みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

『臨床瑣談 続』中井久夫著/『子ども被害者学のすすめ』デイビッド・フィンケルホー編著・訳森田ゆり他

2011-01-25 15:13:13 | ほん/新聞/ニュース
明日の午後は、岐阜で『女ぎらい ニッポンのミソジニー』の読書会。
ひと月で2章ずつ読んでいるので、今月のところをとりあえず読んでいます。
20日には著者の上野さんのお話しを聞いてきたので、わたしも少しだけ報告の予定。

きょうは出かける予定がないので、
だいたい読み終えたところで、ついでに他の本も読んでいます。

一冊目。
毎日新聞の12月の書評に載っていた『子ども被害者学のすすめ』。
森田ゆりさんの訳で、読みたかった本です。

    

 今週の本棚:小西聖子・評 『子ども被害者学の…』=デイビッド・フィンケルホー編著 
(岩波書店・2835円)

◇なぜ米国で子どもの犯罪被害が減ったのか
 アメリカの子どもの被害が減っている。「さまざまなタイプの子どもに対する虐待や犯罪は、一九九〇年代初頭から、ものによっては劇的に、減少し続けているのだ」
 子どもへの性的虐待の件数は九〇年から二〇〇五年にかけて、五一%減少した。身体的虐待件数も性的虐待を追いかけるように、一九九〇年代半ばから減少し始め、九二年から〇五年末までに、四六%減少した。一〇代の性的暴行被害も半分に減少、ほかの犯罪も半分以下に劇的に減少、配偶者間暴力も約半数に減少している。
 アメリカでは七〇年代から虐待が社会的問題ととらえられるようになった。八〇年代、何をやってもその数はずっと増え続けていた。なのに、現代のアメリカで、こんなに被害が激減するなんて。これはすごいことである。この間、子どもの総数も減っていないし、一人親家庭だって、ヒスパニック家庭だって増え続けている。研究者だって、こんな激減はだれも予測していなかったのだ。
 この本の著者デイビッド・フィンケルホーは社会学的視点から、子どもや女性の被害をずっと追い続けてきた著名な学者で、彼の研究や意見は専門家の間でも常に力を持ってきた。
 この本は、被害者学を研究する者にとっては画期的、刺激的なものである。前半では子どもの被害に関する最新の研究成果によって新しい視点が提案されている。ただこの部分は、一般書としては難しいかもしれない。
 子どもの被害の激減について具体的に緻密に検討されているのは第五章である。こちらは予備知識がなくても読みやすくまた面白いと思う。
 本当に被害の数は減っているのか、単なる統計上の手続きの変化が反映されただけなのか。九〇年代に、虐待が減少し出したことが認識され始めて、そういう議論が巻き起こった。
 そして、性的虐待や身体的虐待は本当に減っている。間違いない!というのが最初の結論である。これには「強固なエビデンス」がある。複数の自己申告式の被害調査のデータがどちらも減っていること、虐待の定義や数え方が変わったというような見かけ上の原因が考えられないこと、被害に密接にかかわるその他の福祉指標--他の犯罪被害やティーンエージャーの自殺、家出、少年非行、一〇代の妊娠のいずれもが減っていること等が挙げられている。
 ではなぜこういうことが起きたのか。人口の構成変化の可能性は? 死刑の増加が抑止効果となった可能性は? コカイン、クラックの流行が下火になったこととの関連は? 銃規制の強化は? 人工妊娠中絶の合法化は? よく議論されるような要因が、一つ一つ検討されるが、これらのどの要因との関連も否定的である。
 フィンケルホーが注目する要因は三つ。アメリカの好景気、警官やソーシャルワーカーや児童福祉司など子どもの安全や加害者取り締まりにかかわる人間が増えたこと、SSRIなどの精神科薬物治療の普及である。
 「何か建設的なことが社会環境において起こっているのだ」とフィンケルホーは言う。「今後は、私たちは最も有望な説明のいくつかについて、検証計画を立案しなければならない」
 そういう意味では、リーマン・ショックは壮大な実験だともいえる。不景気に突入してアメリカの子どもの被害数はどうなるだろう。ここ一、二年の統計がとても気になるところである。
(森田ゆり・金田ユリ子・定政由里子・森年恵訳)
毎日新聞 2010年12月5日 東京朝刊 


子ども被害者学のすすめ 
デイビッド・フィンケルホー 編著
森田 ゆり,金田 ユリ子,定政 由里子,
森 年恵 訳

■体裁=四六判・上製・254頁
■定価 2,835円(本体 2,700円 + 税5%)
■2010年11月2日
■ISBN978-4-00-022905-0 C0036
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一刻も早く「誰が加害者か」よりも「誰が被害者か,誰に目を配る必要があるのか」に目を向けなければならない.ネグレクトやいじめ,暴力などの被害から,子どもたちをいかに守り,サポートするか.社会的な脆弱性はどこにしわ寄せされるのか.世界的第一人者,フィンケルホー氏が伝える,アメリカの実践と研究の集大成. 


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二冊目。
中井久夫さんの、
『臨床瑣談 続』 
(中井久夫/みすず書房)


2年前に紹介した、『臨床瑣談』の続きです。
「見放された患者と共に闘う"がん難民コーディネーター"」/『臨床瑣談』(中井久夫・みすず書房)2009-01-24

一週間前の朝日新聞に、中井さんの記事が出ていたので、
読みたくなったもの。
中井久夫さんのやさしく語るような言葉、とても好きです。

   傷ついた心あたためる
語る人 精神科医 中井久夫さん
   
   2011.1.17 朝日新聞


 臨床瑣談 続:みすず書房

 「かつては医学の治癒力はきわめて限られていた。したがって、経験を積んだ医師が、〈ぼつぼつ遠方の親戚の方を呼んで下さい〉というタイミングは驚くべきものがあったという。現在の医学はこのような予言が大幅に外れる程度には進歩している。しかし、診断と予後とを〈宣告〉するのは思い上がりであり、科学の名に背くとさえ思う。予後はもちろん、診断も仮説であり、仮説は宣告される種類のものではない」
医学の可能性と限界をしるし、生活者と医療とのかかわりを懇切に描いた本書は、精神科医としての長年の経験から生まれた。しかし、そこにあるのは、指南的役割でも医の倫理の類いでもない。医師と生活者のあいだに立とうとする柔らかい姿勢である。
「本書で取り上げた物語の中で、私は医師でもあるが、同時に家族や甥や義弟や友人や知人である。そして、医師といっても、主治医ではない場合が多い。患者と主治医との間にあって、何らかの役割を演じている。患者側に近い場合も多いが、単なる患者の親戚の医者というのとも少し違う。フィクサーというのか、橋渡し役というのか、一種の仲介者であることを期待される。しかし、このことは一つの分裂を生きることである。一般の人と医師団との間にある、一種のずれ、すれ違い、違和性、どこか相合わないもの――この違いはかなり深い」 
「認知症に手さぐりで接近する」「認知症の人からみた世界を覗いてみる」「血液型性格学を問われて性格というものを考える」「煙草との別れ、酒との別れ」「現代医学はひとつか」「中医学瞥見の記」「インフルエンザ雑感」の7章。
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 「臨床瑣談 続」の著訳者:中井久夫
なかい・ひさお

1934年奈良県生まれ。京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授。精神科医。著書『中井久夫著作集――精神医学の経験』全6巻別巻2(岩崎学術出版社、1984-91)『分裂病と人類』(東京大学出版会)『記憶の肖像』(1992)『家族の深淵』(1995)『アリアドネからの糸』(1997)『最終講義――分裂病私見』(1998)『西欧精神医学背景史』(1999)『清陰星雨』(2002)『徴候・記憶・外傷』(2004)『時のしずく』(2005)『関与と観察』(2005)『樹をみつめて』(2006)『臨床瑣談』『日時計の影』(2008、以上みすず書房)ほか。共編著『1995年1月・神戸』(1995)『昨日のごとく』(1996、共にみすず書房)。訳書としてみすず書房からは、サリヴァン『現代精神医学の概念』『精神医学の臨床研究』『精神医学的面接』『精神医学は対人関係論である』『分裂病は人間的過程である』『サリヴァンの精神科セミナー』、ハーマン『心的外傷と回復』、バリント『一次愛と精神分析技法』(共訳)、ヤング『PTSDの医療人類学』(共訳)、『エランベルジェ著作集』(全3巻)、パトナム『解離』、カーディナー『戦争ストレスと神経症』(共訳)、クッファー他編『DSM-V研究行動計画』(共訳)、さらに『現代ギリシャ詩選』『カヴァフィス全詩集』『リッツォス詩集 括弧』、リデル『カヴァフィス 詩と生涯』(共訳)、ヴァレリー『若きパルク/魅惑』などが刊行されている。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

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目次

1 認知症に手さぐりで接近する
2 認知症の人からみた世界を覗いてみる
3 血液型性格学を問われて性格というものを考える
4 煙草との別れ、酒との別れ
5 現代医学はひとつか
6 中医学瞥見の記
7 インフルエンザ雑感


昨夜は、ほんとに久しぶりのすき焼き。

左手前の黒豚とハクサイがわたし用。
真ん中から右半分は、他の人たちの飛騨牛と根深ネギ。

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年金/揺れる最低保障/待ったなしの改革/不一致100万人、記録問題底なしに

2011-01-24 11:06:06 | ほん/新聞/ニュース
晴れて寒い日が続いています。
大寒に入ったので、庭の木に「寒肥」を施したいのですが、
まだかなり雪が残っていて、足元もぐちゃぐちゃ。
もう少し雪が溶けてからにしましょう。

年が明けて「年金定期便」が届きました。
「消えた年金」問題の騒ぎはずいぶん下火になったようですが、
問題は何も解決されていません。
かくいうわたしも、若いころ勤めていて厚生年金を払っていたのですが、
ありえない日にとつぜん「第一種国民年金」を払い始めたことにされています。
年金記録は、厚生年金の分は記載盛れで訂正されていません(あーあ)。
こういう人が多いと思っていたら、案の定、いまだに「不一致100万人」とか。

ということで、
ちっともすすまない年金制度改革について、
最近の記事をピックアップしてみました。

 <スコープ>揺れる最低保障年金 社保改革検討開始 
東京新聞 2011年1月22日 紙面から

 政府・与党は二十一日、社会保障改革検討本部(本部長・菅直人首相)を官邸で開き、消費税を含む社会保障・税一体改革に向けた検討作業をスタートさせた。首相は四月中に社会保障改革の在り方と必要財源を試算するよう指示した。試算結果は六月に成案をまとめる消費税率の引き上げ幅に直結。最大の焦点は年金の最低保障機能で政府・与党は難しい議論を迫られる。 (吉田昌平)
 年金の最低保障機能をどうするかによって、それを実現するための必要な財源の規模や必要な消費税率の上げ幅を実質的に決めることになる。
 自民党などより「弱者救済」色の強い民主党は税方式により、月額七万円以上を給付する最低保障年金の創設を二〇〇七年の参院選、〇九年の総選挙のマニフェストでそれぞれ打ち出している。
 しかし、首相は今回の一体改革議論のスタートに当たって、高齢化の急速な進展を理由に「ほかの考え方も含めて議論されることがあってもいい」と発言。
 最低保障年金を導入するとなれば、単純計算で消費税率10%分が必要。財源が足りないのは、年金だけではなく、ほかの社会保障分野にも回そうとすれば、消費税10%でもとても賄いきれない。首相が最低保障年金導入に及び腰になるのは当然ともいえる。
 そもそも、民主党も政権奪回以降、財源不足の現実の中、最低保障年金に対する考え方が変わってきている。
 総選挙マニフェストに明記した年金制度改革の考え方は、最低保障年金と、支払った保険料に応じた「所得比例年金」の組み合わせによるもの。最低保障年金を「主」とすれば、所得比例年金は「従」の位置付けがあった。
 しかし、昨年末の社会保障と税に関する党調査会の中間整理では、最低保障年金は「補足給付」と位置付けており、主と従が入れ替わっている。民主党自身も最低保障年金の創設に対し、自信を持ちきれなくなってきたのも事実だ。
 こうした民主党の変化によって、自民、公明党との考え方の違いは弱まってきた。自民、公明両党は現行の社会保険方式を前提に基礎年金の拡充を主張。
 公明党は昨年末の社会保障改革の中間まとめで、低所得者に対し、基礎年金を25%上乗せする加算制度の創設を明記した。自民党も低年金者への基礎年金の上乗せ支給を昨年の参院選マニフェストに明記した。
 民主党は最低保障年金創設を完全に断念したわけではないが、ここまでの方向性を考えると、与野党間の最大の違いは基礎年金を全額税で賄うのか、それとも社会保険方式を維持するのかに集約される。
 税方式には二十五兆円(消費税10%に相当)、社会保険方式は十兆円で賄え、与謝野馨経済財政担当相は「社会保険方式の方が実現可能性がある」というのも無理はない。
 ただ、最低保障年金の見直しなどはこれまでの民主党の弱者を守る姿勢や、首相の「最小不幸社会の実現」ともイメージが異なる。
 総選挙で民主党を支持した国民に理解が得られない可能性もありそうだ。 


 クローズアップ2011:年金制度改革 民主、迫られる理念確立 

◇自立派・共助派 党内対立避け、あいまい解釈
 19日、税と社会保障の一体改革に向けた初の関係閣僚会合で推進体制を固めた政府は、今後具体案作りと並行して野党に協議を呼びかけていく方針だ。成否は与野党の考えが異なる年金制度改革案で折り合いを付けられるかどうかにかかっており、政府は民主党がマニフェスト(政権公約)で示した年金改革案の修正も視野に糸口を探る意向。「自立」か「共助」か、これまで民主党が言を左右にしてきた基本理念を明確にしたうえで、柱に掲げる最低保障年金の性格を野党とすり合わせられるなら、同党が目指すスウェーデンのような超党派の年金改革にも一条の光が差すのだが--。【鈴木直、山田夢留】

 ◇最低保障、保険か税か
 「税と保険料のバランスをどう取るかが論点。本質的に大きな違いはない。哲学論争にしなければ調整は可能だ」。枝野幸男官房長官は17日の会見で、こう述べた。「哲学論争」とは、基礎年金部分を、現行通り保険料を基本にした「社会保険方式」とするのか、全額を税金で賄う「税方式」へ転換するのか、という議論だ。
 一般的には、社会保険方式は「保険料を払った人のみ権利として給付を受ける」自立色の濃い制度。これに対し、税方式は負担の有無にかかわらず給付をする共助色の強い仕組みで、民主党案は税方式と受け止められがち。しかし、党内の「自立派」と「共助派」の対立を避けるため、同党はこの点をずっとあいまいにしてきた。
 現行制度は、全国民共通の基礎年金を保険料と税半々で賄い、会社員や公務員ら勤め人はさらに保険料(労使折半)を財源とする「厚生年金」「共済年金」が上に載る「2階建て」となっている。社会保険方式で「自立」を基本としながらも、基礎年金には半分税を投入し、「共助」の要素も取り入れている。
 一方、09年衆院選で民主党が示した案は、保険料で賄う全国民共通の「所得比例年金」が基本。保険料を十分払えない人にだけ税財源で最低保障年金を給付するものだ。「十分払えない人」の所得水準などを公表せず、詳細は不明だが、99年に超党派で改革を実現させたスウェーデンの制度をモデルとしており、有識者らは自立色の強い社会保険方式と受け止めている。
 ところが、同党は07年参院選までは税による最低保障年金が土台で、「2階建て」に見える改革案を示していた。しかも01年参院選までは「基礎年金の税方式化」を掲げていたこともあり、民主党案を本来の意味の税方式と理解している同党議員は少なくない。
 そもそも民主党が03年の衆院選をにらんで年金案を練った際は、自立色の強い「09年型」をイメージしていた。しかし、有力支持団体の連合が共助色の強い基礎年金の全額税方式を主張していたこともあり、土壇場で「税方式」の要素を取り入れて「2階建て」に見える図を作った経緯がある。
 このため、同党の年金案は「税方式」と「社会保険方式」のどちらにも都合良く解釈できるものとなっている。実際、昨年6月17日に民主党と連合が参院選に向けて結んだ政策協定には「基礎年金の税方式化(最低保障年金)」を盛り込んでいるのに、菅直人首相は14日の会見で「我が党は最低保障を言っているのであって、全部を税で賄うということではない」と述べている。ある民主党議員は民主党案を「具体的には何も決めてないに等しい」と自嘲する。

 ◇「低所得者対策」野党と接点
 現行制度の手直しを主張する自民、公明両党は民主党とは異なる案を掲げるが、「低所得者対策」という点では接点がある。民主党がぼかしている最低保障年金の性格を「無年金・低年金者対策」と位置付けるなら、双方が歩み寄る余地は出てくる。
 自営業者らが加入する現行の国民年金(基礎年金)は、定額の保険料(10年度月額1万5100円)を40年間払えば、満額(同6万6008円)が支給されるが、所得が低くて保険料の減免を受けている人は受給額も少なくなる。40年間免除された人の給付は月額3万円にも満たない。このため、自民党は保険料の減免分を税金で補い、満額受給できる案を示している。
 公明党は、低所得者の基礎年金を税金で25%上乗せする「加算制度」創設を掲げている。年金額が月額3万円なら3万7500円になる計算だ。
 また自公両党は、受給資格を得るための加入期間を現行の「25年」から「10年」に短縮し、無年金者を減らす案も主張している。両党は無年金・低年金者対策を「最低保障機能の強化」と呼んでいる。民主党案の最低保障年金は、所得比例年金が一定額以上の人は減額するとしており、あいまいにしてきた支給額や支給対象などの設計次第では「低所得者に対する税補助」という点で自公両党案と同じ働きを持つことになる。
 このため、民主党内からは「野党と協議する余地はいくらでもある」(同党厚生労働部門会議幹部)との声も上がる。枝野官房長官は19日の会見で、「一つの案を軸にすると議論しにくい。共通しているのはどこかという積み重ねをした方が早く進む」と述べ、与野党協議には白紙で臨む意向を明らかにした。
 ただ、税と社会保障の一体改革論議の中心に、与謝野馨経済財政担当相を据えたことに野党側は強く反発している。予算審議を乗り越えても4月の統一地方選までは、「増税色」の強い協議に表舞台で応じるのは難しい。統一選で民主党が大敗を喫すれば、党内からも不満が噴出し、政権そのものが大きく揺らぐ。「税と社会保障どころの騒ぎではない」(与党ベテラン議員)事態にも陥りかねない。
毎日新聞 2011年1月20日 



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年金機構:発足1年 不一致100万人、記録問題底なしに 

 社会保険庁の後継組織・日本年金機構は来月1日で発足1年を迎えるが、厚生年金のコンピューター記録と原簿の紙台帳記録の不一致が推計100万人に達することが明らかになり、年金記録問題は底なしの様相となってきた。収納対策などの本来業務も難題山積で、年金への信頼回復の道のりは険しい。【野倉恵】

 年金機構は今月中旬、厚生年金のオンラインと紙台帳の記録の不一致率が、50歳以上で8.1%、75歳以上で13.7%に上るとするサンプル調査結果を明らかにした。高齢者ほど食い違い、4人に1人は紙台帳の記録がコンピューターに入力されていなかった。
 深刻なのは、食い違っていた人の7割が、旧社会保険庁が全加入者・受給者に送った「ねんきん特別便」に誤りはないと回答したことだ。2割は未回答、違うと回答した人は1割に過ぎなかった。不一致は厚生年金のみに加入してきた人の記録だけで、国民年金に加入歴のある人を含めれば、不一致率がはね上がる可能性もある。
 誰のものか不明な5095万件の記録の回復は、特別便などで本人が確かめ、間違いを申告するのが基本とされてきた。だが、高齢の受給者世代には「直接知らせないと『自力救済』では難しい」(機構幹部)ことが明白になり、機構は解決策の見直しを迫られる。
 大量の不一致発覚で受給者からの訂正要請が急増する可能性もある。だが、来年度予算案では記録問題解決策について概算要求から17%、230億円削減されることになった。事業仕分けで効率化が求められたためで、厚生労働省は照合単価の減額交渉などで乗り切ろうとするが、正確性を損ねれば第二の記録問題になりかねない。
 厳しさは本来業務でより深刻だ。09年度の国民年金納付率は初めて6割を割った。非正規労働者の増加など構造的要因もあるが、以前からの問題もある。国民年金の納付督励は旧社保庁時代、非常勤職員から民間へ移行が進められ、現在は全312事務所が業者に委託している。だが、業者の呼び掛けは大半が電話で、戸別訪問は4%。「未納者対応は難しい仕事なのに機械的に業者に移した」(首都圏の年金事務所幹部)との指摘もある。
 本部職員による全件照合の調達情報漏えいなど不祥事も続発。職員の資質を巡っては長妻昭前厚労相の指示で7月、120事務所に匿名で電話調査をした。年金記録の訂正基準を把握しているかを職員に尋ねると、正答は2割強しかなく、誤認や知らないケースが6割以上に及んだ。機構は「予想以上に低い」とテストや研修を職員に実施したが、10月の再度の覆面調査でも、誤認や知らないケースは4割に減ったが、正答率は2割強にとどまった。
 民主党は、国税庁と統合して歳入庁とするまでの「つなぎ」として機構を発足させた。記録問題解決に11年度まで集中的に取り組む一方、新年金制度も検討し、13年度内に年金改革法案を成立させる方針だ。その後の年金実務をどんな組織が担うかは年金制度によって変わるが、この点でも政府の議論は不透明なままだ。
毎日新聞 2010年12月29日 


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1月23日(日)のつぶやき

2011-01-24 01:30:17 | 花/美しいもの
17:52 from Tweet Button
○1.30『日本のフェミニズム』完結記念公開シンポジウム/1.29「家族 自由の原点―ひとつの神話として」 #goo_midorinet002 http://t.co/pTj9C7e
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1.30『日本のフェミニズム』完結記念公開シンポジウム/1.29「家族 自由の原点―ひとつの神話として」

2011-01-23 17:05:40 | ジェンダー/上野千鶴子
昨日の続き。
1月22日の、朝日新聞特集「孤族の国」反響編の記事です。

見開き一杯の大きな記事なので、
とても一枚には入りきりません。
   

   

「反響編」でおもしろかったのは、「孤族だけどひとりじゃない」という真鍋弘樹さんの記事。
 男性はねぇ・・・・。そう言って、ため息をつく人に取材先でたびたび会った。
 後に続く言葉は、決まって「駄目なんですよね」だ。孤独死、自殺、引きこもり、配偶者の死去など、孤立の問題に取り組む現場の人たちの言葉である。
 いわく、自尊心が邪魔して弱音が吐けない、妻に先立たれると支えがなくなる。地域の集まりでもつい命令口調になる。
 同性として身の置きどころがない。もちろん、自分に思い当たるところがあるから。
「産業廃棄物」とまでは言わないが、企業社会に適応した姿が、ガラパゴス島で独自に進化した種の姿に重なる。 
 今回の連載で、第1部を「男たち」としたのは、孤立・単身化への向き合い方に男女の差があると考えたためだ。上野千鶴子東大大学院教授は「男性は企業と家族以外の人間関係を作る努力を怠ってきた」と手厳しい。
 連載を終え、取材班に寄せられた反響の一通一通に目を通した。意外だったのは、男性たちの姿を報じたにもかかわらず、女性からの投書が多かったことだ。記事に登場した人の境遇を思いやり、我が身を振り返るような内容が多い。時に、「男の身勝手」への憤りも寄せられたが、多くは共鳴の便りだった。・・・・・


