夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『セプテンバー5』

2025年03月03日 | 映画(さ行)
『セプテンバー5』(原題:September 5)
監督:ティム・フェールバウム
出演:ピーター・サースガード,ジョン・マガロ,ベン・チャップリン,レオニー・ベネシュ,
   ジヌディーヌ・スアレム,ジョージナ・リッチ,コーリイ・ジョンソン,ベンジャミン・ウォーカー他
 
イオンシネマ茨木にて、前述の『大きな玉ねぎの下で』の次に。
 
同事件について描いた作品としてはスティーヴン・スピルバーグ監督の『ミュンヘン』(2005)がありました。
世界中の人がテレビで初めてテロリズムを見たのはこのときなのだそうです。
「テロリスト」という言葉もまだ使われていなかった時代。そういえば昔は「ゲリラ」と呼んでいましたよね。
 
1972年のこの出来事を取り上げたのは、1982年生まれのティム・フェールバウム監督。
エンドロールの“Special Thanks”の中にローランド・エメリッヒ監督の名前があり、どういう関係かと思ったら、
フェールバウム監督の長編デビュー作『HELL』(2011)でエメリッヒ監督が製作総指揮を務めたようです。
また、本作のプロデューサーにはショーン・ペンも名を連ねています。
 
1972年8月26日に開幕したミュンヘンオリンピック真っ最中の9月5日。
現地に乗り込んで競技を中継中だった米国ABCのスポーツ中継クルーの数名が銃声を聞く。
何事かと調べると、パレスチナ人の武装集団がイスラエルの選手村を襲撃したらしい。
犯人たちはイスラエル人選手11名を人質に取って立てこもり、パレスチナ人囚人たち数百名の釈放を要求。
 
ふだんはスポーツ番組専門のチャンネルだが、自分たちが現地にいるというのに中継をほかに任せるなんてできない。
クルーたちは一丸となって正しく状況を伝えようとするのだが……。
 
なにしろ初めてのテロ生中継。
人が殺される可能性があるなかでカメラを回し続けていいものか。
殺される選手の親の気持ちを思えば、映すべきではないという者、真実を伝える義務があるという者、さまざま。
 
選手に扮して選手村に潜入してカメラを回す。音を拾う。
現地のドイツ語のニュースを聴き取れるのは通訳の女性のみで、彼女も奔走。
落ち着きを求められながらも動きつづける現場の様子に緊迫感があります。
 
人質全員無事解放を願っていたのに叶わなかったと知ったときの表情を見れば、
視聴率は取りたいだけで動いているわけではないのだと思えます。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『大きな玉ねぎの下で』

2025年03月03日 | 映画(あ行)
『大きな玉ねぎの下で』
監督:草野翔吾
出演:神尾楓珠,桜田ひより,伊東蒼,藤原大祐,窪塚愛流,瀧七海,asmi,飯島直子,西田尚美,
   原田泰造,江口洋介,山本美月,中川大輔,伊藤あさひ,休日課長,和田正人他
 
モチーフになっているのはもちろん爆風スランプの曲。
そこだけは気にしつつも上映回数がどんどん減って行って今にも上映が終了しそう。
もう観なくてもいっかなぁと思っていたところ、ちょうど良い時間帯の回があって。
イオンシネマ茨木にて。
 
夜はバー、昼はカフェとして営業している店“Double”。
その店で昼にバイトしているのは、女子大生村越美優(桜田ひより)、夜にバイトしているのは大学生の堤丈流(神尾楓珠)。
面識はないからお互いを知らないが、連絡用のノートがいつしかふたりの交換日記のように。
 
ある日、同じ居酒屋でそれぞれの友人と飲んでいたところ、丈流の親友・喜一(中川大輔)が飲み過ぎで突然倒れる。
看護学部に通う美優が適切な応急処置を施し、喜一はスムーズに病院に搬送されて事なきを得る。
それが縁で美優の親友とつきあいはじめた喜一は、自分の命の恩人である美優を誘うように丈流に勧める。
 
ノートの中では誰よりも落ち着ける相手同士なのに、そうだとわかっていないふたりは会えば悪態をついてばかり。
ふたりともアーティストのA-riが好きだと知って少し嬉しくなるが、それでも素直になれない。
 
ノートを書いているのが美優ではなく、美優の先輩・篠田沙希(山本美月)だと思い込んでいた丈流は、
A-riの武道館ライブのチケットを手に入れてノートに挟む。宛名を「サキさんへ」として。
ノートの相手が丈流だとすでに気づいていた美優はショックを受けるのだが……。
 
という「現在」の展開がある一方で、江口洋介演じるTaijuがナビゲーターを務めるラジオ番組で、
30年前の文通相手との恋が語られます。このペンフレンドというのが丈流の父親・虎太郎(原田泰造)と母親・今日子(西田尚美)。
西田尚美演じる母親・今日子は幼い頃から病弱で、今は余命を宣告されている身。
少女の頃の今日子(伊東蒼)は、自分の姿をさらすのが怖くて、親友・谷崎飛鳥(瀧七海)の写真を使って相手と文通していました。
相手の虎太郎(藤原大祐)も地味な自分は嫌われると思い、親友・府川大樹(窪塚愛流)の写真を借りていたという。
 
すれ違いの恋の話はイライラするので、あんまり好きではありません。
本作なんてその典型的なやつで、もおっ!とイライラしどおし。
 
公開時期が同じになったことで、ラブストーリーとしては『ファーストキス 1ST KISS』とよく比べられると思いますが、
私は比較にならないぐらい『ファーストキス 1ST KISS』のほうが好きです。話自体もキャストも何もかも。
 
ただ、こういうお涙頂戴的な要素の入った恋愛ものは不動の人気がありますね。
特に男性はこっちのほうが好きだという人もいるかもしれません。
最後の10分ぐらいはよかったかな。
けど、A-ri役のasmiが歌うカバーよりもオリジナルのほうが断然好きだし、私は惹かれるところなし。
 
と、まったく興味を惹かれなかったように書きましたけれど、
小学生の頃に月刊漫画雑誌の文通相手募集コーナーに名前が載ったときのことを思い出したのは懐かしかった。
何百通という、ありえないぐらいの手紙が全国から届き、とても全部は返事を書けませんでした。
何人かに絞って文通を始めたものの、あまりに手紙の来る頻度が高くてどうにもならず。
そうしたら、「返事がなかなか来ない」と怒りの手紙が届いたりして、ホント、大変でした。
最後まで残った唯一の人とは今も年賀状だけはやりとりしていますが、一度も会ったことがありません。
思えば、募集欄に私が書いたのは「阪神ファンの人、文通しましょう」。
その唯一の人は「巨人ファンだけど、文通しませんか」という手紙をくれた人です。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする