夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『英国王のスピーチ』

2011年03月28日 | 映画(あ行)
『英国王のスピーチ』(原題:The King's Speech)
監督:トム・フーパー
出演:コリン・ファース,ジェフリー・ラッシュ,ヘレナ・ボナム=カーター,
   ガイ・ピアース,ティモシー・スポール他

近頃お気に入りの作家は誰かと聞かれたら、重松清を挙げます。
決して読者を泣かせようとしているわけではないと思うのですが、
彼の短編集を読むと、1冊につき1編か2編は必ず涙がこぼれます。

さて、この映画の主人公、ジョージ6世は吃音症。
重松氏も同じく吃音症で、だから、吃音症の人が登場する著作がいくつかあります。
『きよしこ』の主人公である少年もそうで、「カ行」が大の苦手。
ジョージ6世の苦手な音がわかる場面では、少年のことを思い出してニッコリ。

今年のアカデミー賞の作品賞に輝いた話題作。
すでにご覧になった方も多いですよね。

英国王ジョージ5世の次男ジョージ6世は、
幼い頃から吃音というコンプレックスを抱えている。
明るく優しい妻と、愛くるしいふたりの娘に恵まれたものの、
人前に出ることを極端に恐れ、内向的な性格に。

吃音をなんとか克服しようと、
これまで何人もの言語聴覚士の治療を受けてきたが、改善の兆しは皆無。
あまりに奇天烈な治療法を持ち込まれた日、
金輪際、治療は受けたくないと妻に言い放つジョージ6世。

しかし、王子なのだから、そのままで良いわけはない。
妻が最後の望みを託したのは、
スピーチ矯正の専門家でオーストラリア人のライオネル。
王子に対しても遠慮のない物言いと治療法にとまどいつつも、
ジョージ6世はライオネルのもとへ通うようになる。

やがてジョージ5世が逝去。
ジョージ6世の兄エドワード8世が国王に即位するが、
奔放な兄は、王室が認めない女性と結婚すると言い出し、
王位を返上してしまう。

突然王位を継承することとなったジョージ6世は、
あらゆる場面でスピーチを求められることを想定し、
不安と恐怖で目の前が真っ暗になるのだが……。

先日の高校野球の選手宣誓でも思いましたが、
よどみなくしゃべることが、人の胸を打つとは限りません。
ライオネルの言うとおり、あの間(ま)があるからこそ。
ライオネル役のジェフリー・ラッシュ、やはり素晴らしい俳優です。
彼を観るならば『シャイン』(1995)を。

同監督作品の『くたばれ!ユナイテッド サッカー万歳!』(2009)は
日本では未公開でしたが、DVD化されています。
とってもおもしろかったので、これもぜひどうぞ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする