夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『うつつ UTUTU』

2008年08月08日 | 映画(あ行)
『うつつ UTUTU』
監督:当摩寿史
出演:佐藤浩市,大塚寧々,宮沢りえ,小島聖他

2002年に公開された作品。
壁伝いに流れるどす黒い血のような液体が
無理やりホラーっぽくみせようとしていますが、
全然ホラーじゃありません。
でも、やっぱり背筋はゾクッとするので、
涼しくなりたい夏向きかも。

7回目の結婚記念日を迎えた池島隆一と公美子。
隆一は、公美子は誰よりも(ひょっとすると隆一自身よりも)
自分のことをわかってくれていると思っている。
何ひとつ不満なく、彼女との暮らしに幸せを感じる。

ある日の帰り道、駅に着くと雨。
公美子は泊まりで出かけている。
歩き出しかねている隆一に、着物姿の女性が傘を差し掛ける。
彼女は隆一のことを知っている様子。
訝しがりながらも、彼女の好意に甘えることに。

すると彼女は隆一の住むマンションまでついてくる。
公美子の知り合いかと問いかけると、
彼女が切り出したのは信じがたい話だった。

彼女は小原幾子と名乗り、
自分の夫と公美子が、以前から浮気していると言うのだ。
スナックを経営する夫のもとへ、
公美子が客として訪れたのがきっかけで、
その後、2人は何度も会っているらしい。

公美子に限ってそんなことはないと、
最初は幾子を罵倒する隆一だったが、
幾子が怪しい日を何日か挙げると、
すべてが公美子の浮気を示しているように思えてきて……。

原作は連城三紀彦の短編小説なのだそうです。
未読なので、オチが同じなのかどうか知りませんが、
映画のほうは、ドンデン返しの嵐で、
え~、うそ~、マジ~?となかなか頭を使わされます。
夢オチで片付けないでよ!と思った瞬間にもドンデン返し。

要チェックは、公開時はまだ無名に近かった小西真奈美。
すっとぼけたOL役でいい味を出しています。
暗い話の中、上司役の佐藤浩市との会話が唯一コミカル。
そのうえ、考えさせられる内容の台詞で、絶妙。
「君、恋人いる?恋人って、何?君にとって大事?」と聞く佐藤に対し、
「何って、あたしを映す鏡、かな。
 その人といるときが一番正直になれるし、
 ヤなとこも全部出ちゃうし。だから、大事」とコニタン。
これを聞いた佐藤が「君、案外深いね」と言うシーンは思わずクスッ。
あとは、「バカに限って、あたしをバカにするのよね」なんて台詞も。

後味が悪いですが、自分が同じ境遇に陥ったらと考えてみるには
とっても興味深い作品であることは間違いありません。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする