道』の著者上野千鶴子さんと信田さよ子さんの丁々発止のトーク。信田さんは「家族は危険であると書いたら危険な本だと言われた」と。
 第3部のリレートークではI女性会議福井の白井信子さん、ウィメンズフォーラム福井の菅井純子さん、公開質問状を出している市民オンブズマン福井などが発言。
 この排除本リストを作成した男女共同参画推進委員の男性らが「男女共同参画にふさわしくない本は排除されるべき」と発言し、騒然となる場面もあった。
 上野千鶴子さんは「同じことが全国で起こっているかもしれない。歴史には一歩前進二歩後退もありうる。君が代の強制や性教育・ジェンダーフリー教育へのバッシングは同じ人たちが動いている。自分の足下がくずされる前に察知し、手に入れた権利は闘って守ろう」とよびかけた。
 8月29日には改めて153冊の図書の撤去とその後の検査・復帰、その男女共同参画推進委員の行為について苦情申出を80人の名前で行った。
                             (赤石千衣子)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
生活学習館「ユー・アイふくい」から排除された本リスト(例)
『男でもなく女でもなく』蔦森樹著
『「主人」ということば』福田真弓著
『フェミニズムとエコロジー』青木やよい
『ジェンダー』原ひろ子他著
『離婚判例ガイド』二宮周平著
『買売春解体新書』上野千鶴子、宮台真司
『学校をジェンダーフリーに』亀田温子著
※ジェンダーフリー、フェミニズム、性教育、買売春、非婚・離婚やシングルに関するものがあげられている。
(ふぇみん婦人民主新聞 2006.9.15)
-----------------------------------------------------------------------

福井県男女共同参画推進条例による「苦情申出書」(8.30)

「ふぇみん」はわたしも愛読しています。

見本紙はお送りできますのでお申し込みは以下へ。
ご住所、お名前を明記してください。
femin@jca.apc.org
「ふぇみんはジェンダーの視点で社会を読み解く新聞です」


ところで、
今朝の新聞は「安倍新総裁」誕生の記事が満載。
どの新聞にも、「国家主義的なタカ派」の安倍氏の
「ナショナリズム」を警戒する言葉がある程度ならぶ。
とはいえ、「ジェンダー」に言及している新聞はない。
新総裁のブレーンは、バックラッシュ派ばかり。

-------------------------------------------------------------------------
安倍人脈:次期政権像を探る/1 ブレーン政治 

第2回東京ー北京フォーラムで挨拶をする安倍晋三・内閣官房長官=東京都千代田区丸の内で2006年8月3日午前9時40分、野田武写す ◇合議で「参拝、明言せず」--「草の根保守」形成狙う

 東京・赤坂の全日空ホテルの一室で6月30日、安倍晋三官房長官、側近の下村博文衆院議員に加え4人の学者・有識者がだ円形のテーブルを囲んでいた。伊藤哲夫・日本政策研究センター所長、島田洋一・福井県立大教授、西岡力・東京基督教大教授、八木秀次・高崎経済大教授の4氏。出席者はクッキーをつまみながら、A4の1枚紙に目を凝らした。
 「春秋例大祭での参拝を基本とし、終戦記念日の参拝にはこだわらない」「自身の参拝については行く、行かないは明言しない」--。ペーパーには、安倍氏が首相になった際の、靖国神社参拝に関する対処方針が個条書きされていた。
 この日欠席した中西輝政・京大教授を4氏に加えたメンバーは、安倍氏を支えるブレーン「5人組」(関係者)として、今春から安倍氏と数回会合を重ねている。関係者によると、安倍氏は一連の会合で「(75年の)終戦記念日に参拝した三木武夫元首相以前は、首相の参拝は春秋の例大祭に行われていた。『三木首相以前』に戻すべきだ」と主張した。「対処方針」は、安倍氏と5氏らの議論を結実させたものだった。8月4日、安倍氏が4月15日に靖国参拝したことが明らかになった時、安倍氏はこの「言わない」対処方針を忠実に実行した。
 保守系シンクタンクを運営する伊藤氏は、安倍氏や中川昭一農相が97年に作った「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の結成に関与するなど、安倍氏と長い親交がある。島田、西岡両氏はともに、北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)の幹部。中西、八木両氏は保守系シンクタンク「日本教育再生機構」設立準備室の代表発起人と代表を務める。
 会合で、出席者の一人は、靖国神社境内にある歴史博物館「遊就館」に、「(ルーズベルト米大統領は)資源に乏しい日本を禁輸で追いつめ、開戦を強要。参戦によってアメリカ経済は完全に復興した」と説明した展示物の存在について事実関係に問題があると指摘した。協議した結果、神社側にパイプのあるメンバーを通じ、見直しを働きかけることにした。
 参加者の一人は「安倍氏は自分の行動は自分で判断するタイプ。ブレーンなるものは存在しない」と語る。だが、参加者の経歴は異なるものの、外交、教育分野などで安倍氏の政策を側面支援してきた点で、全員は共通している。過去、学者ら識者の意見を活用した首相は、戦前では近衛文麿氏、戦後では大平正芳、中曽根康弘両氏が知られる。特に中曽根氏は「ブレーン政治」と呼ばれるほど、学者を重用した。次期首相就任が確実視される安倍氏が、5氏の意見をどう政策に反映させていくのか。
 こうした保守系ブレーンと連動し、安倍氏が探っているのが民間で活動する「草の根の保守」ネットワークの形成だ。
 幹事長代理時代の04年秋、自民党本部に保守系地方議員のほか、西尾幹二・電気通信大名誉教授、「救う会」の佐藤勝巳会長ら約25人が集まった。
 安倍氏が「手本」として目指したのは、キリスト系宗教団体などとの連携を強め、政権を運営したブッシュ政権の選挙手法「グラスルーツ・コンサバティブ(草の根保守)」の日本版だ。安倍氏はあいさつで、教育分野で安倍氏の政策に近い山谷えり子氏が同年の参院選で上位当選したことにふれ、「自民党にとって画期的だった。自民党の結党理念は憲法改正だ。真の保守と連携していきたい」と述べた。
 会合では「自公連立」も俎上(そじょう)に乗り「自民党と保守系地方議員との草の根のネットワークを強めるべきだ。その結果、(自民党を支える)公明党・創価学会票に勝るとも劣らない票が得られれば、自民党も変わる」などの意見も飛び出した。
 総裁選で安倍氏を支援する民間団体の「『立ち上がれ!日本』ネットワーク」は29日、東京都内でシンポジウムを開く。「呼びかけ人」に名を連ねるのは伊藤、中西、西岡、八木の4氏だ。来月1日の安倍氏の出馬会見を目前に、水面下で培われた人脈が表舞台に姿を見せることになる。
   ×  ×
 「ポスト小泉」レースで次期首相への就任が確実視される安倍官房長官。よりどころとする人脈をさまざまな角度から探った。=つづく
(毎日新聞2006.8.29)
----------------------------------------------------------------------
 

ほっといたらマイノリティや弱者切り捨ての政治になるのは明白。
あきらめないで、「どんな小さな動きにも対抗して」
声をあげていこう、と思う。

写真をクリックすると拡大。その右下のマークをクリックするとさらに拡大。
人気ブログランキングに参加中

クリックしてね。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする