夜な夜なシネマ

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『おにいちゃんのハナビ』

2011年03月04日 | 映画(あ行)
『おにいちゃんのハナビ』
監督:国本雅広
出演:高良健吾,谷村美月,宮崎美子,大杉漣,早織,
   尾上寛之,佐藤隆太,佐々木蔵之介,塩見三省他

「実話に基づく」にはいろいろありますが、
本作は素直に観て素直に泣かなきゃ損な感じ。

新潟県小千谷市片貝町は、世界一の花火を誇る町。
年に一度おこなわれる片貝まつりでは、
町の人びとがスポンサーとなり、神社に奉納する形で、
さまざまな願いを込めた花火を打ち上げる。
個人や家族単位で奉納することも可能なほか、
地元中学の同級生たちで結成される同期会も奉納する。
同期会は、成人になる年を最初の奉納の時とし、
以降、還暦にいたるまで、人生の節目毎に共に花火を打ち上げるのだ。

この町に5年前に引っ越してきた須藤家。
娘の華の病気療養のために、空気のきれいな場所を求めてやってきた。
明るい華はすぐに友だちができ、町にもなじんだが、
華の自慢の兄である太郎は、誰とも友だちになれず、
高校卒業と同時にひきこもりになってしまう。

長期入院から退院した華は、兄の状態をはじめて知って思い悩む。
兄をなんとか外へ連れ出そうと、あの手この手を試みる華。
やがて、太郎が今年成人式を迎えることを思い出し、
同い年の者で構成される成人会に無理やり参加させようとするが、
メンバーたちは、中学最後の年に転入してきた太郎、
しかもその後ひきこもってしまった太郎のことなど覚えていない。

いままで思い出を分かち合ってきた者しか参加させないと言われ、
華は「いままでよりもこれからのほうが長いのに。
これから一緒に思い出をつくっていけばいいんでしょ」と反撃。
その言葉に共感した成人会の女会長が太郎の参加を受け入れる。

華は太郎の打ち上げる花火をどうしても見たいと願うが、
病気が再発して入院してしまい……。

『ボックス!』(2010)のふたりが兄妹役。
高良健吾は、顔立ちのせいなのか、こういう真面目で少し暗めの役がピッタリ。
また、そういう人が見せる笑顔は格別ですねぇ。
谷村美月も、病気でありながら、明るくふるまうムードメーカーで、
これは『ボックス!』の役とまさしく同じ。丸坊主での熱演。
両親の不器用ながら溢れる愛情にもほっこり。土下座は要らんと思いましたが。

冬の寒い日に部屋の中で観る花火もオツなもの。
ラストはほとんど反則技。タイトルの意味はそれだったのね。
そんな手で来られたら、泣かずにおれん。

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