朝日新聞特集「孤族の国」の第2部「家族代行」は、あすから連載が始まります。
第3部以降は「女たち」もとのこと。

こんどはどんな記事が登場するのか、たのしみに思っています。

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話しは変わりますが、
1月末の土日に、東京でイベントがふたつ開催されます。
会場は、いずれも東京大学。

29日の土曜日は、「家族 自由の原点――ひとつの神話として」、
30日の日曜日は、『日本のフェミニズム』全12巻完結記念公開シンポジウム。
『日本のフェミニズム』は編者全員がそろうというめったにないシンポで、
どちらも興味深いテーマなので、関心のある方はぜひ予定に入れておいてくださいね。

『日本のフェミニズム』全12巻完結記念公開シンポジウムチラシ
     
 20110130シンポ案内
『日本のフェミニズム』全12巻完結記念公開シンポジウム
 

主催:『日本のフェミニズム』全12巻完結記念シンポ実行委員会
共催:東京大学ジェンダーコロキアム
    NPO法人ウィメンズ・アクション・ネットワーク
後援:東北大学グローバルCOEプログラム「グローバル時代の男女共同参画と多文化共生」東京大学社会科学研究所連携拠点・岩波書店

時:2011年1月30日(日)13時半-18時(開場13時)
所:東京大学文学部1大教室(法文2号館2階)

東大本郷キャンパスマップ

旧版『日本のフェミニズム』全7冊別冊1(1994-96)から15年。90年代以降に飛躍的に発展した女性学・ジェンダー研究の成果をとりいれて増補新版『新編 日本のフェミニズム』全12巻(2009-2011)が、第9巻『グローバリゼーション』(刊行予定2011.1.28)をもって完結します。このアンソロジーは、日本のフェミニズムの財産目録というべきもので、次世代にバトンを手渡すためにつくられました。長期にわたる関係者の尽力に感謝し、完結を記念して以下の公開シンポジウムを開催します。

プログラム
総合司会:十時由紀子
開会挨拶 編集者の立場から 十時由紀子(岩波書店)

第1部 完結にあたって:
「日本のフェミニズム」を手渡すために 編者を代表して 井上輝子(和光大学)
アンソロジーの政治   上野千鶴子(東京大学)

第2部 「日本のフェミニズム」を若い世代が読む
40代が読む 岡野八代(同志社大学)
30代が読む 熱田敬子(早稲田大学)
20代が読む 草野由貴(東京大学)

第3部
15年後にアンソロジー改訂版をつくるとしたら?3つの編集方針をめぐって

日本語圏を超えて(言語ナショナリズム批判) 北村文(明治学院大学)
当事者性とヘテロセクシズム(異性愛主義批判) 齋藤圭介(東京大学)
メディアの多様化(印刷メディア至上主義批判) 妙木忍(東京外国語大学)

第4部 司会 千田有紀(武蔵大学)
コメントに応えて

編者全員 天野正子(東京家政学院大学)・井上輝子(和光大学)・伊藤公雄(京都大学)・伊藤るり(一橋大学)・上野千鶴子(東京大学)・江原由美子(首都大学東京)・大沢真理(東京大学)・加納実紀代(敬和学園大学)・斎藤美奈子(評論家)

討論
閉会挨拶 江原由美子(首都大学東京)

入場料:無料(ただし資料代500円をちょうだいします)
問い合わせ:東京大学上野研究室  03-5841-3875  ueno@l.u-tokyo.ac.jp
参考
【『新版』と略称】天野正子・伊藤公雄・伊藤るり・井上輝子・上野千鶴子・江原由美子・大沢真理・加納実紀代編/斎藤美奈子編集協力2009-2011『新編 日本のフェミニズム』全12巻、岩波書店(1リブとフェミニズム/2フェミニズム理論/3性役割/4権力と労働
/5母性/6セクシュアリティ/7表現とメディア/8ジェンダーと教育/9グローバリゼーション/10女性史・ジェンダー史/11フェミニズム文学批評/12男性学)
http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/qsearch

【『旧版』と略称】井上輝子・上野千鶴子・江原由美子編/天野正子編集協力1994-96『日本のフェミニズム』全7冊・別冊1、岩波書店(1リブとフェミニズム/2フェミニズム理論/3性役割/4権力と労働/5母性/6セクシュアリティ/7表現とメディア /別冊男性学)
2011年01月17日 WANサイト


新編 日本のフェミニズム 全12巻 岩波書店  
1.リブとフェミニズム
2.フェミニズム理論
3. 性役割
4.権力と労働
5.母性
6.セクシュアリティ
7.表現とメディア
8.ジェンダーと教育
9.グローバリゼーション  
10.女性史・ジェンダー史
11.フェミニズム文学批評
12.男性学

●フェミニズムとはどんな思想なのか,なにをめざし誰が担うのか.はじめてフェミニズムの本を読むひとのための,関心にこたえるテーマ別編集.
●1970年からのすぐれた文献を見渡した『日本のフェミニズム』全8冊(1994-95)をそのまま収め,各巻に90年代後半以降の文献を中心に増補編を編集.さらに,8 ジェンダーと教育,9 グローバリゼーション,10 女性史・ジェンダー史,11 フェミニズム文学批評の4冊を増巻.
●制度的な達成・課題,ネットワークの拡大,テーマの多様化,実証研究の成果,思想や運動の継承など近年の展開に向き合うべく,編集委員9人が文献を精選.
●当事者からの発信,アカデミックな理論や実証研究に支えられた確かな視点,そして思想的な射程と運動的な広がりをもつ,まさに同時代を生きるためのさまざまな文献のハイライトを編んだアンソロジー.編集委員が各巻にひとりずつ解説を担当.

増補新版の編集にあたって
天野正子・伊藤公雄・伊藤るり・井上輝子・上野千鶴子・江原由美子
大沢真理・加納実紀代/編集協力 斎藤美奈子

 1994年に「日本のフェミニズム」(全7冊,別冊1)を刊行してから約15年.その時点で4半世紀を経ていた日本のフェミニズムの財産目録をつくろうというアンソロジーの試みは,読者に好意的に受けとめられ,歴史的な役割を果たしました.
 刊行以後,90年代からの15年間は,日本においてジェンダー政策が主流化し,女性学が制度的な知の再生産のもとで若手の研究者を次々に送り出すなど,多様で多産な時期でした.その成果に脅威を感じるかのように,フェミニズムに対するバックラッシュすら登場しました.
 このまったく新しい状況に対して,わたしたちは新たな編者を迎え,「日本のフェミニズム」増補新版の刊行を決意しました.編集にあたって留意したのは以下の点です.
 まず第1に,時代の変化に応じて生まれた主題や,豊かな蓄積を生んだ分野の主題群を加えて,新たに「女性史・ジェンダー史」「グローバリゼーション」の2巻を立て,さらに,旧版の「権力と労働」から「ジェンダーと教育」を,「表現とメディア」から「フェミニズム文学批評」を独立させ,計4巻を増巻しました.また,「男性学」の巻では当事者視点を尊重し,男性の解説者を迎えました.第2に,歴史的な資料としての価値を尊重するため旧版はそのまま残し,かつて採用できなかった重要な文献や,新たに付け加わった膨大な成果のなかから精選し,それに増補しました.第3に,できるだけ多くの代表的な書き手を網羅するよう,抜粋や抄録などで紹介に努め,収録し切れない部分や採用を断念しなければならなかった文献には,解説で触れるようにしました.
 本シリーズは,日本におけるまたは日本に関わる多様な女性や男性の経験を,自分のことばで語ったメッセージを収録したものです.日本のフェミニズムは,日本国籍を持つ女性や持たない女性,女性や男性,そしてそうした性別の分類を拒否する人々の関与によって築きあげられたものです.もちろん,このアンソロジーが日本のフェミニズムの成果を網羅したものであると主張するつもりはありません.が,旧版の編集意図にもあるように,日本のフェミニズムが世界史的な同時性のもとに,誰の借り物でもない独自の展開を遂げてきたこと,その蓄積は世界に向けて誇れるものであることを,読者は理解されることでしょう.そして,テーマ別に編集されたこのシリーズが,この豊かな森へ分け入りたい読者のための道しるべとなることを,編者一同,心から期待しています.
2008年 秋


家族 自由の原点――ひとつの神話として 
(東京大学哲学研究会HP)
主催:科研費プロジェクト「哲学・芸術・国家」
共催:哲学会

科研費プロジェクト「哲学・芸術・国家」は、このたび「家族 自由の原点―ひとつの神話として」と題しまして、講演会を執り行う運びとなりました。御関心のある方はどなたでも奮って御参加ください。
(事前のお申し込みは不要、来場無料です。)

日時:2010年1月29日(土)13時~17時30分
場所:東京大学本郷キャンパス法文2号館1番大教室


岡野八代(同志社大学/現代政治理論/政治思想史)
家族 ―政治からの開放―
宮地尚子(一橋大学/精神医学)
DVから見た家族:公的領域、親密的領域、個的領域
高山守(東京大学/哲学)
家族の新たな基礎付け ―哲学的自由論のもとで―
コメンテーター:上野千鶴子(東京大学/社会学)
司会:杉田孝夫(お茶の水女子大学/西洋政治思想史)


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1月22日(土)のつぶやき

2011-01-23 01:28:53 | 花/美しいもの
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ためしてガッテン:血管が若返る!コレステロール調節術/体にいいナッツ類 生活習慣病の予防も #goo_midorinet002 http://t.co/cRe9Gpo
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きょうのブログ。○オピニオン「孤族の国」/男よ率直に弱さを認めよう 上野千鶴子さん 社会学者(朝日新聞) #goo_midorinet002 http://t.co/8XtPTNO
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オピニオン「孤族の国」/男よ率直に弱さを認めよう 上野千鶴子さん 社会学者(朝日新聞)

2011-01-22 15:04:55 | ジェンダー/上野千鶴子
20日は、朝日カルチャーセンター新宿で、
上野千鶴子さんの最新刊「女ぎらい ニッポンのミソジニー」の
出版記念講座があったので聴きに行きました。

いつものことですが、ともちゃんに岐阜駅まで送ってもらって、新宿に直行。
紀伊国屋新宿本店の新刊本と専門書(医療)コーナーで時間をつぶし、
タカノフルーツで夕食代わりの特製メロンパンと、「フルーツチョコ」をいくつか購入。

新宿住友ビル7階の朝日カルチャーセンターには1時間も前の6時に到着。

100席が予約で満席ということなので、ドアの前で待ち、最前列に着席。

上野さんのお話しは「女ぎらい ニッポンのミソジニー」の「理論編」で、
パワポを使っての、濃密な内容で引き込まれました。
前回の「女ぎらい」読書会で出た疑問のかずかずもお話しを聞いてとけました。
はるばる著者の話を聴きにきた甲斐がありました。

あとで、上野さんに感想を聞かれ「めっちゃ、おもしろかった!」。
「きょう朝日の孤族の国に、記事が載ったんだけど・・・」
と聞かれたのですが、
「えーっザンネン。午前中にP-WANとブログの下書きを書いてたので、
バタバタしてて、けさの朝日は見てこなかった」。

翌日帰ってから、さっそく20日の朝日新聞を開いたら、
オピニオン「孤族の国」という大きな記事に、上野さんのインタビューが出ていました。

特集「孤族の国」は、「第1部 男たち」が、昨年12月26日からはじまり、
今年1月6日まで連載されていました。

 特集「孤族の国」(朝日新聞)

「男性編」だったのですが、わたしも熱心に読みました。
記事の反響も大きく、あちこちのMLやツイッターで取り上げられていました。

男性が「孤立」しやすいことは、わたしも16年前に実感しています。
阪神大震災が1月17日朝に起きたとき、子どもを持つ女性に安心できる場を提供したい、
と21日に徒歩で阪神間に入り、「岐阜に来ませんか?」とポスターをはって歩いたのですが、
じっさいにやってきた人たちは、ほとんどが「男」。
子持ちの女性たちは、避難所でも女性のネットワークの中で、
手助けしてくれる人も多く、男たちは避難所でも孤立していたようです。
とはいえ、「だれでも受け入れる」と決めていたので、被災地に救援物資を届けがてら、
現地や駅まで迎えに行ったりして、無条件で受け入れました。
それぞれ落ち着くところが見つかるまで、半年ほど救援活動をつづけたのですが、
社会からはじかれたり、病気だったり、深刻な事情を抱えたり、
どこにも行き場のない「ワケアリ」男性ばかりでした。

「孤族の国」を読みながら、人とのつながりも、セーフティネットも持てなくて、
現実に起きていることに対応できない、男たちのことを思い出していました。
それでも、この記事を読むと、「助けて」と飛び込んでこれた人たちは、
まだよいほうだったのでしょうか。
「男よ率直に弱さを認めよう」という上野千鶴子さんの「オピニオン」に共感します。
 

オピニオン「孤族の国」 耕論(2011.1.20 朝日新聞

男よ率直に弱さを認めよう
 上野千鶴子さん 社会学者


 連載「孤族の国」に「老後の世話をしてくれて、みとってもらえる相手が欲しいだけなのに」と嘆く独身の中高年の男性が登場しました。
 こんな虫の良い期待をするから結婚できないんだ、とツッコミたくなりました。女性では考えられません。
 孤独死や行旅死亡人が注目され、「家族がいるのになぜ?」という驚きの声が聞かれますが、家族は昔からそれほど頼りになるものだったのでしょうか。いまや家族は資源であると同時に、リスクにもなる時代。1人でいれば1人で死ぬだけですが、極端な話、家族といれば殺されるかもしれないのです。
 そもそも1人でいることの何がそんなに悪いのでしょうか? 私はシングル女性への差別的なイメージを前向きに転換したいと考え「おひとりさまの老後」を著しました。
 そこに「共助(ともだす)け」のネットワークを築いた女性たちを書きました。家族という資源を持たない「弱者」だという自覚に基づき、趣味や生協などの活動を通じて血縁や地縁に代わるつながり、助け合いの仕組みを作ってきた人たちです。
 共助けネットのキーパーソンの多くが「転勤族の妻」という調査結果があります。パート勤務もなかった時代、彼女たちは核家族での子育て期の孤立に苦しんだ。子を殺して自分も死ぬかというほど追い詰められ、”たこつぼ”からはい出るようにつながりを求めました。長い期間をかけ、知恵と工夫を重ねて生み出されたノウハウやスキルは、必要の産物です。
 男性にも学んでほしいと思うのですが、それには他人とつながる必要性を自分で感じなければなりません。男性は弱音が吐けない上に、新自由主義的な「自己責任論」によって、さらに追い込まれている。それでも自分の窮状を認められず、わかろうともしない。現実逃避の天才です。
 ・・・・・(以下略)・・・・・
(2011.1.20 朝日新聞)


