夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2024年7月に読んだ本まとめ

2024年08月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2024年7月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2288ページ
ナイス数:667ナイス

■成瀬は信じた道をいく
私が使わない言葉のひとつに「親友」があります。双方の思いがきっちり五分ということはまずないと思うし、「私たち親友だよね」なんてお互い確かめ合うような関係も好きじゃない。だけど、友達が誰かに私のことを紹介してくれるときに「私の親友」と言われるとちょっと嬉しかったりする。成瀬は島崎のことを親友とは言わないかもしれないけれど、普通に「私の親友だ」とか言いそうで、そのときの島崎の気持ちを考えるとニヘッと笑ってしまう。お初にお目にかかる人たちもみんないいキャラだなぁ。たとえマンネリ化しようともこのまま続いてほしい。
読了日:07月04日 著者:宮島 未奈

■いちまい酒場 (講談社文庫 い 109-7)
「いちまい」は千円札1枚のこと。味噌ダレが自慢の酒場“いっぱい”では、その1枚で串揚げ4本か味噌おでんの皿にビールか焼酎も付いてくる。店主は強面ながらイケメン。傷痕のせいか“侠飯”シリーズの柳刃とかぶります。穏やかな連作短編を想像していたら、出来事が割と生々しい。この酒場の常連客はそれなりに歳を食っているゆえ、私の苦手な「オッサンあるいはオバハンの妄想」的な話も多くて。そういう私もオバハンだから、現実を見せられているようで余計にキツかったりも。だけど続編があればまた手に取って同じ感想を持つことでしょう。 
読了日:07月09日 著者:池永 陽

■朽ちないサクラ (徳間文庫)
映画版を先に観て黒幕がわかっているものだから、この狸親父め!と言いたくなっていちいち苦笑い。原作にほぼ忠実。異なるのは、亡くなった臨時職員の交際相手と彼女に関する情報の入手経緯ぐらいでしょうか。『帰ってきたあぶない刑事』と同じ原廣利監督だなんて、こんなシリアスな作品もお撮りになるとは驚く。泉役の杉咲花、その上司役の安田顕、捜査一課の刑事を演じた豊原功補、皆すばらしかったです。って、映画の感想になっちゃいました。ただただ、公安って怖いところだなぁと思う。柚月さん、こんなのを書いて公安からマークされませんか。
読了日:07月15日 著者:柚月裕子

■凶眼の魔女 (実業之日本社文庫)
それほど想像力が逞しくなくてもこの幽霊画は怖い。それ以上に「殺されるときの目」をしている肖像画が怖い。性同一性障害を周囲には隠している凄腕の女刑事。借金で首が回らなくなった末にクビになった元刑事の探偵。双方が同じ事件をそれぞれ調べる途中で出会い、お互い信頼できないまま情報を出し合います。こんなに惨い殺し方ができるものだろうかと思うほど凄絶なので、想像しなくて済むように飲酒しながら読んだら、登場人物が多くて関係も入り組んでいるせいで混乱。素面で読むべし。面白い。シリーズ化希望。って、もうとっくにされている。
読了日:07月18日 著者:吉田 恭教

■オカ研はきょうも不謹慎! (PHP文芸文庫)
久しぶりに『侠飯』を読んだら、ほかの福澤さんも読みたくなりました。だけどこの表紙に騙された。夜中に読むと怖いじゃあないか(泣)。大学のオカルト研究会のメンバーが事故物件を訪れたら、以降、怪奇現象に見舞われるメンバーが出てきます。並行して調査をおこなうオカ研。たいして怖くなかろうとナメていたら、インターホン鳴る→開ける→誰もいないのに水でびたびた。って怖すぎるやろ。意を決して最後まで読めば、やっぱり怖いのは人ということでホッ。でも誰ですか、着物の人。個人的には不気味すぎる女刑事がツボ。これも続編ありますか。
読了日:07月24日 著者:福澤 徹三

■緑陰深きところ (小学館文庫 と 12-1)
暗くて重い話なのに微かな光が見えます。想い合っていた女性と無理やり引き離されたうえに、彼女を奪い去った兄によって彼女とその娘が殺されてしまった。その兄から半世紀近く経って届いた葉書を見て、兄を殺しに行く決意をする主人公。そしてなぜだか現地まで同行することになる若者。主人公よりは若いけど、同じく昭和から令和を生きている者として、さらには大阪に馴染みがある者として、こんな話が実際にあるわけはないけれどあるかもしれないと思わされます。これもひとつのハッピーエンド。余談ですが『ボックス!』と舞台がかぶっています。
読了日:07月29日 著者:遠田 潤子

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2024年6月に読んだ本まとめ

2024年07月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2024年6月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1734ページ
ナイス数:607ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2024/6

■COLD 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花 (角川ホラー文庫)
そろそろ梅雨入りという時期に雪女の話とは。このシリーズのことなので、最終的には非科学的ではない正体に落ち着きます。健気な桃ちゃんの今後が気になるところ。いずれ大人になって、内藤さんのどのシリーズかに刑事として登場するのではと密かに期待してしまいます。内藤さんには今後そこにたどり着くまでの年月を生きて書き続けていただきたい。余談ですが、の出身が秋田県大仙市、もとの仙北郡刈和野です。その地名を聞くだけで切なくなると言う父。父にこの本を読ませたいような、でも「切ない」じゃなくて悲しくなっちゃうかなとも思う。
読了日:06月05日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/21918259

■人生最後のご馳走 (幻冬舎文庫)
先々月がんで亡くなったは、昔この病院でボランティアをしていました。母に本作を見せたら当時のことが懐かしそうでした。そりゃ美味しそうだけど、いったいいくら要るのかと思いながら私も読んだら、高額の入院費を払った人のためのサービスではないとのこと。素晴らしいことです。ただ、よそに移ったら食欲が失せて体調が悪化したというような話には、がんが進行しているのだからそのせいとも言えないのではと思う。食事は大切、でも食事以外の面でも患者と共に前向きな気持ちになれるようにしたい。というのは私が言うまでもないことですよね。
読了日:06月10日 著者:青山 ゆみこ
https://bookmeter.com/books/14437148

■成瀬は天下を取りにいく
読んでいるときはめちゃくちゃいいと思っていたわけではありません。が、時折ふきだしてしまうほど可笑しい。「ほなミルクボーイやないか」なんてもうツボ。成瀬はいわゆる空気の読めない人なのかもしれない。でも、誰にも迷惑をかけていないし、誰かを傷つけてもいない。人の顔色を窺って嫌われることを恐れないで、こんな生き方をするのはありだよと言われているかのよう。成瀬について話すときに楽しそうな島崎のことも大好きです。残りの頁が少なくなるにつれ、どうかこのまま終わらないでほしいと思いました。ゼゼカラ解散じゃなくてよかった。
読了日:06月16日 著者:宮島 未奈
https://bookmeter.com/books/20716260

■アトムの心臓 「ディア・ファミリー」23年間の記録 (文春文庫 き 49-1)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】良い話なのにこんな感想で恐縮ですが、私は「老けメイク」が何よりも苦手なため、のっけから大泉洋菅野美穂の爺婆メイクにドン引き。ずっとこのメイクを見せられたらどうしようかと思いましたが、最初と最後だけでホッ。淡々としていた原作と比べて、映画らしくというのか、泣きに寄せられている感はあります。そこに乗せられるもんかと言いたいところだけど、やっぱり泣きますね。専門的な話も映像になるとわかりやすい。できる、やるぞという心を持ち続けること。頭の下がる思いです。
読了日:06月16日 著者:清武 英利
https://bookmeter.com/books/21826790

■九十歳。何がめでたい
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】佐藤愛子役の草笛光子の生誕90年記念作品なのだそうで、本当に90歳とは驚きました。とても魅力的なキャストですが、実は私は前田哲監督のことが少し苦手。本作も、町ゆく人の誰もがこの本を手にしてゲラゲラ笑っているシーンなどがヨイショのしすぎじゃなかろうかと思って冷め気味に。記者会見会場ではマスコミの人たちのとってつけたような笑い声が気になって、泣く演技よりも笑う演技のほうがうんと難しいことを感じました。とはいえ、万人受けしそうな作品で、老いも若きも楽しめると思います。
読了日:06月25日 著者:佐藤愛子
https://bookmeter.com/books/11058890

