夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『2度目のはなればなれ』

2024年10月26日 | 映画(な行)
『2度目のはなればなれ』(原題:The Great Escaper)
監督:オリヴァー・パーカー
出演:マイケル・ケイン,グレンダ・ジャクソン,ダニエル・ヴィタリス,ジョン・スタンディング,
   ジャッキー・クルーン,ヴィクター・オシン,ウィル・フレッチャー,ローラ・マーカス他
 
TOHOシネマズ西宮にて、前述の『悪魔と夜ふかし』の次に。
 
“Based on a True Story”なんてテロップは出ないのですが、実話が基なのだそうです。
第二次世界大戦後に話題になったバーナード・ジョーダンのこの話、英国では誰もが知っているのかもしれません。
 
英国海軍退役軍人のアーサー・ジョーダンは妻のレネと老人ホームに入所中。
近頃体調が思わしくないレネのことが心配で、アーサーはいつもそばにいるが、
まもなく開催される“Dデイ(ノルマンディー上陸作戦)”の70周年記念式典のことが気になっている。
イギリスからフランスに向けてのそのツアーに参加したいと希望したところ、もう定員いっぱい。
なんとなく諦めきれずにいるアーサーの気持ちを察し、レネが背中を押す。
 
90歳の老人がひとりでフランスへ行くことをホームが許可するはずもなく、早朝にこっそりと出かけるアーサー。
アーサーがいないことに気づいた職員たちは大騒ぎを始め、警察に届け出る。
ただひとり、彼の行方を知るレネがスタッフのアデルに打ち明けたところ、みんなひと安心。
面白がって警察官までもがSNSに「Dデイに出席するために老人ホームから大脱走」と投稿する。
 
騒ぎになっているとはつゆ知らず、ろくに金も持たずに出かけたアーサーは、
空軍の退役軍人ハワード・ジョンソンと親しくなり、同宿させてもらえることに。
退役後は名門私立学校の校長まで務めたというハワードだったが、実は心残りを抱えていた。
ある約束を果たせなかったことを気にしていたアーサーは式典そっちのけでハワードを誘い出し……。
 
戦争で肉体的に傷を負った人は大勢いますが、そうでなかったとしても、心に傷を負わなかった人はいない。
明るく振る舞っていてもフラッシュバックに襲われたり、夢遊病の症状が出たり。
これだけはやっておかなければあの世に行けないとことがそれぞれにあります。
 
レネを演じたグレンダ・ジャクソンは、本作の撮影終了から1年経たずに亡くなり、これが遺作に。
また、アーサー役のマイケル・ケインも同年に俳優としての引退を発表しました。
こんな素晴らしい俳優ふたりだったからこそ、こんな胸を打つ作品になったのだと思います。
 
戦って良いことなんてひとつもない。だけど戦いはなくならない。
思い残すことがないようにできるのかなぁ。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『悪魔と夜ふかし』 | トップ |   

映画(な行)」カテゴリの最新記事