『僕の中のオトコの娘』
監督:窪田将治
出演:川野直輝,中村ゆり,草野康太,河合龍之介,木下ほうか,ベンガル他
「オトコの娘」は「オトコノコ」と読みます。
今年のお正月ごろ、シアターセブンでの公開時に観逃してしまい、
ちょうど1カ月前、DVDレンタル開始になってすぐに借りました。
『ちちり』(2010)のうちの1本でしか知らない窪田将治監督。
彼の作品は、本作を含んで3年連続でモントリオール世界映画祭に正式出品。
これって快挙なのだそうですが、巷でよく聞く「なんたら映画祭正式出品」、
どれほど凄いことなのかよくわからないんですけれども。
凄さはまったくわかりませんが、でも、これはとてもいい作品でした。
勤務先であり得ない発注ミスをやらかした足立謙介。
上司の叱責と同僚の嘲笑に耐えきれずに辞職。
以来、ニートでひきこもりの生活をつづけている。
謙介の母親はすでに他界、サラリーマンの父親とカフェ勤めの姉の3人暮らし。
父親は特に何を言うでもなく、姉の裕子はいつも気遣ってくれるが、
謙介はふてくされた態度ばかり取り、家族がいる時間帯には部屋から出ようとしない。
ある日、たまたまネットで見つけた「女装娘(じょそこ)」のサイト。
ゲイかどうかは別問題、女装をしたい男性のサイトだ。
その世界ではどうやらカリスマ的存在らしいカレンという人物に
「恥ずかしくはないんですか」とメールを送る謙介。
メールの意図がわからず、「からかっているの?」と返信してきたカレンに、
そうではないことを伝え、女装してみたい、けれども勇気がないと返信。
カレンの真摯な文面に惹かれ、謙介はカレンと会う約束をする。
女装娘の集まりで心が癒やされ、これぞ自分が望んでいたものだと思う謙介。
女装バーを経営する静香ママ(♂)の店“スワンの雫”にも出入りするようになるのだが……。
10年以上前に、まだ幼い息子のいる友人が、
「私はこの子がゲイだったとしても受け入れられる」と話していました。
そういったことに関しては父親のほうが認めがたい傾向が強いのか、
母親のほうが如何なることも受け入れる心を持っているのかなぁと思った覚えが。
本作では母親はすでに他界していますが、姉がまさにそんな感じ。
外出するようになった弟のあとをつけ、事実に愕然。
しかし、帰宅した弟に対して、「理解はできないけれど」と前置きをして、
自分の服を勝手に着たことを笑って咎め、新しい女物の服をプレゼントします。
けれども最後には父親の言葉に泣かされます。
女装するぐらいならひきこもりのほうがマシだと最初は嘆いた父親が、
家族に迷惑をかけるからやめるという息子に対し、
「誰が迷惑だと言った。おまえの覚悟はその程度のものだったのか」と怒鳴り、
そのあと、こんな台詞を。
「生きるってことは、少なからず他人に迷惑をかけるものなんだ。
胸を張って生きろ」。
カレンや静香ママのお説教も心に響きます。
誰でも悩みぐらいはある。それがちょっとちがうだけ。
ニートで好きなことができると自嘲気味に笑う謙介に怒り、
本当に好きなことをしたいなら、自分で稼いでからにしろと。
そう言われて目が覚めた謙介が、結局は挫折しそうになったときに言われたのが、
上記の父親からの言葉でした。
何の気なしに観はじめたらツボにハマってしまった。良作です。
監督:窪田将治
出演:川野直輝,中村ゆり,草野康太,河合龍之介,木下ほうか,ベンガル他
「オトコの娘」は「オトコノコ」と読みます。
今年のお正月ごろ、シアターセブンでの公開時に観逃してしまい、
ちょうど1カ月前、DVDレンタル開始になってすぐに借りました。
『ちちり』(2010)のうちの1本でしか知らない窪田将治監督。
彼の作品は、本作を含んで3年連続でモントリオール世界映画祭に正式出品。
これって快挙なのだそうですが、巷でよく聞く「なんたら映画祭正式出品」、
どれほど凄いことなのかよくわからないんですけれども。
凄さはまったくわかりませんが、でも、これはとてもいい作品でした。
勤務先であり得ない発注ミスをやらかした足立謙介。
上司の叱責と同僚の嘲笑に耐えきれずに辞職。
以来、ニートでひきこもりの生活をつづけている。
謙介の母親はすでに他界、サラリーマンの父親とカフェ勤めの姉の3人暮らし。
父親は特に何を言うでもなく、姉の裕子はいつも気遣ってくれるが、
謙介はふてくされた態度ばかり取り、家族がいる時間帯には部屋から出ようとしない。
ある日、たまたまネットで見つけた「女装娘(じょそこ)」のサイト。
ゲイかどうかは別問題、女装をしたい男性のサイトだ。
その世界ではどうやらカリスマ的存在らしいカレンという人物に
「恥ずかしくはないんですか」とメールを送る謙介。
メールの意図がわからず、「からかっているの?」と返信してきたカレンに、
そうではないことを伝え、女装してみたい、けれども勇気がないと返信。
カレンの真摯な文面に惹かれ、謙介はカレンと会う約束をする。
女装娘の集まりで心が癒やされ、これぞ自分が望んでいたものだと思う謙介。
女装バーを経営する静香ママ(♂)の店“スワンの雫”にも出入りするようになるのだが……。
10年以上前に、まだ幼い息子のいる友人が、
「私はこの子がゲイだったとしても受け入れられる」と話していました。
そういったことに関しては父親のほうが認めがたい傾向が強いのか、
母親のほうが如何なることも受け入れる心を持っているのかなぁと思った覚えが。
本作では母親はすでに他界していますが、姉がまさにそんな感じ。
外出するようになった弟のあとをつけ、事実に愕然。
しかし、帰宅した弟に対して、「理解はできないけれど」と前置きをして、
自分の服を勝手に着たことを笑って咎め、新しい女物の服をプレゼントします。
けれども最後には父親の言葉に泣かされます。
女装するぐらいならひきこもりのほうがマシだと最初は嘆いた父親が、
家族に迷惑をかけるからやめるという息子に対し、
「誰が迷惑だと言った。おまえの覚悟はその程度のものだったのか」と怒鳴り、
そのあと、こんな台詞を。
「生きるってことは、少なからず他人に迷惑をかけるものなんだ。
胸を張って生きろ」。
カレンや静香ママのお説教も心に響きます。
誰でも悩みぐらいはある。それがちょっとちがうだけ。
ニートで好きなことができると自嘲気味に笑う謙介に怒り、
本当に好きなことをしたいなら、自分で稼いでからにしろと。
そう言われて目が覚めた謙介が、結局は挫折しそうになったときに言われたのが、
上記の父親からの言葉でした。
何の気なしに観はじめたらツボにハマってしまった。良作です。