夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『下妻物語』

2005年01月19日 | 映画(さ行)
『下妻物語』
監督:中島哲也
出演:深田恭子,土屋アンナ,宮迫博之,樹々希林他

嶽本野ばらの同名小説の映画化。
期待せずに観てみたら、ごめんなさい。
下妻、尼崎、バッタモン、ロリータ、ヤンキー。
これぞ日本のエンターテインメント。

茨城県下妻市。
歩けば牛の糞を踏むような、田んぼだらけの田舎町。
ロリータファッション大好きな桃子は、父、祖母とともに暮らす。

桃子は尼崎生まれ。
母は不倫に走り、チンピラの父に育てられた。
バッタモンを売って生計を立てていた父は
あるとき“USJ”と“ヴェルサーチ”の「Wネーム入りバッタモン」を考案。
安さが命の尼崎ではこれが大当たりするが、
本家本元から訴えられることを恐れたヤクザの幹部が、身を隠すように父に指示。
桃子の祖母を頼って、下妻までやってきたのだった。

ロリータファッションにしか興味のない桃子だが、
下妻の住民が服を買うのはいつもジャスコ。
フリフリの服なんぞ、下妻では入手できるわけもなく、
桃子は片道2時間半をかけて代官山のロリータブランド“BABY”に通う。

服代を捻出するため、桃子が思いついたのは、
父の仕事の名残=バッタモンの個人売買。
「ヴェルサーチの服を売ります。但し、バッタモン」と広告を出したところ、
やってきたのは特攻服の地元のヤンキー。
原チャリ暴走族メンバー、イチゴだった。
偽ヴェルサーチに喜ぶイチゴは、その後、頻繁に桃子の家を訪れるようになり……。

生まれも育ちも関西の私は、まず尼崎の描写に釘付け。
「住人の大半がヤンキーか元ヤンキー。
 生まれてすぐにジャージ、
 死ぬときもジャージ。
 そう、ここはジャージ天国」。

幻の原付としてDJ-1Rの“VIVA YOU”仕様が登場。
80年代に原付に乗っていた人は懐かしく思うはず。
ファッション・ブランドとホンダのコラボレートで
話題にはなったけど、あんまり売れなかったやつ。
この原付を見て、イチゴが「すっげぇ!」と感激。

借りは返す主義のイチゴに対し、
「人は本当に大事なものは貸さないの。
 貸すのはどうでもいいものだけ。
 だから、私は借りたものは返さないし、
 私が貸すときはもう返ってこないと思ってる」
という桃子の台詞は一理あり。
合いそうもないこのふたりが友情を育む様子は、ダサイけどとてもいい。

下妻も尼崎もあんまりな言われ方だけど、怒れないでしょ。
役者も個性派揃いでみんな○。
愛すべき作品。

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