夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『海辺の家』

2003年01月24日 | 映画(あ行)
『海辺の家』(原題:Life as a House)
監督:アーウィン・ウィンクラー
出演:ケヴィン・クライン,ヘイデン・クリステンセン,
   クリスティン・スコット・トーマス,ジーナ・マローン他

ケヴィン・クライン演じる建築デザイナーのジョージは、数年前に妻と離婚。
その妻は裕福な男性と再婚して、かわいい子どももふたりいる。
ジョージと元妻とのあいだには高校生になる息子が。
息子も元妻に引き取られているのだけれど、
髪の毛は青く染めてヤク三昧、顎にもピアス、
毎朝タンスのなかで首を吊ろうと考えており、
元妻の新しい家庭では手を焼いていた。

そんななか、ジョージは長年勤めた会社をクビに。
その直後に倒れて病院に運ばれる。
医者から余命あと数カ月を宣告された彼は、
夏のあいだ、息子を引き取って、
彼とともに「海辺の家」を建てなおすことを決意。

自分の余命は知らせないままなんとか息子の心を開こうとする父親に、
はじめのうちは悪態をつく息子。
しかし、友だちから買ったヤクを父親が処分してしまったため、
その代金を回収すべく、仕方なく手伝いはじめる息子。

典型的なお涙頂戴映画かと思い、
まぁ一応観ておくかという気持ちで手に取りました。
そしたら意外とめっけもん。
何より「泣け、泣け」と無理強いしてこないところがいいです。
ケヴィン・クラインは『ワンダとダイヤと優しい奴ら』(1988)、
『危険な動物たち』(1996)、『イン&アウト』(1997)など、
最近ではコメディの印象の強い人。
それがいい具合に作用しているのかも。

特筆すべきは『スターウォーズ エピソード2』(2002)のアナキン役、
ヘイデン・クリステンセン。
アナキンより断然この息子役!
悪ぶってるけどほんとは繊細な高校生がめちゃハマり。
超美形で「かわいぃぃぃ!」と言いたくなりました。

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名なしのゴンベ(同じく小ネタ)

2003年01月22日 | 映画(番外編:映画と邦題・字幕・台詞)
英語に親しんでる人ならご存じかも。
「アラン・スミシー」は名なしのゴンベ監督ですが、
「ジョン・ドゥ(John Doe)」は身元不明の死体を呼ぶときに使う名前。
これが女性の場合は「ジェーン・ドゥ(Jane Doe)」になります。

ブラッド・ピット主演の『セブン』(1995)は
キリスト教の7つの大罪に基づいた連続残酷殺人の映画でしたね。
この映画でケヴィン・スペイシーの演じた役名が「ジョン・ドゥ」でした。
映画を観たときは、「ジョン・ドゥ」という名前の持つ意味をまだ知らず、
あとで知って不気味さが余計に増しました。

ミシェル・ファイファーとロバート・レッドフォードが共演した『アンカーウーマン』(1996)。
冒頭でファイファーが溺死体発見の事件をレポートしたとき、
その女性死体が「ジェーン・ドゥ」と呼ばれています。

これまた小ネタでした。

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匿名希望(小ネタ)

2003年01月21日 | 映画(番外編:映画と邦題・字幕・台詞)
映画好きな人ならご存じかも。
「アラン・スミシー(Alan Smithee)」という監督。
彼が監督として名前を連ねる映画はいっぱいあるけれど、
実はこういう名前の人は存在しません。
いわゆる「匿名希望」です。

最初はやる気満々で撮りはじめた映画だけど、
なんらかの事情で現場でもめて、「こんな映画、やってられるか!」とぶちキレたり、
「一応世には送りだすけど、自分の名前が監督として載るのは恥ずかしい」
などと思ったりした場合に、
「監督=アラン・スミシー」となるのです。

そんなドタバタを扱ったその名も『アラン・スミシー・フィルム』(1998)は、
まさにホンモノのアラン・スミシー映画。
こんなタイトルで映画を撮ったはいいけれど、公開するのが恥ずかしくなって、
監督=アラン・スミシーとしたのではシャレになりません。
その年のラズベリー賞(アカデミー賞の前日に発表されるワースト映画賞)の
作品賞を見事に受賞しました。
もちろん日本でヒットするわけもなく、未公開に。

最近は「アラン・スミシー」に代わる、「トーマス・リー」という匿名希望さんも。
アメリカ映画『スーパーノヴァ』(2000)がそれ。
医療船ナイチンゲールは何千光年も離れた惑星からSOS信号をキャッチ。
1人の生存者を救出するが、救助した船には謎の物体が隠されていて……、
というSF映画です。その出来はやはりアラン・スミシー。(^^;

