みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

美味しいものと美しいものダイジェスト。

2009-01-11 15:24:54 | 花/美しいもの
昨日の、
美味しいものと美しいものダイジェストです。

東京でみた日の出




前夜に行列ができてて気になってた、
朝ひる兼用のふかひれ入り頂上麺。
  

  

  




大丸で行列ができていた「ねんりん村」のバームクーヘンを
あきらめて、お隣の店でおみやげに買ったチーズケーキ「白らら」


帰りの「のぞみ」から見た名古屋の日の入り


最後に、
るなさんのブログで見て食べてみたかった
名古屋駅の新幹線待合室で買った駅弁「日本の味博覧」。
  
家に持ち帰って食べました。
  
期待通りのおいしさで満足です。

オマケは、行きの「のぞみ」から見た雪を抱いた富士山


今日は朝から、薪ストーブに火を入れて、
コーヒーを飲み、たまった新聞を読みました。
10時になって、サンデープロジェクトを見ながら
洗濯を干してたらあっというまにお昼。

3時間も粘った八重洲ブックセンターで買ってきた本を読んでたら、
すぐに3時になり、ともちゃんからお迎え依頼の電話。

ということで、
ブログをアップしてからそろそろ出かけてきます。


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東京の日の出/「地方議会を変えるⅡ~秘訣は“市民の眼”にあり」1月11日サンデープロジェクト

2009-01-10 08:39:06 | 花/美しいもの
「自治ネット」の二日間の研修がぶじ終わり、
東京駅の「ホテルメトロポリタン丸の内」にチェックイン。

 

東京の友人に誘われて、ともちゃんと4人で、
大丸12階の、おいしい中華料理を食べました。
    

  

  

おみやげは、うれしいことに「お一人さま栗ようかん」と、
  
上野さんの『おひとりさまの老後』が紹介されている、
7日の朝日新聞の社説「おひとりさまを支える」のコピーでした。


【社説】高齢者住宅―「おひとりさま」を支える

 世界一の長寿国、日本の平均寿命はますます延びている。そうなると老後の暮らし方も変わらざるを得ない。
 そのひとつが住まい方だ。子ども世帯との同居から、核家族化が進んだうえ親世代も同居を希望しないようになった。高齢者だけの世帯は今後増える一方と予測されている。
 そんな高齢者世帯で、年をとって体がきかなくなったら、そして連れ合いが先に逝ったら、このまま同じ所に住み続けられるのだろうか。こころは不安に満ちている。
 賃貸アパートに住んでいる人は、年金暮らしのなかで家賃の支払いが一層負担になるだろう。
 持ち家の人でも、郊外や地方ではすっかり車社会になっていて、不便を感じることがあるかもしれない。
 社会学者の上野千鶴子さんが書いた「おひとりさまの老後」が最近、ベストセラーになったのも、こんな不安が背景にあるからかもしれない。
 住宅政策担当の国土交通省は、昨年10月、社会資本整備審議会に高齢者の住宅政策のあり方を諮問した。
 これまでの住まいと施設の中間にある高齢者住宅への関心が、ようやく高まってきたといえそうだ。
 高齢者住宅のポイントは見守りや生活支援にある。高齢者だけでは、ちょっとしたことで日々の暮らしが立ちゆかなくなることも多くなるからだ。
 例えば電球が切れても取り換えられない。段差に足をとられて転び、骨折して入院などということもある。最悪の場合、孤独死もあるかもしれない。
 生活の自立ができていて介護はまだ必要ではない人に、安全と安心を保障するのが高齢者住宅といえるだろう。 実は高齢者住宅は、20年余り前から試行されている。
 公営住宅の「シルバーハウジング」がそれだ。英国の高齢者住宅がお手本だった。バリアフリーの安全な住まいというハード面は住宅行政が、生活支援員の配置による安心というソフト面は福祉行政が提供する。行政の壁を超えた画期的な施策だった。
 しかし、その後の景気の低迷などで戸数は伸びず、現在、全国でわずか2万2千戸余りしかない。
 その後、建設費や家賃の補助がある高齢者向け優良賃貸住宅や高齢者居住法など、法律や制度の整備は進んできた。だが、多くの利用者が望む安くて便利な立地の住まいは数が少ない。
 安全、安心の高齢者住宅に住むことで、自立した生活が維持できる。介護費用の抑制につながり、国の財政に寄与することにもなるだろう。
 住まいは暮らしの基本である。
 未曽有の長寿国での高齢者住宅に、お手本はない。これまでの蓄積を検証して知恵を集め、独自のあり方をつくり出していこう。
(2009.1.7 朝日新聞)


ホテルは32階の眺めのよい部屋に泊まったので、
夜景をたのしみながら、おしゃべりしながら、
ロマンチックな夜がふけてゆきました。

で、今朝は朝やけで目が覚めました。




目の前をおひさまがのぼっていきます。

すこしずつ、

すこしずつ、

東京のまちが目を覚ましていきます。



南の秋葉原方面。  東の東京湾方面。
 


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ともちゃんは、お昼すぎに茨城に講演に行き、
わたしはひとり岐阜にかえります。

昨日の千代田区でも議会改革などの話を聞かせてもらったのですが、
明日のテレ朝の「サンデープロジェクト」では、
12月に続いて、「地方議会を変えるⅡ」が放映されると、
関係者から連絡がありましたので、紹介します。

1月11日放送 サンデープロジェクト
地方議会を変えるⅡ

田原コーナー

6党幹事長が激論
どうなる国会? どうする雇用?
東京・日比谷にできた「年越し派遣村」。
「派遣切り」などで仕事や住まいを失った人たちなど500人が
年末年始に無料の寝床と食事を提供したこの村の住人になった。
状況は深刻だ。
厚生労働省によると今年10月から来年3月までに
失業したり、職を失うことが決まっている非正規労働者は
8万5000人に上るという。
そして、この数字もまだまだ読みが甘いという見方もある。

企業の労務コスト削減のために大量に雇い入れられてきた
非正規労働者のリストラが社会問題化する中で
政治は何ができるのか?
国会は国民のほうを向いて運営されていくのか?
労働市場の血の通った改革はできるのか?
各党の幹事長、書記局長に田原総一朗が迫る!
-----------------------------------------------------------
特集
地方議会を変えるⅡ~ 秘訣は“市民の眼”にあり ~


前回の放送・・・合併に乗じた議員報酬の値上げに、台本を読み合うだけの北海道議会など
不要論まで飛び出す地方議会の惨状と、
「365日働く役所」など改革が進む福島・矢祭町で巻き起こった議会改革をお伝えした。
第2弾の今回は・・・改革が進行する地方議会、未来への僅かな希望をつなぐ「自律・自立型」への苦闘に焦点をあてる。
議会批判の起こる遙か以前から、夜間議会の開催や、町民のもとに議員皆が出向いて町民の意見を聞く「出前議会」など、
町民のための独自改革を次々打ち出し、視察が殺到する東北の、とある議会。
そして、九州の小さな町では、議会と行政の二元代表制で物事を決めるという地方議会の常識を打ち破り、
「施策の予算組の段階から町民を交える」という型破りな手法に挑戦する舞台裏にサンプロが独占密着、全国放送で初めてその取り組みを取り上げる。
町民が「行政に参画できてワクワクする」と口を揃える、型破りな手法とは?

国政が混迷する中、答えとなるのは地方議会。
「政治を変えるには何が必要か」・・・。
明確に指し示す答えが、そこにある!
≪出演≫
相川  俊英(ジャーナリスト)



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「国立市の景観・まちづくりと法務」の研修

2009-01-09 08:59:17 | 市民運動/市民自治/政治
毎年恒例の「自治ネット」の視察。
今年は「公募」があったので、早速応募しました。

一昨年も、自治基本条例と市民参加のまちづくり、で、
杉並区、文京区、我孫子市に来ました。
当時、市長だった、福島浩彦さんの話も聞きましたよ。

今回は、一日目は国立市、二日目は千代田区、
とユニークな政策をしている自治体を訪問します。

今回の担当は、連れ合いの知正さん。
 国立市では、景観などを生かしたまちづくりで有名なまち、
前上原市長のころから、景観やマンション建設をに関する行政訴訟がありました。

国立駅から、大学通りの景観の説明を受けて歩きながら市役所に到着。
市役所では担当部長の話を聞いたあと、
市議から国立市長になった関口博市長から約一時間、話を聞きました。。

関口博さんは、国立市議2期8年の最後だった2007年3月、
上原公子前市長の引退表明を受け、4月に国立市長に当選されました。

関口さんの話は改めて紹介します。

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今日はこれから、千代田区役所です。
日程は以下の通り。
では、いってきまーす。


千代田区役所での日程

●9日(金) 9時半から10時半まで
 「ユニークな庁舎や議会について」(議会事務局)
    新庁舎の建設や設計の経緯、議場や会議室等の共用の理念と実際
    (議会運営などに関しても、千代田方式があればそのあたりも)

 千代田区はいろんな意味で特殊な状況です。
 しかも、各種ユニークな取り組みがなされています。

●10時半から11時
   「政務調査研究費交付額等審査会について」(議会事務局)
      設置の経緯や効果、内外の評価など

●11時から12時半
  「議員として身に着けるべき『法務』の素養について」(清水勉弁護士)
    ◆上記審査会の委員(副会長)としてみた議員像や議員活動への指摘
    ◆議員の政務調査費の実情や課題、対応についての指摘
    ◆立法機関としての議会あるいは議員の法律的な素養についての指摘
    ◆行政機関としての自治体法務、政策法務のあるべきところについての指摘

○12時半から14時
   昼食と見学タイム

 新庁舎は食事などの施設・システムもユニークのようなので、視察者は各自昼食をとるとともに、図書館や男女共同参画センターを下見しておく。

●14時から15時
  「新しくできた千代田区立図書館の現状や今後について」(図書館)
      新しいシステムや運営方法の特徴や工夫など
      他の自治体図書館に導入できそうなところなど

●15時から16時
    「千代田区の男女共同参画について」(男女共同参画)
      男女共同参画にかかる政策や事業の現状と課題など
      男女共同参画センターの特徴や状況など



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1/20公開シンポ『ニーズ中心の福祉社会へ:当事者主権の次世代福祉戦略』を読み解く

2009-01-09 00:00:00 | ジェンダー/上野千鶴子
今日は、「自治ネット」の視察で、東京に来ています。

初日のは国立市で関口市長の話を聞き、あすは一日、千代田区なので、
夕食を済ませて宿泊先の九段会館で記事を書いています。

前にブログでも紹介した、上野千鶴子さんと中西正司さんの編著、
『ニーズ中心の福祉社会へ 当事者主権の次世代福祉戦略』
/医学書院 /2008.9)
のシンポジウムが、
東京大学で開催されます。

 

「当事者になる」ことは、みずからニーズの主体となり、社会がそれを満たす責任を要求するクレイム申し立て活動と不可分である。いまだ存在していないニーズを生成し、顕在化させるプロセスは、どういう社会がのぞましいか、という社会構想力をともなう創造的な過程である。それには、規範的、政治的な選択が関わってくる。「ニーズ中心」という本書の立場は、そのための理論的基礎を提供することを目的としている。

3時間ぶっ通しで、著者の8人が一堂に会するという豪華イベントなので、
ぜったい聴きのがすわけにはいきません。
ということで、わたしも20日はまた東京に来たいと思っています。


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公開シンポで紹介OKとのことなので、以下に日程等を紹介します。
ただし、書評セッションなので本はぜひ読んできてくださいね。



グローバルCOE「グローバル時代の男女共同参画と多文化共 生」(連携拠点:東京大学社会科学研究所)&グローバル COE「生存学」(創成拠点:立命館大学生存学センター)&東京大学 ジェンダーコロキアム 共催 公開シンポジウム

上野千鶴子・中西正司編『ニーズ中心の福祉社会へ:当事者主権の
次世代福祉戦略』(医学書院、2008年)を読み解く


共著『当事者主権』(岩波新書、2003年)から5年。上野千鶴子と中西正司が満を持して送る当事者主権の次世代戦略、社 会改革のためのデザイン・ビジョン・アクションのシナリオ。
10章にわたる各章にコメンテーターによる論評と執筆者のリプライを求め、総合討論を行う堂々3時間の特別書評セッションです。一般参加歓迎。

日時:2009年1月20日(火曜日)17:00-20:00
場所: 東京大学農学部キャンパス、弥生講堂一条ホール
参加する著者:上野千鶴子、中西正司、大沢真理、春日キスヨ、笹谷春美、齋藤暁子、池田徹、立岩真也
総合司会:大沢真理&上野千鶴子


申し込みはメイルでGCOE高松まで takamatsu@iss.u-tokyo.ac.jp

全10章の構成は以下のとおり。
1章 当事者とは誰か?上野千鶴子(東京大学大学院教授)
2章 ケアサービスシステムと当事者主権 笹谷春美(北海道教育大学教授)
3章 高齢者のニーズ生成のプロセス 齋藤暁子(財団法人母子愛育会研究員)
4章 ニーズはなぜ潜在化するか 春日キスヨ(松山大学教授)
5章 福祉多元社会における協セクターの役割 上野千鶴子(東京大学大学院教授)
6章 福祉事業における非営利・協同セクターの実践 池田徹(社会福祉法人生活クラブ理事長)
7章 3つの福祉政府体系と当事者主権 大沢真理(東京大学社会科学研究所教授)
8章 これからの社会保障政策と障害福祉 広井良典(千葉大学教授)
9章 楽観してよいはずだ 立岩真也 (立命館大学大学院教授)
10章 当事者主権の福祉戦略 中西正司(全国自立生活センター協議会代表)


きょうの「自治ネット」の視察のことは、
もし明日早起きできたら、報告します。


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女と男 最新科学が読み解く性(NHKスペシャル)/『快楽白書(けらくはくしょ)』婦人公論1/15別冊

2009-01-08 00:00:00 | ジェンダー/上野千鶴子
年末に福岡伸一さんの『できそこないの男たち』を紹介したが、
その福岡さんと桐野夏生さんの対談が、5日の朝日新聞に載っていた。

桐野さんは昨年、無人島に男多数と女ひとりが漂着する『東京島』を書いたが、
最新作の『女神記』も評判だ。

 

『できそこないの男たち』(福岡伸一著/光文社新書)
/女が生きるヒント『クロワッサン』特大号(2008-12-29)


6日には読売新聞が、シリーズ「女と男」を始めたし、
「草食系男子」という言葉もあちこちで聞くようになり、
今年は『性』の話題が沸騰しそうな気配か・・・。

12月の読売新聞には、「大人の性の悩みをサポートします」と
『快楽白書(けらくはくしょ)』の書評も。
 

昨年も1月に『婦人公論』の別冊として刊行されたけど、
今年もさっそく買って読みました。

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テレビでは、11日(日曜日)からNHKスペシャルで、
「シリーズ 女と男 最新科学が読み解く性」が始まる。

近くて遠い? 遠くて近い?? おんなとおとこ。
見逃さないようにしましょう。

NHKスペシャル|シリーズ 女と男 最新科学が読み解く性
3回シリーズで見つめていく、私たちの物語。 2009年1月放送予定


     番組概要
人間の基本中の基本である、女と男──。
 ところが、それは未知なる不思議に満ちた世界。

・受精したばかりの胎児はすべて女の子で、たった一つの遺伝子によって男へと作り替えられる。
・その過程でおよそ三千人に一人は「両性具有」として生まれる。
・男女の違いは性器だけでなく、脳や寿命にまで及ぶ。
・男をつくる鍵となるY染色体はどんどん短くなっていて、1000万年後には消滅する──。

女と男は、どこがどう違うのか。なぜそんな違いができたのか。
そして、その違いにはいま、どんな意味があるのだろうか。
女と男の不思議を紐解いていくと、数百万年におよぶ弱肉強食の世界での熾烈な共存競争が浮かび上がってくる。

・肉食獣が闊歩するアフリカの大地。森という楽園を失った私たちの祖先。
・必死に命をつなぐため、私たちのなかに生まれていった仕組みが、女と男の違い。
・その仕組みはいまも、私たちの身体のなかで密やかに息づいている。
でも、そんな飢餓の世界を遠く離れ、私たちはこの地球に文明の都を築いた。私たちは、祖先とはまったく違う夢を追いかけはじめている。
自分らしく生きるという夢、あるいは自分らしく生きるパートナーを得るという夢──。

私たちの身体に潜む仕組みを越えて、私たちの心はどんな道を歩んでいるのだろうか。
「女と男」の仕組みを知ることは、その道のりを照らすひとつの灯りになる。


  ■第1回 惹(ひ)かれあう二人 すれ違う二人
1月11日(日曜)午後9時~9時49分

  1月11日(日曜)午後9時~9時49分
 男女はなぜ惹かれあうのか。
 脳科学はいま、恋のメカニズムを解明しつつある。その中心はドーパミンという脳内物質。快楽を司るドーパミンの大量分泌が恋する二人の絆となっているのだ。
ところが脳科学は同時に、皮肉な状況も浮かび上がらせている。高い代謝を要求するドーパミンの大量分泌は身体への負担が大きく、長く続かない。そのため、“恋愛の賞味期間”はせいぜい3年ほどだというのだ。実際、国連のデータでも、多くの国で離婚は結婚4年目にピークを迎える。

 なぜ4年程度しか恋のシステムはもたないのか。それはそもそもの起源と深い関係があると考えられている。もともと恋愛システムは、人間の子育てのために発達したという。二足歩行と脳が大きくなったために、人間の出産・育児は他の類人猿に比べても極端に負担が重いものになっている。そのため、子どもが確実に育つよう、いわば夫婦で協力して子育てするという仕組みを発達させたと考えられるのだ。つまり、子どもがつきっきりの世話が不要になる4年程度で、恋愛システムはその役割を終えるわけだ。

しかし、いまの男女関係は子育てのためだけにあるのではない。そこで、男女関係はどうすれば長続きするのかという科学的な探求がさまざま進められている。アメリカでは30年に及ぶ家族の長期研究を通して、長続きしない男女関係では、男女差が大きな障害になっている事実が浮かび上がってきた。たとえば、女は、相手の顔の表情から感情を簡単に読み解くが、男は必死に脳を働かせてもハズす。女が悩みを相談するとき、話を聞いてもらいたいだけなのに、男は解決策を示そうとしてしまう。

 こうした男女の違いは、長い狩猟採集時代の遺物ではあるが、無意識のなかに深く根ざしており、日常生活のなかで深刻な影響を与えやすいという。違いをちゃんと意識して、相手の気持ちを理解する努力が欠かせないのだ。
番組では、ワシントン州立大学の離婚防止のカウンセリングプログラムに密着し、「子育てを成し遂げる関係から、お互いの人生に影響を与え合う関係へ」と変わるなかの男女関係を描く。


■第2回 何が違う? なぜ違う?
1月12日(月曜)午後10時~10時49分

    1月12日(月曜)午後10時~10時49分

 男女平等の国・アメリカで新たな“男女区別”がはじまっている。
 小学校や中学校の義務教育現場で、男女別授業を行う学校が増えているのだ。成長期には特に男女差が出る。そこで、それぞれの性に合った教育をしようという試みなのだ。また、医学の分野でも、病気の男女の違いを重視する動きが広まっている。
 そうした動きの背景にあるのは、いま新たな男女差が次々と見つかっていることだ。特に、脳は性ホルモンなどの影響で男女の違いが意外に大きいことが最近になってはっきりしてきた。
 なぜ脳に男女差があるのか。そのヒントは、「同じことをしていても、脳の使いようが男女で異なっている」ということだ。たとえば、地図をたどっているとき、男は空間感覚を利用して地図を見るが、女は記憶や目印を手がかりに地図を見る。つまり、同じことをしていても両者が使っている脳の分野は異なっているのだ。脳が違うのは、「男女それぞれで得意なことが違う」ということなのだ。
 では、いったいなぜ、人間は男女で得意なことをわざわざ違うようにしたのか。それは「ともに生き延びる」ためである。長い、長い狩猟採集時代、ヒトの祖先はいつも飢えとの戦いのなかにあった。そこで役割分担をしていろいろな食糧を確保する生存戦略を採ったのだ。その結果、狩りを担当した男は空間感覚を磨き、収集を担当した女は目印を利用する能力を磨いたと考えられるのだ。その祖先の能力がいまの私たちにも引き継がれているというわけだ。
 その一方、思いがけない男女差も見つかっている。知能テストを解くときに使った脳の場所を調べたところ、男女で違っているらしいという事実が浮かび上がってきた。どうやらそれぞれが得意な能力を生かせるように、男女では脳のネットワークが異なっている可能性が高いのだ。狩猟採集時代とは違って、現代では男女の役割も仕事も生き方も多種多様である。そうした多様性にも対応できる柔軟性を私たちの脳は獲得していると考えられるのである。
 女と男の違いの最新研究を通して人間の歩んできた道筋をたどるとともに、医学や教育などではじまっている、男女差に注目する新たな潮流を描く。


 ■第3回 男が消える? 人類も消える?
1月18日(日曜)午後9時~9時58分

    1月18日(日曜)午後9時~9時58分

 性染色体がXXなら女、XYなら男。1億7千万年前に獲得したこの性システムのおかげで私たちは命を脈々と受け継いできた。ところが、この基本そのものであるシステムは、大きく揺らいでいる。じつは男をつくるY染色体は滅びつつあるのだ。専門家は「500万年以内には消滅する確率が高い」という。なかには、来週になって消えても不思議ではないとする意見さえある。
 そうした動きの背景にあるのは、いま新たな男女差が次々と見つかっていることだ。特に、脳は性ホルモンなどの影響で男女の違いが意外に大きいことが最近になってはっきりしてきた。
これはY染色体の必然的な運命だという。ほかの染色体は二本ペアになっている。もうひとつの性染色体のX染色体も母親の体内では二本揃っている。こうした場合、片方に欠損があっても、もう一方で補修できる。ところが、Y染色体は誕生以来、ずっと一本のまま、父から息子へと伝えられてきた。欠損を補修する仕組みがないため、長い間にY染色体には欠損が蓄積され、X染色体のじつに14分の1の大きさにまで小さくなってしまっているのだ。
 じつは「性染色体をつかって遺伝子できちんとオス・メスを決め、両者がそろって初めて子孫をつくる」というのは、私たちほ乳類が独自に獲得した方法だ。ほかの生物はメスだけで子孫を残せる仕組みを持っている。そのほ乳類独自のシステムが長くほ乳類の繁栄を支えた一方、いよいよその寿命が尽きようとしているのである。
 さらに人間の場合、Y染色体を運ぶ精子の劣化も著しい。これは生物学的に一夫一婦が長くなった影響だという。
 こうした性システムの危機に私たちはどう対応すべきなのか。自然任せに委ねるのか、あるいは人間の手で介入するのか。いわゆる人類初の試験管ベイビーが生まれてすでに30年、私たちは生殖補助技術をさまざまに開発してきた。そうした技術で将来、解決を図るという選択肢もありえるかもしれない。いずれにせよ、私たちは科学技術によって自然の仕組みを詳しく知ったことで、将来に横たわる危機を予め知る存在となった。それは、同時に自己決定をしなくてはならない生物になったことを意味しているのである。
 シリーズ最終回では、生殖技術をめぐる最前線もたどりながら、現在、性の揺らぎが引き起こしているさまざまな影響を追う。



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「岐阜県知事ボーナス上乗せ分返還」を求めて提訴しました。

2009-01-07 00:00:00 | 市民運動/市民自治/政治
昨日、岐阜地裁に
「岐阜県知事ボーナス上乗せ分返還」を求めて提訴しました。

マスコミも仕事始めだったためか、岐阜県知事選が近いせいか、
いつもは提訴で裁判所に入るところを撮るテレビカメラは一社も来ず、
記者会見会場の岐阜県弁護士会館には新聞記者が6人。



原告は県民ネットのメンバー6人。
選定当事者の寺町知正さんが、マスコミに説明をしました。

  

提出した訴状の全文(ワード版 94KB) 
訴状印刷用 PDF版8ページ 224KB 
原告・証拠説明書(1) 

「岐阜県知事等の期末手当の上乗せに関する住民監査請求」
の審査結果について(「てらまち・ねっと」2008.12.15)
 
  
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提訴に関する、今朝の新聞各紙の記事です。

  



 管理職手当上乗せ「違法」 市民団体が岐阜知事を提訴
産経新聞 2009.1.5

 岐阜県が知事と副知事のボーナスに当たる期末手当に、管理職手当を上乗せしているのは違法として、市民団体「くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク」(寺町知正代表)が5日、古田肇知事に平成19年12月から昨年12月までの上乗せ分計約470万円を返還するよう求める訴訟を岐阜地裁に起こした。
 訴えによると、岐阜県は2年の人事院勧告に基づき、知事と副知事の月給に管理職手当として20%を上乗せし、それを基準額に期末手当を支給。しかし知事らは管理職ではなく、県の給与に関する条例は地方自治法に違反するとしている。
 原告側は昨年11月に住民監査請求をしたが、12月に却下された。寺町代表は「上乗せは社会通念上許されない」と話している。
(産経新聞 2009.1.5)



新聞には、手回しよく、知事らのボーナスの上乗せについて、
「総理大臣や国務大臣などの特別職についても勧告に沿うという閣議決定が
90年にあった。県もそれにならった」との実質のコメントが出ていました。
ボーナスの上乗せが問題になると、全国に波及するから困るのでしょう。


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堺市住民監査請求の解説と評価/特定図書リストについての分析-補足

2009-01-06 09:32:08 | 「ジェンダー図書排除」事件
年末に届いた「監査結果」について、行政の仕事はじめの昨日、
堺市政記者クラブに監査請求の代理人の解説と評価を送りました。

監査請求は昨年11月4日に提出し、「60日以内」の期限が1月2日なので、
12月28日付で届いていたものです。

「特定図書排除に関する住民監査請求書 (堺市職員措置請求書)」PDF版

堺市「特定図書排除に関する住民監査請求書」の
監査結果が届きました。(2008-12-30)



            堺市住民監査請求・代理人事務局の解説と評価
                                    
                     2009年1月5日 寺町知正
             特定図書排除に関する住民監査請求書 
 2008年11月4日に提出した「堺市の特定図書排除に関する住民監査請求」の監査結果が同年12月28日付けで発せられた。全25ページであるが、大部分が私たちの住民監査請求書をそのまま再掲し、監査としては最後の約5ページである。
 監査結果の要点は次のように整理できる。

○「特定分野の図書であることを理由とした除籍及び廃棄は、行われていないし、監査請求の対象とされている図書が廃棄されていないことは監査委員においてもこの事実を確認している。」
○「本件図書は9月3日以降、18歳末満の者への閲覧及び貸し出しが制限されていたが、11月14日にはこれらの制限が解除された。」
○「以上のことから、請求人が住民監査請求の対象とした事実は、存在しなくなったものと認められる。」。
○「3 結 論   以上のとおり、請求人が住民監査請求の対象とした事実は存在しなくなったと判断される以上、本件の住民監査請求は主張の前提を欠くこととなり、請求人の主張を検討するまでもなく理由がないものと判断される。」

 この監査結果を平たく言えば、住民監査請求のときには市民が心配した状況は存在した、しかし、それら懸念される事態は、その後、なくなったので請求は「棄却」する、ということである。
 裏返せば、住民監査請求しなければ、「特定図書の排除、廃棄」という懸念された事態がんどん進行していったという可能性が極めて高いといわざるを得ない。

 なぜなら、監査委員が時系列で経過をまとめているように、館長会議などで「BL図書に該当すると思われるものについて、閉架(書庫入れ)し、今後は収集しない、18歳未満の者には貸出ししない」と正式に意思決定していたからだ。

 しかも、司書らの主観による極めて曖昧な「BL図書に該当すると思われる」と特定した5千数百冊を一括してその扱いにしていくことも固まっていたと考えられる。

 従前の図書館側の説明では、「やおい小説の取り扱い基準」に従ってBL図書を書庫にいれただけという旨だった。その後、「館長会議において、これまで書庫内の一定の書棚にまとめていた図書は、一般図書として取り扱うことを確認」ということで収まった。
つまり、図書館において、実質的に「やおい小説」「ボーイズラブ」等という概念や認識をなくし、一般図書と同様に扱うことにしたということになる。

 今回の経過と監査結果について、私たちは、当初の期待通りの内容であり、住民監査請求は形としては「棄却」だったが、特定図書の排除が反省され、見直されたのだから、住民監査請求を提起した所期の目的は達せられた。

 つまり、「(監査の)結果は負け」であるが「(全体の)結論では勝った」。

---------------------------------------------------
       堺市住民監査請求・代理人代表の住民監査請求の際のコメントの再掲

 どんな理由があれ、公共の図書館における図書の排除や検閲はゆるされない。
情報公開と表現の自由は民主主義の基本だ。
 たとえ反対意見であってもそれを発表する自由を守るというのが、「表現の自由」だ。
 わたしたちは福井県の図書排除事件以来、情報公開と表現の自由のために闘ってきた。
 日本中、どこで同じようなことがあっても、闘うだろう。
 図書排除の要求をした関係者の図書館行政への不当な介入と、その要求を受けいれた堺市の不見識とに猛省を促したい。

2008年11月4日        
                  上野千鶴子  東京大学大学院教授
                  「ジェンダー図書排除」究明原告団・代表

《以上、本件住民監査請求関係の問い合わせや連絡先》
寺町知正 Tel/fax 0581-22-4989)



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「特定図書排除に関する住民監査請求」について、12月9日の陳述で
図書リストを分析した「補充書(意見書)」を提出したのですが、
提出に間に合わなかった意見が届きましたので、
補足として、以下に紹介します。

特定図書リストについての分析-1(12/31)

特定図書リストについての分析-2(12/31)

特定図書リストについての分析-3(12/31)


上記、 特定図書リストについての分析の続き(補足)です。

(特定図書リストについての分析-補足)
特定図書排除に関する住民監査請求  補充書・補足

 11月の住民監査請求補充書に対し、提出後にお寄せいただいたご意見を補足でしるしておく。
 基本的には、補充書の第3節の項目に対応させて分類した。
 前回の補充書では、該当する項目がなかったものは、「補足」として項目番号をつけている。口頭でいただいたご意見は、ご本人の了承を得て、熱田がまとめなおしている。

 <選定基準に一貫性が無い> 
補足1・90年代前半以前にハードカバーで出版された「耽美」・「BL」書籍が全く指定されていない
 

 「90年代前半より以前に,ハードカバーで出版された耽美・BL書籍」が、ほとんど指定されていない。具体例を挙げれば、吉原理恵子『間の楔』(1990年、光風社出版)、栗本薫『翼あるもの』(上下巻ともに1981年出版、文芸春秋)、栗本薫ほか共著の『紫音と綺羅』(上下巻ともに1990年、光風社出版)等が指定されてない。いずれも、男性同性愛を取り扱っているだけではなく、比較的激しい性描写がある作品である。
(金田淳子様メール)

補足2・ハードカバー版では指定されず文庫版が指定されている本がある。 

 文章は全く同じで、出版社と出版形態が変化し、イラストがついたというだけで、指定された本がある。具体的には、栗本薫『元禄無頼』(1985年の光風社出版では指定外,1993年の角川ルビー文庫版で指定)である。
(金田淳子様メール)

<「BL」という無定義なジャンル概念を、無理に、恣意的な基準でくくろうとしたことによる問題> 
(10)「文学」は指定されず、「ライトノベルズ」など若者向けジャンルのみが指定されている

 同性愛のセックス描写が直接的だが、いわゆる「文学」として流通しているものが指定外になっている。
 比留間久夫『YES・YES・YES』、ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』、ジョン・フォックス『潮騒の少年』などの作品である。
三島由紀夫,大江健三郎の作品で同性愛を取り扱い、性描写のあるものなども、指定外にされている。例えば三島『禁色』、大江『宙返り』など。

<「過激な性描写」を理由に「BL」を排除することの恣意性>  
(13)性描写の程度による振り分けがなされていない

 ルビー文庫の作品で、指定されてないが,同性愛のセックス描写の過激なものがある。
 尾鮭あさみ『舞え水仙花』(1992年),『悪名西遊記』(1994年)などである。おそらく、イラストだけを見ると、片方の男性キャラクターが女性キャラクターであるように見えて、男女のカップルであるように誤読されたからだと思われる。
また、桑原水菜『炎の蜃気楼』シリーズ(1990~、集英社コバルト文庫)が全部指定外となっている。男性どうしのカップルが大きな主題となり、性描写も克明に描かれた作品である。
(金田淳子様メール)

図 1・『舞え水仙花』表紙

 金田様がご指摘くださっている、『炎の蜃気楼』シリーズは、今回分析対象とした911リストの前段階、821リストで、外伝の『真皓(しろ)き残響‐夜叉誕生』(外伝1)のみが指定対象となっている。この指定は911でははずされた。しかし、『真皓き残響‐夜叉誕生』は、同シリーズの中でも、表紙、挿絵、本文ともに一切の男性同士の性描写がない作品である。(形状はソフトカバーの単行本で、他の作品がコバルト文庫の文庫形態をとっているのと少々異なる)
『炎の蜃気楼』シリーズでは、男性主人公と彼の家臣である男性の間の、性描写を伴う恋愛が描かれている。ただしこの性描写は、彼らの関係の進展にともなって徐々にその度合いを深めていくもので、全40巻(+外伝6巻)のシリーズ中盤以降にならないと、キスや、抱擁以上の性行為はでてこない。(主人公の過去のトラウマとして、被レイプ体験が断片的に語られる部分は若干ある)何故彼らが、執拗なまでに互いの気持ちを受け入れられないのかが、シリーズ前半の要となっているためである。反面、シリーズ後半では、官能的な描写が増えてくる。堺市図書館では、同シリーズを計73冊所蔵しており、無論、中には性描写のあるシリーズ後半作品も含まれる。(2008/12/10、堺市図書館蔵書検索調べ)
 何故、性描写のあるシリーズ後半作品が指定されず、この本が指定されたのか。また、何故この本が911リストからははずされて、補充書3節(6)(7)(8)などであげられたような、性描写のない他の作品がリストに登録されたままなのか。どちらの理由も全く不明である。(さらに言えば、8月21日リストよりもさらに精査されたのが9月21日リストであるならば、本書がはずれるかわりにシリーズ後半の性描写が濃厚な作品が入ってこなければおかしい)
 外伝の挿絵作家・ほたか乱氏が、「BL」的な同人誌を描いていることから(ほたか氏の作品が「過激な性描写」だということではない)、性描写のないこの本まで一度指定され、後ではずされたのだろうか? だとしたら、指定した人物は相当な「BL」通である。
もしくは、たんに、同書・同シリーズについて全く知識のない人物が、「男性二人が描かれた漫画絵」が表紙=BLである、という偏見に基づいて指定した結果の誤解なのかもしれない。
(口頭で複数のご協力者様から寄せられた意見を、熱田がまとめたもの)

図 2・『真皓き残響―夜叉誕生』表紙

(15)男女間の性描写がある、ヘテロ男性読者向けの本は性行為の度合いにかかわらず今回指定がない・補足 

 指定されているBLと同程度に「過激」な異性愛セックス描写については、全く野放しになっている。このような作品は枚挙にいとまがないが、たとえば菊地秀行による一連の作品群(『魔王伝』など)では、強姦、三人以上でのセックス、18歳未満の男女のセックスなどが、一冊の作品につき必ず複数回、描写されている。
また、セックス描写どころか、暴力的・強制的な身体改造にまで踏み込んだ作品として、沼正三『家畜人ヤプー』などがあるが、指定されていない。BLの排除理由に「子どもが衝撃を受ける」という仮定があるとしたら、男性の顔面を女性器に作り変える、人糞を人間に食べさせるというような描写が無数にある『ヤプー』のほうが、子どもが衝撃を受けると思われるが、どうか。
(金田淳子様)

 不思議なことに、今回、補充書3節・(10)であげた同性愛文学作品は、堺市では殆どが書庫などに置かれているのに対し、こうしたヘテロセクシュアル男性向けの「官能小説」(?) は、その多くが開架に置かれている。(2008/11/7、12/10堺市図書館蔵書検索調べ)(熱田)



今回、堺市は、わたしたちからの住民監査請求を受けて、
「やおい」「ボーイズラブ」という概念をはずして「一般図書」としました。

とはいえ、「表紙、挿絵、イラスト等で過激なもの」という基準はなくさず
5706冊を一冊ずつ精査したようですが、どの本を残して、どの本を開架に
移動した(戻した)かは、現時点では判明していません。

陳述時の図書館の説明によると、4500冊は元々閉架にあったそうで、
1000冊ほどが、貸し出しが多かったので書棚に出ていたとのこと。
年末の報道によると、「過激なもの」?は100冊程度と推測できますが、
残りは「一般図書」として開架に戻した、ということでしょうか。

図書館側は、すみわけをしたつもりかもしれませんが、
「表紙、挿絵、イラスト等で過激なもの」とするなら、
図書リストの分析のなかでも問題点を指摘しているように、
対象になる本は、異性愛も含めて、189万冊の蔵書にあると思います。

「過激なもの」の基準は、どこで線引きしたのでしょう。

すべての資料を精査するつもりなのでしょうか。
そうでなければ、特定図書だけを対象に線引き(ゾーニング)したことになり、
図書館の対応は矛盾し、さらに問題点は残ります。

ということで、
この問題は一件落着というわけにもいかないようです(笑)。

関係者のみなさま、今年もよろしくお願いします


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『女ともだち』遥洋子『おひとりさまの「法律」』中澤まゆみ&「ケアの社会学」上野千鶴子(at14号)

2009-01-05 06:00:00 | ジェンダー/上野千鶴子
年末に「法研」の編集者の弘さんから、
できたての遥洋子さんの最新刊『女ともだち』が届きました。

この本には、故木原光知子さんや上野千鶴子さんも、
「師と仰ぐ女ともだち」として登場。
わたしは、遥さんのファンで、日経BKの連載コラム
遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」
愛読しているのだけど、このコラムを書くことになった
いきさつ(だと思う)もちゃんと載っています。

遥洋子ねっとわーく
本音でつきあえるのは、
夫でも子どもでもなく
あなたの隣にいる
心をゆるせる女ともだち
 
何はなくとも『女ともだち』、笑って泣いて、
そうそう、と共感するところの多い本です。

   
 
いっしょに 『おひとりさまの法律』(中澤まゆみ著)も届きました。

この本はいわずと知れた上野さんの『おひとりさまの老後』の法律(姉妹)編。
帯には、しっかりと、上野さんからのメッセージ。

 おひとりさまになってしまったあなた、
  おひとりさまになりたいあなた、
      ずぅーっとおひとりさまのあなた、
         法律は武器にも凶器にもなる
法律をつよーい味方につけて、
老後も死後ものりきろう

       上野千鶴子 東京大学大学院教授


おひとりさまの「法律」 [著]中澤まゆみ
2008年11月26日 朝日新聞 
■まさかにそなえ、一家に一冊

 ある日突然、夫を脳梗塞や心筋梗塞(こうそく)で亡くしたら、長年、考えていた離婚に踏み出そうと決意したら……。人生、何が起こるかわからない。
 もともと独身は当然のこと、死別、離別をすれば、みんな最後は「おひとりさま」になる。超高齢社会の日本では、65歳以上の女性の5人に1人は「おひとりさま」だ。
 本書はそんな「おひとりさま予備軍」を、強力にサポートするお役立ち本だ。たとえば夫が急死したときの葬儀から相続が「争続」になったとき、離婚の際の難題、お金、健康、老後の問題など、いざというときに慌てふためかないために社会の決めごとを知っておくに越したことはない。法律や制度を扱った本はあるが、難しいものが多い。が、ノンフィクション・ライターと弁護士(法律監修)のコンビによる本書は、徹底した当事者目線。施設に入居するとき、また手術のとき、成年後見制度の手続きや遺言を書くときの事例や体験をふんだんに取りあげている。それぞれに相談窓口やホームページの紹介もある。「知っていると知らないとでは大違い」、不安解消、知らなくてソンしないためにもおすすめ。自分の人生は自分で決め、「怖い老後」ではなく「明るい老後」を、というメッセージが聞こえてきそうな一冊だ。
    ◇
小西輝子 法律監修
(2008年11月26日 朝日新聞)


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 偶然ですが、年明けの新聞を読んでいて、
『おひとりさまの法律』(中澤まゆみ)・『女ともだち(遥洋子)』
と『おひとりさまの老後』と三冊並んだ「法研」の広告を見つけました。
三冊とも弘さん編集の本なので、うれしくてすぐに切り抜きました。

