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『ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女』

2025年03月02日 | 映画(さ行)
『ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女』(原題:Stella. Ein Leben.)
監督:キリアン・リートホーフ
出演:パウラ・ベーア,ヤニス・ニーヴーナー,カッチャ・リーマン,ルーカス・ミコ,ベキム・ラティフィ,
   ジョエル・バズマン,ダミアン・ハルドン,ゲアディ・ツィント,メイヴ・メテルカ他
 
休日のなんばグランド花月、朝イチの回にひとりで行きました。
夕方の回は友人夫婦と一緒に行くべく予約していたので、間の繋ぎになんばパークスシネマにて本作を鑑賞。
 
ドイツ/オーストリア/スイス/イギリス作品。
 
実在のユダヤ人女性ステラ・ゴルトシュラークを主人公にした実話に基づいています。
ステラ役は『水を抱く女』(2020)でもヒロインを演じたパウラ・ベーア。
 
1940年、18歳のステラ・ゴルトシュラークはジャズシンガーになることを夢見ていた。
ステージを観にやってきたプロデューサーからブロードウェイ出演の話を受けて大喜びするが、
ユダヤ人の彼女にその機会が訪れることはなく、工場で強制労働を強いられる生活。
彼女の同胞がひとりまたひとりとアウシュヴィッツへ送られるのを見て怯える。
 
工場のユダヤ人全員が連行されそうになった日、ステラの夫は逃げ遅れたが、彼女と両親はなんとか逃げ延びる。
大半の仲間たちが隠れて生活する一方で、じっとしていられない性分のステラは、外出先でロルフと出会う。
彼もユダヤ人だが、ユダヤ人向けの偽造パスポートを売って高額の収入を得る日々を送っていた。
ロルフの仕事を手伝うようになってからというもの、街なかを歩きまわり、映画もに行ったりして自由を謳歌。
 
しかしついにゲシュタポに逮捕され、酷い拷問を受ける。
アウシュヴィッツ行きを免れるためには、隠れている仲間のことをナチスに密告するしかなく……。
 
自分が美人で、男の目を惹くことを最大限に利用するステラ。
彼女の行動は決して褒められたものではないし、恥ずべきことでしょう。
けれど、自分が生きるためにはこうするしかない。
同胞から罵声を浴びせられても密告しつづける強さには驚きます。
 
戦争が終わったとき、そうするしかなかったと自分の行動を振り返って開き直る人もおそらくいる。
彼女もそのように見えたけれど、二度自殺を図った話を聞くと虚しい。
どんな思いだったのだろうと考えると居たたまれなくなります。

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