小ネタでした。(^○^)

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泣ける映画がいい映画

2003年01月20日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
とは言いきれない。
そら『アルマゲドン』(1998)でも泣いたし、
『タイタニック』(1997)なんて最初から泣く気で映画館に足を運んでいるもんで、
のっけからハンカチを手に握りしめて鑑賞。
期待にたがわずおおいに泣かせてもらいました。

「泣ける」ということは、心の琴線のどこかにその映画が触れたことは確か。
でもだからすごくいい映画と思うかどうかは別問題。

先日観た『I am Sam アイ・アム・サム』(2001)。
ショーン・ペン演じるサムは7歳の知能しか持たない。
ホームレスの女性とのあいだに女の子をもうけるが、
母親であるその女性は「子どもなんてほしくなかった」と
子どもを産むやいなやどこかへ消えてしまう。
仲間や隣人に助けられながら懸命に赤ん坊を育てるサム。
ルーシーと名づけられた赤ん坊はすくすく育ち、やがて8歳の誕生日を迎える。
父親の知能を超えてしまう彼女。
娘のためにならないからと、父と娘を引き離そうとする人々。
もう涙なしでは見ていらせません。
ただ、展開があまりに都合よすぎて、すご~くよかったかというとちょっと疑問。
泣きたいときには超オススメ。

『シックス・センス』(1999)のハーレイ・ジョエル・オスメント主演の
『ペイ・フォワード 可能の王国』(2000)。
彼は小学生。彼が考えだしたのは、
他人に親切にしてもらったらその親切をふたりの人に返しましょう、
そしてその親切はまたふたりの人へ……と、ネズミ講式に親切が増えてゆく運動。
いい案で、それだけで泣けてくる。
しかしラストはまさに『フィールド・オブ・ドリームス』(1989)のデジャヴ。
泣きながらも唖然呆然。
『A.I.』(2001)では涙も出なかったから、こちらのほうがまだマシか。

思いっきり泣いて、なおかつ好きな映画だったのが『エイミー』(1997)。
オーストラリアの映画。
ロック歌手だった父親を落雷事故で亡くしたエイミー。
お父さんとお父さんの歌が大好きだった幼いエイミーは
ショックのあまり耳が聞こえなくなり、口もきかない。
あるとき、近くに住む青年が、エイミーには歌声なら届くことに気づいて……。
ネタばれにもなるけれど、ハッピーエンドのあとが秀逸。
みんなで大騒ぎするでもなく、変化はエイミーが話せるようになったことだけ。
余計にみんなの温かさが感じられます。
ここ数年で涙の量はいちばん多かった映画かも。
エイミーが歌う曲は公文のCMでも使われていたので聞き覚えがあるかも。

泣けなくてもいい映画だって数知れずですよね。

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『セッション9』

2003年01月17日 | 映画(さ行)
『セッション9』
監督:ブラッド・アンダーソン
出演:ピーター・ミュラン,デビッド・カルーソ,ジョッシュ・ルーカス他

「サイコ・スリラー」とジャケットに書いてあったので、
ホラーが苦手な私でも大丈夫かと思ったら怖かった!

マサチューセッツ州に1800年代後半に設立され、
いまは世界有数の廃墟となっているダンバース精神病院跡で
実際に撮影された映画。1984年に閉鎖されたそうです。

廃墟と化したこの病院を役所として建てなおすため、
石綿(アスベスト)除去作業に訪れた男たち。
廃墟を見上げて「薄気味悪いな」という彼らの言葉を聞いたとき、
私は「そうでもないがな。空は青いし、綺麗な建物やんか」と思いました。
しかし、薄暗い建物の中に入り、
精神病患者が座っていたであろう椅子が部屋の中央にポツンと1脚、
映しだされたときに「ひょえ~」となりました。

暴力性を抑えるためにおこなわれたロボトミー手術の器械、
ほかにも治療という名のもとの拷問道具らしきもの、
患者の番号のみが記された建物裏の墓地、
多重人格者のセッションの録音テープなど、
気味悪さがどんどん迫ってきます。

少しずつ心理状態を狂わせていく主人公。
じゅうぶん怖いのですが、
心に隙間があると誰でもこうなるかもしれんと言いたかったのかと思うと、
ちょっと説得力にかけるかなぁ。

ホラーとサイコ・スリラーのちがいって何でしょう。
私にはじゅうぶんホラーな映画でした。ごわいぃぃぃ。

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