 

二冊の本は、年末からわが家に泊まりに来ていた母が、
真っ先に手に取り、帰るまでに完読しました。

「遥さん、上野さんのおともだちなんだって」とか、
「わたしも、ゆいごん書いとかなくちゃ」といいながら
「おひとりさま」ぐらしに戻って行った母は、
昨年入院中に、
『おひとりさまの老後』のサイン本をプレゼントしたので、
いまでは、すっかり上野さんのファンです(笑)。

上野さんからも年末に、連載中の「ケアの社会学」、
「第12章 ふたたびケア労働をめぐって--
グローバリゼーションとケア」(『at』14号)と、
  
NHKブックス別巻『思想地図』Vol.2、「特集・ジェネレーション」の
ロングインタビュー「世代間対立という罠」のコピーが届きました。
  

『at』は、「ケアの社会学」の連載を楽しみに読んでいるのですが、
まだ買ってなかったので、うれしいです。
 ●季刊[あっと]14号 
●オルター・トレード・ジャパン/『at』編集室編
●950円+税 太田出版
 

届いたコピーは、年末にざっと読んで目からウロコ、
年が明けてから、あらためてじっくり読みました。
どちらも内容が、濃くて読み応えがあり、
読めば読むほど、かめばかむほど味があり、
いろいろと考えることの多い年のはじめです。

昨年、最後のお届け物。

福井から帰ってきたら「不在票」が入ってて、
『世界日報』から、特集「公立図書館のBL本(1)~(10)」
が載っている新聞が、二部ずつ届いていました。

 

この特集には、上野さんとわたしが、実名の名指しで載っているので、
同じ日に届いた堺市の監査結果といっしょに、
上野さんにお送りすることにしましょう。


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お正月の新聞各紙の社説/命と人間を大切にする社会を!

2009-01-04 14:53:27 | ほん/新聞/ニュース
年が明けて四日目。
何をするともなく、本を読みながらぼんやり過ごしている。

そろそろ、1月末の「議員のためのスキルアップ講座」の参加者に
課題のお知らせしないといけないな・・・
とおもいながら、まだお仕事モードになりません。

わがやは新聞を5紙とっているのて、元旦に新聞をおもむろに読む
のだけど、合間にお雑煮を作って関係者と飲み食いしてるうちに夜になり、
翌日は、ケーキを買いに外出して、お客様と話しているうちに日が暮れて、
そうこうするうちに、昨日と今日の新聞もたまってしまい・・・・
ドサッと届いた正月の新聞をやっと全部読み終えた。

例年、新年の社説はスケール大きく抱負などぶち挙げるのだけれど、
今年は、年末からの不況の影響で「等身大」の社説が多い。

天下国家を語るより、「いのちを大事にしよう」というほうがわたしは好き。
読み比べてみると、中日の社説がいちばん好感がもてる。

とはいえ、
社会を「人間中心」に転換するためには、政策や転換することが不可欠。
どの社説も、締めくくりは、「政治を変えよう」である。

今年は衆議院選挙の年。
どんな政治を選択するかで、わたししたちの、いまとこれから、が決まる。


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【社説】人間社会を再構築しよう 年のはじめに考える 
2009年1月1日 中日新聞

 世界大不況の危機克服が最大テーマの年明けです。この百年に一度の歴史からの挑戦に叡智(えいち)を結集しなければなりません。未来世代のためにも。
 進展するグローバル経済の市場原理主義と競争社会に傷つき倒れる人が続出したということがあります。私たちが社説で訴えてきたのは人間中心の社会でした。
 年のはじめの社説も二〇〇七年が「新しい人間中心主義」、〇八年が「反貧困に希望が見える」。貧困問題に取り組む社会活動家たちへのエールでしたが、事態の悪化は想定を超えるテンポでした。

   奈落への渦巻き現象
 いつの間にか全労働者の三分の一の千七百万人が非正規雇用、年収二百万円以下の働く貧困層が一千万人。若い世代から「結婚もできない」の悲鳴が聞こえます。
 雇用情勢も底抜けしたような不気味さです。厚生労働省の昨年暮れの調査では、ことし三月までに非正規労働の八万五千人が失職か失職見込み。わずか一カ月前の調査に比べ五万五千人も増えて、歯止めがかかりません。
 かつては失職者を受け入れ癒やした家族や地域コミュニティーも今はその機能をもちません。余剰人員を抱えて頑張った企業も人員削減は加速させます。巨額な内部留保を積み増しながらです。生活に不安とおびえがあってはさすがの千五百兆円の個人資産も動きようがありません。
 日本は奈落への渦巻きに落ち込んでしまったのでしょうか。将来不安の貯蓄-消費冷え込み-企業業績悪化-さらなる雇用削減、これでは世界が壊れます。
 もちろん絶望は愚者の結論。どんな難問にも解決の糸口はあるはずで、財政学の立場から日本の未来について提言しているのは神野直彦東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授。著書の「『希望の島』への改革」(NHKブックス)ではモデルケースのスウェーデンの実践を紹介しています。

 希望は協力社会から
 神野教授によると、現在は重化学工業の時代が終わり、情報・知識産業を基軸にした二十一世紀の新しい時代が始まろうとしている産業構造の大変革期。混迷と混乱の世紀転換期でもあり、この「歴史の峠」は競争社会では越えられず、協力社会を築くことでやっと切り開けるのだと主張します。
 希望の協力社会とは、利他的行為が結局は自己の利益になるという協力の原理と思想が埋め込まれた社会。教授は財政再建と景気回復の課題に挑み「ストロングウェルフェア(強力福祉)」を実現したスウェーデンに日本の未来を重ねます。人間の絆(きずな)、愛情、思いやり、連帯感、相互理解が重んじられ生きている社会です。
 激烈競争のグローバル世界に高福祉高負担国家が可能なのか-この疑問には藤井威元駐スウェーデン大使が中央公論一月号の論文「スウェーデン型社会という解答」で、わが国の一般的な受けとめ方には全く根拠がなく、適度な高負担を伴う高福祉システムの実現こそ最も望ましいと考えるに至った理由を詳述しています。
 スウェーデン国民の税・社会保険負担は所得の七割にのぼりますが、民主化された地方自治体が提供する親切安心充実の育児、教育、介護サービスは負担の重さを感じさせないようです。国民の需要は、教師、介護士、保育士などの新たな雇用創出となり、失業や景気対策、地方間格差解消とさまざまな効果で国を元気づけているようです。
 日本はどんな社会をめざすべきか。宗教や歴史、政府への信頼の度合いもあるでしょうがスウェーデン型は検討に値します。日本もまた結いの心や惻隠(そくいん)の情、相互扶助の文化と歴史の国だからです。

 〇六年七月、OECD(経済協力開発機構)は、日本が異様な格差社会で、母子家庭で悲惨さは先進国中最悪などと指摘します。企業が日本型経営を捨てた後、政府の小さな所得再配分機能だけが残った結果でした。
 人間社会は弱者が救われるだけにとどまらず、ふつうの人々が安心し恩恵を受ける社会でなければなりません。人間が部品扱いされる労働システムや法は変えられるべきですし、女性が安心して出産し働ける育児サービスや教育、団塊の世代のための介護など高齢福祉の充実も当然で、貧困問題などあってはならないことです。

 監視と参加が変える
 危機の時代に臨んで米国民は初の黒人大統領を選出、今月誕生の新大統領は五百万人の雇用創出の資源エネルギー革命構想を打ち出しています。
 「人間社会」の再構築は急務でわれわれも一歩を踏み出すべきです。そのためにはどんな社会をめざすのか、政治に何を求めるのか意思表示と政治への監視と参加がいります。
(2009年1月1日 中日新聞)
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【社説】歴史的選挙に備えたい 年のはじめに考える
2009年1月4日 中日新聞

 総選挙の年を迎えました。有権者の一票で、政権交代だって起こり得ます。目を覆いたくなる迷走が続く政治。その末にやってくる歴史的局面です。
 未曾有の「雇用切り」が社会問題化しています。会社経営経験のある麻生太郎首相はもしかしたら“率先垂範”したのでしょうか。衆院解散は四百八十人の議員を解雇するようなものだと慎重姿勢を示し、伝家の宝刀をついに昨年抜きませんでした。
 しかし、今年は解散があろうがなかろうが、秋までに全員がクビになります。九月に議員の任期満了を迎えるためで、職場復帰には総選挙に勝つしかありません。

