『ブリーディング・ラブ はじまりの旅』(原題:Bleeding Love)
監督:エマ・ウェステンバーグ
出演:クララ・マクレガー,ユアン・マクレガー,キム・ジマー,デヴィン・マクダウェル,
サッシャ・アレクサンダー,ジェイク・ウィアリー,ヴェラ・ブルダー他
イオンシネマ茨木にて、封切り日の晩の回を観ました。
ユアン・マクレガーとその娘クララ・マクレガーの共演。
娘のクララがプロデュース、父親のユアンがエグゼクティブプロデューサーを務めています。
監督はこれが長編デビューとなるエマ・ウェステンバーグ。
書く段になって気づきましたが、本作中の父娘は役名がないじゃあないか。
父親が娘のことを幼い頃に“ターボ”と呼んでいたことがわかるだけ。
長らく疎遠だった父娘が再会。
かつて父親が飲酒を自制できなかった遺伝子を受け継いでいるのか、
20歳の娘は酒と薬の過剰摂取で倒れ、なんとか命は取り留めたものの、
薬物依存症のリハビリ施設へ入所させるために父親は娘を迎えに行く。
過去に何があったのかつぶさに映し出されるわけではなく、こちらは回想シーンから想像するだけ。
父親は酔っぱらっても暴力を振るうことなどはなかったようで、ただ、家には居着かない。
それでも善き父親としての面があり、娘ともよく遊ぶ、明るくて楽しい人でした。
妻から愛想を尽かされたのか、それとも自ら出て行ったのか、とにかく娘の記憶では「妻子を捨てた父親」。
そんな父親が今はすっかり依存症を克服して再婚、生まれたばかりの息子もいます。
現在の妻の理解と承諾を得て娘をリハビリ施設まで送り届けることにしたのですが、
実は娘は自分がリハビリ施設に向かっていることを知らない。
そうとは言いづらい父親が、絵の才能を持つ娘を知り合いの画家に預けるとかなんとか言って連れ出しています。
地味すぎて今どき流行らない映画のように思うけれど、マクレガー父娘の演技は素晴らしい。
かつての自分を恥じ、なんとか娘を救いたいと思っている父親と、
父親に反感を持ちつつ、楽しかった頃の思い出が頭を巡って仕方ない娘と。
やっぱりユアン・マクレガーって好きだなと改めて思った1本でした。
父親としては娘が同じ道を進むのは楽しみでしょうね。父娘共に応援したい。