みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

岐阜県特別職退職金返還訴訟:昨日の岐阜地裁判決の記事/住民の訴え却下

2009-08-11 19:03:35 | 市民運動/市民自治/政治
早朝に地震があってびっくりしましたが、
久しぶりに晴れて、暑い一日になりました。

6月に梅を漬けたまま、8月になっても梅雨が明けず、
まったく晴れ間がなくて土用干しできなかったので、
「立秋」を過ぎましたが、梅を干しました。

合間に、洗濯を3回もして、お墓のお花の買いだしに付き合って、
お昼ごはんは、モレラ近くの「シンタイメンボー」で食べました。

「最強の味噌ラーメン」と
冷やし中華の大盛りです。


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昨日の岐阜県知事等退職金返還請求訴訟の判決について、
きょうの朝刊各紙の記事です。

【速報】判決は「却下」!「岐阜県知事等退職金返還請求事件」判決。
 

 前知事らに退職金 「不当」の訴え却下 岐阜地裁
読売新聞 2009.8.11

 2006年7月に発覚した県の裏金問題に絡み、梶原拓前知事や歴代の副知事ら常勤特別職計10人に支払われた退職金は不当として、市民団体「くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク」(事務局=寺町知正・山県市議)の14人が、古田肇知事を相手取り、計3億1700万円の退職金を県に返還させるよう申し立てた訴訟の判決が10日、岐阜地裁であった。野村高弘裁判長は「適法な監査請求を踏まえていない」として訴えを却下した。寺町市議は「門前払いの判決で納得できない」と控訴する意向を示した。
 判決では「条例の条文や県議会の一般質問などから、住民が注意して調査すれば問題性は監査期間内に知ることができた」とした。
 訴状によると、裏金問題が発覚した時点で、知事らの退職金に対する監査請求期間は過ぎていたが、隠匿行為などによって県民が請求期間内に知るすべがなかったとして、請求期間を超過したのは「正当な理由」と主張していた。
(2009年8月11日 読売新聞)

=====================================================================
知事退職金訴訟 返還の訴え棄却 
朝日新聞 2009年08月11日

 知事の退職金額などが県条例に明記されていなかったのは地方自治法違反だとして、県民14人が、梶原拓前知事ら歴代の特別職に払われた退職金計約3億1千万円を返還させるよう古田肇知事に求めた訴訟の判決が10日、岐阜地裁であった。野村高弘裁判長は「提訴の前提となる監査請求が期間を過ぎてからなされ、訴えは不適法」と述べ、請求を却下した。県民側は控訴する方針。
 訴訟の対象は、88年から05年2月まで計10人の特別職に払われた退職金。判決は、県民側が06年10月に訴訟と同様の趣旨でした監査請求について、「最後の支出から1年以上が過ぎているうえ、退職金の額などを条例で触れていなかったことは、もっと前の時期に知り得た」と結論づけた。
 県は監査請求後、条例を改正して退職金の額や算定方法を盛り込んでいる。
(朝日新聞 2009年08月11日)



中日新聞の記事が詳しいのですが、webにないので、タイプしました。
毎日新聞は、社会面です。

知事らの退職金返還訴訟 住民の請求却下 岐阜地裁
中日新聞 2009.8.11

 条例による退職金の支給根拠が明確でなかったとして、過去20年間の知事ら三役計10人に退職金の全額約3億1千万円の返還を請求するよう市民団体のメンバーが古田肇知事に求めた住民訴訟の判決が10日、岐阜地裁であった。
 野村高弘裁判長は「(法で提訴前にしなければならないとされる)住民監査請求の期限を過ぎた正当な理由がない」と請求を却下した。メンバーは「門前払いで納得できない」と控訴する方針。
 訴えていたのは「くらし・しぜん・いのち岐阜県民ネットワーク」の代表の寺町知正・山県市議ら14人。メンバーは支給根拠が条例にないことが2006年の県議会でわかったとして同年9,10月に住民監査請求した。
 判決は「条例は退職金が最後に支給された05年2月以前には、周知の事実とまでは言えないにしても、相当の注意力をもって調査すれば知ることができた」として、法の定める1年間の監査請求期間を過ぎる特別な理由は認められないと判断し却下した。
 14人が提訴した06年12月7日時点では、三役ら特別職の退職金について条例は「予算の範囲で支給することができる」と規定されているだけで金額の根拠が明確でなかった。県は同月14日に条例を改正し、知事の退職金を給与月額と在職月数に0.7を掛けた額と定めた。
(中日新聞 2009.8.11)

======================================================================
岐阜県特別職退職金返還訴訟:住民の訴え却下--地裁判決
毎日新聞 2009.8.11

 退職金の支給規定が不十分で違法だとして、市民団体が岐阜県の古田肇知事を相手取り、梶原拓前知事ら過去20年間の特別職10人に退職金計約3億1100万円を返還させるよう求めた訴訟の判決が10日、岐阜地裁であった。野村高弘裁判長は「提訴に必要な監査請求を経ていない」として訴えを却下した。
 訴えていたのは同県山県市の寺町知正市議が代表を務める市民団体「くらし・しぜん・いのち岐阜県民ネットワーク」のメンバー14人。当時の県条例は特別職の退職金を「予算の範囲内で支給できる」とするだけで、額と支給方法を条例で定めるよう規定した地方自治法に違反していると主張していた。
 野村裁判長は、提訴には退職金支出から1年以内の住民監査が必要と地方自治法が定めている点を指摘し、「訴えは不適法。(退職金支給の違法性など)争点を判断するまでもない」とした。
 同ネットワークは控訴する方針。【三上剛輝】
毎日新聞 2009年8月11日 中部朝刊



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静岡で地震!/赤、白、ピンク、満開のムクゲ 

2009-08-11 09:46:45 | 地震・原発・災害
今朝は大きなゆれで目が覚めた。
「じしん!」って、とび起きたら、
ともちゃんはすでに先に(わたしを残して)逃げていた・・・・と思ったら、
早朝から、朝焼けと虹を撮っていて地震にあった、とのこと。


西の空いっぱいに、きれいに虹が広がっている。
なにか地震と関係があるのだろうか。

家に戻ってテレビを見たら、地震は静岡県を中心に震度6-。

「震源地は駿河湾、深さは約20km、地震の規模(マグニチュード)は6.6」。
いまのところ、大きな被害ははなさそうだが、
地震の場合は、後からわかる被害もあるから要注意だ。
すぐ近くにある、浜岡原発は大丈夫なのか、ということも心配だ。

すぐに、ツイッターで地震のことを投稿しようと思ったが、またつながらなかった。
数日前からサイバー攻撃を受けているようだ。

ツイッターに攻撃、イラン大統領選と関連の見方も
朝日新聞 2009年8月7日10時59分

 【ワシントン=勝田敏彦】携帯電話やインターネットで短い「つぶやき」を自由に書き込める人気の交流サービス(SNS)のツイッターが6日、一時的に利用できなくなった。米国の運営会社によると、7月に韓国や米政府機関が受けたのと同じDoS(サービス妨害)攻撃と呼ばれるサイバー攻撃が原因。別のSNS、フェースブックも同日、接続しにくくなった。
 ツイッター運営会社はDoS攻撃に対する対策を行い、現在は使えるようになっているが、DoS攻撃は匿名性が高いため、誰が仕掛けたのかはわかっていない。
 ツイッターやフェースブックは、6月12日のイラン大統領選の結果をめぐり、テヘランなどの街頭で抗議活動をした人々が連絡を取り合う手段として使っていた。今回の攻撃が5日にあったアフマディネジャド大統領の2期目の就任宣誓式の翌日だったことから、関連を指摘する声もある。
 英BBCは6月、イラン大統領選直後の同月中旬、「米国務省がツイッター運営会社に対し、イランの昼間の時間帯にサービスが中断することがないようメンテナンス時刻を変更するよう要請した」と報道。しかし、運営会社のイーバン・ウィリアムズ最高経営責任者は最近、BBCの番組でこの報道内容を否定し、国務省からの要請は受けていないと説明していた。
 DoS攻撃は、多数のコンピューターから狙いをつけたコンピューターに一斉にデータを送りつけ、処理能力を奪い、サービス不能に追い込むもので、サイバー攻撃の手法としては一般的なもの。
(朝日新聞 2009年8月7日)



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7月のはじめから咲き始めた、むくげの花。
数年前に植えた木が大きくなりました。
むくげは、朝咲いて夕方しぼむ一日花なのですが、
毎日数百個の花をつけています。

満開のむくげ(ピンクに赤)








東のならびに、八重赤花と一重白花も咲いていています。


  




おひさまが大好きな、夏の一日花。
とっても、きれいです。

   
ムクゲの南の畝には蜂蜜のようにねっとり甘いというサツマイモ
「安納芋(あんのういも)」 と食用ヒマワリも植えてあります。
収穫が楽しみです。


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【速報】判決は「却下」!「岐阜県知事等退職金返還請求事件」判決。

2009-08-10 14:00:28 | 市民運動/市民自治/政治
午後1時10分から、岐阜地裁で、
「岐阜県知事等退職金返還請求事件」の判決言い渡しがありました。

わたしたち、原告14人は、梶原前知事を含む過去20年の歴代3役は
「退職金の全額を返還するべきだ」と主張していましたが、
判決は「却下」。門前払いです。



岐阜県弁護士会館で、判決後の記者発表が始まったところですが、
原告選定当事者の寺町知正さんの冒頭のことばは、
「判決は却下、門前払いです。
とうてい納得できないので、ただちに控訴します」。




つづきは、改めて報告します。


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2006年の提訴のときの新聞記事。

岐阜裏金 81億円賠償求め提訴市民団体 
前知事退職金返還も

(中日新聞 2006.12.8)

 岐阜県庁の裏金問題で、市民団体の呼び掛けに賛同した県民らが7日、古田肇知事を相手に、独自に推計した過去20年分の裏金など約81億円の損害賠償と、過去20年間に県3役に支払われた退職金約3億2000万円の全額返還を、それぞれ梶原拓前知事らに請求するよう求める住民訴訟を岐阜地裁に起こした。
 訴訟を呼び掛けたのは「くらし・しぜん・いのち県民ネットワーク」の寺町知正代表ら。
 県民325人が名を連ねた損害賠償請求では、梶原前知事と歴代の副知事、出納長、監査委員について「裏金づくりを放置、容認した」と主張。1986年度から20年分の裏金を計45億7000万円と試算し、遅延損害金を加えた約80億8500万円を支払うよう求めた。
 古田知事に対しても、92年度分以前の裏金づくりを不問にしたなどとして、86-91年度分の裏金など計53億4000万円を支払うよう請求した。
 一方、県民14人による退職金返還請求は、3役の退職金支出に関する現行の県の条例を「額や方法の明記がなく違法」と指摘。この条例に基づいて支払われた退職金はすべて違法な支出とし、梶原前知事を含む過去20年の歴代3役は全額を返還するべきだと主張した。
 古田知事は「訴状が届いておらず、訴状の内容を見て対応を検討したい」とコメントしている。

 ■一般OBの返還 今月から始まる
 古田肇岐阜県知事は7日、県庁の裏金問題で、約7億8000万円に上る一般の県職員OB負担分の返還が始まり、今月1日付で18人から計1446万円の返還があったことを明らかにした。県議会の一般質問で答えた。
 利息を含む裏金返還総額約19億2000万円のうち、現職分などOB負担分以外はすでに返還されている。
 OB負担分は約8億7000万円で、うち最も責任が重いとされた梶原拓前知事ら元幹部8人は計8700万円を支払い済み。
 残る一般OBの裏金返還には法的拘束力がなく自発的な返還を求めるしかないため、全額が返還されるかどうかが焦点になっている。

 ■岩佐容疑者、懲戒免職に
 岐阜県は7日、県庁の裏金問題をめぐって業務上横領の疑いで逮捕された県土整備部下呂土木事務所課長補佐=元県職員組合書記次長=の岩佐啓久容疑者(46)を懲戒免職処分にした。
 調べでは、岩佐容疑者は書記次長を務めていた2002年9月20日ごろ、組合で保管していた裏金のうち100万円を自分の口座に入金、着服した疑い。
 県人事課職員が逮捕後の5日に面会したところ、事実関係を認めたため処分を決めたという。人事課職員によると、同容疑者は「みなさんに大変迷惑をかけ申し訳ない」と謝罪したという。
 県は上司の命令で裏金を隠ぺいした責任を問い、10月27日付で同容疑者を減給10分の2、3カ月の懲戒処分にしていた。
(中日新聞 2006.12.8)



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WAN衆院選女性政策政党アンケート/『電網参謀』高橋茂/8.12から「毎日jpえらぼーと」

2009-08-09 17:42:55 | 選挙関連
けさの日曜日の朝刊各紙の一面は、いずれも全国知事会の評価特別委員会の、
自民、公明、民主3党がマニフェストに掲げた「地方分権」政策の採点結果のこと。
公明党、自民党が民主党を上回っているのは、民主の財源確保に不安があるから減点とのこと。

「マニフェスト」は、今度の衆議院選挙後の「これからの政権公約」なんだけど、
自公政権で、地方分権がちっともすすまない、「過去の実績」は考慮しなかったのだろうか。
とはいえ、地方分権がすすむのはよいことだ。

公約はおうおうにして選挙のときだけのものだけど、
各政党は、選挙が終わっても「政権公約」を守ってほしいものだ。

【政治】 分権公約採点、自公が民主上回る 知事会の評価特別委
中日新聞 2009年8月9日 00時16分

 全国知事会(会長・麻生渡福岡県知事)は8日、自民、公明、民主3党が衆院選マニフェスト(政権公約)に盛り込んだ地方分権政策に対する採点結果を発表した。100点満点で、自民が60・6点、公明が66・2点で、地方財源の確保策が懸念された民主の58・3点を上回った。
 知事会政権公約評価特別委員会の古川康委員長(佐賀県知事)は都内で開かれた発表記者会見で「比較的、点数が似通っていた。3党とも合格点と思われる点数がついた」と述べた。
 知事会独自の評価基準で初めて実施した採点には特別委の29知事が参加、平均点を出した。
 8項目の加点項目の合計では、民主が自民を上回っていたが、地方財源の確保に不安がある場合の減点項目で最大のマイナス5・5点となったことが響き、3党で最下位となった。
 知事会が分権推進の主戦場として最高の30点を配点した「国と地方の協議機関の法制化」では、3党で唯一公約に明記しなかった民主が18・2点で、自民の16・9点を上回った。知事会側は民主が公開討論会で追記を明言、さらに統治機構改革への地方参画を表明したことを評価した。
 一方、各10点のその他の7項目では、民主は地方消費税の充実など地方税財政関連の2項目で3点台と厳しい評価。自民は補助金見直しなど4項目で民主の得点を下回 (2009.8.9共同)


全国知事会は「地方分権」政策についての採点をしたが、
6月に発足した、WAN(ウイメンズアクションネットワーク)は、
8月7日(金)、8日(土)に各党(自民、公明、民主、社民、共産、国民新党)に、
女性政策についての「WAN衆院選女性政策政党アンケート」を送付したとのこと。
回答が届けば、有権者がそれぞれ重視する政策で、政党を選ぶ目安になるだろう。
【特設:衆院選】政党アンケート全文

一方、
前回の2007年の参院選で「毎日ボートマッチ(えらぼーと)」を実施した
毎日新聞は、8月12日から、衆院選「えらぼーと」を実施すると公表。
先行する読売新聞の「ボートマッチ」と比べるのが楽しみです。

えらぼーと:8月12日開始「政党選ぶ有効ツール」監修委
毎日新聞 2009年7月30日

 毎日新聞は、インターネットを通じて衆院選の争点を知るサービス「毎日ボートマッチ(えらぼーと)」を8月12日にスタートする。それに先立ち、設問の公平性などをチェックする監修委員会議を30日、毎日新聞東京本社で開いた。監修委員からは「今回は初めて本格的なマニフェスト選挙。えらぼーとは政策で政党を選ぶのに有効なツールになる」との指摘が出た。
 「えらぼーと」は、有権者が選挙の争点に関する設問に答えることで自分の考えと各政党候補者の主張を比較できるサービス。07年の参院選では40万人の利用があった。実施にあたっては、片山善博慶応大教授(前鳥取県知事)、曽根泰教慶応大教授、松本正生埼玉大教授に監修委員を委嘱している。
 監修委員による意見交換では「今回は『誰が議員になっても同じ』と言う人が少ない。有権者の意識は変化している」(曽根氏)、「イメージだけで投票せず主体的な選択を」(片山氏)、「1票の重みを感じて投票してほしい」(松本氏)など、有権者の主体的な投票に期待が示された。
 「えらぼーと」は、毎日jpと携帯サイトで提供する。今回は参院選時に寄せられた利用者の要望に応え、新たな機能を大幅に追加する。【田村佳子】

【関連記事】
衆院選「えらぼーと」実施について
毎日新聞 2009年7月30日 18時55分(最終更新 7月31日 10時44分)
---------------------------------------------------
衆院選「えらぼーと」実施について

 毎日新聞社は、衆院選において、新機能を追加した「毎日ボートマッチ(えらぼーと)」を8月12日からユーザーのみなさんに提供する予定です。
 えらぼーとは、政治の争点に関する質問に答えてゆくと、自分と政党、候補者との考え方の一致度を数値で知ることができる仕組みです。
 毎日新聞社が2007年の参院選で日本のメディアとして初めてボートマッチを実施し、20代、30代を中心に約40万人が利用しました。「争点がよくわかった」「投票の参考になった」と好評を得ました。
 毎日新聞社では、衆院選、参院選などの国政選挙前に立候補者に対して、選挙の争点に関するアンケートを実施していますが、この候補者アンケート結果がえらぼーとの基礎データとなっています。
 ユーザーが同じアンケートに答えることで、政党や立候補者との一致度が分かるわけです。
 今年の総選挙は日本の将来を左右する非常に重要な選挙になるといわれています。来るべき総選挙を控え、雰囲気に流されず、じっくり政策を吟味し、未来を託すべき信頼できる政治家を選びたいものです。
 前回の「2007年参院選版えらぼーと」を公開しています。未体験の方はぜひ一度トライしていただき、衆院選前にえらぼーとを体感してみてください。

 ■BS11デジタルの報道番組「INsideOUT」(2009年6月26日放映)で紹介されました
 ■2007年参院選ボートマッチ
 ■2007年参院選ボートマッチ検証・2007年8月11日付紙面から

 ※「ボートマッチ」とは
 英語のvote(投票)とmatch(調和すること)を組み合わせた言葉。インターネットで展開する「ボートマッチ」は、有権者に自らの考え方に“調和する”政党を知ってもらい、選挙の投票に役立てるツールとして主に欧州で普及している。
 発祥地はオランダで、心理テストの発想から生まれた。中立の非政府組織(NGO)、「政治参加センター」(アムステルダム)が市民の政治への関心を高めるために開発し、89年に紹介。当初は紙上で利用する二者択一回答の単純なものだったが、94年にデジタル化されてから回答の選択肢も増えた。
 98年の同国総選挙でインターネット版が登場して注目を集め、広く普及。02年、03年の総選挙ではそれぞれ200万人以上が利用した。
 現在もっとも積極的に活用しているのはドイツ。実施主体の「連邦政治教育センター」(ボン)が各メディアと連携し、公共第二テレビ(ZDF)や有力誌「シュピーゲル」など主要メディアが自社のウェブサイト上でボートマッチを展開。02年の導入以降、国政選挙を中心にさまざまな選挙で毎回実施され、利用者は各メディアを合わせて延べ1000万人を超えている。 


《勝間和代のクロストーク》でも、毎日jpの「えらぼーと」のおすすめ。

《勝間和代のクロストーク》
◇マニフェストから政治家の個性を見抜く努力をしよう

毎日新聞 2009.8.9

 今回は、候補者のどの点を見れば私たちが、より信頼できる政治家を選ぶことができるか、提案したいと思います。
 18日の衆院選公示を前に、各政党からのマニフェストが出そろいました。どの党もそれなりに調査し、それなりの政策を掲げているので、教育の充実、格差の是正、公務員改革、税金の無駄遣い防止、介護の充実、少子化対策、雇用の安定、環境問題の推進など、素晴らしい言葉が並んでいます。
 しかし、私たち国民の視点から見ると、各党のマニフェストの内容の違いがわかりにくいのです。また、これまで、十分な成果を上げてきた、あるいは国民が実行状況に納得してきたかというと、そうではないと私は考えます。
 例えば、自民党は「政権公約05の実施状況」で、マニフェスト120項目について、どこまで達成したかということをABCランクで評価しています。Aは達成、Bは着手中、Cは未着手ということで、それぞれ、55件、65件、0件となっています。この実施状況の説明について、私は下記の二つの点で不満を感じました。
 (1)AとBの区別が明確でない。公約の時点で、明確なゴールが設定されているものと、抽象的な目標にとどまるものが混在している。(2)非常に細かい33ページにわたる表組みの文書になっており、わかりやすく読める仕様になっていない。
 すなわち、「がんばっています、でも全部はできませんでした」という形で、アリバイ的に使われているように見えてしまうのです。
 各党のマニフェストの開示状況にも大きな違いがあります。例えば、ある政党はバリアフリーをめざして、音声版や点字版なども用意して、図表や数字を豊富に使って説明しています。「どれだけ国民と継続的にわかりやすく話をしようとしているか」がここから透けて見えます。さらに、同じ党であっても、必ずしも各政治家の意見は同じとは限らず、候補者ごとのばらつきがあることにも注意する必要があります。
 したがって、私のお薦めの政治家選びの方法は、以下の二つになります。(1)政党のマニフェストについては、内容だけでなく、どれだけ国民にその内容を知らそうとする努力や継続的な対話をする姿勢を示しているかを見る。(2)政党のマニフェストだけでなく、候補者自身にどのような独自提案があるか、ばらつきがあるのかを見る。
 (1)については、各党のホームページで、マニフェストを見極めてください。(2)については、ボートマッチと言われる、私たちの意見により近い候補者を見つけるシステム(毎日jpの「えらぼーと」など)もありますので、ぜひ、使ってみてください。みなさんの意見をお待ちしています。



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8月4日の朝日新聞には、「若者よ、選挙に行こう」の大きな記事。

若者よ、選挙に行こう
 20年、30年後の未来につながる一票を--。政治が若者に冷たいのは、投票率が低いせいだと感じた20代、30代が立ち上がり、衆院選を前に、投票に行くきっかけ作りやマニフェスト作りに取り組んでいる。インターネットなどを使って同世代の無関心層に訴え、投票率アップをめざす。
(森川敬子、松浦祐子)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (略)・・・・・・・・・・・・・・・
同世代向け 独自案も  [マニフェスト]

投票率を上げるためだけではなく、政策課題に若者の声をもっと反映させていこうという動きも始まっている。
 「各政党のマニフェストには、驚くほど若者世代向けの政策がない、数年に一度の選挙。若者も自分たちの国のことを考えていこう」
政策課題に取り組むNPOなど22団体でつくる「Brand New Japan」(BNJ)が2日、都内で開いた若手討論会「真夏のポリシーフェスタ」で、幹事の坂田顕一さん(32)がこうあいさつした。
 坂田さんは就職氷河期世代。同世代には非正社員で働く人も多い。今の政策は若者世代に不利にできていると思うが、ただ政治に反対を唱えるのではなく、建設的な議論が必要だと感じてきた。
 討論会では、市民の立場から地方分権を考える「道州制.com」や、世代に特化した問題を扱う「世代政党」のあり方を検討する武蔵大のゼミの取り組みが発表された」。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・・・・・・・
(朝日新聞 2009.8.4)


朝日記事にとりあげられている「武蔵大のゼミの取り組み」は、
「市民と政治をつなぐサイト(P-WAN)」のメンバーでもある、高橋茂さんのゼミ。
最近、『電網参謀』を刊行し、『公職選挙法の廃止』にも執筆されている。

  
電網参謀 『デジタル軍師』が語る自伝的ネット戦略論」
(高橋茂/第一書林/2009)

詳細
序章 ネット戦デビュー 2000年長野県知事選
第1章 『ネット参謀』の波紋=全国の議員に向けて
第2章 公選法とネット戦略=全国の候補者と有権者に向けて
第3章 世代政党『快晴』=全国の若者に向けて
第4章 市民メディア=全国の市民記者に向けて
第5章 有料ネットサービス=情報のプロに向けて
第6章 地域政党『新しい信濃の国』=全国の有志に向けて
著者紹介
高橋茂[タカハシシゲル]
1960年長野県上田市生まれ。電子楽器のエンジニアだった2000年、偶然長野県知事選に関わったことがきっかけとなり、音楽の世界からインターネットと政治の世界に方向転換する。2002年、株式会社アイランドボイス設立。2004年、インターネット新聞「JanJan」に企画・技術サポートとして参加。2005年独立し、株式会社世論社を設立。2006年選挙情報データベースサイト『ザ・選挙』立ち上げサポート。2007年、コラムニスト勝谷誠彦氏のメール配信を開始。長野県にて地域政党『新しい信濃の国』設立。2008年より、武蔵大学社会学部非常勤講師。現在、株式会社世論社代表取締役。政治家、政治団体や市民活動などの活動サポートや、ネットメディアのコンサルティングをベースとして、講演や執筆も行う


ちなみに、
高橋茂さんには「P-WAN」サイトの製作をお願いしています。


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『なぜ僕は「悪魔」と呼ばれた少年を助けようとしたのか』今枝仁/裁判員裁判:初の判決

2009-08-09 00:16:19 | ほん/新聞/ニュース
注目の裁判員裁判の初判決が8月6日の午後に出た。
判決は懲役15年。求刑16年より1年少ない。

裁判員裁判:初の判決 被告に懲役15年 裁判員、会見で重圧語る
毎日新聞 2009年8月7日

 ◇主婦にできるか不安だったが皆と成し遂げた
 東京都足立区の殺人事件を巡る全国初の裁判員裁判で、東京地裁(秋葉康弘裁判長)は6日、隣家の女性を殺害したとして殺人罪に問われた藤井勝吉被告(72)に懲役15年(求刑・懲役16年)を言い渡した。公判を終えた裁判員6人、補充裁判員1人は、判決後に全員が匿名で記者会見。ピアノ教師の女性(51)は「いろいろ話し合う中で(判決を)決めた。不安というか心が揺れて大変だった」と、重い選択に市民が加わることの難しさを語った。一方で裁判員らは重責を果たした充実感もにじませた。
 裁判員と補充裁判員を務め終えたのは、38~61歳の男性3人と女性4人。5人が撮影にも応じた。
 女性契約社員(38)は「私みたいな一般の主婦が裁判に参加できるか不安だったが、皆さんと一つのことを成し遂げた」と語った。
 一方、補充裁判員として選ばれ、3日目から裁判員として審理に加わったアルバイトの男性(61)は「人のすべての自由を奪う重大な結論を出さなければならない」と重圧を説明した。そのうえで「被告、被害者のことを考えた。こういった社会がどうしたら少しでもなくなるんだろう。興奮してきてちょっと泣きました」と、判決前夜の心境を振り返った。
 検察、弁護側の立証や、判決を決める「評議」の雰囲気に関しては、高く評価する声が相次いだ。補充裁判員の男性会社員(38)は、双方の立証方法を「(必要な)情報を漏らすことなくまとまっていた。ビジネスに使うプレゼンテーション用資料に近い」と話した。評議も「堅い雰囲気と予想したが、(大学の)ゼミのようで素直な意見交換ができた」などの感想が続いた。
 公判日程については「4日あれば理解できる」「与えられた時間でやるしかない」と受け止め方は分かれ、男性会社員(43)は「複雑で証人が多い事件や死刑が絡むようだと4日間では日数が少ない」と指摘した。裁判員は生涯、評議の内容を話してはならない守秘義務が続くが、全員が「守ります」と述べた。【銭場裕司】

 ◇求刑16年に懲役15年
 判決は、最大の争点となった殺意の強さについて、検察側の主張を全面的に採用した。「『ぶっ殺す』と言う被告の声を聞いた」などと証言した近所の住民3人の証言について、判決は「信用性が高い」と指摘。「強い攻撃意思を持っていた」と強固な殺意も認定した。
 藤井被告は「被害者から『やるならやってみろ』と言われた」と主張したが、判決は「信用しがたい」と退けた。動機は「被害者に憤りを感じていた中、文句に言い返されて怒りを爆発させた」と認めた。
 量刑の理由について「身勝手で短絡的。遺族は厳罰を望んでいる」と指摘。反省の弁を述べたことも酌んだとしている。
 判決によると、藤井被告は5月1日、自宅近くの路上で、韓国籍の小島千枝(本名・文春子)さん(当時66歳)をサバイバルナイフで3回刺し殺害した。【安高晋、岩佐淳士】

 ◆同じくらいの年なら理解されたかも--被告
 ◇主張認定されず--弁護側
 「被告の言い分が認定されなかった」。弁護側の伊達俊二弁護士らは記者会見で、残念そうな表情を浮かべた。
 伊達弁護士は判決直後に被告と接見した。6人の裁判員は被告よりすべて若かった。藤井被告は「裁判員が自分と同じくらい人生経験を積んだ人だったら、考えを分かってもらえたかもしれない」と話したという。

 ◇理解得られた--検察側
 判決後、東京地検の谷川恒太次席検事は東京・霞が関の庁舎で記者会見し、「新たな制度の下で工夫に努めた検察の主張、立証に裁判員のご理解が得られた。今回の経験を踏まえ、分かりやすく、迅速、的確な主張、立証に一層努めたい」とのコメントを発表した。

 ◇裁判員に感謝--裁判長
 秋葉康弘裁判長は判決後「裁判員・補充裁判員の方々には熱心に参加いただき、大変感謝しています。制度の目的にかなった充実した裁判であったと考えています」とのコメントを発表した。
==============
 ◇おことわり
 裁判員法は裁判員や補充裁判員を特定する情報の公表を禁じており、公判中は匿名で報じるなど配慮してきました。裁判が終わり任を解かれると、本人の同意があれば、氏名や写真などを掲載することが可能になります。同意が得られた範囲で報道します。
毎日新聞 2009年8月7日 



   初の裁判員裁判、殺人罪被告に懲役15年判決 東京地裁
 朝日新聞 2009年8月6日22時24分

 東京地裁(秋葉康弘裁判長)で3日から始まった全国第1号の裁判員裁判は、最終日の6日、殺人罪に問われた無職藤井勝吉被告(72)に対し、裁判員6人と裁判官3人が一緒に話し合って決めた懲役15年の判決が言い渡された。市民の常識や感覚を刑事司法に反映させることを目的に導入された裁判員制度。初めての判決で裁判員らが選択したのは、検察側が求刑した懲役16年を1年下回る刑だった。
 裁判員らは3日午前に選任され、午後から連日の審理に臨んだ。5日午後から判決を決める非公開の「評議」に入り、6日まで評議を継続。午後、法壇に再び9人全員で並び、裁判長が被告に判決を宣告した。
 判決は、藤井被告が5月1日午前11時50分ごろ、東京都足立区内の自宅の斜め向かいに住んでいた整体師小島千枝=本名・文春子=さん(当時66)を口論の末にサバイバルナイフで刺殺したと認定した。審理では「殺意の強さ」をめぐって検察側と弁護側が争ったが、判決は検察側主張に沿う形で事実を認定。「ぶっ殺す」と叫んで被害女性の胸や背中を深く突き刺したことなどを挙げて「強い殺意」があったと認めた。
 そのうえで「人の命を奪った結果は誠に重大」「遺族の悲しみは深く、厳しい処罰を望んでいる」と量刑にあたって考慮した点を述べた。
 被告・弁護側は量刑を不服として控訴する方向で検討している。控訴審には市民が加わらず、裁判官だけで審理される。最高裁の司法研修所は「一審の結論を控訴審はできるだけ尊重すべきだ」とする研究報告書をまとめている。(向井宏樹)
朝日新聞 2009年8月6日


人は人を裁くことができるのか。
そんな問いを抱えながら読んだ一冊の本。


なぜ僕は「悪魔」と呼ばれた少年を助けようとしたのか
(今枝 仁 /扶桑社 /2008)
 

わたしたちが、日々、見聞きしている犯罪報道について、
刑事弁護人の存在意義について、深く考えさせられた。

著者の今枝仁氏自身が、「答を簡単に求めてはいけない」と述べているが、
なにが真実か、わたしにもよくわからない。
きっと見えている事実は、ひとによって違うのだろう。

安易な報道に振り回されることなく、自分で考え続けることはしたい、
読んだ人に「あなたはどこに立つのか」と問いを突きつけ、たじろがせる
という意味のある、良書だ。

この本を読んで、晩年の親鸞の和讃の結びのうたを思い浮かべた。

 とめるものゝうたえは いしをみづにいるゝがごとくなり
ともしきものゝあらそひは みづをいしにいるゝににたりけり


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 『なぜ僕は「悪魔」と呼ばれた少年を助けようとしたのか』今枝仁
私たちこそ何者なのか
2008年6月2日 読売新聞

 「魔界転生」「復活の儀式」等の荒唐無稽(こうとうむけい)な新供述に、日本中が牙を剥(む)いた光市母子殺害事件の差し戻し控訴審。その弁護団を途中解任された今枝仁弁護士が、この事件と大弁護団、そして加害者の元少年とどう関わり、何を見てきたかについて自ら書き綴(つづ)ったのが本書である。
 この陰惨な事件の加害者を守るという職務に、著者は終始悩み、葛藤(かっとう)しながらも、元少年と接見を重ね、同じ人間としての立場でその声に耳を傾けてきた。父親からの凄(すさ)まじい暴力と、それに生涯脅かされて自殺した母親との、性愛関係すれすれの結束とにがんじがらめにされた彼の生育環境がつまびらかにされ、「不遇な生い立ち」という平板な表現から想像されるレベルをはるかに凌(しの)ぐその悲惨さに、震えが走る。
 何が真相かは、本書を読んでも認定できるとは言えない。しかし一連の報道を通じて私達はすでに全ての事実を把握しているかのような錯覚に陥ったまま、すんなりと被害者側に自分を同一視し、怒り、吠(ほ)えた。そのことの奇妙さが、読むごとに浮き彫りになってくる。
 仮に、元少年が被害者宅を訪れた目的は「人と話がしたかった」からだ、という新供述の中にも真実の断片があるとするならば、虐待に晒(さら)された子供が、健康な精神的成熟も為されないまま、人恋しさを引き金に二人の命を奪うという蛮行に至るまで、何の手を打つこともできないような社会を支えている私達は、一体何者だろう。私達が自分を重ねるべきは「怒れる被害者遺族」の側ばかりではなかったかもしれない。
 4月22日、広島高裁は新供述を「信用できない」とし、死刑判決を下した。職務とはいえ結果として遺族の心を傷つけてしまったことへの謝罪を繰り返しながら、今後も全力で元少年を支えると誓った著者の決意は揺らいではいないだろう。いつの間にか「私」を見失い、非のない立場に乗り移ってやりすごそうとしていた自らの欺瞞(ぎまん)と危険性に気づかされる一冊だ。
 ◇いまえだ・じん=1970年、山口県生まれ。広島弁護士会刑事弁護センター副委員長。
扶桑社 1500円
評・西川美和(映画監督)
(2008年6月2日 読売新聞)




記事書評『なぜ僕は「悪魔」と呼ばれた少年を助けようとしたのか』今枝仁著、扶桑社
内外タイムス 2008年06月25日(水曜日)

 4月22日に広島高裁より死刑判決が言い渡された「光市母子殺害事件」。事件を担当した弁護団は、この裁判を死刑廃止運動のために利用し「復活の儀式としての遺体レイプ」とふざけた主張を展開し、各メディアから“悪魔の扶助者”として徹底的に叩かれた。橋下徹大阪府知事にテレビ放送で「あの弁護団に対して懲戒請求をかけてもらいたい」とまでいわれた弁護団の一員であった著者が、今すべてを口にする。

 当時18歳だったF少年との出会いから始まり、少年を狂気の犯行へと駆り立てた複雑な生い立ちを紹介する。乳児期の事故から斜視となり、学校ではイジメの対象に。家庭に帰れば、父による母と自分へのDV。
 それは文中で語られる著者の過去とも重なる。模試では全国3位のエリートだった著者も、中学校で挫折を味わってからは、引きこもり、入院、自殺未遂…。泣き虫弁護士が自分をさらけ出しながら、事件の真相をつづった。(税別1500円)
内外タイムス 2008年06月25日


『なぜ僕は「悪魔」と呼ばれた少年を助けようとしたのか』を読んで
janjan 黒井孝明2008/07/18


「光と影」光市母子殺害事件弁護団の300日(東海テレビ)


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「議員と市民の勉強会」、開催中です。

2009-08-08 07:57:22 | 市民運動/市民自治/政治
名古屋市のウイルあいちにいます。
「議員と市民の勉強会」、ふつかめの朝です。

昨夜は8時に、セッション3の「一般質問、質疑」が終わり、
宿泊棟で、参加者の交流会。
議会のこと、選挙のことなど、話は尽きず、寝たのは午前1時半。

起きたのは、7時過ぎで、とりあえず、あさ風呂に入って、
午後のオプション講座の「いま困っていること」で届いたレジメを読みました。


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昨日の勉強会の様子。





今日の午前中は、セッション4「決算」関係です。


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時代を駆ける:片山善博「2情報公開徹底、改革の基本」「6地方自治を「草の根」から」

2009-08-07 06:01:25 | 市民運動/市民自治/政治
今日は、今年度最初の「M&T企画/議員と市民の勉強会」。
午後1時から明日8日(土)午後までの丸一日の日程で
第1回のテーマは、「議会で働くために必要な各種の基本を身につける」。

内容はもりだくさんで、オリジナル資料をたくさんつくったので、
朝から、参加者の分を含めて、プリントアウトしています。
相方の講師である、つれあいがプリンターに使っている間に、
わたしはブログをアップ。勉強会の内容を紹介します。


2009年 議員と市民の勉強会 「議員の仕事・市民の仕事~まちをかえるのはあなた」

 ◆第1回 「議会で働くために必要な各種の基本を身につける」
― 知っておくべき 役所の支出や文書の「基本のき」―

日時 :2009年 8月7日(金)13時~8日(土)12時 
   8日午後~「オプション講座」(希望者の任意の相談に対応します)
 講師:寺町みどり&ともまさ tel 0581-22-4989(共通)

【内容の詳細およびタイムテーブル】 
8月7日(金)  開会 13:00(時間厳守) 
自己紹介及びテーマ
「議員としてのわたし(勉強会で獲得したいこと)」 

【セッション1】13:20~15:20(120分) 
議会の基本/議会の流れ、議会の構造、各議会の実態
 
《総論》議会の基本、議員の仕事(発言)/議会の流れ・議会の構造(システム) 、
議会の活動能力とは
《各論》各議会の実態/調査結果&ディスカッション

【セッション2】15:40~17:10(90分)
役所の支出の基本/役所の仕事は公文書主義。情報公開との関係
 
・支出の分類と定義
・委託料・補助金の違いと基本/契約と債権・債務
・文書の作られ方/仕事を定義づけるもの/自分の役所のことを肌で知る
・それらの支出に関連してどんな文書が作られているかを知る

【セッション3】17:30~20:00(150分) 
一般質問と議案質疑の基本/議会での実効性のある発言の手法
 
一般質問と議案質疑の基本/一般質問・質疑の組み立て方
★「今後取り組みたい一般質問」のプレゼンテーション+コメント~課題4に即して
★「3月議会での一般質問の事後評価」のプレゼンテーション+コメント~課題5に即して
  
【セッション4】8月8日(土)9:00~11:30(150分)
9月は決算議会/決算審査を使いこなす~決算審査の基本~市民派議員として評価する
 

《総論》決算とは何か/決算審査を使いこなす~決算審査の基本
《各論》 決算審査は政策(事業の)事後評価~決算全体の問い直し/決算審査の実際
~議員としての決算審査の手法

(1) 決算とは何か
   ・自治体財務・予算のしくみと流れ
・自治体財政の流れの理解と、議員活動を活かす時機
   ・「決算議会」の流れ
(2) 決算審査とは何か
   ・決算審査の重要性~予算審議との相違点と共通点
(3)決算審査は政策(事業の)事後評価~決算全体の問い直し
・決算審査の着眼点
(4)決算審査は自治体によってばらつきがある 
・各議会の習慣(議会手続き)を理解し報告する。
  ・他の議会のやり方を知る
(5)決算審査のじっさい~全員会員改正化?
  ・決算委員になれない議員はどうするか
  ・そこで、あなたはどうするか?(短期的に、長期的に)
(6)決算審査は「討論」で締めくくる
  ・挽回する、主張する、整理する。
  ・賛成討論するか反対討論するか。

市民派議員として自治体決算を評価する/評価手法と評価基準
決算審査にこう取り組む  ・決算審査でやりたいこと。

【感想とまとめ】
 参加者の感想、「第一回の勉強会で獲得したこと」と、講師のまとめ~2回目に向けて

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【オプション講座】8月8日(土)午後~(希望者のみ) 
★いま、議員として議会活動で困っていること


今回の参加者は、12名。全員が現職の市民派議員です。
一泊二日で年3回の連続講座ですが、2回目以降の参加を希望する方は、
みどりまで、電話でお問合せください。


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自治体政治の関連では、7月下旬から毎日新聞で連載していた
「時代を駆ける:片山善博」がとてもおもろくて、毎日、読んでいました。

全部で6回ありますが、特に「2情報公開徹底、改革の基本」と
「6地方自治を「草の根」から」がよいので、紹介します。

他の回も、今なら毎日webで、全部読めます。

 時代を駆ける:片山善博/2 情報公開徹底、改革の基本
 ◇YOSHIHIRO KATAYAMA

毎日新聞 2009年7月28日

 <片山さんは99年4月14日、鳥取県知事として初登庁した際、職員にこう訓示した。「これからは仕事の経過はすべて公開されると念頭に置いてください。勇気がいるし、役所にとって当面はやっかいですが、長い目で見ればウソや隠し事をしなくていい。私の経験では、公務員にとって一番楽で、精神衛生にいいことです」>
 情報公開がすべての改革に通ずる武器です。組織は常に腐敗する。多くの人が長い間一緒に仕事すれば、コンフリクト(紛争)を避けコンフォタブル(快適)になろうとするのが人間の本質。情報公開すれば、公開されて困ることはしなくなる。「ここまではいいだろう」という自分勝手な判断でなく、「世間の人がいいと言うだろうか」という判断になります。内部の融和を多少犠牲にしてでも、県民生活を向上させるための機能集団に戻らないといけないと考えました。

 <ただ、情報公開を実践する際には、一刀両断的なやり方は避けた。県営中部ダム事業を中止する時には、県の公共事業再評価委員会が00年3月に「ダムの3分の1の費用の護岸改修で、同じ治水効果が得られる」と中止を勧告するまで待った>
 長い行政経験から、中部ダムの必要性を説く言葉には、どこかにまやかしがあると感覚的に分かっていました。しかし、数字のトリックは私だけでは分からない。担当者に「本当のことを再評価委員会に言って結論を出そう」と説得し、その気になってもらったんです。費用の積算について県議会で追及された際は、「役所は『正直に情報公開したら過去(の判断)を追及される』と怖がり、原案通り突っ走る。今は過渡期なので、間違った方向に役所が閉じこもらないよう、ご配慮を」とお願いしました。

 <公開の対象になるのは書類だけではない。00年10月の鳥取県西部地震で災害対策本部に1カ月近く詰めた際は、本部を記者団にも完全に開放。片山さんの席の斜め後ろに席を確保する記者も現れた>
 災害時にマスコミ用の部屋を作ると、待たされてイライラした記者に説明することになり、質問にすぐ答えられないとトラブルになる。同じ部屋で途中経過も含めて全部聞いてもらえば結果を伝えるだけで済み、忙しいときに手間を省ける利点があるんです。

 <予算編成も財政課長査定の段階からインターネットで公開し、知事査定の密着取材も認めるまでに進んだ。一方、各地の自治体で導入された「行政評価」は実施しなかった>
 予算こそが一番の行政評価なんです。去年までやってきたことを点検し、必要なものを残し、そうでないものは切る。(多くの自治体のように)議会に根回しして予算にチェックを入れさせず、監査は骨抜きにしておいて、形だけ行政評価を導入するのは、本来のことをやってない、ということです。
 私は県議会で、「過去の査定は福祉や教育の数百万円の事業は微細に査定したが、数十億円単位の予算はほとんど吟味していなかった」と指摘しました。「前年比○%増」といった量的管理は必ず質的劣化を招く。だから、道路や河川などの公共事業も、新規、継続を問わずに一件ずつ査定するように変えました。
 国や他の自治体もそうすべきです。例えば国の予算では、鳥取県で優先度の高い高速道路は道路公団の事業だからと予算が付かず、景気対策の補正予算で農水省の枠で農道に予算が付くようなことがありました。広い視野で優先劣後を考えることが霞が関(中央官庁)に欠落しているんです。
 そのことを週刊誌のコラムで指摘したら、農水省から「農道の予算はいらないんですか」と県の職員に電話があったそうです。
==============
 聞き手・田中成之/「時代を駆ける」は月~水曜日掲載です。
==============
 ■人物略歴
 ◇かたやま・よしひろ

 岡山県瀬戸町(現岡山市)出身。99~07年に鳥取県知事を務め、「改革派知事」と呼ばれる。東京大法学部卒、自治省(現総務省)入省。現在、慶応大学法学部教授、地方制度調査会副会長など。57歳。
毎日新聞 2009年7月28日 東京朝刊



時代を駆ける:片山善博/6 地方自治を「草の根」から
 ◇YOSHIHIRO KATAYAMA

毎日新聞 2009年8月5日

 <再就職先は慶応大学法学部教授。3選不出馬表明直後に打診されたのが縁だった。現在、一般教養や学生、大学院生のゼミなど週5コマの授業を持つ>
 いろんな人が私にアドバイスをくれました。「授業態度に落胆しないように」と。「携帯電話をいじったり私語が多い。いちいち腹を立てたら身が持たない」と言われましたが、全然そんなことがない。「静かに」と言えばピタッとやみます。携帯をいじったり無礼な学生はいません。
 今の学生観はちょっと間違ってる気がします。ゼミの学生に「この本をこういう観点で読もう」と言えばちゃんと読みますよ。大人の側に若者への誤解があるんでしょう。大人からのアプローチに大いに工夫の余地があると思いますね。

 <「政治学」の登録者は約450人。出欠は取らないが約350人が出席し、机に伏せて寝る学生もわずかに15人と良好な授業環境だ>
 学生が自分たちで作る授業評価の冊子では、ありがたいことに授業充実度や学生の授業態度で(最高評価の)星五つでした。
 心がけているのは動機付け。たとえば「地方自治論」のゼミで、ある区議会を学生たちに見学に行かせると「こんなにひどいんですね」と言いながら帰ってくる。普通は「議会は予算も決算も決定する最高権限を持つ」という制度論から入りますが、実態は全然違う。現場を見れば、最初から制度論をやるよりよっぽどスピーディーに、制度が想定する建前と実態の違いを理解するんです。そこで「こんな現状ではいけない」と問題意識を持ち、考える力が身に着く。具体例を教材に、概念を学んだ方が、学生の食いつきがいいし、動機付けにもなります。

 <各地に講演に呼ばれるほか、国会議員から意見を求められることもしばしば。ただ、あくまでアドバイザーに徹し、「21世紀臨調」や「せんたく」などの政治的な動きとは距離を置く。それでも、各種選挙への立候補を働きかける政党関係者は後を絶たない>
 あまり多くはないですが、その都度断ってきました。今、この仕事が本当に楽しいですから。日本の地方自治学は地方自治を国家統治のツールとして見る「上から目線」の学問です。だけど、自治体は住民のためにある。私の使命はこの学問を、住民が自治体をコントロールするにはどうするか、という草の根からの体系に切り替えることだと思ってるんです。それを始めたばかりなので、中途半端にしたくはありません。

 <33歳から19歳の4男2女計6人の子供を育て、末っ子の四男が昨春、大学に進学して一段落した。平日を過ごす東京では、大学生の息子2人と2LDKのアパートで暮らす>
 妻に結婚を持ちかけた際、医者に不妊症と言われていると打ち明けられました。「どうしてもだめなら養子をとればいいじゃないか」と言って結婚しましたが、すぐに妊娠がわかり、うれしい誤算が続いて6人も授かりました。
 強調したいのは子育てが大変なのは2人目までで、3人目からはむしろ楽だということ。1人目は大変だし、2人目は上の子とのバランスで苦労する。でも3人目以降は、経験がある上に、上の子が下の子の面倒を見たり、家事を手伝ってくれて楽になるんです。ほとんどの子が塾に行かず、公立高校に通ってくれたので公務員の給料でもなんとかなりました。

 <妻弘子さんは、今回の取材を終え、掲載直前の7月17日に鳥取市で亡くなった。県職員から「知事の最大の野党は弘子さん」と評される率直な人柄だった>
 出会いは高校2年のクラス。自立して自分の意見をテキパキ言う彼女に魅力を感じました。それは私が知事になってからも変わらず、微妙な政治情勢の市議選や国政選挙で、「これは」と思う候補の選挙応援に飛び回ったりしました。私が「やめた方がいいんじゃないか」と言っても、「夫に従属しろ、というの?」と反論されると引き下がらざるを得ませんでした。
 (知事になった後の)約10年前に妻が悪性リンパ腫と診断され、平均余命は7年と聞かされました。知事選の前に聞いていたら、違う決断だったかもしれません。彼女は「家族と世の中のために精いっぱい生き抜きたい」と考え、昨年くらいまで普通の生活をしていました。妻は子育てと闘病を頑張りました。本当はもっと頑張ってほしかったんですけど、今は「ご苦労さまでした」と声をかけてあげたいと思います。=片山さんの項おわり
==============
 聞き手・田中成之/「時代を駆ける」は10日から青色発光ダイオード開発者・中村修二さんのシリーズを掲載します。
==============
 ■人物略歴
 ◇かたやま・よしひろ
 岡山県瀬戸町(現岡山市)出身。99~07年に鳥取県知事を務め、「改革派知事」と呼ばれる。東京大法学部卒、自治省(現総務省)入省。現在、慶応大学法学部教授、地方制度調査会副会長など。58歳。
毎日新聞 2009年8月5日


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ここがおかしい!裁判員制度/在日コリアン、裁く側には立てず

2009-08-06 20:31:34 | 市民運動/市民自治/政治
今日は8月6日、広島に原爆が投下されて64年目の「原爆の日」です。

一昨日から始まった初の裁判員制度が適用された、
注目の東京地裁判決もありました。

裁判員制度がはじまったら、是非紹介したいと思い切り抜いておいた
7月25日の中日新聞の【特報】ここがおかしい!裁判員制度の記事。

明日の勉強会の資料を作っていたので、こんな遅い時間になってしまったが、
webには記事がアップされていないので、
是非たくさんの人に読んでもらいたくて、紙面をタイプしました。

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【特報】ここがおかしい!裁判員制度
在日コリアン 裁く側には立てず
根強い偏見に不安
 
中日新聞 2009.7.25

 裁かれることはあっても裁く側には立てない―。これが日本で暮らす外国人と裁判員制度の関係だ。その構図は、約十年前に国会で論議された「永住外国人の地方参政権問題」とよく似ている。とりわけ、永住者の多数を占める在日コリアンの間では同制度が掲げる「市民感覚」に期待と不安が交錯している。国際化に伴い多民族化が進む日本社会の流れに、この制度は逆行しているようにもみえる。(出田阿生、田原牧)

 「凶暴な在日朝鮮人」「日本国内でやりたい放題」という文字がでかでかと躍る。インターネット上のあるブログの画面だ。「朝鮮人」「犯罪」という部分は赤字。別のサイトには「在日を一掃しないと日本に平和はこないな」「公開処刑のレベルだろ」とあった。
 これらの書き込みは、大阪府東大阪市で昨年十二月、タクシー運転手が殺害されて現金が奪われた事件で、強盗殺人容疑で逮捕された韓国籍の在日コリアン、安承哲被告(三七)=別の強盗事件で公判中=に対してだ。この事件も裁判員制度の対象になる。在日コリアン弁護士協会(LAZAK)の金喜朝会長(大阪弁護士会)は「凶悪な事件として注目され、さらに『在日』ということで、裁判員によっては不利な取り扱いを受ける恐れも否定できない」と表情を曇らす。
 逆に在日コリアンが被害者の事件で、裁判員制度の対象になるケースもある。東京都足立区で今年五月に起きた殺人事件では、被害者が韓国籍の女性(六六)。被害者の近所に住んでいた藤井勝吉被告(七二)は「日ごろから被害者と、もめていた」と主張している。遺族は「殺害の動機に『在日』への偏見が含まれていたか否か、被害者の名誉回復のためにも確かめたい」と被害者参加制度を活用する意向だという。

高い実刑の確立 
 事件と国籍の絡みに裁判の当事者がこだわることには理由がある。
 弁護士らでつくる研究会が1980年代に東京地裁で裁かれた約700件の窃盗事件を分析、日本人と外国人の量刑を調べた報告がある。浮き彫りになったのは、外国人の方が実刑になる確率が高いという結論だった。
 例えば、85年1月~88年3月までの統計では、「万引」の執行猶予率は日本人が63.5%なのに対し、外国人はわずか23.6%。85年4月~88年3月までの前科・前歴のないケースで比べると、「万引」での日本人の執行猶予率は100%なのに対し、外国人はわずか約20%だった。
 この調査に携わった大貫憲介弁護士(第二東京弁護士会)は「現在はこれほどの差はないと思うが、本質的にアジア系外国位人を差別する構造は変わっていない」と話す。
 「司法修習生時代、法廷から戻ってきた裁判長が、法廷で証言した在日コリアンの証人を指して『外国人はうそつきだからね』と言い放ったのを聞いて驚いた。法曹界は偏見に満ちている。一般人が入った方が改善されるかもしれない」
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永住者にも国籍が壁に 
 大貫弁護士は裁判員制度で重視される「市民感覚」に差別、偏見を乗り越える期待を膨らませるが、逆に不安を抱く人もいる。在日コリアンで大妻女子大の鄭暎恵(チョン・ヨンヘ)教授(社会学)は裁判傍聴に訪れた際、法廷の外に掲示されている外国人の被告名に傍聴人らが「ああ、やっぱり」とつぶやく光景を何度も見てきた。
 鄭教授には苦い経験がある。89年、車に追突されたが、加害者は大企業の重役の息子。警察署で「加害者は免停処分中に事故を起こした」と悪質さを強調したが、警察官はこの声を受け流し、加害者を返した。
 逆に深夜まで事情聴取されたのは鄭教授の方だった。その約1年前に「外国人登録証を携帯していなくても、運転免許証などで身分証明は可能」という大阪高裁判決があり、鄭教授は外国人登録証を持ち歩いていなかったためだ。民族的な偏見を痛感した。
 ところで、なぜ在日コリアンら永住外国人は裁判員の対象外なのか。
 在日コリアンの場合、弁護士への道こそ70年代末に開かれたが、その弁護士でも家事調停委員などへの就任は認められていない。公務員管理職への任用も拒まれ、地方参政権すらない。
 これらの拒否の理由には「当然の法則」と呼ばれる「国家権力の行使や国家意思の形成に参画するには日本国籍を要する」という論理が貫かれている。「主権者たる国民とは国籍を有する者」という"常識"が基盤で、これが裁判員制度からの外国人排除でも適応されている。
 LAZAKの副会長の一人で、かつて東京簡易裁判所から、民事訴訟の司法委員への委託を拒否された経験のある殷勇基(ウン・ヨンギ)弁護士は「裁判員制度そのものへの賛否はともあれ、少なくとも永住資格を持つ『在日』は裁判員選任の対象であるべきだ」と語る。
 「制度の趣旨は社会の仲間を仲間が裁くということ。そうだとすれば、永住者も日本社会の一員であり、それを受け入れることは日本社会への多様性の保障につながる」
 ただ、事前に裁判所側が企画した模擬裁判では日本国籍を持つ外国人の想定すらなかったと殷弁護士は振り返る。「国籍はあっても日本語が不自由な外国人もいる。だが、そうした意識は推進する側にはなかった」
 殷弁護士は「偏見以前に『在日』の存在に疎い人は法曹界にも少なくない。犯罪の背景に差別があれば、それを弁護側が説明しなくてはならないが、裁判員制度に伴う迅速化でその機会も制限される」と懸念する。

米兵は猶予判決
 日本に約25年滞在するイタリアのテレビ局『SKY TG24』の東京特派員、ピオ・デミリアさんも「永住権を持つ人は地方参政権を併せ、裁判員の資格も持っていて当然」と話す。欧州連合(EU)諸国内では92年以来、各国で定住外国人に一定の参政権が付与されているという。
 加えてデミリアさんは「日本では外国人といってもアジア人と欧米人では受ける対応が違いすぎる」という。実際、前出の量刑の報告でもアジア系と欧米系では同じ外国人でも基礎率などに明確な格差があった。
 例えば、ズボン3本を万引して現行犯逮捕された中国人は前科・前歴なしでも実刑1年の判決。万引されて追跡した被害者に頭蓋骨骨折の重傷を負わせた米兵は執行猶予判決といった具合だ。
 裁く側と裁かれる側をめぐる国籍の溝。鄭教授は心情をこう漏らす。
 「北朝鮮バッシングでは『在日』も国家と同一に白眼視されがち。たとえ、被告が無罪を主張しても『在日だからやっているはずだ』という先入観で裁かれる―そんな不安はやはりぬぐえない」
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在日コリアン
2007年度末の入国管理局統計によると、在日コリアンのなかで、旧植民地出身者とその子孫である特別永住者は42万6000人で、永住者は約5万人。敗戦後、朝鮮半島(日本の旧植民地)出身者は1947年の外国人登録令で「朝鮮籍」表示にされ、50年からは「韓国籍」表示も可能になった。「在日コリアン」は法的な用語ではなく、日本国籍を持つ人も含め、日本社会に生きる民族的少数者という意味合いが強い。
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(中日新聞 2009.7.25)



これからまだ資料の印刷があるので、今日はここまで。
明日は「ウィルあいち」で、今年はじめての「議員と市民の勉強会」合宿です。


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「悩みのるつぼ」2~性欲が強くて勉強できません:上野千鶴子「むずむずしたら自分でほぐしましょう」

2009-08-05 14:53:33 | ジェンダー/上野千鶴子
金山の「グランコート名古屋」で、懸案の勉強会の打ち合わせを済ませ、
のんびりとお昼近くにチェックアウト。

グランコート名古屋のランチビュッフェはおいしいんだけどちと高いし、
webで金山周辺のおいしい店を探したら、
名古屋名物きしめんの老舗、「宮きしめん」本店を見つけた。

歩いていけない距離じゃないけど、暑いので、
車で直行。熱田神宮のなかのお店は有名らしい。

「宮きしめん」の直販店に併設された、
お食事処「宮きしめん伊兵衛」はまだ新しい。
 

きしめんの麺会席が主なんだけど、ご飯ではなくて、
きしめんが食べたいので、単品で、きしめん大盛りを注文。

わたしはアナゴがのった具沢山の温かい「旬彩 宮きしめん」。


ともちゃんは、冷やし中華風の「海鮮宮きしめん」。
麺にコシがあって、どちらもおいしくて満足。

本店限定の、「ざるきし」と「ごまだれ」セットをお土産に買いました。
 

打ち合わせで話したことを忘れないうちにワードにアップするために、
「早くおうちに帰ろ」と名古屋高速に乗ったんだけど、
久しぶりのよいお天気でドライブ気分。

勉強会本番はまだなのに、すっかり安心したつもりで思いつき(笑)、
「こんなにいいお天気になったんだから、百合見に行こうよ」。
各務原を過ぎた車中で、ダイナランドに携帯で問い合わせたら、
「お天気はよくて、今は中咲きのユリが見頃。お待ちしています」とのこと。

車は一路、東海北陸自動道を約100キロ北上し、ダイナランド「ゆり園」へ。
「ゆり園」はスキー場のコースに植えてあるので、スキーリフトで登ります。

上にも下にも、ユリがいっぱい。ここを歩いて下ります。

さわやかな大気にユリの香りが漂い、久しぶりの青空の下、
今年はじめて、念願の「ゆり園」を堪能しました。


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話しは変わりますが、

一昨日、土曜日の朝日新聞be「悩みのるつぼ」という人生相談の上野千鶴子さん担当の回答、
〔悩みのるつぼ〕上野千鶴子~男はいてもよし、いなくてもよし
を紹介しましたが、
前回の7月4日付けの相談は「女子浪人生 18歳」の「性欲が強くて勉強できません」。
上野さんの回答は「むずむずしたら自分でほぐしましょう」。
これがとってもおもしろいと評判なのですが、新聞の山をひっくり返しても
どうしても見つからないので、上野さんからコピーを送ってもらいました。

「性欲が強くて勉強できません」
相談者「女子浪人生 18歳」
 
2009年7月4日朝日新聞 土曜版「Be」-悩みのるつぼ

 18歳の女子浪人生です。今、私は性欲が強いんじゃないかと悩んでいます。
 小さい頃から性に関して関心があり、自分でも不思議でした。自慰行為をしては、嫌悪感にさいなまれたりもしました。今は自分の行為を、自分で理解出来るようになりましたが、情けなくなってしまいます。何より一番困るのは、性欲が強いために勉強が出来ないということです。
 自習室にいるたきは別ですが、家にいるとそういう行為に逃げているような気がします。性に関してはこれから大人になれば、いくらでもそういう機会はあるでしょうが、勉強は今いちばんやらなければいけないことですし、私自身も勉強が好きなのでそのようなことばかり考える時間を持ちたくありません。
 女性も男性のように性に関心を持ったり、性欲が強かったりするのは当たり前だとは思いますが、私はまだ子供なのにそんなことばかり考えるのは少し不謹慎だと思ってしまいます。
 私はまだ性交渉を持ったことはありません。いたずらに性交渉を持つべきじゃないという思いが性欲が強いこととつながっているのでしょうか?
 いまは時期的に性欲が強いだろうと思うのですが、どううまく自分と付き合っていけばいいのか、同じ女性として上野千鶴子さんにご意見、アドバイスをいただければと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「むずむずしたら自分でほぐしましょう」
回答者 社会学者 上野千鶴子
 

 回答者のご指名を受けて、光栄です。下ネタに強い、と思われたんですね、アタリです。
 あなたは性欲が強いとか。どうしてそう思ったんですか? だれかと比べてみたんですか?
 だれでも小さいときから性に関心を持っていますし、その関心はだんだん強くなります。18歳はとうてい「子供」とはいえません。他人と比べてどうかはわかりませんが、おそらく人生のなかでいちばん体力とともに性欲の強い盛りじゃないでしょうか。男性に聞くと、20歳くらいがピークでそれから性欲は衰えるいっぽうだそうですよ。
 性欲と性交欲とはちがいます。性欲は相手がいなくても満たすことができます。性交欲は対人関係を求める欲望だから、こちらはすこしやっかいですね。相手が同意しないと成りたちませんから。でもあなたにあるのは性交欲ではなく性欲でしょう? それなら話はかんたんです。むずむずしてきたら、肩こりをほぐすように自分で緊張を解いてあげましょう。江戸時代には「自行安味(じこうあんま)」とも呼ばれていたくらいですから。
 マスターベーションを「自瀆(じとく)」と読んで撲滅しようとしたのは明治人、それを「自慰」というやさしいことばに呼び変えたのは大正期の性科学者たちです。青柳有美はマスターベーションを「人口遂情」と訳して、「気がはきはきして頭がすっきりする」と書いています。セックスのよいところは必ずフィニッシュがあること。それにマスターベーションは妊娠の心配もないし、だれにも迷惑がかからないのだから、すっきりしてから勉強に向かうほうが集中できるでしょ? 
 セックスには2種類あって、マスターベーションは自分の身体とのエロス的な関係、性交は他人の身体とのエロス的な関係のことです。どちらかがどちらかの代用をすることはできません。自分の身体のエロス的な使用の仕方を知らない人が、他人の身体とエロス的な関係を結ぼうななんて、無免許運転みたいなものでふらちです。自分のエロスのツボをよぉーく学んでおくと、実際に相手のあるセックスをしたときに、そのセックスのクオリティのよしあしがわかりますからね。己を知り、敵を知らば百戦あやうからず。あれ? 性交は闘いじゃありませんでした。セックスを他人を支配したり侮辱したりするために使う輩もいるけど、これもふらちですね。
2009年7月4日朝日新聞


その一月前、6月6日の「悩みのるつぼ」です。
いっしょに紹介します。

パソコン漬けの娘が心配です
相談者:男性 40歳

2009年6月6日朝日新聞 土曜版「Be」-悩みのるつぼ

 40歳の男性です。中学1年生の長女が、寝る間も惜しんでパソコンに向かっているのが心配です。
 娘は近くの公立中学校に通っていますが、帰宅後は夕食をはさみ、今にあるパソコンの前にずっと座っています。
 インターネットでアニメの動画を見たり、画面にイラストを描いたり。友達とのチャットやメールも忙しく、呼びかけても、「ああ」とか「うん」とか生返事をするだけ。「いいかげんにしなさい」としかると、途端に機嫌を悪くして自室にこもります。
 部活動も生徒会もこなし、今のところ、成績もいい方です。ただ、家族との会話は少ないですし、ほかに何もせずに深夜まで画面に見入っている姿は、異様な感じがします。
 パソコンをいじるのが悪いとは思いません。私も中学時代には漫画ばかり読んで親に怒られました。でも、そのほかにもレコードを聴いたり、プラモデルを作ったりと、時間の使い方には多様性があったと思います。もちろん休日は外で遊んだものですが、娘は出不精です。
 本屋CDを薦めたりしましたが、反応はさっぱり。姉を見ている小学生の息子もパソコンに興味津々で、予備軍となっています。パソコンの虜になった娘に、それ以外の様々な楽しみ方を伝えるにはどうすればいいのでしょう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
思春期のサイン読めない、あなたが問題!
回答者:社会学者 上野千鶴子


 あなたのお悩みがどうして「お悩み」なのか、ちっとも理解できません。
 中学1年生の娘さんが、病気にも不登校にもならず、リストカットも食べ吐きもせず、いじめにもあわずいじめる側にも回らず、部活動も生徒会もこなし、チャットやメールを交わすお友だちにも不自由せず、成績もよく、そのうえ、寝る間も惜しんでうちこむパソコンという対象があり、しかも出会い系サイトにまはるでもなく、アニメやイラストなどの創作活動に意欲を持っているなんて…世の親御さんたちから見たら、うらやましいような自慢の娘さん、でしょう。この娘さんの何がご不満なのですか?
 は、はーん。父親のボクを振り向いてくれない? オレのいうことを聞かなくなった? そういうもんです、思春期の娘ってのは。あちらがパパには距離を置きたい、というハッキリしたサインを送っているのだから、そのサインを読めないKYのあなたの方が問題です。
 なに、「多様な趣味」ですって? ウェブの世界の拡がりをあなたは知りませんね。あなたの好きだった漫画も音楽もフィギュアも、何もかもウェブ上にあります。それどころかそれ以上の世界への入り口が。つまり本やCD(ローテクですねえ)など自分の好きなものを娘も好きになってくれない、と嘆いているのですね。娘さんに甘えているのはあなたの方です。はっきり言って、ウザイです。だからあなたは嫌われる。
 子どもとの関係は成長の段階で変化します。ついていっていないのは親の方。この時期の親の役割は遠巻きに見守ること、そして助けを求めてきたときにしっかりと手を出すこと。その点では、パソコンが居間にあるのはよいことです。刺激を受けた弟さんも後生畏るべし。
 パソコンより楽しいことですって? パソコンはいくらはまってもしょせんバーチャルな世界。リアルな世界が楽しくなれば、自然とバランスは取れてきます。娘さんには、リアルな世界からの逃避をバーチャルに求めている傾向は見られませんから、何のご心配もいりません。え、それともうんとリアルにセックスやドラッグにでもはまってくれる方がよかったですか?
 「しょせん、オレのムスメ」とわきまえたうえで、それにしちゃあ上出来、と娘さんを見守ってあげてください。
2009年6月6日朝日新聞



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【裁判員制度】検証機関こそ市民参加で/梅雨明けだ!名古屋で北海道の味を満喫。

2009-08-04 08:04:52 | 市民運動/市民自治/政治
きのう梅雨明けした中部地方。
今朝も晴れている。

「勉強会」のうち合わせがてら、ひるがの高原のユリ園を見に行きたかったんだけど、
雨だといけないので、名古屋のホテルを「じゃらん」で予約した。
到着したのは、金山総合駅の全日空ホテルズ「ホテルグランコート名古屋」。
  
23階のデラックスツインで、イン2時アウト12時で15000円とお値打ち。
  
広々としたお部屋で、真っ白なバスルーム、
ジャワーブースとトイレも独立しています。

「てらまち・ねっと」のトイレの話(8/4)


雑音なしで集中できるので、早速うち合わせに取り掛かりました。

それぞれ担当する課題のレジメを整理した資料をもちより、
一泊二日のロングランの講座の時間配分や内容を詰めた。

全部終わったのが夜7時ころ。
ネットで探した、近くのおいしいお店に直行。

メニューには、北海道の海の幸とおいしいお酒がずらりと並ぶ。

久しぶりにワイン片手に、お刺身をたっぷり食べました。
  


ともちゃんは、痛風の心配もなんのその、ホッケを肴に吟醸酒。


最近、お互いに忙しくて、すれ違いばかりだったので、
たまには、こういう時間もよいもんです(笑)。


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ホテルに帰ってニュースを見たら、東京地裁で裁判員制度が始まったことで持ち切り。
今朝の新聞各紙も社説で取り上げています。

 裁判員制度/検証機関こそ市民参加で
河北新報 2009.8.4
 
 市民参加の義務が、職場にも家庭にも大きく影響する。司法制度改革の中で国民生活に最も身近な転換だ。裁判員裁判の実際の公判がいよいよ始まった。
 制度の設計段階での狙い通りに進んでいるか。想定外の不都合は引き起こされていないか。運用実態をしっかり掌握して、検証していく必要がある。
 裁判員制度の検証機関の設置を政府に求める声は、5月の制度施行前から挙がっていた。設置を急いでほしい。
 検証機関の仕事がうまくいくかどうかを見定めるポイントの一つになりそうなのが、メンバーの選択、構成の仕方だ。
 法律専門家の分析、議論だけでは十分な検証は期待できない。裁判員の体験談を、ぜひとも反映させたい。「市民遊離」の機関にしてはならない。
 裁判員経験者の生の声を生かす障害になるのが、守秘義務の規定だ。罰則への不安から解放されて発言できるように、法的な縛りを解除すべきだ。
 5月の施行から2カ月間で、裁判員裁判の対象になる事件は全国で276件、東北で12件が起訴された。きのう東京地裁で初公判を迎えた強盗事件が、実際の開廷の全国第1号。東北では9月2日、青森地裁で最初の公判が始まる予定だ。
 各地裁で開かれてきた模擬裁判では、裁判官の誘導で裁判員役の人たちの意見が簡単に変わったり、裁判員役同士の議論に発展しなかったりするケースが問題点として指摘されている。実際の公判でも十分予想されることだ。
 施行後3年で運用状況を見直し、必要な改善を図る。裁判員法はそう「見直し条項」を設けて成立した。政府による検証の体制づくりが不可欠だ。
 最高裁は1月、元裁判官、検事、弁護士と学者ら8人がメンバーの有識者懇談会を設置した。裁判員へのアンケート実施を決めているが、やはり直接、意見を表明できる場が欲しい。
 裁判員に対する守秘義務はかなり厳しい。罰則の最高は懲役6月。裁判が終わった後も一生続く。裁判員を務めた感想は話してもいいが、評議の過程で誰がどんな意見を言ったかや採決の内訳は口外できない。
 裁判員経験者の自由な発言なしで、有効な検証ができるはずがない。重い守秘義務を負わされたままでは、政府がどんな検証機関をつくるにしても、その場に臨む意欲もわかない。
 国の新たな制度の検証は、報道機関が担うべき責務でもある。日本新聞協会が2月、「裁判員となるみなさんへ」と題した呼び掛けをまとめたのもその自覚に立ってのことだ。
 「裁判員経験者が職務を果たして感じたこと、考えたことを率直に語り、社会全体で共有する」。新聞協会の呼び掛けはその意義を強調して、判決後の記者会見など取材への協力をお願いしている。あらためて理解を求めたいと思う。
 裁判員制度は根強い反対論を残したままスタートした。市民参加を義務付けた制度が、市民参加による検証を保証しないとなれば、定着は望めない。
河北新報 2009年08月04日火曜日


朝日新聞の社説は、「裁判員制度」と「介護保険制度」のこと。
制度は、つくりさえすればよい、というものではない。
どちらも、制度の問題点は多い。

朝日新聞社説 8月4日付
裁判員始動―市民感覚を重ね合わせて


 黒い法服の裁判官3人だけが占めてきた裁判官席。そこに私服の6人が二手に分かれ、裁判官たちを挟んで座った。後ろには補充裁判員3人も控えた。こうしてきのう、市民が参加する裁判員裁判が始まった。
 陪審制があった戦前の一時期を除き、連綿と続いてきたプロだけによる日本の裁判に、主権者である国民の代表が参加した歴史的な日である。
 最初の審理として東京地裁で裁かれているのは、72歳の男が隣人の女性を刺殺した、として殺人罪で起訴された事件だ。
 法廷からは、供述調書や鑑定書といった書類の山が消えた。代わりにモニター画面に、主張や証拠物の要点をまとめた文章や画像が映しだされた。検察官や弁護人は、裁判員の方を向いて口頭で訴えた。これまで飛び交っていた法律家の専門用語はかなり減った。
 裁判員の負担を減らすため、審理は集中して行われる。この裁判も4日連続で審理し、判決を言い渡す予定だ。
 これまでは公判の間隔を空け、裁判官は法廷外で調書を読み込んだ。しかし、裁判員が膨大な書面を読むことはできない。法廷で繰り広げられる証人尋問や被告への質問をみて、検察官による有罪の立証に合理的な疑いがないかを判断することに力点が置かれる。
 この法廷中心の審理こそが、日本の刑事裁判を大きく変えることになると期待されている。
 捜査員は容疑者から供述を得ることに心血を注ぐ。取調室でひとたび自白すれば、被告が法廷で否認しても、裁判官は自白調書の方を重視する傾向が強かった。
 それが「調書裁判」といわれ、法廷が検察の起訴を追認する場になっていると批判されてきた。過度に自白調書に寄りかかる裁判が、今日まで続く冤罪史の背景の一つになってきたことも否めない。
 司法に市民が参加してきた歴史を持つ欧米では、陪審員や参審員の目の前で行われる法廷での審理が中心だ。それとは異質な日本の刑事司法の姿は、「ガラパゴス的」といわれてきた。その孤島へ、裁判員といういわば「新種」が上陸してきたわけだ。
 裁判員に求められているのは、日々変わりゆく社会に身を置き、虚々実々の世間を生きている庶民ならではの感覚だ。プロの裁判官が持ち得ないような視点こそが大切なのだ。
 そんな市民の視点を反映するには、裁判官との評議で裁判員たちが自由に意見を言えることが前提となる。その雰囲気を作るのは裁判官の責任だ。
 この制度には、人々の間になお困惑や抵抗感もある。制度を定着させ、皆が共感できるようにするには、市民の感覚を判決に生かした実績と経験を着実に積み重ねていくことだ。

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介護認定混乱―利用者と現場の声を聞け

 後期高齢者医療制度の混乱から、厚生労働省の人々は何を学んだのだろうか。そう言いたくなる事態だ。
 介護サービスを受けるのに必要な要介護度の認定基準が、4月に改定したばかりだというのに、多くの項目でまたも修正されることになった。
 4月の改定は、地域によって認定にばらつきが出ないよう、基準をわかりやすくすることが目的だった。だが、実施前から「新基準だと介護度が軽くなってしまう」と、現場のケアマネジャーや利用者から懸念が出ていた。
 要介護度が軽くなると、介護サービスの利用限度額が低くなるので、「必要なサービスが受けられなくなるのでは」という不安も広がった。
 実施してみたら、やはり介護度が軽くなる人や非該当とされる人の割合が増えた。「主治医の意見書なども考慮するので軽くなるとは限らない」という厚労省の説明も崩れた。
 厚労省は改定時に、仮に要介護度が軽くなっても従来の要介護度のままにする特例もつくった。だが、自治体の現場から「それでは認定審査の意味がない」と不満が噴き出した。
 これらの結果、今回の修正に踏み切らざるを得なくなったのだ。
 こうした混乱の原因は、厚労省が介護の現場や利用者の声をきかず、十分な検証や周知させる努力がないまま基準の見直しを進めたことに尽きる。
 4月の新基準では、ズボンの着脱を手伝ってもらう人は「介助あり」と判定されるのに、おむつの人が「介助なし」になってしまうなど、明らかにおかしな項目もあった。こんなことは、現場の人たちに見直し作業に加わってもらっていれば、防げたはずだ。今後の大きな反省点にしてほしい。
 基準は必要に応じて改定したり修正したりすることは必要だろう。だが、その際に避けなければならないのは、本当に介護が必要なのに要介護度が軽く判定されるような事態を引き起こしてしまうことだ。
 介護の必要度というのは本来、ケアに要する時間などに基づいて決められている。その観点からみて、今回の修正後の基準なら妥当なのかどうか、引き続き検証を続けてほしい。
 今度のような批判が出た背景には、厚労省が社会保障費の抑制を進めてきたという事情もある。基準や運用の見直しで、介護の費用をまた抑えようとしているのではないか、と受け止められたのだ。
 介護保険制度をめぐっては、限られた保険財政の中で軽度の人のケアを保険でどこまでカバーするのか、制度の担い手が今のまま40歳以上でいいのかなど、さまざまな議論がある。
 実施から9年。ますます利用者が増える制度をどう安定させるのか。政治が広い視野から道筋を示す時だ。
朝日新聞 2009.8.4


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