肘折温泉の新年行事「さんげさんげ」先日(1月7日)行われた。山伏姿に扮した人々が、ほら貝を、吹きながら温泉街を練り歩く。「さんげさんげ六根罪障」と唱える。旅館の主人や中には他県から来た観光客も交じって、温泉街の厄除けをする行事だ。出羽三山信仰によるもので、人々の無病息災や商売繁盛を祈願する意味もある。
江戸時代の「さんげさんげ」は輪袈裟をかけ小さな錫杖を持って、やはり「さんげさんげエ六根清浄」と節をつけて唱えながら歩いた。賽銭を渡すと、その家の軒先で錫杖を振り、神仏の縁起利益を唱えた。その調子がありがたかったので、縁起をかつぐ向きは、ご祝儀を渡して謡わせた。
そんな江戸の行事が、雪深い温泉街の行事に、生き残っているのは不思議な気がする。肘折温泉は、5年ほど前まで、正月に4泊ぐらいで泊ることを毎年の恒例としていたが、最近は春の山菜採りに訪れるのみである。昨年温泉街への道路が土砂崩れのため不通になり、去年の暮れに仮橋が完成した。