夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ハナミズキ』

2011年03月08日 | 映画(は行)
『ハナミズキ』
監督:土井裕泰
出演:新垣結衣,生田斗真,蓮佛美沙子,木村祐一,
   松重豊,向井理,薬師丸ひろ子他

一青窈の『ハナミズキ』をモチーフに描かれた純愛もの。
劇場で観ていたら、128分は耐えがたかったかも。(^^;
良くも悪くも、新垣結衣ちゃんの映画です。言うまでもなく。

1996年の夏の北海道。
高校生の紗枝は、幼い頃に父を亡くし、母とふたり暮らし。
早稲田大学へ推薦で入ろうと今日の学期試験に賭けていたが、
通学途中に紗枝の乗る列車が鹿をはねて立ち往生。
車道へ出てバスを追いかけるも間に合わず。

呆然と立ちつくす紗枝に声をかけたのは、水産高校にかよう康平。
康平は、近くに住む知人宅へ紗枝を連れて行き、
車を出してもらおうとするが、あいにく留守。
車に鍵が付いたままになっているのを見た紗枝は、
康平に無理やり運転を頼み、学校へと向かう。

ところが、康平は実は無免許。
紗枝の学校に着く前に事故ってしまい、推薦入学の夢は泡と消える。

紗枝のことが気がかりな康平は、帰宅途中の紗枝をつかまえる。
水産高校の連中とはつきあうなと教師から言われた紗枝は、康平のことを無視。
しかし、紗枝のせいで康平が停学となったにもかかわらず、
康平は紗枝の頼みだったということをまったく口にしなかったことを知り、
申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

康平に謝罪した紗枝は、一般入試で早稲田に臨むことを決意。
塾からの帰り道を康平と過ごすようになるが……。

この後は、苦笑いしてしまうぐらい、想像どおりに展開します。

紗枝は早稲田に見事合格。康平は地元で漁師に。
『木綿のハンカチーフ』の逆バージョンのごとく、都会の色に染まる紗枝。
向井くん演じるイケてる先輩が登場して、
紗枝のことを心配した康平が思いきって東京へ来てみたら、
紗枝と先輩がイイ感じなのを目撃して勘違い。

なんだかんだで、ふたりの気持ちは変わらんことを確認したものの、
康平が身を引く形で紗枝にさよなら。
ここで康平はやけっぱちになり、手近な女性を押し倒して結婚。

次はこうなるでしょという予想そのままなので、
別にキャストは誰でもええやんというのが正直な感想。
いや、だからこそ、ガッキーと生田くんに向井くんじゃないとあかんのか。

予想どおりのなか、最終的に起こる天変地異(?)に唖然。
都合良く、ふたりが残ってハッピーエンド。
これに素直にしんみりとできないのは若くない証拠かしらん。(--;

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『おにいちゃんのハナビ』

2011年03月04日 | 映画(あ行)
『おにいちゃんのハナビ』
監督:国本雅広
出演:高良健吾,谷村美月,宮崎美子,大杉漣,早織,
   尾上寛之,佐藤隆太,佐々木蔵之介,塩見三省他

「実話に基づく」にはいろいろありますが、
本作は素直に観て素直に泣かなきゃ損な感じ。

新潟県小千谷市片貝町は、世界一の花火を誇る町。
年に一度おこなわれる片貝まつりでは、
町の人びとがスポンサーとなり、神社に奉納する形で、
さまざまな願いを込めた花火を打ち上げる。
個人や家族単位で奉納することも可能なほか、
地元中学の同級生たちで結成される同期会も奉納する。
同期会は、成人になる年を最初の奉納の時とし、
以降、還暦にいたるまで、人生の節目毎に共に花火を打ち上げるのだ。

この町に5年前に引っ越してきた須藤家。
娘の華の病気療養のために、空気のきれいな場所を求めてやってきた。
明るい華はすぐに友だちができ、町にもなじんだが、
華の自慢の兄である太郎は、誰とも友だちになれず、
高校卒業と同時にひきこもりになってしまう。

長期入院から退院した華は、兄の状態をはじめて知って思い悩む。
兄をなんとか外へ連れ出そうと、あの手この手を試みる華。
やがて、太郎が今年成人式を迎えることを思い出し、
同い年の者で構成される成人会に無理やり参加させようとするが、
メンバーたちは、中学最後の年に転入してきた太郎、
しかもその後ひきこもってしまった太郎のことなど覚えていない。

いままで思い出を分かち合ってきた者しか参加させないと言われ、
華は「いままでよりもこれからのほうが長いのに。
これから一緒に思い出をつくっていけばいいんでしょ」と反撃。
その言葉に共感した成人会の女会長が太郎の参加を受け入れる。

華は太郎の打ち上げる花火をどうしても見たいと願うが、
病気が再発して入院してしまい……。

『ボックス!』(2010)のふたりが兄妹役。
高良健吾は、顔立ちのせいなのか、こういう真面目で少し暗めの役がピッタリ。
また、そういう人が見せる笑顔は格別ですねぇ。
谷村美月も、病気でありながら、明るくふるまうムードメーカーで、
これは『ボックス!』の役とまさしく同じ。丸坊主での熱演。
両親の不器用ながら溢れる愛情にもほっこり。土下座は要らんと思いましたが。

冬の寒い日に部屋の中で観る花火もオツなもの。
ラストはほとんど反則技。タイトルの意味はそれだったのね。
そんな手で来られたら、泣かずにおれん。

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『川の底からこんにちは』

2011年03月01日 | 映画(か行)
『川の底からこんにちは』
監督:石井裕也
出演:満島ひかり,遠藤雅,相原綺羅,志賀廣太郎,岩松了他

先週のレンタル開始後すぐに観てぶっ飛び、DVD即買い決定。
ぴあフィルムフェスティバルの受賞者といえば、
べらぼうにおもしろい人がいっぱい。本作の監督もそうです。

主演の満島ひかり、お見事としか言いようがありません。
『悪人』(2010)では、被害者でありながら、殺されてもしゃあないとさえ思わせるビッチな女性。
『プライド』(2008)では、貧乏ながらオペラ歌手を目指し、
成功のために人を陥れることも厭わない女性。
どちらも舌を巻く演技でした。
でも、本作の彼女には愛おしさを感じます。

上京して5年目のOL、佐和子。
5つ目の職場の上司で、バツイチ&子連れの健一が5人目の彼氏。
良い職場だとも良い彼氏だとも言えないが、
所詮、自分だってたいしたことのない女なのだから、しょうがない。
極度の便秘症でデトックスに通い、ここでもドン詰まりを実感する。

そんなある日、田舎の叔父から連絡が入る。
しじみ工場を経営する佐和子の父親が倒れて入院したらしい。
一人娘の佐和子が継ぐしかないと言われるが、
5年前に訳あって実家を飛び出した佐和子はいまさら戻れる気がしない。

ところが、なぜか健一は意気揚々。
とっとと会社を辞めると、佐和子とともに田舎暮らしをするのだと言う。
結婚の意思すらなかった佐和子は呆然とするが、
健一とその娘で4歳の加代子を連れて田舎へ戻ることに。

工場の経営状態は倒産寸前。
おまけに、佐和子の帰郷をよく思わない工場のおばちゃん連中に
冷たい視線を浴びせられ、佐和子は行き詰まるのだが……。

空気を読めない、会話は調子外れ。
始まって数十分間の佐和子の不思議さと、健一の酷さにドン引き。
脱力系の作品が苦手な人は嫌悪感すら抱くかもしれません。
けれどここを通り越して先へ進めば、
圧倒的なパワーにぐいぐい引き込まれます。
おばちゃんたち相手に佐和子が開き直るシーンは何度も観直したいほど。
木村水産の社歌は、いまも耳から離れません。

「頑張る」とか、「頑張れ」とか、
軽々しく掛ける言葉ではないとはよく言われることですし、
実際そう思うときも多々あります。
けれど、本作を観ると、頑張らなきゃしょうがないのかなって。
「頑張る」が心に響いた作品でした。

ラストは思わず笑い泣き。このセンスに脱帽。
中の下の人生も悪くない。

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