とここまで書いて、
けさ(1月22日)の朝日新聞を読んだら、
特集「孤族の国」の反響編が見開き2ページにわたって載っていますので、
こちらは、明日また紹介しますね。

  
名古屋で買った「堂島ロール」を食べながら・・・。

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特集「孤族の国」に関連して、色んな記事が書かれています。

政府は朝日新聞の連載を受けて、問題の深刻さを認識、
「孤族」支援に乗り出す特命チームを設置したようです。

「孤族」支援特命チームを政府設置へ 首相が指示 
2011年1月13日 朝日新聞 

 菅政権は、家族との離別や失業などで社会的に孤立した「孤族」支援に乗り出す方針を決めた。月内に反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠内閣府参与ら有識者による特命チームを設置し、単身世帯の生活実態などを調査。今年夏までに提言をまとめ、2012年度予算案に反映する考えだ。
 菅直人首相は、朝日新聞の連載企画「孤族の国」などが取り上げた単身世帯を取り巻く現状を深刻だと判断。「近年、地域や職場、家庭でのつながりが薄れ、『孤族』のような状況が顕在化している」として、福山哲郎官房副長官を中心に対策を検討するよう指示した。その結果、「単なる弱者救済ではなく、今後の日本の社会のあり方を考え直す戦略を作る必要がある」(福山氏)として、湯浅氏や自殺対策支援のNPO法人「ライフリンク」代表の清水康之内閣府参与らが参画した特命チームの設置が決まった。
 特命チームは4月以降、実態調査に乗り出し、夏までに政策提言をとりまとめ、12年度予算案に対策を盛り込む方針。さらに、12年度中には政権として「社会的包摂戦略」をとりまとめる予定だ。
 首相は就任直後の昨年6月、所信表明演説で「だれ一人として排除されることのない社会の実現」を掲げた。今月4日の年頭記者会見でも、「最小不幸社会」の実現を目指すと強調。菅政権は「孤族」特命チームをテコに、孤立した人たちの全容を明らかにし、人を社会的孤立に追いやっている原因を調べ、孤立状態にある人を社会につなげるための対策に本格的に取り組む考えだ。  


近所に親しい人、いない 中高年男性4割 女性より孤独
2011年1月18日 朝日新聞

 中高年の男性の4割は親しい近所の人がいない。東京都八王子市のシンクタンク「八王子市都市政策研究所」が市内の3千人を対象にアンケートし、そんな結果が出た。
 市内の50~84歳の男女3千人を無作為に抽出し、昨年8、9月に実施し、2080人が回答(有効回答率70%)。「中高年世代の生活実態と生活意識に関する調査」と題し、人とのつながり、生きがいなど生活の実態を尋ねた。
 「親しくしている家族・親類、近隣、友人の人数」については、「家族・親類」3.88人、「友人」3.13人、「近所の人」2.46人だった。男性は女性と比べ、親しい人が少ない傾向にあり、男性の44.6%が親しく付き合っている近所の人が「いない」と答えた。
 健康状態については77.5%が「とても健康」か「まあ健康」と回答。外出の頻度は「ほぼ毎日外出している」が65~74歳で約5割、75~84歳では4割弱いたが、「週1回以下」という人も、75~84歳では1割以上いた。
 「積極的に参加したい活動」は「趣味や習い事などのサークル活動」が51%で最多。「ボランティア、非営利活動」が16%で続いたが「どれも参加したくない」という回答も26%あった。
 働く意欲は「高齢期(65歳以上)に働きたい」という人は約6割。70~74歳でも47%が「働きたい」と答えた。経済的なゆとりは35.5%が「あまりゆとりがない」、19.5%が「ゆとりはない」と答えた。
 幸福感を尋ねた質問では、「現在幸せだと思う」と答えた人が75歳以上で5割を超えたが、50~54歳では32.3%と、世代間で差があった。「寂しいと感じることがあるか」との質問では「ある」が8.8%、「ときどき」が38.5%。生きがいは「子や孫の成長」「友人との付き合い」「本や新聞」などが多数で、「メールやインターネット」も47.8%あった。
 同研究所の原島一所長は「高齢者の就労意識が高いことなどがわかった。行政やNPOだけでなく、市民にも今回の結果を生かしてほしい」としている。結果を掲載した報告書は市役所や図書館で閲覧でき、市のホームページにも掲載される予定。(波戸健一)  


生活保護、最多の3兆円超 09年度、失業者が急増
2011年1月22日 

 2009年度に支払われた生活保護費が初めて3兆円を超えたことが、21日分かった。08年9月のリーマン・ショック以降、失業者が生活保護に大量に流入し、働ける年齢の受給者が急増したためだ。厚生労働省は、就労・自立支援の強化などを中心に、生活保護法などの改正を検討する。
 生活保護費は国が4分の3、地方自治体が4分の1負担している。厚労省のまとめによると、09年度決算では国負担分が2兆2554億円、地方負担分が7518億円で、総額は3兆72億円。前年度より約3千億円増えた。
 年金だけでは生活できない高齢者世帯の増加で、生活保護受給者は増え続けている。さらに08年9月以降は生活保護を申請する失業者が増えた。保護受給世帯は昨年10月時点で過去最多の141万世帯。このうち、病気や障害がなく働ける年齢の世帯は23万世帯で、2年で倍増した。
 指定都市市長会(会長=矢田立郎神戸市長)は昨年、財政運営に影響が出ているとして生活保護の全額国庫負担など社会保障制度の改革を求める意見書を国に提出している。
 厚労省は近く自治体との協議に入る。具体的には、保護受給者の就労と自立を促すための支援策の強化、不正受給の防止策など生活保護の適正化に向けた対策を検討する。ただ、市長会が求めている保護費の全額国庫負担については、「現段階で国と地方の負担割合を変える予定はない」(保護課担当者)という。
 地方との協議で制度改革案をまとめ、政府が検討している税と社会保障制度の一体改革にも反映させたい考え。法改正が実現すれば、1950年の制度創設以来の大幅改正となる。

■自治体の財政「火の車」 支出は都市部に集中
 増え続ける生活保護申請で自治体財政は「火の車」だ。生活保護が集中するのは失業者が多い都市部。東京都、政令指定都市、中核市で、保護費の6割にあたる1兆9千億円が09年度に支出された。
 今年度も、19政令指定都市のうち17市で、09年度決算額を超える当初予算を組んでいるにもかかわらず、補正を組む状況に陥っている。
 09年度決算で最多の2675億円を支出した大阪市。今年度当初予算はそれを上回る2863億円だが、2月に補正を組む予定だ。名古屋市も今年度は前年度比8千人増の3万8200人を見込んでいたが、9月時点ですでに4万人を超え、2年連続で100億円規模の補正を組んだ。
 指定都市市長会が昨年10月に国に要望した改革案の柱の一つは、働ける年齢の人には3~5年の期間を設け、「集中的かつ強力な就労支援」をすることだ。期間が来ても自立できない場合、保護打ち切りも検討する仕組みだ。
 市長会の提案に、弁護士らで作る生活保護問題対策全国会議などは「生活保護に期限を設けることになり、生存権を保障した憲法25条に違反する。生活保護の増加は非正規雇用の増加や社会保障の不備に原因があり、働く場を用意しなければ解決しない」と強く反発している。
 国の推計では生活保護基準以下の所得なのに生活保護を受けていない人は最大229万世帯。本来生活保護が受けられる人に十分に行き届いていないという指摘もある。(諸麦美紀、永田豊隆)  


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ためしてガッテン:血管が若返る!コレステロール調節術/体にいいナッツ類 生活習慣病の予防も

2011-01-21 08:06:37 | 健康/くらし/薪ストーブetc
19日夜8時からの、「ためしてガッテン」は、「本当に血管が若返る!コレステロール調節術」。
これはぜひ見とかなくちゃ、と夕方から「見るだけ予約」しておきました。

 【ためしてガッテン】本当に血管が若返る!コレステロール調節術
NHK 2011年1月19日放送

 番組のテーマ
最新研究 血管は若返る!
善玉・悪玉って何が違うの?
驚きの“善玉”効果
善玉を増やす方法 大公開!
男女で違う!コレステロールの危険度
あなたの危険度はどのくらい? 


ためしてガッテンは、最後まで見させるために、結論を引き延ばして、
最後に「なーんだ」ってこともあるのですが、今回の番組はおもしろく、ためになりました。

番組で注目したのは・・・
女性ホルモンには、“悪玉コレステロール”値を下げる作用があって、
動脈硬化は男女で大きな差があること。
閉経後になると“悪玉コレステロール”値が急上昇するのですが、
動脈硬化はすぐには進まないこと。
一般に女性の血管は男性よりも10才若い・・・などなど。

コレステロール値が高目のわたしとしては、うれしい情報。
ということは、低めで安心しているつれあいのほうが「危ない」ってこと?!

この違いがひと目で分かる表が出てきました。

 およそ1万人の日本人を19年間調査した結果をもとに、
「コレステロール値」と「心臓病」の関係を示す表が作られました。

出典:NIPPON DATA80 (一部改変)
滋賀医科大学 上島弘嗣名誉教授 


おんなに生まれて、得した気分。

「ためしてガッテン」は先週も、驚異の「お茶パワー」をテーマにしていました。

お茶!がん死亡率激減!?超健康パワーの裏ワザ(NHK 2011年1月12日)


こちらは見逃しましたが、webを見ると内容が分かります。

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LDL(悪玉コレステロール)や中性脂肪を減らすには、ナッツ類もよいそうです。
1月15日の朝日新聞には「意外に体にいいナッツ類 生活習慣病の予防も」の記事。
ナッツ類が大好きなわたしは、大歓迎。

   
意外に体にいいナッツ類 生活習慣病の予防も
2011年1月18日 朝日新聞

 クルミやアーモンド、ピスタチオなどのナッツ類。高カロリーで太ると思って敬遠していませんか。実は栄養バランスがとてもよく、生活習慣病の予防や老化防止に役立つとわかってきました。
   □     □
 ナッツが大好きな私。大きな袋で買ってきてはポリポリポリ……。一気に半分食べてしまうことも。でもナッツは脂肪が多いというし、さすがに体に悪いかなと不安になり、専門家に聞いてみた。
 日本臨床栄養学会の板倉弘重理事長は「たしかにナッツの主成分は脂肪です。しかし、そのほとんどはαリノレン酸やオレイン酸といった健康によいとされる油。動脈硬化を防ぎ、脳梗塞(こうそく)や心臓病のリスクを減らすなどの効果があります」と話す。
 αリノレン酸とは体内でつくることのできない必須脂肪酸。血栓防止や中性脂肪の低下、炎症抑制などの作用が注目されている。
 一方、オレイン酸はオリーブオイルに豊富に含まれることで知られ、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールを減らす働きがある。
 さらにうれしいことに、ナッツには、ビタミンやポリフェノールなど抗酸化物質も多いという。
 抗酸化物質は、がんや老化の誘因となる活性酸素を消す。いわゆるアンチエイジングにも役立つというわけだ。油の酸化を防ぐため、ナッツの脂肪の長所も最大限に生かされるという。
 「ナッツはたんぱく質も含み、栄養価が非常に高い。食べないのはもったいない」と板倉さん。
 欧米では、ナッツの健康への効能を示すデータが次々と報告されている。
 日本でも、九州大の今泉勝己特任教授(栄養化学)らが調査した。男女40人に4週間、1日の摂取エネルギーの12.5%をクルミから取ってもらったところ、男女ともLDL値が低下した。
 「日本の食事にクルミを加えても、欧米の研究と同様の結果が出たのは意義がある」と今泉さん。
 LDLが減ったのは、αリノレン酸やオレイン酸に加え、必須脂肪酸のリノール酸、ミネラル、食物繊維、アミノ酸などがバランスよく含まれるためと見ている。
 お茶の水女子大大学院の近藤和雄教授(臨床栄養学)によると、ナッツはダイエット効果も期待できるそうだ。
 海外では「ナッツを週5回以上食べる人のBMI(肥満度を示す体格指数)は、ほとんど食べない人と比べ低かった」「肥満の人たちがアーモンドを食べたら体重もBMIも低下した」などの報告がある。
   □     □
 とはいえ、私のような食べ方はやはりカロリー過多だそうだ。間食と考え、「1日約200キロカロリー、片手で軽く一握り分くらい」が適量と教わった。そのぶん、ほかの間食は控えよう。
 近藤さんは「少しずつ成分が違うのでいろんな種類を。油や塩が無添加のものがよい」と勧める。
 相変わらず、職場の机にもナッツを忍ばせ、小腹がすいたときにかじっているが、必ず小分けにして適量を守るようになった。家では、サラダやトーストに加えて楽しんでいる。(内山美木)

 ◆インフォメーション
 ここ数年、ナッツの中で存在感が高まっているのがアーモンドだ。カリフォルニア・アーモンド協会によると、日本での売り上げは倍増。ミス・ユニバース日本代表に栄養指導するオーストラリア出身のエリカ・アンギャルさんが著書などでアーモンドが美容によいと紹介したためだという。同協会は「健康志向で塩や油を使わない商品が増えました」と話している。  


アーモンドは常備しているのですが、
さっそくクルミとカシューナッツを買ってきました。

とうぶん、3時のコーヒーのおともは、これで決まり!

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1月20日(木)のつぶやき

2011-01-21 01:35:50 | 花/美しいもの
08:56 from Tweet Button
きょうのブログ。○自治体の灰溶融炉 相次ぐ休止・廃止/社交ダンスのプロテストに合格した 垣見ゆき子さん82歳 #goo_midorinet002 http://t.co/cA6rwJi
14:24 from モバツイ
愛知県知事選が告示された。これからは選挙一色になりそう。東京に向かうのぞみから。
15:11 from モバツイ
富士山がきれいに見えます。東京は晴れつづきらしい。明日は冷え込むとの予報なのでロングコートを着てきたわ。雪国のおのぼりさん。
by midorinet002 on Twitter
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自治体の灰溶融炉 相次ぐ休止・廃止/社交ダンスのプロテストに合格した 垣見ゆき子さん

2011-01-20 08:51:08 | 市民運動/市民自治/政治
昨日の朝、ぼんやりと起きてきて、
どれどれと中日新聞を開いて、<うぇるかむシニア>の写真に「えっ」と目が覚めました。

社交ダンスをしているステキな女性は、
なんと、親しい友人のお母さまの垣見ゆき子さん。

岐阜市に「おひとりさま」で住んでいらっしゃるので、
友人が帰ってきたとき、なんどかお邪魔したことがあります。
思わず記事に引き込まれて読みました。

「いい記事だなぁ、もしや白井さんでは」と思ったら、
案の定、これまた友人の白井康彦さんの署名記事。
白井さんは岐阜支局にいらっしゃったときから、ずいぶんお世話になって、
その後、生活部、石川県と転勤されて、昨年また名古屋本社の生活部に戻ってみえました。

中日の生活面は、よい記事が多いので前から愛読しているのですが、
以来、わたしは、白井さんの署名記事を探しながら、
中日新聞は生活欄から読む、が習慣になっています(笑)。

朝ごはんを食べてから、さっそく友人に「みたよ」と電話をかけました。

  <うぇるかむシニア>けがにも負けぬ情熱 
 社交ダンスのプロテストに合格した 垣見 ゆき子さん82歳
 
2011年1月19日 中日新聞

 アオヤギダンススクール。垣見ゆき子さんが、黙々と社交ダンスの練習に励んでいた。名古屋市の同スクールに毎週二回、岐阜市から通って来る。
 かかとの高いダンスシューズ。普通の人ならすぐに転んでしまいそうだが、前進や後退、回転などの動作はスムーズだ。
 インストラクターの男性が、動きの問題箇所を指摘する。垣見さんは修正しようと、何回もやり直す。運動量は、八十歳すぎにはとても見えない。
 昨年十月、競技ダンスの日本ボールルームダンス連盟認定のプロ・ダンス・インストラクターの試験を受けた。
 受験生には、年齢が六十違う人もいた。実技試験には、九十通りの踊り方をマスターして臨まなければならない。法規や一般常識、ダンス用語などの筆記試験もある。
 難関だったが、見事に合格した。「四年ぐらい勉強したから…。体力づくりは普段の練習でしました」と控えめに振り返る。
 酒店のおかみさんをしながら三人の子を育てた。二十年前に夫が亡くなって自由な時間が増え、その一年半後に社交ダンスを始めた。当時六十四歳。しかも、戦後、社交ダンスがはやった時期に一年ほど習った程度だった。
 だが、「何かに挑戦することが好き」という情熱が人並み外れていた。膝の半月板を痛めていた時期も、医師には告げず、岐阜市内のダンス教室に熱心に通った。
 教室では、岐阜県大垣市の藤井勝夫さん(68)も懸命に練習していた。藤井さんは、垣見さんのダンスパートナーになり、先にプロ・ダンス・インストラクターの試験に合格した。
 垣見さんは、二〇〇八年秋に自宅で階段から落ち、膝の骨にひびが入った。しばらく愛知県内の娘の家で暮らしたが、その間も練習に通った。「パートナーが踊るのを見るだけでも勉強になりますから」
 今もダンス漬けの日々。週に名古屋市や岐阜市で三回レッスンを受け、五回は岐阜県内の公民館などで藤井さんの助手として地域の人たちに指導。さらに一回は自宅近くの公民館で一人で教える。
 社交ダンスは、おしゃれも必要で、身だしなみや衣装にしっかり気を配る。「垣見さんのように年を取りたいから習っています」。教え子のこんな言葉が励みになる。
 母親は九十九歳、父親は八十七歳まで長生きした。「自分も、体が駄目になるまで頑張りたい」。活躍は、まだまだ続きそうだ。 (白井康彦)

◆若い世代へ いつも心に夢を
 いつも心に夢を持ってください。これが一番言いたいことです。夢が報われるかどうかは分かりませんが、楽しんで行動できます。3人の子どもも、それぞれ夢を持って、自由に伸びていってくれたと思います。自分も心に夢を持って、商売やダンスに励んできました。今後も夢を持ち続けていきたいと思います。以前、孫にお願いして、習字で「心に夢を」と書いてもらいました。その紙は、ずっと家の中に張ってあります。


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白井さんは、17日にも灰溶融炉のことで、
生活面に大きな記事を書いていらっしゃいます。

カネ食い虫で、問題が多くて、各地で休止や廃止があいついでいる灰溶融炉。

わたしたちは、元々この焼却炉の導入に反対で、訴訟までしたけれど、
山県市でも市長が強引に誘致して、数年前に稼動してしまいました。
けっきょく、同様の問題を抱えてて、いまでは動いたりとまったり。

補助金がもらえるからと安易な考えで飛びついて、
莫大な費用をかけて作ったまま、ゴミを燃やすはずの「夢の」焼却炉自体が、
各地で、究極の「ごみ」になってしまっています。

白井さんの記事では、各地の溶融路の現状がていねいに検証され、
問題点が浮き彫りにされています。

 自治体の灰溶融炉 相次ぐ休止・廃止
2011年1月17日 中日新聞

 家庭などから出る一般ごみの焼却灰を超高温で溶かすハイテクの「灰溶融炉」。国の誘導策もあって導入が進んだものの、近年は休止や廃止を決める自治体が相次いでいる。「お荷物」と考える自治体がなぜ増えたのだろうか。 (白井康彦)

 一般ごみの焼却灰を灰溶融炉で千三百度以上にして溶かし、その後で固めると、ガラス状の溶融スラグになる。容積は灰の半分ほどに減り、そのまま最終処分場に埋めても処分場の寿命が延びる。もう一つ、盛んに宣伝されたのが、土木建設資材などへのリサイクル。この場合、処分場を延命させる効果はより大きくなる。
 国は一九九七年度から二〇〇四年度まで、焼却炉を新設する自治体への補助金交付の条件として、焼却炉と灰溶融炉のセットでの建設を求めた。当時、自治体の最終処分場確保が難しかったことへの措置だった。
 これに伴い、灰溶融炉は急増。全国に約百十カ所を数えるまで広がったものの、現在は「灰溶融炉をもう使わない」という姿勢の自治体が増えている。一例が、京都府南部の宇治市、城陽市など三市三町でつくる城南衛生管理組合。昨年十月、本年度末で灰溶融炉を停止する方針を環境省に正式に申請した。
 組合のごみ処理施設「クリーン21長谷山」があるのは城陽市内。見学コースからの焼却炉や灰溶融炉の様子では、さほど古びているようには見えない。焼却炉と灰溶融炉の運転開始は〇六年。建設の事業費総額は約六十二億円で、うち約十二億円が灰溶融炉の分だ。
 川島修啓施設課長は、灰溶融炉運転停止の理由を「第一は地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の発生を抑えること。第二は経費削減。第三は溶融スラグの有効利用を広げる展望がないこと」と説明する。
 灰溶融炉に使っていた大量の電気や灯油をカットすることによるCO2削減効果が大きいという。経費も、運転委託費や灯油代などが大きく減り、年間で約二億円減らせる見込みだ。灰溶融を止めた後は、焼却灰は最終処分場に埋める。処分場は、相当先まで確保できる見通し。
 仙台市も昨年十二月、灰溶融炉を一二年九月をめどに廃止する方針を決めた。「休止」というかたちで使用を停止している自治体も多い=表。灰溶融炉の寿命のかなり前に休止したケースがほとんどだ。

◆ごみ減量化進み処分場延命
 灰溶融炉の休止が増えてきた背景には、いくつもの事情がある。
 ごみの減量化やリサイクルが進んだ影響で、自治体の最終処分場の寿命が延びる傾向が目立ってきたのが一つ。溶融スラグの有効活用も、期待されたほどには伸びていない。土木建設資材としてほぼ100%活用できている自治体がある一方、溶融スラグをそのまま処分場に埋めたり、処分場でごみにかぶせる土の替わりに使ったりする自治体も少なくない。
 灰溶融炉は、補修費用や燃料代など運転させるための経費がかさむ。財政状態が厳しい自治体では、灰溶融炉が「絶好の事業仕分け対象」と判断されやすい。
 灰を超高温で溶かす際に、大量のエネルギーを使う灰溶融炉を休止させると、CO2の発生量を大きく減らせる。休止は、地球温暖化対策としての効果も大きい。各地で故障や事故も少なくなく、安全性を懸念する声も根強くある。
 こうした状況を受けて環境省は昨年三月、一九九七~二〇〇四年度に国の補助金の対象になった灰溶融炉に関して、「条件を満たせば、補助金を返還せずに運転停止や廃止にできる」という内容の通知を出した。
 自治体関係者の間では、この通知の影響が大きい。城南衛生管理組合は、通知の条件にあてはまることを確認し、いち早く環境省に申請した。中部地方のある自治体の担当者も「来年度は運転を続ける方針だが、個人的にはもうやめたい」と胸中を明かした。  


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1月19日(水)のつぶやき

2011-01-20 01:33:10 | 花/美しいもの
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今日のブログ。○お米の味の追求 龍の瞳の発見者 今井隆さん/ぎふの米粉フェア/関らら日記 #goo_midorinet002 http://t.co/33B97Wk
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