夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ハチミツとクローバー』

2007年09月06日 | 映画(は行)
『ハチミツとクローバー』
監督:高田雅博
出演:櫻井翔,蒼井優,伊勢谷友介,加瀬亮,関めぐみ,
   堺雅人,西田尚美,中村獅童他

観そびれていた邦画をレンタル半額クーポンにて。
言うまでもなく、羽海野チカの大人気コミックの実写版映画化。
タイトルはスピッツとスガシカオのアルバム名に由来するのだとか。

「恋をした
 それだけのことなのに
 世界はまぶしい」。

原作に惚れ込んでいた人からは非難囂々のようですが、
原作もアニメ版も知らなくて、
このキャッチコピーに惹かれた人はどうぞ。
私もそのうちのひとりです。

美大の教授である花本修司の自宅では、
竹本祐太、真山巧、山田あゆみら、花本を慕う学生たちによって、
定期的に飲み会が開かれている。

ビールを取りに行こうとした竹本と真山は、
アトリエで知らない女性を見かける。
彼女は花本の親戚で、同大学に入学したばかりのはぐみだった。
はぐみに一目惚れする竹本。

ある日、変人と名高い美大の有名人、
森田忍が放浪の旅から舞い戻る。
はぐみの絵を見た森田は彼女に興味を持ち、
はぐみも森田に特別な感情を抱いた様子。

デザイン事務所でバイトする真山は、
事務所の経営者である理花に好意を寄せている。
想いを打ち明けられず、理花の姿を追うだけ。

山田は真山のことが好きでたまらない。
真山はその事実に気づいているが、目に映るのは理花だけで、
山田の想いには応えられない。

「人が恋に落ちる瞬間をはじめて見てしまった」。
オープニングはこんな台詞から。
それぞれの恋心が交錯した、甘酸っぱい青春には、
キュンとなる台詞がいっぱい。

蒼井優演じるはぐみは、同性から見てもギュッと抱きしめたくなるほど。
そんな表情で「ありがと」なんて言われたら~。

それ以上に胸をキュンとさせてくれたのが、関めぐみ演じる山田。
勝ち気に見える彼女が真山の背中にしがみついて、
ポロリと涙を流し、「真山ぁ……好き。大好き」。

「好きな人が、自分のことをいちばん好きになってくれる、
たったそれだけの条件なのに、どうして上手く行かないんだろ。
どうやってあきらめればいいの?」という山田に対し、
伊勢谷友介演じる森田は、「あきらめなきゃいいんだよ」。

真山の理花への台詞、「僕は、傷つきませんから」には、
あなたのそばにいられたら、それ以上何も望まない、
そんな気持ちが見えました。

恋していれば、どんなこともまぶしい。

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『おばちゃんチップス』

2007年09月03日 | 映画(あ行)
『おばちゃんチップス』
監督:田中誠
出演:船越英一郎,misono,京唄子,南果歩,徳井優他

元ネタは、大阪経済大学で開講された、
商品企画力の養成を目的とした講座にて、
学生が発表した「おばちゃんチップス」なるスナック菓子。
江崎グリコによって実際に商品化されました(販売は既に終了)。

さて、舞台はコテコテの大阪、
通天閣の見える生野区界隈(たぶん)。
言語学者を目指す修平は、東京の大手建築会社を退職し、
大阪の大学に非常勤講師の口を見つけてやって来る。
生の大阪弁を調査すべく修平が選んだ下宿先は、鄙びた商店の2階。
ひとりで店を切り盛りする昭和一桁生まれの千春は、修平を大歓迎。

しかし、何ぶん、非常勤講師は安月給。
家賃の支払いにも困った修平は、千春に相談。
再開発のために店の立ち退きを迫られている千春は、
地元住民との会合に出席する間、
修平に店番を任せてアルバイト代を払うことに。

向かいのアパートに住むホステスの麻衣子は、
まだあどけなさの残る顔立ちだが、キツ~イしっかり者。
大阪のオバチャンに圧されてあたふたする修平を放っておけず、
あれやこれやと修平の面倒をみるようになる。
やがて東京から修平の妻も押しかけて来て……。

はっきり言ってテンポがイマイチ。
監督が大阪出身ではないせいかどうかわかりませんが、
大阪弁を生かしきれていない印象があり、
微妙な間合いで笑わせてくれた同監督作品、
『タナカヒロシのすべて』(2004)(オマケのこちらもどうぞ)のほうが、
私にとっては遙かにおもしろいものでした。

それでも憎めない作品です。
オバチャンが「表の自転車、貸してな」と勝手に乗って行ってしまったり、
「おでんの汁だけ、ちょうだい。タダやろ」とか。
麻衣子のもとを訪れたろくでなしの元カレは、
「アンタ、何なん?」とオバチャンたちに凄まれて退散。
このあたりはかなり笑えます。

麻衣子を演じるmisono(倖田來未の実妹)が可愛らしい。
父親ほども年の離れた修平に恋心を抱きます。
修平をお好み焼き屋に連れて行き、
「大阪にはほかにもいっぱい美味しいものがあるで。
…私も美味しいんやけどな~」と呟いてみせたり、
修平の妻(尼崎出身の南果歩が標準語の台詞)に
嫉妬心を燃やして張り合う姿も可笑しい。

船越英一郎とmisonoが並ぶと援交にしか見えなくて、
そのキスシーンもちとキツイ。
でも、ま、吉本の芸人も多数出演、大阪弁は満喫。
レンタルならお薦め。

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