 国会は大波乱必至
 総選挙の前哨戦となる五日召集の通常国会は、自民党幹部いわく「民主党との何でもありの戦い」の始まりです。与党の至上命令は第二次補正予算と二〇〇九年度予算の早期成立であり、関連法案は衆院再可決で中央突破する方針。「解散の『か』の字も考えずにひたすら予算成立へ努力するのが首相の考えだ」-。普段は地味系の河村建夫官房長官も強気です。
 厄介なのは後ろから鉄砲玉が飛びかねないこと。例えば二次補正には評判の悪い定額給付金が盛り込まれ、自民党若手に不満がくすぶります。十七人の造反で再可決に必要な「三分の二」を割り込みます。
 昨年の衆院解散要求決議案で麻生批判の急先鋒(せんぽう)である渡辺喜美氏が造反しました。「第二、第三の渡辺」が現れて予算関連法案の成立が阻まれれば政権は失速。取りざたされる〇九年度予算成立後の解散はおろか総辞職の可能性もあります。20%前後の内閣支持率の下落が続けば、多数の鉄砲玉が飛びそうです。
 ここは考え時。民主党が要求する通り、給付金部分を分離して二次補正を提出してみてはどうですか。頼みの綱の「三分の二」以上の勢力も、〇五年の郵政選挙がもたらした「遺産」であることを忘れてもらっては困ります。

 液状化と曲がり角
 渡辺氏の動きばかりではありません。小泉改革路線の堅持を主張する自民党の中川秀直元幹事長は政策勉強会を立ち上げ、加藤紘一、山崎拓両元幹事長らも民主との接近がうわさされています。
 総選挙を前にした液状化現象。自民ならぬ「自分党」といった趣でしょうか。総選挙は「ポスト麻生」で、との話すら出ています。
 全国各地に広がるのは「一度民主にやらせた方がいい」との声。そんな中で、体力が弱まる後援会組織や各種支持団体を固める従来型戦術では、苦戦は避けられそうもありません。
 昨年末には自民党の選挙責任者である古賀誠氏が「公明切り」に言及したとされる騒動も。創価学会を支持母体とする公明党との間に吹くすきま風は身に染みそうです。公明にしても支持者の麻生離れをどうするのか。連立十年目。曲がり角の時かもしれません。
 民主はどうでしょう。一昨年の参院選圧勝後、大連立話のゴタゴタはあったにせよ政権に手が届くところまで来たのは確かです。共産党が三百小選挙区のうち百五十程度に候補擁立を絞ったことも民主に有利に働くとみられます。
 しかし、民主政権待望論には相変わらず「自民ではダメだから」とのただし書きがつく点を重く受け止めるべきです。民主党支持率は必ずしも伸びていません。
 政権交代後、四年で実現する政策の工程表を盛り込んだマニフェストも、財政の裏付けがないとの批判にさらされています。焦点の雇用問題でも、アピール度は共産党に押され気味。
 このまま行けば勝てるからと「守り」に入れば、追い風も弱まるでしょう。
 選挙後の政権枠組みで見逃せないのは社民、国民新の消長。与党と民主ともに過半数に達しない場合、平沼赳夫氏らの無所属グループの「数」がキャスチングボートを握る可能性もあります。選挙後に自民、民主を巻き込んだ再編という、それこそ政界液状化という事態もないとはいえません。

 皆で政治を正そう
 百年に一度の金融危機に、昨年の日本政治は漂流を続けました。国民の信任を受けた正統な政権でないと国難のかじ取りはできないのに、それが封じられたからです。震源地の米国で変革を唱えたオバマ次期大統領が選出される光景はうらやましくもありました。
 政権担当者が立ちすくむなら、私たちがこの国の針路を決める番です。政党政治には歴史的舞台にふさわしいマニフェストづくりが求められます。
 そして私たち自身も考えてみる時です。苦境をはね返し未来への希望を見いだす方策を。その視点から各党公約をチェックする。そんな積み重ねを、政治を正す道につなげる一年にしたいものです。
(2009年1月4日 中日新聞)



混迷の中で考える―人間主役に大きな絵を 何という年明けだろう。
2009.1.1 朝日新聞

 100日余り前に米国の繁栄の象徴ウォール街を襲った激震は、同じニューヨークの世界貿易センタービルを崩落させた9・11テロをしのぐ破壊力で、地球を揺さぶり続ける。
 お金の流れが滞って、消費も投資も貿易も縮む。経験したことのない経済の急降下。主要国の株は半値になった。先行きへの心配が企業や消費者の心理を凍らせ、デフレ不況へのおののきが世界に広がる。

■市場の失敗の大きさ
 だが、ここはあわてずに深呼吸してみよう。この危機の意味を考え、それを次の時代への手がかりにできれば、不況を乗り越える力ともなる。
 人々を豊かにするはずの自由な市場が、ときにひどい災禍をもたらす。資本主義が本来もっているそうした不安定性が、金融規制を極限まで緩めたブッシュ政権の米国で暴発し、グローバル化した世界を瞬く間に巻き込んだ。それがこの危機だ。
 今年は、ベルリンの壁とともに東西の冷戦秩序が消滅してから20年になる。地球は一つの市場となり、お金、モノ、そしてITによる情報の流れが豊かさと便利さをもたらした。
 このグローバル化を牽引(けんいん)したのが米国だ。株主や投資家の利益を何より重視する。働く人の暮らしや企業の責任よりも、お金を生み出す効率を優先する。1970年代からレーガン革命を貫いて今日に至る「新自由主義」の考え方に支えられた市場のあり方は、世界にも広がった。
 それが行き着くところまで行っての大破局だ。気づいてみれば膨大な数の米国民が仕事や家を失い、社会の格差は広がり、国の象徴だった自動車をはじめ、製造業は見る影もない。
 人間や社会の調和よりも、利益をかせぎ出す市場そのものを大事にするシステムの一つの帰結である。

■格差と貧困の広がり
 この間、日本では何が起きたか。
 バブル崩壊後の不況脱出をめざし、米国流の市場原理を重視した規制緩和が本格化してほぼ10年。小泉構造改革がそれを加速した。その結果、古い日本型の経済社会の構造がそれなりに効率化され、戦後最長の好景気と史上最高水準の企業収益が実現した。
 だが、同時に現れたのは思いもしなかった現実だ。声高な自己責任論にあおられるように貧富の差が拡大し、働いてもまともな暮らしができないワーキングプアが急速に広がった。労働市場の規制緩和で、非正規労働者が働く人の実に3割にまで膨れ上がり、年収200万円に満たない人が1千万人を超えてしまった。
 かつて日本社会の安定を支えた分厚い中間層はもはやない。
 しかも、財政再建の下で雇用保険をはじめ、医療や公的扶助といった「安全網」は細るばかり。いったん貧困の罠(わな)にはまると抜け出せない。それがありふれた現実になった。そこを今度の危機が直撃した。
 こうした現実はしっかりと直視しなければならない。楽観は禁物である。しかし、いたずらに悲観論に陥ることも未来を見る目を曇らせる。
 「100年に1度の津波」。グリーンスパン前米連邦準備制度理事会議長の言葉を多くの人が引用する。だが、たじろぐ必要はない。なぜなら、私たちの国は過去1世紀半近い間に、それこそ国がひっくり返る危機に2度も直面し、克服してきたからだ。
 「一身にして二生を経るが如(ごと)し」と言ったのは、封建の徳川の世と、明治の文明開化とを生きた福沢諭吉だった。軍国主義の帝国日本が滅び、民主主義の新生日本を築いたのは、わずか60年余り前のことである。いずれの場合も、私たちは大規模な変革を通して危機を乗り越えた。

