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『ANORA アノーラ』

2025年03月12日 | 映画(あ行)
『ANORA アノーラ』(原題:Anora)
監督:ショーン・ベイカー
出演:マイキー・マディソン,マーク・エイデルシュテイン,ユーリー・ボリソフ,カレン・カラグリアン,ヴァチェ・トヴマシアン他
 
109シネマズ箕面にて、封切り日翌日の土曜日、レイトショーの回を観ました。
 
『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2017)が強烈な印象を残したショーン・ベイカー監督。
『レッド・ロケット』(2021)も大いに期待して観に行ったらなんだかイマイチで。
本作ではまた『フロリダ・プロジェクト』の監督再来という感じ。
 
アニーことアノーラは、ニューヨークでストリッパーとして働くロシア系アメリカ人。
ある日、マネージャーから太客についてほしいと頼まれる。
その客とはロシアの富豪の御曹司イヴァンで、アメリカ観光に来ているらしい。
イヴァンはロシア語を話せるストリッパーを希望しているとのこと。
 
接客を務めたアニーのことをいたく気に入ったイヴァンは、店外でも会えるかと聞いてくる。
イヴァンのもとを訪れたアニーは、贅沢三昧の暮らしを送る彼にビックリ。本物の富豪だ。
 
出勤時間だから戻らねばならないというアニーをイヴァンは引き留め、
自分がロシアに帰るまでの1週間、専属契約をしたいと多額の報酬を提示する。
その契約に応じて店を休み、ずっとイヴァンと過ごすことにしたアニー。
 
1週間、アニーとイヴァンの友人たちは派手に遊び呆け、ラスベガスに行ったさいにノリで結婚。
玉の輿に乗ったアニーを妬む同僚にマウントを取り、颯爽と店を辞める。
 
ところが、イヴァンの結婚を知った彼の両親が激怒。
婚姻を無効にさせようと送り込んだ両親の手下から、明日には両親もアメリカへ来ると聞くや否や、
イヴァンは着の身着のままに逃げ出してしまう。
後に残されたのはアニーとアルメニア人の屈強な手下たちで……。
 
イヴァンはちょっと可愛いだけの21歳。馬鹿な小僧で、金を持っている以外に魅力はありません。
アニーの目的ももちろん金だから、ふたりの間に愛などない。
けれど、この金づるを逃がしてなるものかとアニーは怒り、すんなり引き下がる気は1ミリもなし。
 
アニーに好感は持てませんが、イヴァンの母親から好き放題言われて引き下がらないところは応援したくなる。
また、手下のひとり、イゴールがめちゃくちゃイイ。アニーの気持ちに寄り添うたったひとりの人物です。
けれどもアニーはイゴールに頼ったりしないし、罵詈雑言を投げかける。
それだけに、ラストではイゴールの優しさが伝わってきて、ちょっとジワッと来ました。
 
この監督、女性を主人公にする作品のほうが上手いのではないでしょうか。
 
追記:本作を観たのは第97回アカデミー賞の発表前でした。
   本作は作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞を受賞。ノミネート作品中、最多部門での受賞となりました。

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