薬害肝炎弁護団を率いる弁護士、鈴木利廣さんだった。
福井訴訟の清水弁護士から、薬害エイズ裁判の話を聞いたあとだったので、
見たいと思って待っていたが、感動的な番組だった。
「やるべきは社会のしくみを変えるたたかい」
「患者の心を、心として」
薬害エイズ裁判の100人の大弁護団は、東京弁護士会のお二人が中心だったとのこと。
きっと鈴木さんと清水さんだったのだろうと思った。
この番組については、日経webの、
茂木健一郎の「超一流の仕事脳」に詳しいので、紹介したい。
茂木健一郎の「超一流の仕事脳」
毎回、1つの分野で超一流の仕事をしている人物を追う
NHKのテレビ番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」。
キャスターを務める脳科学者の茂木健一郎氏が、
番組を通じてその人物から受けた刺激をさらに深く考察して語るコラム
茂木健一郎の「超一流の仕事脳」 悪法は「法」ではない ~弁護士 鈴木利廣~ 2008年5月20日 火曜日 茂木 健一郎 視点 弁護士 今回お話を伺った弁護士の鈴木利廣さんは、薬害エイズ、ハンセン病、薬害肝炎など日本の薬害事件や多くの医療過誤事件で患者側弁護士として闘い続けてこられた。 鈴木さんは、人と人との争いを解決するには2つの方法があるという。1つは和解を目指した話し合いによるもの。もう1つは法律に基づいた強制力を持った方法だ。 我々は普段、普通にビジネスをしている中では、国家というものをさほど意識しないし、法律というものを意識しない。もちろん、通貨が通用することは国家と結びついているし、商取引についても契約がきちんと守られるためには、国家という存在が背後にある。 今、ITや情報系の産業に光が当たっていて、そこでは国家というものが不在の状況の下でいろいろなことが行われている。そういった面がフォーカスされがちだが、命や健康、人間の尊厳などが関わってくるところでは、法律とういか、法的強制力や国というものが浮上してくる。鈴木さんは、そこをよく分かった上で仕事をされているのだと思う。 薬害肝炎訴訟のように、関係する人が350万人ともなれば、それは1つの民間企業がどうこうできるものではない。まさに鵺(ぬえ)のような、どこをどう押したらよいか分からないような複雑なものが相手。そこで鈴木さんは、立法・行政・司法の役割についての感覚を持って、戦っていらっしゃる。 これまで誰も経験したことのない、裁判官も判断に迷うような事案に鈴木さんは取り組んでいる。法技術の最先端のところで、開拓者のようなことをやられている。 鈴木さんは「悪法は法ではない」と言う。なぜ、鈴木さんが立法にまで踏み込んでいるのかといえば、既存の法律体系の下にそれを適用して臨むのではなくて、実定法の背後にある原理原則までさかのぼって、人間の尊厳とか権利を扱うためとおっしゃっていた。これは深い言葉だ。 パイオニアこそ原理原則に従う。経験したことのない世界に対峙した時、そこへ立ち返らないといけない。そこに鈴木さんの生き方が表れていた気がする。 鈴木さんが、今のような仕事のスタイルを決めたのには、1つの出会いがあった。理念で行ったのではなく、社会派の先輩弁護士に出会って、その人がとてもかっこよく見えたからだという。 科学の世界でも、応用の分野の方がビジネス的には儲かる。それに対して、素粒子のような純粋科学をやっている人は、給料が高いとか安いといったことは問題でなく、人間精神の名誉のためにやっている。 今日、分かったのは、弁護士の世界でもそいうものがあるのだということだ。もし自分がビジネスロイヤーだったら蔵が建ったかもしれないと、鈴木さんはおっしゃっていた。もちろんそれが悪いというわけではない。しかし、社会正義のために、人間の尊厳に関わるような法律の仕事が、弁護士の世界でも“弁護士本来の”仕事である、という感覚があるのだろう。 患者の無念、命の闘い NHK総合テレビ 5月20日(火)午後10:00~10:45 ・再放送 総合 毎翌週火曜 午前1:00~1:44 (月曜深夜) BS2 毎翌週水曜 午後5:15~5:59 ■番組公式サイト ■本・CD・DVD紹介サイト 薬害エイズ、ハンセン病、そして薬害肝炎など、日本の薬害事件や多くの医療過誤事件で、患者側弁護士として闘い続ける弁護士、鈴木利廣(61)。 薬害エイズでは東京弁護団事務局長、薬害肝炎訴訟では120人の弁護士を束ねる全国弁護団代表を務めてきた。 鈴木が、今、最も力を注いでいるのが、今年1月、国が責任を認め謝罪するという劇的な展開をした薬害肝炎。その闘いはまだ終わっていなかった。 番組はその後の弁護団に密着。鈴木たちは、途方もない大きな目標を掲げて走り出していた。問題となった血液製剤だけでなく、予防接種の針の使い回しや輸血などの医療行為を主たる感染経路とするB型、C型肝炎の感染者、推定350万人を救う治療体制作りを目指すというのだ。 厚生労働大臣との直接協議、新たな法律作りに向けてのロビー活動、世論への働きかけ、鈴木たち原告団弁護団は、大きな挑戦に乗り出した。 果たして、再び国を動かすことはできるのか・・・。 軍師と呼ばれる、らつ腕弁護士の闘いの現場に密着、仕事の流儀に迫る。 |
応援クリックしてね