■たくましい政治が要る
 いま直面しているのは、世界的な金融システムの行き詰まりと、様々な矛盾を抱えて立ち往生している国内の経済財政システムの行き詰まりとが重なった、複合的な危機だ。その克服は、もういちど日本を作り直すくらいの大仕事になる。しかも、黒船や敗戦といった外からの力によることなく、みずから知恵と力で、この荷を背負わなければならない。
 国民が望んでいるのは、小手先の雇用や景気対策を超えた大胆なビジョンと、それを実行する政治の力だ。
 ひたすら成長優先できた時代がとうに終わり、価値観が大きく変化するなかで、どんな国をつくっていくか。それは「環境大国」でも「教育大国」でも「福祉大国」でもありうるだろう。将来を見すえた国づくりに集中して資源を投下し、雇用も創出する。そうしたたくましい政治が要るのだ。
 世界の秩序も、これまでの米国一極支配が終わり、中国やインドを含む「多頭世界」が現れつつある。経済危機に対処し、地球環境を守るための国際連携がますます重要になる。政治はおちおちとしていられない。
 米国民は、市場原理主義と金融バブルで生じたゆがみを是正する役目をオバマ次期大統領に託し、彼と肩を組んで危機を乗り越えようとしている。
 日本でも、今年の総選挙がそうした場になるだろうか。冷戦後の20年間、バブルの絶頂からこの不穏な年明けまで翻弄(ほんろう)され続けた日本。有権者の視線はかつてなく厳しいはずだ。
(2009年1月1日 朝日新聞)



急変する世界 危機に欠かせぬ機動的対応、政治の態勢立て直しを
(1月1日付・読売社説)


社説:09年チェンジ 衆院選の年 いよいよ国民の出番が来た
(毎日新聞 2009年1月4日)
 


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<年越し派遣村>厚労省講堂なども開放/あなたもカンパを!

2009-01-03 18:45:05 | 市民運動/市民自治/政治
ぽかぽかと日差しが暖かかったので、庭に出て、
しだれ梅の下の草取り。今年の初仕事です。

しだれ源平花桃の下には、クリスマスローズのつぼみ。
  
じゅんばんに枯れ草をとっていったら、
ロウバイが咲いていました。


  

地味だけど味があるびわの花もひっそりと咲いています。
  

  
今年はけっこう大きな木になっているので、
初夏にはびわの実が取れるかも、と期待しなから撮りました。


猫の手のような三椏のつぼみと、満開のサザンカ。
 

今年の庭の初撮りです。

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2008年の年の瀬は「派遣切り」が社会問題になり、
無事に年を越せるようにと、日比谷公園に<年越し派遣村>ができました。

日比谷公園の「年越し派遣村」の開村式の映像(小林アツシ氏) 

300人もの人が集まって、厚生労働省の行動も開放されたとのこと。
寒さはこれからが本格的。

年越し派遣村へ続々、300人突破 厚労省が講堂を開放 
2009年1月3日3時24分 朝日新聞

 「派遣切り」などで仕事と住まいを失った人を対象にした東京・日比谷公園の「年越し派遣村」に、労働者が続々と詰めかけてパンク状態となり、近くにある厚生労働省は2日、要請に応じて省内の講堂の緊急開放に踏み切った。約250人が講堂に移った。
 労働組合や市民団体などでつくる実行委員会の想定の倍近い約300人が集まり、用意したテントが足りなくなったため。昨年末から急激に切迫した雇用問題は、中央官庁が職を失った人を庁舎に迎え入れる異例の事態になった。
 大みそかの開村後、入村者は増え続け、2日午後6時現在で304人に達した。労働者らは午後10時半ごろまでに、実行委から支給された布団や身の回りの品を手に庁舎へ。5日午前9時までの滞在が認められた。
 昨年12月に派遣の仕事を解雇され、約3週間、都内の公園のトイレで雨露をしのぎ、派遣村に来た男性(53)は「やっとゆっくり眠れる」とほっとした表情を見せた。ただ、「国は、経済状況が悪くなれば、仕事がなくなる人が出ることを分かっていたと思う。もっと早く手を打っておくべきだった」と苦言を呈した。
 舛添厚労相は2日夜、「人道的観点から開放することにした」と説明、「政府として全力で自治体と協力し救済にあたる」と話した。
 実行委は同日午後、寒空の下に労働者が放り出されては命の危険があるとして、厚労省に施設開放などを申し入れた。実行委から相談を受けた民主党の菅直人代表代行も駆けつけ、舛添厚労相らに電話で対応を要請した。厚労省側は、舛添厚労相と大村秀章副大臣らが緊急避難的に講堂を開放することを決断した。
 派遣村は経済情勢の悪化で非正規労働者が一気に苦境に追い込まれる現実を象徴する場所になった。「厚労省の足元で起きている悲惨な状況に知らんぷり出来なくなったのだろう」。村長の湯浅誠・NPO法人自立生活サポートセンターもやい事務局長は2日深夜の記者会見で行政の対応の遅さを批判した。
(2009.1.3 朝日新聞)


<年越し派遣村>へのカンパやボランテイァは、
ひきつづき受け付けています。

<年越し派遣村>
利用者、予想の倍 厚労省講堂なども開放

2009年1月3日 毎日新聞

 仕事と住居を失った非正規社員らを支援するために東京・日比谷公園に開設されている「年越し派遣村」の実行委員会は2日、入村者が予想以上に増えているとして、舛添要一厚生労働相に緊急避難所の設置・開放を要請した。これを受け厚労省は、5日午前9時まで庁舎内の講堂やトイレの一部を開放した。
 実行委によると、年末に派遣村が開設されて以降、入村希望者が相次ぎ、2日午後6時現在で予想の2倍以上となる304人(宿泊者274人)に達した。食料は提供できるが、テントが不足し一部は外の椅子に座り一夜を過ごしていた。
 入村者らは2日夜から、実行委などが都内を中心に集めたレンタル用の布団を厚労省の講堂に運び込んだ。この夜講堂を利用するのは約260人。布団を運び終えた男性(41)は「自動車マフラー製造の請負を10月末に解雇された。今まで2週間野宿で派遣村には初日から来た。寒い外と講堂は天と地の差だが、なぜ今さらという気がする。急に気が抜けて風邪をひいてしまった」と話した。
 東京都中央区も廃校の小学校2校の講堂を提供することを2日決めた。
 実行委によると、派遣村への相談件数は1日までに108件。村長を務めるNPO法人「自立生活サポートセンターもやい」の湯浅誠事務局長は「行き場を失った人が増えていることは異常で、行く場所を作るしかない。政府は人を路頭に迷わせた企業の責任も追及すべきだ」と話した。
 村へのカンパは800万円を超えたが、今後もさらに募る。問い合わせは臨時電話(090・3499・5244)、振込先はみずほ銀行銀座支店 普通2692964派遣村寄付金口座 弁護士棗(なつめ)一郎 【工藤哲】

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<生活支援>「年越し派遣村」東京・日比谷公園に開設 
2008年12月31日 毎日新聞

 仕事と住居を失った非正規社員らを支援する「年越し派遣村」が31日、東京都千代田区の日比谷公園内に開設された。派遣切りにあった100人以上の失業者らが各地から次々と集まり、年末年始を公園内で過ごす。360人を突破したボランティアらが5日までの開村期間中に1日3回の食事提供や労働相談を行い、宿泊場所も用意している。
 労働組合や市民グループで作る実行委員会によると、31日の入村者は129人。山口県で職を失った人や、所持金がなくなり、日比谷まで数時間歩いて来た失業者もいた。一部は年明けに生活保護の申請を行う予定という。
 「野垂れ死ぬかもしれないと思ったこともあるが、これでどうにか年を越せる。赤の他人にここまでやってもらえるとは」。群馬県の自動車関連工場の派遣契約を10月末に打ち切られ、11月中旬に寮を退去させられた男性(41)は、午前中のうちに入村し、少し安心したような笑顔を見せた。
 男性は、さいたま市や都内のネットカフェを転々とした後、公園で野宿しながら1日カップラーメン一杯で飢えをしのいできたが、所持金は数千円にまで減っていた。ようやく年明けまでの居場所が見つかり「来年は仕事を見つけ、お世話になった人に恩返しをしたい」と語った。
 開村式で、NPO法人「自立生活サポートセンターもやい」事務局長で村長を務める湯浅誠さんは「年末、年始の命を支える活動を通じ、労働者派遣法を中心とする『働かせ方』のおかしさを訴えていきたい」とあいさつした。
 カンパやボランティアなどの問い合わせは派遣村の臨時電話(090・3499・5244)へ。【東海林智、山本太一】



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