夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断』

2024年07月21日 | 映画(さ行)
『潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断』(原題:Comandante)
監督:エドアルド・デ・アンジェリス
出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ,マッシミリアーノ・ロッシ,ヨハン・ヘルデンベルグ,
   シルヴィア・ダミーコ,ジュゼッペ・ブルネッティ,ヨハネス・ヴィリックス他
 
祇園でひとり晩ごはんの前に京都シネマで2本ハシゴ。
と言っても、とても観たい作品があったわけではなく、これもノーマーク。
戦争中の話は気が重たくなるし、時間が合わなければスルーしていたはず。
ほとんどこれしか時間が合わなかったおかげで観られたことに感謝。
 
イタリア/ベルギー作品。実話に基づく。
 
第二次世界大戦下、海へと出たイタリア海軍の潜水艦“コマンダンテ・カッペリーニ”。
艦長は以前の赴任地で大怪我を負い、鉄のコルセットを着用しているサルヴァトーレ・トーダロ。
怪我を幸いに退役して傷病年金を受給することを妻のリナは望んだが、
海の男でありつづけたいサルヴァトーレはそれを拒み、海へと戻ったのだ。
 
副長はサルヴァトーレと共に瀕死から蘇ったヴィットリオ・マルコン。
60名近い乗組員を従えて出航、敵の撃沈を目指して進む。
 
ある夜、前方にベルギーの貨物船“カバロ”を発見。
向こうから攻撃を仕掛けてきたため、応戦してカバロを撃沈する。
するとやがてカバロの乗組員たちが漂流しているのに遭遇。
 
ベルギーは中立国であるにもかかわらず、イギリス軍の物資を積載して運んでいたらしい。
明らかなる敵を自艦に乗せることは許されず、
もしもそんなことをすればサルヴァトーレは責任を問われて大問題になる。
悩み抜いた末、彼らを助けることに決めたサルヴァトーレだったが……。
 
私は潜水艦オタクでもないし、兵器オタクでもなければ戦争にも詳しくないから、
この戦争描写がどれぐらいリアルなのか、またはリアルではないのかはわかりません。
その辺りに詳しい人が観たら、ちゃんちゃらおかしいということになるのかも。
 
しかも、言うなればわかりやすい美談。
でもこれがよかったんだなぁ。
 
いつ死ぬかもわからない状況下で音楽を聴き、皆で食事を共にする。
イタリア料理のレシピをすべて知っていると豪語する若き料理長ジジーノは、
艦長のリクエストに応じて何でも作ってみせます。
「ニョッキ」と言われたときに、「セモリナか小麦粉かどっちですか」と真剣に聞くシーンは笑った。
「どっちでもええ」と言われるんですけど。
 
救出されたカバロの乗組員の大半は感謝しているけれど、2人だけ、そうではない奴もいる。
サルヴァトーレらをファシスト呼ばわりして、カッペリーニを沈めようとしたりも。
そのときにカバロの艦長ヴォーゲルが見せる怒り。
 
たとえ敵であろうともここは海。
サルヴァトーレの決断は誇り高く、それに従った乗組員たちも誇り高い。
救出したせいで艦内は座ることもできないほど人があふれ、甲板までいっぱい。
イギリス軍海域を通過するさいに潜らなければ攻撃を受けるとなったとき、
潜れば甲板の人たちが死んでしまうからと、サルヴァトーレはイギリス軍に停戦を求めます。
そんなことが聞き入れられるわけがないと思っても、やってみなきゃわからない。
事実、驚くべきことにそれが聞き入れられて、カッペリーニは攻撃を受けずに通過します。
 
それに尽きるのではないでしょうか。
 
エンドロールではジジーノが延々と料理の名前を挙げ続ける声が(笑)。
ズッパ(イタリア語でスープ)なんたらという料理、どんだけ多いねんと笑ってしまった。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『密輸 1970』 | トップ | 『Shirley シャーリイ』 »

映画(さ行)」カテゴリの最新記事