■能面検事の奮迅 (光文社文庫 な 39-4)
御子柴弁護士シリーズは別格の面白さとして、ここ最近読んだ七里作品を思い返すと、どれも無難には面白いけれど期待以上ではない、むしろそれ以下でした。本作は久しぶりにさすがと思えるもの。いつものことながら、実際にあった新旧いくつかの事件を彷彿させる出来事が盛り込まれているから、事件そのものをいろいろと思い出しつつ楽しむことができます。社会派でありながら大いなるエンタメ。残り10頁になってからまだどんでん返しがあるのは、七里ファンにはネタバレでも何でもないですよね(笑)。御子柴弁護士と並んで不破検事に惹かれます。
読了日:06月28日 著者:中山七里
https://bookmeter.com/books/21882182

■君の余命、買い占めました
正直言うと、「サッと読めて感動できる」というキャッチコピーは大嫌いです。本でも映画でも「ほらほらココ、感動的でしょ」みたいなアプローチは冷めまくる。それでも本作を読み始めたのは、「サッと読める」ならばありがたいから。短編12話のうち、最初のほうは「やっぱりね」。だけど、2年前にを、2カ月半前に母を亡くした身だからか、先へ進むほど心に染みる。特に最後の2編。最期に母の目を伝って落ちた涙を思い出すし、母の死によって実家を退去に当たり、父の蔵書約5千冊を片付けたことがすでに懐かしい。感動できたことを認めます。
読了日:06月29日 著者:青井青
https://bookmeter.com/books/21845503

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『成瀬は天下を取りにいく』を読みました。

2024年06月16日 | 映画(番外編:映画と読み物)
地震が起きたら本に埋もれて死ぬだろうと思うぐらい本だらけだった実家。
幼少期からその状態を見てきたので、私の家はそんなふうにはしまいと思い続けてきました。
5千冊ほどあった父の蔵書を片付けたところでほとんどは買い取り不可で、
まったくたいした金額にはならなかったから、余計にそう思う。
それなら家に溜め込まなくて済むように図書館で借りればよいのですけれど、
読みたいときに読みたい本が手元にないと嫌な性分の私は、本は買う派
 
買った本を自分で読んだ後は、希望者がいればお貸しするなり差し上げるなりしますが、
ほしいと思えばすぐに買うから、読む速度が追いつかず、とりあえず家の一角は本だらけ。
単行本だと置いておくのも場所を取るため、基本的にな文庫本しか買いません。
そうしていたのに、まだしばらく文庫化しそうにないこの本がどうしても気になり、
さらには「買ったら貸してほしい」という複数の声があったこともあって(笑)、
ついに買ってしまったじゃあないですか。
 
三浦しをん森見登美彦に衝撃を受けたという著者だから、私が気に入るのは必至。
 
西武大津店閉店のニュースを聞いて、夏休みを西武大津店に捧げることにした女子、成瀬。
捧げるって、何をするのかと思えば、野球に興味もないのに西武ライオンズのユニフォームを着て、
取材にくる地元ローカル局の番組に映り込むのですよね(笑)。
そんな成瀬になんとなくつきあう幼なじみの島崎。
 
30頁程度の短編6つ。
成瀬と島崎メインの章のほか、彼女たちの同級生の視点から成瀬が描かれる章だったり、
かつて西武大津店に世話になった40代の男性たちが閉店のニュースを機に集まる話だったり。
 
読んでいるときはめちゃくちゃいいと思っていたわけではありません。
が、時折ふきだしてしまうほど可笑しい。「ほなミルクボーイやないか」なんて、もうツボ。
成瀬と島崎の漫才は微笑ましくて好きでした。あ、上記の台詞はまだ漫才じゃないか。(^^;
 
「膳所高校」と聞いて私が思い出すのは、たぶん小学生のときのこと。
家族で東福寺へ墓参りに行った帰りに寄った駅前の寿司屋で観た高校野球中継は、
膳所高校が0-18で負けた試合でした。いま調べたら、1978年のことなんですね。
あの膳所高校だと思うと、と一緒に過ごしたことも思い出し、懐かしいような、寂しいような。
 
成瀬はいわゆる空気の読めない人なのかもしれない。
でも、誰にも迷惑をかけていないし、誰かを傷つけてもいない。
人の顔色を窺ったり、嫌われることを恐れたりしないで、こんな生き方をするのはありだよと言われているかのよう。
成瀬について話すときに楽しそうな島崎のことも大好きです。
 
残りの頁が少なくなるにつれ、どうかこのまま終わらないでほしいと思いました。
ゼゼカラ解散じゃなくてよかった。で、買っちゃいましたよ、『成瀬は信じた道をいく』も。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2024年5月に読んだ本まとめ

2024年06月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2024年5月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1288ページ
ナイス数:490ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2024/5

■黒仏 警視庁異能処理班ミカヅチ (講談社タイガ)
今から今月ちぃとも本が読めていないことについて言い訳をします(笑)。先月母が亡くなり、父は施設に入所中のため、実家を退去すべく片付けています。賃貸マンションにも関わらず、父の蔵書は約5千冊。んなもん整理をしはじめたら、本を読んでいる時間はありません。それでもこれはどうしても読みたくて。仏壇をどうするかなども考えたから、仏像の話はタイムリー。しかしこの仏像はおぞましすぎる。人の命が永遠であればと思ったこともあるけれど、命は限りあるからこそのもの。たとえ呪物だって寿命はある。結束力を増したミカヅチ班が嬉しい。
読了日:05月11日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/21867089

■アトムの心臓 「ディア・ファミリー」23年間の記録 (文春文庫 き 49-1)
この1カ月ほとんど本を読めていないことの言い訳を先日しました。でも5冊は計上したいよねと薄い本を求めて書店に寄ったら、劇場に行く度に予告編を目にする映画の原作ノンフィクションが平積みされている。お手頃な厚さにも惹かれて購入しました。心臓疾患を抱えて生まれてきた娘のために筒井さんがチャレンジしたことは、正直なところ、専門的すぎてさっぱりわかりません。だからこそ、文系学部出身の彼が人工心臓をつくるために学んだという事実に驚く。外科医を質問攻めにしてついには医療機器を開発するまでに至る。救った命があるのですね。
読了日:05月16日 著者:清武 英利
https://bookmeter.com/books/21826790

■お梅は呪いたい(祥伝社文庫ふ12-2) (祥伝社文庫 ふ 12-2)
本作を読んでいる途中で公開中の映画『キラー・ナマケモノ』を観たら、お梅とナマケモノのアルファがかぶって見えて笑ってしまいました。テレビやスマホに興味を示すところなど。だけどアルファよりもお梅のほうがずっと愛らしい。五百年前は武将一族を呪い殺すほどの力を発揮し、ようやくこの世に復活できたのに空回り。人を呪い殺そうとすればするほどその人が幸せになってしまうという、呪殺マシーン形無しの展開に読んでいるこちらも幸せになります。焦るお梅が可愛い。野良猫に追いかけられて逃げ惑うシーンなんかはアニメ化してほしいような。
読了日:05月25日 著者:藤崎 翔
https://bookmeter.com/books/21812180

■侠飯8 やみつき人情屋台篇 (文春文庫 ふ 35-9)
大好きなシリーズの続編が知らぬ間に出ているじゃあないか。いったい何作目まで読んだのか思い出せず、本屋で第7作を手に取ってしばし悩む。早く読みたくて買いかけたけれど、ダブって買うことが最近ありがちだから思いとどまる。正解。未読なのは第8作以降でした。今回柳刃&火野コンビと出会うのは底辺ユーチューバーの浩司。閲覧数を稼ぐために激旨屋台に撮影許可を求めてみれば……。まるでイメージが違うのに、終盤、私の頭の中では藤井風の『満ちてゆく』が流れていました。人は如何に見返りを求めているものか。与え、差し出せば、満ちる。
読了日:05月28日 著者:福澤 徹三
https://bookmeter.com/books/19892854

■侠飯9 ヤバウマ歌舞伎町篇 (文春文庫 ふ 35-13)
同じ著者の本は続けて読まないようにしていますが、知らぬ間に2冊出ていることに気づいてしまったら居ても立っても居られず。間を空けて読むと誰だったか思い出せない登場人物もすぐにわかるから、続けて読むのはアリですね。振り返れば、第1作を読んだときはそれほどは柳刃に魅力を感じていなかったような。今はもうゾッコン。なぜだか当初から柳刃の声は私の頭の中でジェイソン・ステイサム。彼が日本語を話しているところなど聞いたことがないのに変だな(笑)。内容はいつもと同じと言えば同じ。でも好きだ。見返りを求めない人間でありたい。
読了日:05月31日 著者:福澤 徹三
https://bookmeter.com/books/21511945

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2024年4月に読んだ本まとめ

2024年05月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2024年4月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1523ページ
ナイス数:652ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2024/4

■夏の終わりの時間割 (講談社文庫)
200頁ちょいの薄さに反して内容は厚い。誰しも行動の裏には理由があるのですね。さらっとうわべを見ているだけではわからないことがある。そこに考えを及ばせたとき、本作で「何かを起こした人」それぞれの気持ちに想いを馳せると切なくなります。生活の節約術だったり蜂避けのおまじないだったりは初耳で目からウロコ。それがまた切ない要因。余談ですが、先月から母が危篤状態にあります。死ぬ間際の人は嘘をつかない。もともと嘘はつかない人だけど、病床でいま言うことは本心でしょうね。最期の時間を大事にしたい。
読了日:04月05日 著者:長岡 弘樹
https://bookmeter.com/books/18098406

■晴れときどき涙雨 髙田 郁のできるまで (幻冬舎文庫)
不思議なもので、何気なく読み始めた本に、いま自分が置かれているのと同じ状況の描写が出てくることがあります。同じ状況ならば気づくというだけで、不思議でも何でもないことなのでしょうけれど。先月からずっと母が危篤状態にあります。本作のひとつめの話『抱擁』で高田さんの心配ばかりしているPさんが母と重なりました。93歳の母が残る私の心配をするのはおかしいと思うのに(笑)。心配をする相手がいるのはきっと幸せなことなのですね。タイトルだけで心に刺さる。高田さんがこんな人生を送られてきたとは知らず。明日はきっと味方だ。
読了日:04月06日 著者:髙田 郁
https://bookmeter.com/books/9020770

■ぎょらん (新潮文庫 ま 60-22)
先月から危篤状態が続いていた母。今朝病院から「意識が低下して呼吸が浅くなっている」と連絡があり、駆けつけました。それからおよそ1時間半、眠るように母逝く。母の手を握りながらいろんな話をして、あと50頁ほどだった本作を開き、「お母さん、これな、人が死ぬときに遺す珠の話やねん」とぽつぽつ声に出して読みながら過ごしていたら、ちょうど全部読み終わりそうになったときに、母の心拍数がゼロに近づきました。「お母さん、ありがとう」と言ったら、スーッと涙ひと筋。聞こえていたならいいなぁ。明後日のお葬式ではぎょらんを探すよ。
読了日:04月11日 著者:町田 そのこ
https://bookmeter.com/books/21308313

■20歳のソウル (幻冬舎文庫)
死にゆくの枕元で町田その子の『ぎょらん』を読み終えてから1週間と少しが経過しました。母は癌だったというものの、90歳を超える高齢でしたし、こちらの覚悟もできていたから、今の私は寂しいけれど悲しくはない。だけど本作を読むと、2年前に亡くなった弟のことを思い出し、弟の半分よりも短い生涯を閉じた大義くんを想って悲しさでいっぱいになります。ロードショーの折に劇場にて鑑賞しましたが、本作を読むと、市船に丹念に取材をしなければ書けない話だなぁという思いはひとしお強くなりました。空の上も音楽が溢れていればいいと思う。
読了日:04月22日 著者:中井 由梨子
https://bookmeter.com/books/18041920

■そこに無い家に呼ばれる (中公文庫 み 50-3)
母が亡くなってから2週間と少し。こんな話を読む心境ではないはずが、三津田さんにはスルスルと吸い寄せられ、母の遺影に見守られながら読みました。巷で大ヒットを飛ばしているいくつかのモキュメンタリーも読みましたが、やっぱり私は断然こっちが好き。なんとも言えない余韻があって、深い。何かが一つずつ減っていたり増えていたりしたら気をつけよって、わざわざそういうのを見つけて数えてしまうじゃあないですか(泣)。ラスト3頁は『逆転美人』並みの労力を感じました。というのは『逆転美人』の藤崎さんに失礼ですかね(笑)。怖かった。
読了日:04月30日 著者:三津田 信三
https://bookmeter.com/books/21364304

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする