夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ナイト・オン・ザ・プラネット』

2024年03月05日 | 映画(な行)
『ナイト・オン・ザ・プラネット』(原題:Night on Earth)
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:ウィノナ・ライダー,ジーナ・ローランズ,アーミン・ミューラー=スタール,ジャンカルロ・エスポジート,
   ロージー・ペレス,イザック・ド・バンコレ,ベアトリス・ダル,ロベルト・ベニーニ,マッティ・ペロンパー他
 
この日こそは梅田まで行こうと思っていたのに、結構激しい雨降り。
そんな中で帰りが遅くなるのも嫌になり、イオンシネマ茨木で何か観ることに。
何かと言ってももうほとんど未見のものが残っていない。
んじゃ、この日で上映終了の本作で手を打つことにしましょうか。
 
このところ昔の作品を上映している劇場をちらほら見かけると思っていました。
4Kレストア版ではなくて、普通のリバイバル上映
単に『オペレーション・フォーチュン』(2023)の上映に合わせたのだと思っていたら、
Filmarksによる企画“Filmarks 90’s”だったようで。
これは1990年代の名作を映画館でリバイバル上映するという企画で、
『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』はその第1弾、本作はその第6弾らしい。
 
1991年のジム・ジャームッシュ監督作品。
もちろん観たことはあって、印象に残っている作品ですが、劇場では観ていません。
おそらくDVDをレンタルして観たのだと思います。
 
欧米の5都市で同じ冬の日の夜から明け方にかけて、それぞれの町のタクシー運転手が客を乗せる。
ほとんどがタクシーの中で繰り広げられる会話で成立している作品なのですが、こうして改めて観るとやっぱり面白い。
本作の話は『ちょっと思い出しただけ』(2021)にも出てきます。
 
第1話はロサンゼルス
タクシー運転手のコーキーを演じるのはウィノナ・ライダー
くわえタバコで尻の下には電話帳を敷き、女だてらに夜の街を激走。
空港で拾った客ヴィクトリアにジーナ・ローランズ。これがまたカッコイイ。
ビバリーヒルズの邸宅に帰る彼女はキャスティングディレクターで、
コーキーをスカウトしようとする話でした。
このときのウィノナ・ライダーの可愛さと言ったら。このときがピークかなぁ。
 
第2話はニューヨーク
黒人男性ヨーヨーは、寒さに震えながらブルックリンの自宅へ帰ろうとしますが、
タクシーが全然止まってくれない。止まっても、行き先を伝えるや否や走り去ってしまう。
やっと1台捕まえたけれど、そのタクシー運転手の東ドイツから来たばかりのヘルムートは、
オートマ車に慣れていなくて恐ろしいほど運転が下手なうえに英語も片言。
いくら何でもこりゃ無理だと乗るのをやめようとすると、ヘルムートに縋りつかれます。
致し方なくヨーヨーが運転を代わり、ヘルムートを助手席に乗せてブルックリンヘ。
ヘルムートは元の場所へ自力で戻れたでしょうか。
 
第3話はパリ
コートジボワール移民のタクシー運転手は、上から目線の男性2人客に腹を立てて下車させる。
金をもらい忘れてツイていない自分を呪っていたところ、
若い盲目の女性がタクシーを待っているのを見つけて乗せます。
盲目ならば面倒なこともないだろうと思っていたのに、彼女はやけに気が強くて辛辣。
女性を演じているのはベアトリス・ダル。
ちょうど『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』を観て彼女を思い出していたからタイムリー。
 
第4話はローマ
タクシー運転手のジーノは夜中でもハイテンション。
無線にも冗談で返し、一方通行を無視しまくり、ほかの車とぶつかりかけても気にしない。
たまたま乗せた客が神父だったことから、この機会にと懺悔を始めます。
ジーノ役にはロベルト・ベニーニ。よくこれだけ口が回るものです。
懺悔の内容が、性に目覚めた少年時代にカボチャでやったとか羊相手にしたとかで、ドン引き。
そうそう、昔観たときも引いたなぁと思い出す。ちょっと辟易。
男性ウケはいいかもしれないけれど、神父が亡くなってしまうところも含めて私は笑えません。
 
第5話はヘルシンキ
無線連絡を受けたタクシー運転手ミカが指定場所へ向かうと、そこには3人の酔っぱらい。
そのうちの1人アキは完全に酔い潰れていて乗車後も眠りこけたまま。
残りの2人によれば、アキにとって今日というのか昨日は人生最悪の日だったらしく、
ローンを完済したばかりの車で会社に行って遅刻して、度重なる遅刻のせいでクビを告げられ、
車に戻ると当て逃げされてボコボコになっていた、帰宅するとまだ10代の娘が妊娠したとのこと、
自分のクビを告げると妻から離婚を言い渡されたのだと、アキの「不幸」を聞かされます。
そこで口を開いたミカは、不幸ってその程度かと言い、自らの不幸を語りはじめます。
このアキ・カウリスマキ感は凄いですね。客の名前もカウリスマキ兄弟に倣ってミカだし。
アキ役のマッティ・ペロンパーは本作公開の3年後、わずか44歳で他界していますが、
フィンランド人の著名俳優として、フィンランド映画100周年記念切手に登場しているし、
「マッティ・ペロンパー賞」なる映画賞も設けられているそうです。
 
第2話と第5話が好きです。
もちろん可愛いすぎるウィノナ・ライダーも。ロベルト・ベニーニは要らない。(^^;

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